2023年のBlack Fridayで買った音源とプラグイン

三年半ぶりのブログになりますMAKOOTOです。とてもとてもとてもとtこんにちは。
さて、久々すぎてブログ運営については色々整えたいところではあるけど、ひとまず現行のまま、2000年代頃のブログみたいな書き方で、つい先日の2023年のブラックフライデーで購入したものでも書いてみようかなと思います。

Keepforest – Breakout  Pro、Warzone

もうトレーラー系を作るには欠かせないKeepforest製音源から、DevastatorシリーズのBreakout(上)とWarzone(下)。

本当は4つあるDevastatorシリーズの中の最新にして最終版のBreakoutだけ買えばしばらくは十分だろうと思っていたのですが、トレーラー系を作っていると案外四つ打ち要素といいますが、リズム系もあった方が何かと困らない感じもしていましたため、リズム系にも強そうなWarzoneも多少悩んだ挙句、追加で購入。

Devastatorシリーズは一つの音源だけでもトレーラー系特化の音素材が十分入っているので、同じ「ドォン」という音でも、そのニュアンスが微妙に違う音が複数欲しい自分としては大変ありがたい。
ただ、トレーラーサウンドを作るならともかく、もっと一般的でイメージしやすいエピックサウンドや壮大な世界観の曲を作るとかなら、4つあるシリーズの内どれが一つあればアクセントとして十分かなぁと思ったりもします。

 

Impact Soundworks – Shreddage3 Abyss

少し前に東京スコアリング・ストリングスでちょっとした話題になっていたImpactSoundworksさんの、ベース音源シュレーデッジ3のアビス。

このShreddageという綴りが2の頃から毎回覚えられなくて毎回調べるわけですが、最近ベース音源はこいつを主軸に曲を作っています。もうちょっと低音をしっかり出したい場合はド定番のTrilianを使うのですが、BGM制作の場合、折角のずど~んとした低音も割とカットしてしまった方が良いケースが多かったりするので、それならもう少しライトに音作り出来るもの&新しい音源を使いたいなと。

個人的にそのままで使うには若干音が明るいのですが、ベース音源はエフェクトなり何なりで音作り出来ますし、それが楽しかったりもするので問題は無し。ちなみに私はベースのスライド超かっこいいと思っている勢なので、その辺の打ち込み表現がやりやすいかどうかも判断基準にしてます。たまに、出来そうな顔して出来ない音源とかもちらほらあるので。

 

IN SESSION AUDIO – TAIKO CREATOR

IN SESSION AUDIOさんから、日本の和太鼓やそれに付随するパーカッションが沢山入っているTaiko Creator。

今、和風のBGMを作る時には、Strezov Sampling – PERCUSSION ESSENTIALS X3Mを使っていて、「ドン」という音の面を叩く音はそれなりに入っているのですが、「カッ」という縁を叩く音は少ないので、もっと音のバリエーションを増やしたいと思って予算と悩んだ挙句、購入。

手持ちの近い音を色々弄って加工する試行錯誤は大事だけど、生音系でそれをやるとどうしても不自然な部分が出てきてしまうし、曲中の音数が少なければ尚更誤魔化しがきかない。なので、時短の意味でも自然な音が沢山入ってる音源は、作るより買う傾向に最近あるかもしれない。

あと、同じメーカーさんでSHIMMER SHAKE STRIKE 2というシェイカー音源もあるのですが、BGMに程よく挟める音色が豊富でオススメです。私はかなり使用率高し。

 

Kiive Audio – Complexx、S-Quick Strip

続いてプラグインですが、まずKiive AudioのComplexx。

当初、Distressorを模した同メーカーのXtressorのセールを待っていたのですが今回の黒金では来なかったため、試しに新作のこれをデモってみたら思った以上に好みの音の叩き方だったため、若干投資の意味も込めて購入。

ただ、いいなと思った部分は他にもあって、音を叩いた時の質感以外にも、

  • THDが付いてる(後述のS-Quickのプリアンプのドライブ感が好みだった)
  • Widthが付いてる(コンプなのについでに広がり感も多少調節できる)
  • Dry/WetのMIXノブが付いてる(最近のは皆付いてる感ある)
  • 暗さと明るさ微調整のToneノブも付いてる

という、どれも丁度やりたかった機能がほぼ付いており、更にその調整具合もまた自分的にはいい塩梅だったのが決め手でした。

もっとしっかりステレオ感を出したいとか、もっとハイを抑えたいとかそういうのは他の専門プラグインでやるんですけど、ちょ~~~っとだけ調整したいな~という時って結構あるので、それがここで出来るのは意外とありがたい。ただ、少し深めにかけると自分の意図とは違う音の返りがあったので、浅めでMix50%くらいで運用かなぁと思ってます。

 

次に、今回の黒金で個人的当たりのS-Quick Stripプラグイン。

Solid State LogicのSixというミキサーがあるのですが、そのSuperAnalog回路を模したプラグイン、なのかな多分。製品としてはSixのチャンネルストリップの機能から、素早く音を整える体でいるとは思うのですが、私はこいつを差した時のプリアンプのドライブ感が好みだったことと、音によっては上手くハマるトランジェントの調整の2点で買いました。あと安い。

私的には左上のプリアンプ部のゲインを上げてのドライブ感調整でむしろ十分で、更にそこに追加できるサチュレーションは個人的にはやりすぎな感じがして使ってないのですが、とりあえず、音の位置みたいな部分が特定のアウトボードを通した時のような感じに近かったように私には感じられたので導入しました。

あとはEQのポイントや、SC機能付きでコンプとかも付いてて良く出来るなぁと思うのですが、ちょっと違うなと思ったらOFFればいいだけですしね。ちゃんとMixノブも付いてるので汎用性はかなり高い。

 

Cableguys – ShaperBox 3 Bundle

そして最後はShaperBox3。

曲を作っていると、トラックの一部分もしくは尺の中の4小節だけとか、部分的に雰囲気や印象を変えたい時って実は結構あるので、そのバリエーションを増やす為に購入。まだ本格導入はしていないけど、こういう便利ツールは本格派の人はもちろん、私みたいなEDMとかあんまり作らない人間や時短したい人も恩恵はでかいと思ってます。

というかプラグインの存在を認知した瞬間に「あ、これ必須なやつだ」と即思ったので、多分間違いない。

 

あとがき

他にもCubase13アプグレとか細かいものを追加したりしましたが、レビューのつもりもないので割愛。

今回の導入で今後の曲作りにかなり活かせる楽しみも出来たので、頑張りたいすね。

 

それでは~

 

オーディオストックにて、和風のBGM音素材を投稿してます

こんにちは、MAKOOTOです。

オーディオストックに投稿していて思ったのですが、正直曲数が凄い多く、これからもどんどん増えていくと思うんですね。その中で、自分の楽曲を少しでも聴いてもらうには、オーディオストック内の検索だけに頼っていてはダメだ。

というわけで、現在僅かなメディア媒体であるこのブログでも、自分の曲紹介をしていこうと思います。

 

和風系

詳しい曲内容はリンク先を参照頂ければと思いますので、ここではざっくり自己流に。

 

和風バトル・ノーマル級。日本風+ちょっとした小競り合いというイメージ。

 

和風バトル・中ボス級。あ~曲者だな~強そうだな~という雰囲気ですね。

 

和風バトル・大ボス級。 やばいヤツです。日本風+強敵。

 

和風バトル・ボス級その2。メロディ弱めで、より淡々と戦うイメージです。

 

和風+日常系というスタンダードなイメージの曲です。

 

和風のおとぼけ風のBGMです。日本風+コミカルというイメージ。

 

和風の落ち着いた感じのBGMです。日本風+日常といったイメージです。

 

和風+神秘的というイメージ。これは動画よりゲーム向けかもしれません。

 

和風+ヒーリング系のゆったりしたシーンに。

 

和風以外

メタル系のインスト風BGM。メロディがわかりやすい曲はストーリー性のある動画なども合いますよね。

 

近未来のロボット戦闘BGMをイメージしています。ゲーム用にも、動画の緊迫したシーン用にも。

 

自然の姿を静止画や、雄大な印象を出したい時などに。

 

口笛+日常+明るいイメージで、どこにでも使えるようなイメージです。

 

活気のあるカフェなどのイメージです。

 

こちらもカフェ+明るい動きで、マリオカートみたいなイメージです。

 

日常系+温かいイメージで、動画などに使いやすい感じです。

 

ゲームのOP・設定画面のイメージのBGMです。

 

明るいフィットネス系の30秒ループです。

 

 

企業・CM向け

企業VP、CM系のBGMです。こちらはショート版、ノーマル版、ロング版とパターン分けして登録してあります。

爽やかさ+透明感をメインにしています。

 

科学的なイメージ+神秘的なイメージです。

 

こちらも爽やかさ+透明感のある感じです。

 

終わりに

去年投稿した100点の中から選んだとはいえ結構な数になってしまったので、次回からは絞って紹介していけたらと思います。

それでは~

 

【日記】2018年秋M3の参加告知『ONNUEHO 6th』『TRUE BGM』『GAME OVERⅡ』

はいこんちわ、スマホゲーム全然やらなくなってきてもはやログインする気ががががが!!の、MAKOOTOです。

 

今回は、来週日曜の2018年秋M3に参加しているコンピ作品の告知します。

 

Yeahhhhhhh!!!!!!!!!

 

本日の一曲(無料音素材)

ものっそい神秘的なイメージのBGM。使用するなら、独特の「世界観」をもっている作品、もしくはそういうものを一時的に演出する時に当てはまりそうな感じでしょうか。

以前ノベルゲームよくやってたからか、その影響でちょくちょくこういうの作っちゃうんですよねぇ、『月姫』とか『CROSS†CHANNEL』とか。懐かしいな~

 

2018年秋M3(10/28・日曜)

はい、えーと、私今回は3つのコンピ企画に参加してます。

  • 「ONNUEHO 6th Edition」(Epic系壮大コンピ):主催 Kyocmpさん
  • 「TRUE BGM」(環境音融合コンピ):主催 EBIさん
  • 「GAMEOVERⅡ」(アリスソフトコンピ):主催 ふりこみさん

 

曲を作ってた時期は7~8月だったので、その時は秋のM3開催まではまだ先だなぁと思わなくもなかったんですけど、今やもう直前ですからねー時間の経過早いすよねー。

あれ、もうそんな時期か!ってなるよね、うん。

 

『ONNUEHO 6th』:主催 Kyocmpさん R-13b

でました!『ONNUEHO 6th』エピック系壮大コンピ

こいつは凄いですよ、今回は前回よりも更に1章増えて全6章全65曲。ボリュームが留まるところを知らない。ジャケットもまた美しい。ナンデスカコノクオリティ。

特設サイトはこちら → 『ONNUEHO 6th Edition』

 

クロスフェードだけで30分とか、もはや一つのコンテンツレベルになっている。Kyoさんのマスタリングレベルはまたしてもガン上がりしていることでしょう。

しかし、すんごい曲ばっかでもうなんだろ、これ視聴したときに自分もっと勉強しないとなぁと痛感させられるのはもちろんなのですが、これだけの曲が一度にどーんと聴けるのはなんだかすごい贅沢な気がします。

DVD頒布でmp3だけでなく、WAVデータも入っているので、音質面でより良い状態で聴けるというのもでかい。

 

で、自分の曲はどこにあるんだろと探してみたら最後の方にいました。

各章や曲順などはその雰囲気や全体の流れから編成されていると思われるので、65曲もあって、それらがどう構成されているのか・・・実際に聴いてみるのが楽しみで仕方ない。

というか今回は第1章の一曲目にKyoさんの曲があるので、素晴らしいオープニングを迎えられそうです。

 

『TRUE BGM』:主催 EBIさん S-17b

「楽曲と環境音が同時に再生される」というコンセプトのコンピCD『TRUE BGM』

雑踏とか、鳥の鳴き声など、日常で無意識に耳にする環境音と音楽が同時に流れているという、普通のライブとはまた違ったライブ感の味わえる作品。聴いてみると意外と新鮮でした。

特設サイトはこちら → 『TRUE BGM』

 

こちらも全20曲ということで、かなり聴き応えがありますね。静かで落ち着いた楽曲が多めですけど、ノリの良いものもあるし、何より色々な環境音に合わせてBGMを作られているので、非常に感情に伝わり易い気がする。

これも当日CDを受け取るのが楽しみな作品だな~。情景に合わせるBGMを作るのにも非常に参考になるでしょうし、上のクロスフェード聴いただけでも好みのフレーズが結構多いので本当に楽しみ。

 

というか、曲順で2番目の自分の後ろにいる3番目のバストラくんの曲がかっこよすぎるのですが、これは一体何のプレッシャーですかねェ・・・?

 

『GAME OVER Ⅱ』:主催 ふりこみさん コ-28a

アリスソフトコンピCDの『GAME OVERⅡ』通称がめおべあ2。

今年の春にあのランスシリーズの最終章「ランスX – 決戦」がついにリリースされたこともあり、CD内容はランスシリーズ盤とそれ以外の作品盤の計2枚組みになっています。

てか、ジャケットのクールな黒アリス、やばくないっすか!?(歓喜

アリスソフトというと、もはやエロゲの最老舗として有名でしょうが、エロはもちろん非常に良いレベルではありますがそれ以上にゲーム性の作りこみと完成度が高くて大体クソ面白い。今回のランス10もクソはまりました。もう感慨深すぎます。ラストバトルの時は感動でマジで泣いた。

 

CD特設サイトはこちら → 『GAME OVERⅡ』

本家のアリスソフトはこちら → アリスソフト本家

 

なんですかこのYoutube動画のインターフェイスは。めっちゃめちゃかっこいい。

ちなみに私はこのコンピCDでは「幽玄」という名前で参加してます。9年前にその名前でアリスソフトアレンジの同人CD作ったので、その名前使った方が流れとしては良いだろうということでそうしてます。

 

で、私がアレンジした曲は、

  • ランス・クエスト マグナムから「戦闘アム(+戦闘ボスボス)」
  • ランスXから「血の記憶

という、どちらも8と10のラストバトル曲

ちなみにランス10は、丁度仕事の区切りがついていた期間だったということもあり、久々にワタクシアホみたいにハマって三徹近いレベルで狂ったようにプレイして大感動のエンディングを迎えたわけですが、このゲームを勧めた友人の通天さんがそれ以上にドハマりして狂ったようにプレイしてくれました。

なんかバスワルドとか普通に倒してた。俺全然そこまで到達してないのに。

 

どの曲もめっちゃかっこいいんすよ。遜色とかそういうのはマジでなくて全曲良い、愛を感じて俺は男泣きするレベルですが、

  • 熱き敵マエリータ隊戦のUnique Battleおのっちさんアレンジ)
  • 魔軍との戦闘中で燃える展開の支援Gとまとさんアレンジ)
  • ケーちゃんのオラ行くぜオラ行くぜオラオラオラオラ!の決戦通天さんアレンジ)

この3曲が個人的に特に好き。ランス10だからかもしれないけど。

 

おわりに

というわけで、以上3企画の告知情報でした。

 

いやそれにしてもこうしてコンピに参加すると、悔しくてしょうがないですね!(笑

皆ほんとに良い曲書くので、俺はもう始終感動しっぱなし。だからこそ、それが悔しくて悔しくてしょうがない。くっそぉぉお・・・もっと表現力を豊かに、それでいてドスンと腹に届く曲を書きたいぜコンチクショウ。

 

というわけで、今回はこの辺で!

 

【ロックマン11】ヒューズマンステージのBGMをアレンジしてみた

イエローデビルはマジ鬼畜!!

 

こんにちは、MAKOOTOです。

先日の2018年10月4日に『ロックマン11』がリリースされました。

しかも丁度今年でロックマン30周年ということらしいんですね。

 

で、Steamですぐ購入してプレイしてたんですけど、技術はもう色々と進化してるけど、小学生のあの時のプレイを思い出させるような感じがしてとっても素晴らしい

・・・というわけで、久々にテンションが上がってしまい、ヒューズマンのテーマをアレンジしてしまいました(謎

 

ロックマン11 – ヒューズマンアレンジ

ロックマン11と言ったらこの曲が一番有名というか、トレイラー用にも使われたBGMのようですが、これヒューズマンのテーマだったんですね。

私は前情報を特に仕入れず、今年9月辺りからウッチーさんのツイートで発売日を知ってそれからSteamで購入したのですが、

  • PS4
  • Nintendo SWITCH
  • XBOX One
  • Steam(PC)

この4つのプラットフォームでそれぞれ購入してプレイすることが出来るのは非常にありがたい。もしSteamでリリースされてなかったら他のハードを持っていないので私は買わなかったかもしれない。

 

アレンジした理由

ただのいちファンとして、ロックマン11を自分に出来る形で盛り上げたい。海外のファンが多いですからね~ロックマンて。

もちろん非公式でのアレンジなので、その辺の事情は理解しているつもりですが、たまにそれを突き破って「この作品は超良い!だよな皆!?」みたいな熱意が出てくる時がある。

 

要は、

 

ロックマンのBGMマジで良いから聞いて!!!

 

これです。

 

今回のロックマン11のBGMは全部好きですが、でもそれ語り出すと長くなりそうなので今回は割愛。

 

ロックマン11のゲーム性についての感想

冒頭でも書きましたが、普通に面白いです。

最初ステージで死にまくりましたが、しばらくやってくと段々進めて1ボスをなんとか倒せるようになる。また色々実績もあり、難度の高いやりこみ要素もあるとのこと。

難易度的には、元祖ファミコン版の2、3辺りの、普通の慣れてない人には最初難しいけど段々慣れていってクリア出来る、良い具合かと思います。2のクイックマンステージにある即死レーザーあるかなと思ったのですが、流石にそれはなかった模様。(2周目以降は当方、未調査

即死トゲはアシッドマンステージにありましたが(笑

 

・・・なにより、ロックマン2、3をリアルタイムでプレイしていた自分ですが、その25年前のあの感覚が凄い蘇ってくるんですよね。開発陣は当時のロックマンの何が良かったかなど、改めて研究したんじゃないかなと思われます。

 

ロックマンを語ると長くなるので

探してみたらありました。ファミコン版ロックマン。

当時、小学生だったので、3、4、5のケースは毎回丁寧にケースに入れてしまっていたのでぶっ壊しちゃったんでしょうね。6の時は流石に綺麗に取っておいたようで、なんとか形が整っている。

 

うわーこれ懐かしい!!

左上のハガキには「41円切手をお貼り下さい」とあるんですよ。時代を感じさせますよね~。

 

ウホッ!ヤマトマン!!

これ、募集で採用されてるの見て羨ましかったなぁ。友達が「採用できなかったけどかなり良い案でした」的な返答があって、ゴールデンロックマンカセットを送ってもらったと聞いたときは本気でビビった。

 

おわりに

ロックマンは私が小学生の頃、当時6000円以上はするファミコンソフトをお年玉という年に一度の収入で「これ!」と選んだ唯一のゲーム

数日でクリアしちゃったのに選んだのはこれなんだよなぁ・・・。

 

そして中学の頃にこれまた少ない小遣いで年末に買うのはロックマンXで、高1の頃はロックマンX4やりたさに全財産はたいてセガサターン本体を買うという。(後からPSに移植されて絶望した)

・・・なんか今考えると結構な筋金入りでしたね。

 

はい、というわけで私はこれからワイリーステージ攻略に少しずつ入りたいと思います。イエローデビルはまじで鬼畜!!

 

【和楽器】SONICA INSTRUMENTSの『KOTO13』が素晴らしい件について

こんにちは、少し前に和楽器の『箏』音源としてSONICA INSTRUMENTS『KOTO 13』を買ったのですが、これが個人的にとても素晴らしかったので、どんな音源なのかを自分流に記事にしてみます。

詳しい内容は、本家のページや無料でダウンロードできるマニュアル、またMedia Integrationのページを見ていただければと思いますので、ここでは私の体感を書いていきます。

 

SONICA INSTRUMENTS

SONICA INSTRUMENTSはSONICA Inc.のソフトウェア音源開発部門とのことで、和楽器の音源を主に製作されているようです。2018年10月現在では、

  • 尺八
  • 三味線(津軽)
  • 箏(十三絃箏)
  • 歌舞伎&能のパーカッション
  • 和太鼓

の音源がリリースされていて、非常に純度の高い和楽器音源を作っている印象。

イイですね。非常に良いです。個人的には篳篥の音源を心待ちにしている自分がいます。あの音は代用が非常に難しいと思うので。

 

ただ、上4つの楽器はKONTAKT5以上(製品版)、下2つの打楽器音源はBFD音源がないと動かせないので、そこだけ注意。

結構、製品版のKONTAKTが無いと使えない音源多いので、去年のブラックフライデーで買っといて正解だった。BFDは・・・残念ながら買う予定がないので今のところはSONICAの和太鼓は諦めてるという。ドラムはDFHS派の自分。

詳しい使用条件等は本家サイトのSPECIFICATIONS等を参照下さい。

 

KOTO 13 – mix画面

それでは早速見ていきましょう。ざっくり行きます。

 

mix画面で結構いいなぁと思ったのが、Direct、OH(オーバーヘッド)、Room、Stereoの4点からそれぞれDAW側にパラアウト出来るところ。

音としては「Direct・OH・Room」の内1~3つを使うか、「Stereo」を使うかのどちらかになるわけですが、この「Direct・OH・Room」は別々のトラックに出力出来るので、DAW側で別々に処理が出来るようになる。

 

たまに音作りの一環として、「原音からRoom成分だけ別トラックに作って、それ用の処理を施して元のトラックに混ぜ合わせる」とかしたりするので、最初から分かれてるのは何かと便利だったりします。

特に分ける必要がなければ、一括されてる「Stereo」使えば良いだけですしね。

 

あと、リバーヴの種類が予想外に多かったです。見えてる分の倍あります。

箏の場合、やはり響きが大事だと思われるので、色んな場所でどう響くかをこの音源内で確認できるのはでかいと思う。

 

KOTO 13 – play画面

2枚目のplay画面。何やら色々なツマミがあります。

やーでもこれほんとありがたい機能色々あるので凄い嬉しい。一個ずつ見ていこう。

 

Scale(スケール)

画像が縦長になっちゃうので途中で切ってますが、Scale部分をクリックすると、縦にズラッと調子が出てきます。Media Integration, Inc.のページから引用すると、

収録スケール(調子)28種類

平 調子、六上り調子、四九上り調子、雲井調子、本雲井調子、半雲井調子、片半雲井調子、中空調子、曙調子、中空調子、楽調子、半楽調子、乃木調子、花雲調子、岩戸調子1、岩戸調子2、半岩戸調子1、半岩戸調子2、夏山調子、古今調子、新古今調子、平巾十調子、二重雲井調子、雲井巾十調子、秋野調子、琉球調子、想夫恋調子、新雪月花調子

移調対応Key: G / G# / A / A# / B / C / C# / D / D# / E

なんと28種類もありました。ほとんど知らない調子でビビった。想夫恋調子って何!?すっごい恋しい感じしそうなんですけど。

ただ、民謡の曲数だけでも実はとんでもない数あったりする(約3~4000曲くらい?)らしいし、それぞれの時代や地域で発展したものと考えると感慨深い。

 

KOTO13では、この28種の収録スケールに合わせている場合、上の青い部分の白鍵13個が左からそのまま箏の絃の、

「一、二、三、・・・斗(11番目)、為(12番目)、巾(13番目)」

という順番になっています。

試しにScale:Hira(平調子)で鳴らしてみるとこんな感じ。

ただ、ピアノロール上では「C、D、E・・・」となっているので、そこは注意。

 

で、このScaleはクロマチックモードにもなれます。さっきより青い部分が広がっているのですが、これは黒鍵を含んだこの青い範囲で、調弦とか関係無しにこの範囲全ての音が出せます。これいいな~と思いまして。

なぜかというと、例えばもう一個KOTO13を立ち上げる必要はあるのですが、

  • 一個目のKOTO13:十三絃箏モード(例:雲井調子)
    → 調子のみの音が出るのでイメージを固め易い
  • 二個目のKOTO13:クロマチックモード
    → 一個目の調子以外の音も出せるので和ジャンル以外の曲調にも持っていきやすい

こんな風に使うことも出来るという。

既に箏の調をマスターしている方やピアノが得意な方はクロマチック一本で済ませられそうですが、私みたいにピアノ下手な場合、「調弦のみの音が出る形」になっていた方が適当にMIDIキーボードを弾いててもそれっぽい雰囲気を得られるので、曲作りがとてもしやすいんですよね。

 

ちなみに、

  • 低音部が結構増えるので、擬似的に十七絃箏として使うことも可能?
    (クロマチックだと「A#1~D5」、User Scaleだと「A1~F#5」

とも思えたのですが、調べてみるとどうやら十七絃箏の低音はC1までは出るっぽいので(KOTO NATIONのBass Kotoも「A#0~G3」と、A#0まで出る)、KOTO13の低音はあくまで十三絃箏で出せる低音の限界という形を取っていると思われます。

この辺りは私も奏者ではなく、十七絃箏も持ってないので未確認。

 

Envelope

play画面真ん中にある項目です。左からざっくり行くと、

  • Envelope
    → ノートのリリースを調整
    → 細かいことを言うと結構重要
  • Phrase Control
    → 収録されているフレーズのスピードとチューニングの調整
    → フレーズはこのspeed=100%を基準に録音されていると思われるため、100より下だとバリッとした音になる。100より上で使う分には違和感はない。
  • Plucking Control
    → 絃が爪で弾かれて音を出すまでの長さを調整
    → テンポの早い曲ならここを短くすると良さ気
    → RANDOM PREROLLを押すと、そのランダム調整が出来る

 

という感じなのですが、個人的にはこのEnvelope調整出来るのが嬉しい

打ち込みで細かく表現したい場合(箏一本で楽曲を作るなど)、例えば親指で十の絃を押し弾いた場合、その爪は一個奥の九の絃に当たって止まる。仮にそれ以前に九の絃が鳴っていた場合、十の絃が鳴った直後に九の絃はミュートされていなければならない。

 

Cubaseの打ち込み画面で説明するとこんな感じなので、その辺りもやってく場合はEnvelopeを短めにして打ち込むといいのでしょう。

ただ、鍵盤で演奏する場合、実際の箏とはやはり勝手が違うので、ペダルを使うか8.0k[ms]にしておくと、取説にある通り凄く余韻を堪能できて「す、すげぇ・・・ゴクリ」となると思います。

 

余韻だけでこんなに違うんだなぁと改めて感じさせられます。

 

Velocity Control

これはベロシティの調整部分ですね。

私が今使っている分にはベロシティ間の音の差にはあまり違和感を覚えないのですが、例えば、最初に打ち込んではみたものの後になって「少し印象を変えたい、でも全部のベロシティ調整して回るのメンドイ」という場合などに、このツマミを使って調整したり出来そうです。

 

例えば、「Linear」の部分を「S-curve」にして「shape」を左に回すとこんな感じに、

 

右に回すとウネッと変化します。

これでヴェロシティの数値と実際に出る音のバランスを変えられるわけですね。

 

わかりやすく解説すると、こうして全てをMAXにするとどんなに小さいノートでも力いっぱいの音が出ますし、

 

逆にこんな形にすると、強く叩くほど小さい音が出るという設定も出来ます。面白い。

始めのうちはここをそんなに意識する必要性はないかなとは思いますが、あとあとここを弄れるというだけでも結構違う気はします。こういう細かいカスタマイズが出来るのはいいなぁ。使う人は使うだろうし。

 

今まで私は箏音源としてKOTO NATIONを使っていたのですが、KOTO NATIONは、ヴェロシティが70前後と90前後で音色が割と露骨に変わります。そして私はその70~90の間の音色が気に入っていたので、その間で変化つけようとするもんだからすんごいちまちま数値変えたりしてました。

でもKOTO13にはそういう露骨な変化は特に感じられない上に、もし変化を付けたい場合はVelocity Controlを弄ればいい。これは便利だなと思った。

 

ただKOTO NATIONに関しても、あの急に変わるキンキンした音も嫌いではないし、同封の三味線・Bass Kotoも結構好きなので、ダメというわけではない。ないけど、KOTO13はその辺も考えられてるんだなぁと。

 

KOTO 13 – memory画面

割と記事が長くなってますが気にせず行きます。

ARTICULATIONはキースイッチで、PHRASE BANKはサラリンなどのフレーズが入ってます。ここも、それぞれ左にLoadってあるんですけど、使わない奏法はそこをクリックしてOFFにすることで使用メモリの軽減が出来る

また、

「D#0 Pizzicato(Left/Right)」

という風に右にカッコで囲まれた部分は「CC#11 Expression」で切り替えも出来る(「EP=0:Left、EP=127:Right」という具合)。

 

左の赤い部分がキースイッチで、右の黄色がフレーズ系キースイッチ。で、そのまた右の緑色がフレーズのヴァリエーションの数

 

奏法について

気になっていた部分だけ書いていきますが、

  • すくい爪
    → D1にある
  • 散し爪
    → D#1、E1にある
  • 輪連
    → E1:Fastの方の散し爪を2音重ねればOK
  • すり爪
    → A#5:Effects内に行き、戻り共にあった
  • 消し爪
    → F0にあった(音源内、マニュアルにはF9とあるが誤植と思われる)
  • 裏連(サラリン)
    → F5にフレーズとしてあった
    → 人差し指・中指の爪の裏側でグリッサンドで降りてくる時の「爪の裏側で擦る音」はD1:すくい爪のヴェロシティが低い帯で表現できそう

 

・・・というわけで、私が知っている分には全て表現できそうです。

うん、何か抜け落ちてないかちょっと不安ですが、以前箏について書いた記事内の奏法に関しては大丈夫ですね。凄いなKOTO13。しっかりした箏音源欲しかったから個人的には大満足。

 

また、きちんと

  • C0:親指爪
    → 少し太めの音
  • C#0:人差し指爪
    → 少し鋭めの音
  • D0:中指爪
    → 鋭さと太さの中間くらい

この三つの指それぞれで弾いた時の音をしっかり分けてくれているところは非常にありがたい。私の印象は上の通りで、違和感のない範囲で違いがきちんとある。むしろ若干わかりやすく指の違いを印象付けている気はしました。

 

F5:Sahrarin(裏連)の不具合?

不具合?らしきものを一点見つけたので記載しておきます。それは、

  • F5:Sahrarinの「OH」「Room」「Stereo」のoutが設定通り反映されず、「Direct」で設定したOutから音が出力される(Directに追随してしまっている)

というもの。

上記の画像では、Scale:クロマチックにして青枠から音を出しているのですが、

  • Directのout → st.4
  • OHのout → st.5
  • Roomのout → st.6
  • Stereoのout → st.7
  • KONTAKTの基本Output → st.8

という形で試しに割り振ったところ、正常に設定通り音が出力されています。KOTO13内をStereoに切り替えても、st.7からきちんと音も出力されます。

ここで、設定そのままでF5:Sahrarinを使うため、緑枠を押して裏連のフレーズ音を使うと、

このように、st.5(OH)、st.6(Room)から設定通り音は出力されず、どうやらDirectで設定したst.4に追随しているようで、st.4からDirect・OH・Roomの音がまとめて聞こるという結果に。これはStereoにしても同じでst.4から出力されていた。(Reverbはst.8から出ているので、これは問題ない)

他の黄色枠のPHRASE BANKに関しては問題なかったので、F5:Sahrarinだけこの現象が起きました。

 

これが自分の環境のみでの不具合なのか製品版の不具合なのは現時点ではわからないので、後ほど問い合わせてみようかとは思いますが、SONICA INSTRUMENTSのサイトにはパッチだったり不具合に関する情報は特に載ってないからなぁ。

一応、こういうことがあったという報告だけ。

 

早速作ってみた

KOTO13を使ってジングルを作ってみました。これはKOTO13を2本使っている形になりますが、DAW側でエフェクト等一切使っていません。

んー、これから使うのが実に楽しみな音源である。

 

おわりに

結局、細かく見ていった部分もありますが、超大雑把にまとめてみると、

  • そもそも音が良い
  • 割とカスタマイズが出来る
  • 奏法全部入ってる
  • 調子も28種+クロマチック入ってる
  • メモリにも気を遣っている
  • アーティキュレーションとフレーズが3画面全部で見れる
  • これは篳篥がほんと待ち遠しい
  • 素晴らしい

 

はい、まとめ方若干酷いですが、とりあえずとても良い箏音源です。

人によって色々印象は違うとは思うんですけどね。そもそも音が良いし、ヴェロシティの変化で過激なものは個人的には感じられないのでかなり使いやすいです。

 

ただ、箏の音自体は他のマルチ音源内蔵のものでも割と音に融通が効く印象があるので、ライトに使う分には箏という楽器一つの音に3万出すかどうかは分かれ目かと思いますが、和楽器好きならこれはオススメできる

 

以上、ご参考までに。

それでは!

 

【シネマティック音楽】たまに壮大系音楽で見かけるEpicて何だろ?【part2】

こんにちは。

今回は、映画や最近のゲームでもスケールの大きな作品が増えてきて、そのBGMを聴いたり、作るために調べている時に「シネマティック音楽」「Epic Music」といったタイトルやタグを見かけたので、それについてちょっと書いていきます。

 

そもそもシネマティックって何?

私が子供の頃は「シネマ」という言葉は近所にある映画館のことを指してるかくらいの印象でしたが、映像や音楽の分野で「シネマティック」と耳にするようになったのは、実は割と最近。

自分のアンテナがこれまで、そっちに向いてなかったっぽい。

 

調べてみると、

別表記:キネマティック

英語「cinematic」の音写で、映画(シネマ)に関連する物事であるこをを示す形容詞。

出典:日本語表現辞典 Weblio辞書「シネマティック」より

ということで、例えば「シネマティック音楽」というと、映画・映像に合うような音楽という認識で問題ないかと思われます。

 

それと、同じような言葉に「劇伴」というものもありますね。コンポーザーの方の記事などでよく見る言葉かと思いますが、これをWikiから引用すると、

劇伴(げきばん)は、映画やテレビドラマ、演劇やアニメで流れる伴奏音楽をいう。また、音楽におけるジャンルの一種でもある。

奏、ということのようですね。

 

この二つの言葉の区分が明確にあるかどうかは不明ですが、私の体感では、

  • シネマティック:ハリウッド映画などの流れから壮大なサウンド
    → 空間・映像などの空気感・世界観を強めに伝えるイメージ
  • 劇伴:日本の演劇、ドラマなどの流れからバックグラウンドミュージック
    → その時の情景・心情、作品のイメージなどの感受性面が強めのイメージ

 

シネマティックと聞いたら、「ダンダダン!ドーーーン!!」みたいに映画「パシフィックリム」みたいなスケールの大きい世界のイメージが出てきますし、劇伴だったらもっと日常的な人目線といいますか、暴れん坊将軍チャキーン!成敗!みたいな。(古い

イメージとしてはこんな風に捉えています。

 

シネマティック音楽のジャンルは様々

シネマティック音楽と聞くと、

 

「壮大なオーケストラ」

 

というイメージが私の中では一番あるのですが、実際一番ポピュラー一番大規模な音楽を演出するとしたら、西洋の管弦楽(いわゆるオーケストラと呼ばれるもの)が妥当といいますか、収まるべくして収まったという気がします。

ですが、シネマティック音楽というのは「映像に合わせた音楽」であるので、中身の音楽のジャンルも当然の事ながら色々あります。

 

前回も貼りましたが、こちらは「ONNUEHO 5th」のクロスフェード。

お聴き頂くとわかるのですが、オーケストラ編成は多いですが、民族楽器が主体であったり、ピアノだけの楽曲もあれば、シンセを使ったEDM系の曲もあったりなど、そのジャンルは様々

ただ、ONNUEHOの場合は「壮大な曲」のコンピレーションであるので、ONNUEHOの曲は「壮大」であって、だから全てをシネマティック音楽であると一概には言えないとは思いますが、

  • 壮大である=映像に合わせやすい

という流れもあるので、参考までに挙げてみました。

 

音楽:Epic(エピック)とは

Youtubeなどで壮大な曲などを探していると、時々「Epic」と書かれている楽曲を見かけます。

 

このEpicをWikiから引用すると、

アメリカで1990年代に生まれた音楽のジャンルのひとつ。

主にDJなどがクラブなどで扱うようなハウスミュージックから派生した音楽ジャンルに「エピックトランス」といったジャンルも存在するが、どちらも壮大・荘厳といった曲の特徴を由来にこう呼称されるものの、別のジャンルとして区別される。

エピック音楽は一般販売されることが少なく、主に映画の予告編などでのバックで使われるだけなのであまり知られていない。サウンドトラックと似ているが区別される。

というわけで、「Epic」という壮大系音楽というジャンルは割と最近生まれたものなんですね。

そのエピック音楽は元々映画の予告編だけに使われる、いわゆる「使い捨て」の楽曲だったようですが、今はその映画予告用に使われていた「壮大さ」に加え、“Epic”の文字が本来持つ「叙事詩」的な意味合いを含んだサウンドという感じがそのままします。

 

「叙事詩」をこれまたWikiから引用すると、

民族の英雄や神話、民族の歴史として語り伝える価値のある事件を出来事の物語として語り伝えるもの

とあり、Youtubeで「Epic」と検索すると、そういった雰囲気の楽曲作品が沢山出てきます。

 

もう見ただけで大体わかりますよね、ああ、こういう感じのやつか。と(笑

 

この動画にある「Epic Music」というもののイメージを簡単にまとめると、

  • 壮大、荘厳である
    → 非常に大きく、雄大であり、スケールの大きさがそこにある
  • 歴史的、神秘的である
    → 人類が紡いできた一言では言い表せないモノがそこにある

という、どこか人類の系譜を音にして伝えているような雰囲気があります。

 

日本のエピックといえば

Epic(エピック)の叙事詩的であるところに注目してみると、日本の伝統音楽としては「平曲」などがピッタリはまるのではないかと思われます。

しかし、平曲は語りがメインで楽器は琵琶が基本。現代的な意味での純粋な音楽かというとちょっと違うし、壮大かと言われるとそれも違う。なので日本の「Epic Music」と言いがたいかとは思いますが、叙事詩的であることには違いない

 

琵琶を楽器として使うことが出来れば、音を出すだけで強烈な叙事詩的要素を演出することが出来そう。

・・・なんだけど、日本の琵琶ってすんごく高いんですよね。鉦鼓と一緒で全然一般に普及してないので、軽くウン十万くらいする。

 

ちなみに雅楽の管絃は、壮大さという点においては当てはまりそうだけど、どちらかというと儀式要素が強めなので、感情の深みが強い叙事詩的要素は薄い気がしますね。

 

その点、ゲーム「大神」のBGMは西洋の管弦と日本の管絃を合わせ、尚且つ歴史的な深さを持っている

壮大であり、叙事詩的であるとか・・・大神すごいな。まさに日本のEpic Musicじゃないか(笑

 

 

ちなみに、Epic Musicの作り方はMerry bad endingilodolyさんの動画がありましたので、参考までに載せておきます。

動画だけ見ると簡単そうであり、そこに到達するまでが案外長そうでもありますが、私は非常に勉強になりました。

 

まとめ

以下、個人的見解を含めて簡単にまとめてみます。

  • シネマティック音楽
    → 映画に合わせたBGM
    → 映画の内容にもよるが、最近は壮大なものが多い印象
    → イメージとしては、作品内の世界観自体を表現
    → 全体的な視点から音を合わせている気がする
  • 劇伴
    → 映像・演劇に合わせたBGM
    → イメージとしてはその場の状況、雰囲気などを表現
    → 人間の感情面など、具体性強めの印象
  • 「Epic Music」の特徴
    → 壮大、荘厳である
    → 歴史(民族)的、叙事詩的である
    → 圧倒的じゃないかッッ!!

 

・・・こんな感じでしょうか。

 

最近のゲームでいったらNieRとか良いですよね。壮大でありながらメロディも結構強めなので、個人的には好き。PS4あるから今から買ってもいいなぁでも時間ががが

 

今回はここまで。

 

箏を弾くための入門書「箏のいろは」はDTMで箏を学ぶのにもとても良かった

こんにちは、MAKOOTOです。

先日、箏を学ぶためにいぶくろ聖志さんの手掛ける箏入門の書「箏のいろは」を買って勉強していたのですが、これがDTMで和風楽曲を作る上でもかなりタメになったので、少しご紹介ということで記事にしてみたいと思います。

 

これですね、なんて素晴らしいデザインなんだ。箏の文字がまた達筆でかっこいい。

 

箏のいろは

和風の楽曲をしっかり作ろうと和楽器に関する内容をじわじわ調べていた私ですが、先月箏について調べている時に、いぶくろ聖志さんの動画を見つけました。

 

いぶくろ聖志さんといえば、和楽器バンドのメンバーで箏を演奏されている方です。「蓮-REN-」「華風月」といった日本の和を基調としたユニットも組まれていたり、個人でも様々に活躍されていて、この音とまれ!の「龍星群」演奏動画にも、いぶくろさんが実はいたりします。

 

で、私は地歌や三曲などの昔からある箏の楽曲を聞いたりそこから使い方を学ぶことはもちろんなのですが、どちらかというと現代風に箏が使われている楽曲からも勉強したいという気持ちがありました。

まだ箏について詳しく知らないため、何が自然で何が不自然かの判断も付かない。ただ、そうならそうで自分で模索していけばいいだけの話なのですが、そんな折にこの「箏のいろは」を知りました。

この本は「これから箏を弾いて練習する方」向けではあるのですが、現代の音楽界ではまだまだ希少な楽器である箏で活動されている方の本ということで、実はかなり貴重なのではないかと思いました(私があまり調べてないだけかもしれませんが)。また、いぶくろさんのオリジナル箏曲を楽譜として練習できるということで、私にしては珍しくすぐ買ってしまった

以下、いぶくろさんの「箏のいろは」についてDTMをしている私の観点から簡単に書いていきます。

 

箏の演奏方法は一通り学べる

「箏のいろは」には、6曲のいぶくろさんのオリジナル箏曲がCD付きで同封されており、その6曲を練習することで弾き方を少しずつ覚えていき、箏の演奏に慣れていくという流れが組まれています。

具体的には、

  1. 花紺青~夜の風~
    ・基礎的な楽譜の読み方
    ・親指と中指の動かし方
    ・親指と中指を使った「合わせ爪」の奏法練習
  2. 白群~川遊び~
    ・指を少しだけ素早く動かす練習
    ・人差し指を加えた動かし方
    「押し手」の奏法練習
  3. 緑青~鬼蜻蜓
    「すくい爪」、「後押し」、「グリッサンド」(流し爪・引き爪のこと)の奏法練習
    ・曲のテンポは速め
  4. 光悦茶~土~
    ・16分音符での練習
    「掻き手」、「割り爪」(シャシャテン)の奏法練習
    ・テンポはゆっくりだが16分音符が多く大変
  5. 淡紅色~蕾~
    「トレモロ」、「裏連」(サラリン)の奏法練習
  6. 月白~明日~
    ・付点のリズム
    ・左手で「ピチカート」の技法を練習

 

私は現在、箏を引っ張り出す場所がないので、曲を聴きながら机の上で指だけ動かして練習してました。いわゆるエア箏。しかしこれが難しい。

曲の基本構成は、

  • 13絃箏の旋律(メロディ)部楽譜が用意されている練習部分)
  • 25絃箏の伴奏部楽譜には書かれていない部分)

の二面の箏による楽曲となっていて、一曲につきそれぞれ

  • 鑑賞用旋律伴奏の合わさった、いぶくろさんによるお手本の音源)
  • 練習用(鑑賞用より伴奏が小さく、これから練習する旋律をよく聴ける音源)
  • 伴奏用(旋律のない、伴奏のみの音源。伴奏と合わせて練習・披露できる用)

の3点が、箏を練習するために用意されていました。

 

楽譜が用意されている旋律部分は運指の番号が全部振られているので、初めて箏に触れる人でも大安心で練習ができる内容です。

 

これだけでも十分満足ではあるのですが、私の場合、折角なのでやはり伴奏部分も勉強したいということで、メロディのみならず伴奏部分も6曲全部耳コピしました。

 

最初の内は音の強弱や伸ばし(サステイン)部分、また指の弦に触れるタイミングなどもなるべく再現していましたが・・・うーん、なんかこの画像だとあんまりやってないですね(笑

でも、お陰で箏の指運びがかなり理解できるようになったので、予想以上の収穫がありました。

 

例えば、五の糸(G2)を親指で押しで普通に弾いた場合、直後は四の糸(D#2)に親指の爪を当てて一旦止めます(基本形)。つまり、事前の演奏で四の糸が鳴らしてあって響いていた場合、五の糸(G2)が鳴ると同時に四の糸(D#2)はミュートされる。(画像赤枠

上画像緑枠も同じ。親指で流し爪的に低い音に向かって鳴らしている最中ですね。

 

こういった、奏法だけでは見落としがちな部分に結構気付くことができたので、この「箏のいろは」は私にとってほんとにありがたい教本となりました。

 

自分で作った楽曲

そんなわけで、この「箏のいろは」のお陰で箏に対する知識が増えたこともあり、最近作る和風曲には箏ばっかり使ってしまう自分がいます。それと、楽曲を作りながら思ったのですが、箏ってかなり凄い楽器だと思いました。

 

これは記念すべき箏のみの楽曲第一号。「箏のいろは」で学んでなかったら箏のみの楽曲を作るのは随分先になっていたかもしれない。

 

箏を使って激しい曲を作ってみたうちの一つ。毘沙門天の眷属の一人である羅刹のテーマという設定です。こういう設定を考えたりしながら作るのはとても楽しいですね。夜叉のテーマも近いうち作りたい。

 

こちらはゲームでいう「風来のシレン」をもう少し江戸っぽくイメージしたもの。やっとこういう曲作る事ができました。今まで作りたくても作れなかったこういう曲、なんかやってたら出来てしまった(笑

 

私が思う箏の良い所

私が今現在感じる箏の良さといいますか、特徴というものを述べると、

  • 音が煌びやかで、雅さを感じる
  • ベース・和音・メロディ全部担当出来る。汎用性が高い
  • 絃楽器なので音程も融通が利く
  • 平・雲井調子など、音階を把握してそれを鳴らすだけでも和っぽい雰囲気が出る
  • 静かな曲ド派手な曲、どっちでもいける

という感じです。

まさか箏がこんなに幅広く使える楽器だとは思っていなかったため、現代では最もポピュラーな和楽器であると思われる三味線よりも好きになってしまった。

 

ただ、全ての和風曲で使うことはちと難しいかなと思う点は、箏という楽器とその音が雅すぎるという点でしょうか。民衆のお祭り音頭みたいな曲には混ざりにくい感じがしますね。

楽器としての箏は平安時代の宮廷音楽(雅楽)もあり、江戸時代の箏の楽曲は技巧的なものが多かったらしいので、何かと敷居の高い位置にいたせいもあるんだろうと思います。そもそも平安以前は、弥生時代や日本神話にも「コト」という儀式的なモノとしては渡来前から存在していたみたいなので、そういった伝統から醸しだされるものもあるのかもしれない。

 

おわりに

「箏のいろは」を買おうと思ったきっかけは、上の方で述べた箏の学びということの他に、動画内の最初もしくは最後にほんの少し流れる、「箏のいろは」に練習用として収録されている6曲の内の一つ、

「光悦茶」が凄い好みだったから

この曲が弾けてしかも丁寧に学べるとかもう買うしかない・・・!それが決定打でした。

 

また「箏のいろは」は、いぶくろさんの人柄もあってとても優しく温かい作りで箏の練習が出来る雰囲気を感じます。本書内のコラムもかなり面白いので、箏を始めてみようかなという方や、私みたいに箏はまだよく知らないけど音楽的に興味のある方にはオススメかと思いました。

 

 

いぶくろさんの「音伽噺」と「木花咲耶」も買おうかなぁ、あれは絶対良い。

・・・あれ?いつの間にかファンになってしまった(笑

 

飛澤正人さんに弟子入り!?そこで学んだミキシングについての方向性など

先日、サウンドクリエイターに関する様々な内容を温かく包み込むようにブログの記事にされている、音楽クリエイターのUGさんという方のブログを見ていたらこんな記事がありました。↓

トップエンジニア飛澤正人に弟子入りして盗んだミックステクニック3つ

 

 

!?

 

・・・おお、凄い。

飛澤さんといえば藤本健さんのDTMステーションでもお馴染みの凄いエンジニアの人。これは早速勉強させてもらうしかない。

 


・・・と思い記事を読み進めていくと、このような記事を発見。

なるほど、こういった企画があったとは知りませんでした。UGさんは早速飛澤さんに“弟子入り”した成果をブログの記事にされていてその効果はかなり劇的なものだったため、私も早速“弟子入り”することにしました。

ブログを通じてこうして色々な情報を共有出来るというのはありがたいことですね。UGさんの記事を見てなかったら私は知らないままだったか、知ってもずっと後だったかもしれない。

 

飛澤正人さんの実践講座はロックドラムのミキシングについて

飛澤さんの講座内容は、具体的にはMedia Integrationさんの「WAVESプラグインによるロックドラムのミキシング実践内容」というものでした。

Media Integrationさんのこの企画の意図は、

飛澤氏に「弟子入り」するような気持ちで、氏のテクニック、ロジックを学びましょう。

とあり、また動画の内容もカットは極力せずに、プロのエンジニアの実際に行う作業を“盗み、感じて”もらい、多くの人に「自身の音楽活動に役立てて頂きたい」という心意気を私は感じました。

というわけで、ご厚意に預かりしっかり学ばせて頂こうと思いますが、私は現在WAVESのプラグインを所持していません。なので、WAVESのプラグインは使わずに動画でのミキシングの手法やノウハウを自分の環境に落とし込んでドラムの音作りをしてみたいと思います。

 

WAVESプラグインを使わず「METAL MACHINERY SDX」で音作り実践

さて、飛澤さんは主に

  • Superior Drummer 3.0
  • WAVESプラグイン色々

を使用されてロックドラムのミキシング講座をされていました。

対して現在の私の状況はというと、

  • Superior Drummer 2.0
  • WAVESプラグインは現在持ってない

という状態なので、音やプラグインの数値や掛かり方をそのまま真似ることは出来ません。ですので具体的な数値ももちろん把握はしておきますが、主に「なぜそうしているか、なぜそうなっているか」を解説を通して理解し、自身の応用力と根本的な知識の底上げに繋がるよう自分の環境に置き換えていきます。

 

まずドラムではこのようなサンプルを作りました。そしてSuperior Drummer2.0ではなく、私がよく使うその拡張音源である「METAL MACHINERY SDX」を使い、違う方向性で作られたドラム音源でも効果を出せるかを試してみます。

以下はそのデフォルトキットで鳴らした音です。

個人的には少しくぐもったような感じの音がします。

このドラムは、以前私がメタル系楽曲を作るために買ったSuperior Drummer系の拡張音源です。バトルモノの楽曲を作るならギターでザクザクさせつつドラムもそうした方がかっこいいだろうということで、今の私のロック系楽曲のデフォルトドラム。

去年Superior Drummer3.0が出たのでそっちもちょっと欲しかったりするのですが、今はもうしばらくMETAL MACHINERYで楽しみます。

 

そしてこちらが動画を参考にしながらミキシングしたものです。

400~600Hzを全体的に削る形となっているので随分と抜けが良くなりました。しかし正直こんなに変化させられるとは思っていなかったという(笑

 

・・・実は最近、ドラムについてなんとなくこうした方がいいんだろうけど、どこに決め手を置けばいいかわからないというお悩み状態だったのですが、その悩みがここで一つバシッとクリアになったような気がしました。

 

以下、この動画で学んだ、自分の中で押えておきたいポイントを抽象的な内容になりますが箇条書きしていきます。

  • 楽器ごとのミキシングの方向性
  • 各音の美味しいところ・聞かせたいところの把握
  • プラグインの使い方・使う理由

私の詳しい編集内容については大体飛澤さんの動画の通りに手持ちの近しいプラグインで代用しただけで、またUGさんの記事を見て頂きたいので省きます。

 

楽器ごとのミキシングの方向性

動画を見て学んだ一つに、各音をどのようにバランス調整するかという考え方でした。

例えば、まずドラム内でキック・スネア・タム・金物それぞれが被って良い部分・被ってはダメな部分を調整してEQやCompを掛けていく。そしてそのドラム全体はベースやギター、ピアノなど他の楽器が入ってくることを想定の上で、ある程度整えられている。

キックとベースはロック系では基本一番下の低音なので、まずそこをしっかり作り、あとに続く楽器が上に乗っかっていくイメージですね。そういう風に、音の役割と特徴が見事なまでに綺麗に知識として整理されている感じがしました。

 

確か10年くらい前なのですが、以前私はドラムだけでがっつり良い音が出るようにミキシングしてみようと思い、それが完成した時に一人で大興奮したことがありました。

「やったぜ・・・時間かけた甲斐があった。現時点で最強のドラムだぜ!!」

と。

 

こんな顔してました確実に。

 

しかし次の日、さあこの最高のドラムを使って一段レベルアップした楽曲を作ろうと思い、いざピアノやベースを入れてみると音同士が重なりすぎてボワボワになってしまい、もう聞いていられない状態になりました。ドラムだけでほぼ音の帯域全部を占めてしまっていたんですね。

いや~、折角作ったのにとえらい凹んだのを覚えています。

 

 

 

心の中でこんな顔してました間違いなく。

 

誰しもこういう経験はあるかと思いますが(笑)、ミキシング作業が、すでに他の楽器があることを想定の上で行われているというのは、当り前のことかもしれないけど非常に大事なことだと改めて気付かされました。

それには、音をどこに配置するかとか、この楽器の音はどういう音でどんな役割を持っているかを決めたり把握しておく必要がありますよね。一個ずつ着実に理解して、すぐに引き出しから出せるように日頃から意識しておきたい部分です。

 

各音の美味しいところ・聞かせたいところの把握

動画のトピックでは大別して、

  • キック
  • スネア
  • 金物
  • ドラム全体

という風に分けられていて、更にキックなら

  • Kick In
  • Kick Out
  • Kick Sub

の3つにマイクで取られた音として分けられ、それぞれどのような特徴があってそれを活かすかを飛澤さんは丁寧に解説されていました。正直、目から鱗な部分が多々ありました。

キックであっても、いらないなと思われる低域をサクッと削ったり、特にスネアの中低域も他の楽器との兼ね合いでバッサリいってしまう。私はこれまでスネアの中低域の音にかっこよさを感じてなかなか削れなかった人間なのですが、飛澤さんのスネアの音を聞くと最終的に自分が求めているスネアの音に非常に近かったんですよね。

 

スネアに関しては色々本を読んで試してみても上手くハマる時とハマらない時があって、いつも一番時間を掛けていた部分なだけに、今回の動画でそれがストンとハマった気がしました。まるで綺麗なスネアの音のように(あまり上手いこと言えてない

 

プラグインの使い方・使う理由

動画では、プラグインをどういう理由で使っているかも解説されていました。なので、その方向性を自分の環境に置き換えて、自分の手持ちではどういうプラグインを使って、どのような数値にすれば目的の音が出るか、目指す効果が得られるかを改めて考えさせられました。

自分の中で不明瞭だったものがほんとに沢山吹き飛んでいった感じですね。こういう風にやっていけばいいんだ、と。

 

それと最近忘れてしまいがちだった内容に、

  • プラグインを掛ける時はバイパス(掛ける前)との比較をする
  • プラグイン後と前の音量差を付けない
    → 大きな音になるとそれだけで良くなったような錯覚をしてしまいがちなため
  • つまみなどの数値を一度振り切らせてみて特性を確認する
  • 同じ系統のプラグインでも掛かり方や音の出力などの個性が違う

などの基本的なものが沢山ありました。ついつい端折ってしまう部分も多かったので、忘れないよう改めてここに書いておきます。

 

また、アタック感を出すにしても、コンプを使うのかトランジェント系を使うのかなどで効果も変わってくる。動画ではその辺りも順序立てて一個ずつ解説されているのでとてもわかりやすかったです。

 

おわりに

Media Integrationブログ記事のスタッフHさんやUGさんもおっしゃっていますが、それが行われる意味を理解する自身で感じることがとても大切だと改めて思いました。

 

自分が昔、WAVESのお試し用プラグインでプロのやり方を学べるという教本をそのまま数値だけ当てはめて真似て、結局当時はその意味をあまり理解できていなかったことを思い出しました。だからこそ、本当に理解が深まった時とそうでない時の違いがよくわかるというのはあるのですが。

 

ちなみにそのWAVEで思い出した教材というのがこちら。WAVES全盛期だった頃(確か)、というのもありますが、プロのミキシング・マスタリングのノウハウがプラグインを使用しながら書かれているというもので、

  1. ダンスミュージック
  2. R&Bミュージック
  3. カントリー・ロックミュージック
  4. ロック・パンクミュージック
  5. アーバンリミックス
  6. CDマスタリング

の全6章からなっていて、同封のWAVEプラグインは試用版ですがサンプル音源のプロジェクトファイルも見れるというなかなか稀有な教本です。10年以上前に買ったので現在とは流行りなどは違うでしょうが、根元のノウハウは多分ほぼ変わっていない気がする。

棚から引っ張り出してきて今一度勉強しよう。

 

というわけで、WAVESプラグインを持っていない私でも十分すぎるくらいの効果が確認できましたので、飛澤さんの講座、ミキシングに不安のある方は是非一度“弟子入り”されると良いのではないかと思います。

むしろ是非見て頂きたい。ほんと凄いので。

 

そして一度弟子入りが終わった後、

喜びでこういう顔になっていることを祈ります!!

 

(私の失敗という意味じゃない

 

 

Media Integrationでの記事一覧は → こちら

DTMをされている方にオススメのUGさんのサイトは → こちら

 

【Cubase】ミックスダウン後の楽曲末尾の「プチッ」を無くすためのもはや最終手段

オーディオストックDOVA-SYNDROME等の楽曲投稿サイト用にループ楽曲を作るとき、楽曲を書き出した際、「プチッ」というノイズが乗ることが私の場合頻繁にあります。

今回は、ループ楽曲として体裁をギリギリ保ちつつ、色々対処してもノイズが乗ってしまう場合の現在の私が最後にとる手段を記事にしてみます。使用DAWは「Cubase」

 

※ 以下、自分の環境の上での結果を元に書いているので、あくまで参考程度に目を通して頂ければと思います

 

ループ音楽素材とは

ループ楽曲素材というのは、音楽プレイヤーなどでその一曲を繰り返し再生させ続ければ延々繋がって聞こえるようなものの事をいいます。

例えばゲームなどで戦闘中に放置してたりすると、ずーっと同じバトル曲が流れ続けますよね。市販のゲームでは内部で再生箇所を指定しているものがほとんどだと思いますが、ああいう風にループされる使われ方が前提のBGMということです。

 

私が作るループ楽曲素材は上画像の通り。「曲の終わりからそのまま頭に戻ればループされてるように聞こえるよ」という、なるべく手軽に使ってもらえる形を取っています。

というか、ほとんどのループ楽曲素材屋さんはそういう形をとっているケースが多いかも。

 

そしてこのサンプルはそういったループ楽曲を作る際に毎度気を遣う部分です。

非常にわかりやすい「ブチッ」という音が曲末尾に出てしまいました。ナンテコッタイ

 

これはCubaseのオーディオミックスダウン時に発生したノイズ音で、もちろんこんな「ブツッ」なんて意図しているわけもなく、オーディオストックやDOVAの査定で落とされる理由の大半でもあるかと思われます。普段ループ素材を作らない知り合いの音屋はこの手のノイズに皆ひっかかっていたのだからバカにできない(笑

それにミキシングとは基本関係ないところでDAWが発生させてしまうノイズだから、除去ソフトであるiZotopeのRXでもどうにも出来んだろうしなぁ。

 

書き出し後に楽曲末尾に「プチッという」ノイズが鳴る原因

色々調べてみたのですが、今回の原因に考えられそうな内容を絞り込んでみると、

  • 音がある程度鳴っている状態のまま録音が切り上げられている
  • DAW内の設定・構造の問題
  • DAWを動かしているマシンのスペック不足

の3点が結果的に考えられました。

意図しないノイズの種類には他にも、

  • 音が重なり合ってピークを超えるクリップノイズ的なもの
  • 録音時の電気的な干渉によるクリックノイズ的なもの

など色々ありますが、今回は最初に上げた3点に絞って見ていきます。

 

音がある程度鳴っている状態のまま録音が切り上げられている

これは若干クリップノイズ的な要素もあるのではないかと思われるのですが、インストール直後はともかくそれから数年経った私のCubaseでは、ほんのちょっとミックスダウン範囲外にオーディオイベントがはみだしている、つまり「限りなく無音に近い小さな音」が曲終わりに出力されているだけでノイズの原因になったりしているケースが幾つかありました。

上画像のレベルであれば普段は大丈夫なことが多いのですが、それでもたまにあります。

 

よくある書き出し時の発生プチノイズは、単純に音が鳴り続けている途中にミックスダウンの末尾範囲を指定してそのまま書き出すといったケース。

他のDAWやver違いのCubaseなど、別の環境ではどうなのかはわかりませんが、私の環境でこれをやるとプチノイズがほぼ確実に曲末尾に乗ってしまいます。DAWの設計上この使い方も想定内ではあろうと思われるのですが、意図しないノイズの類は音に関わる人にとって切っても切れない関係なのかもしれません。

 

DAW内の設定・構造の問題

気付かない間に何かしらの設定をONにしてしまっているケースも稀に起こります。その場合、気付かずにONにしてしまっているので、それをOFFにするためにあれこれ調べて普段は使わない機能を恐る恐る弄ることになったりします。案外デリケートなところありますからね。

また、CubaseではCPU負荷からくるのか、それとも長年使っていて何かしらのエラーが内部で積もっているのか(これが濃厚と予想)、0.001秒以下の決定にかなりの緩みを感じます。

 

こちらは画像の上トラックのオーディオを、範囲そのまま単純にコピーするようにミックスダウンしたものが下トラックなのですが、その尺の長さが書き出し元と後でなぜか違うという。プロジェクト内は32bitで編集していてミックスダウン書き出し時が16bitだから長さが違うのかとか、この差がなぜ生まれるのかも正直よくわかりません。あったりなかったりする。

 

ちなみにこの差は0.08[sec]。

これは別プロジェクトでの、いわゆるプラグインエフェクトなどの負荷は一切かかっていない状態で実験しても同じで、また更に実時間で書き出しをしても同様の結果という、私にとって完全に意味が不明の現象。くそ・・・困った時の頼りになるSleepfreaksさんの記事(楽曲を書き出すときの不具合 Cubase)を試しても上手くいかんとは・・・!!

 

Cubaseは現在ver8.5を使っていますが、プロジェクト内を最大限まで拡大した0.001sec以下ではスナップをONにしても機能しなかったりするので、若干DAW内の構造上の問題もあるような気もしました。あくまで予想です。

 

DAWを動かしているマシンのスペック不足

CPU負荷以前に、マシン自体がCubase8.5を動かすことがきついのだろうか。しかし現在の私のPCは、

  • Core i5 3.2GHz
  • メモリ 32GB

を積んでいるので、単純にDAWだけを立ち上げるだけで挙動がおかしくなるとは考えにくい。

ただ、このPCを作ってからもう4~5年くらいは経ち、色々なソフトウェアやDTM音源も色々インストールしていたり、CubaseがインストールされているドライブもSSDではなくHDDだったりするので、色んな要素が少しずつ積もり積もってDAWに影響を与えているような気がしなくもないという。

OSも100%健全かどうかというのも若干怪しいし、ウイルス常駐ソフトのこともあるので、結果的にスペックが発揮されていない、のかもしれない。

 

私の取る最終手段

ループ楽曲を作る上では、楽曲の終わりに下手に残響があったりすると曲の頭に戻った時に若干違和感が出てしまったりもするので、この頭と終わりを自然に繋げるような工夫が色々必要になってきます。静かな展開にしたり、余白を作ったりなどで、私も含め素材を作られている方は皆それぞれ工夫されています

ですが、最後の最後まで音が出ていたほうがループするのに自然だとはやはり思います。なので、工夫をする前提として自分の環境でどこまで音を出せてどこから音を控えた方が良いのかの境界線を知ることはとても大事であろうと。

 

 

以上の流れから、私が最終手段としてとる方法は実に簡単。

 

「ノイズが乗らなくなるまで楽曲のケツを削る」

 

ループしてもギリギリ違和感ない状態まで、もう楽曲自体を削ってしまうしかない。事前に静かに終わって頭に戻る楽曲ならこの手段はほぼ取りませんし、そもそも作編曲の段階から自然なループを狙う作りにしておくことが一番望ましいので、私の最終手段はほんとに後ろがない状態といえます。

もしこれでループに違和感が出るようであれば、曲のケツは削るのではなく作り直したほうがいいと個人的には思っているのでそうしています。

 

私の最終手段の例を書いてみます。上画像で使用している楽曲の末尾は1:40:909。1分40秒と+0.909秒。

この曲では、以前の記事で書いた「曲終わりに0.001秒分のフェードアウトをかける」では全くノイズが消えず、結果的にノイズがギリギリ書き出し時に乗らない状態までもっていくのにかなり削る結果となりました。

 

削った時の尺は1:40:810。つまり0.1秒も削ることになってしまった。

 

以前の記事では「0.001秒のフェードアウトをかければミックスダウン後の末尾ノイズは消える」と書きましたが、実際その時の私の環境ではそうだったというだけなのかもしれません。

100倍も違うとかもうやばいなぁ・・・と最初は思ったのですが、

0.1秒開いた状態のループ終わりからループ頭の繋ぎの部分(00:03付近)がこちら。

 

確かに一瞬間があるなとはわかるのですが、実際動画などでループとして使われる使用感を考えると、このくらいだと案外わからない間でもあったりもします。ただこの曲だと最後に静か目にしようとしてはいますが残響が割とあるのでやはり目立つ方ではある。

ですが、現在の自分の中ではこれがギリギリの境界線ということで記事にしてみました。

 

・・・残響がなくなるまで尺を少しとってもイイといえばイイんですけどね。正直幾らでも可変はききますが、ノイズと楽曲の境界線としての記事なので、こういう手段も取りますという感じで見て頂ければ。

 

おわりに

今回の記事内容はあくまで自分の環境でのケースなため、例えば「0.1秒まで削ればいい!」といった絶対的なものは述べられません。

Cubaseの挙動に関しても人それぞれなので、動作云々も一概にはいえない。いえないけど、「こういうことはありました」という一例としての価値はなくはないかと思ったので、書いてみました。

 

ちなみに後で気づいて書くタイミングが見当たらなかった為ここに書きますが、記事で主にオーディオデータを扱っているのは、私のループ楽曲を作る手順が、

  1. 打ち込んだ内容を一個のオーディオデータにして書き出す
    → その際+1小節分加えてミックスダウン
    → プロジェクト内にミックスダウンしたオーディオデータを残す
  2. そのオーディオデータを元に、改めてループ楽曲素材として書き出す
    → ここでループに違和感の出ないよう曲末尾を調整

という流れを踏んでいるからです。最初に+1小節加えた理由は、稀にミックスダウン指定範囲より短めにオーディオが出力されてしまうことがあるため、それを防ぐ為にこんな手順を組んでいます。

・・・あーでもこれは別の記事で簡単にまとめてもいいかもしれないですね。そうですね、そうします。

 

 

 

それでは、今回はこんなところで!

 

【DTM】琵琶という楽器を使う前に、まず基礎を知っていこうの巻【和楽器】

今回は、雅楽でも絃楽器として使われる

『琵琶』

という楽器について、まずは大まかな概要を把握していきたいと思います。

この楽器は、日本では元々語りに合わせて使われたもの。なので歴史は古いですが、様々なコラボレーションがなされるようになった現代音楽においても意外と聞く機会が少ないのではないかと思われます。「琵琶法師」や「耳なし芳一」などで楽器としても結構有名だと思うのに、ほんと琵琶を使ったBGMって意外とないんですよね。

なぜだろうか。この記事の終わりにはそれが少しはわかるかもしれません。(わからないかもしれない

 

 琵琶(楽器)とは

琵琶は、日本では今から1400年前(7世紀頃)に伝わったとされています。

日本の琵琶には幾つかの種類があるのですが、この記事ではDTMで和風の楽曲を作る上での琵琶という形を取り、以下5種類の琵琶、

  • 楽琵琶
  • 平家琵琶
  • 盲僧琵琶
  • 薩摩琵琶
  • 筑前琵琶

について、簡単な特徴を押えてみます。

 

琵琶の音

琵琶の種類によって主に絃を弾く撥が大きく異なる為、琵琶と一言で云っても結構音が違います。これは私の体感での感想になりますが、大雑把には、三味線によく似た音、またはその音より少し摺れたような、シャリっとした音という感覚でいます。そしてかなり難しい楽器であるということも。

日本琵琶楽協会のホームページに、現代の各流派における音源が確認出来ますので、音に関してはそちらを参考にされると良いかと思われます。

 

そして、ゲームなどでは『大神』の女郎蜘蛛の登場時のBGMや(筑前琵琶っぽい?)、

 

『戦国BASARA』の上杉謙信のテーマの冒頭の音などに使われているものがそうだと思います(多分)。

上杉謙信は歴史的にも琵琶の名手として有名で、現在でもその愛用していた琵琶「朝嵐」が、米沢の上杉神社稽照殿に保存されているそうです。何かと逸話の多い日本の軍神ですが、かなりの文化人でもあったというのはなかなか有名。

ちなみに謙信公の使った琵琶は四弦五柱のようなのですが、これは詳しくは直接上杉神社に赴いて聞いてみるしかなさそうです。いや~、一度訪れてみたい。

 

楽琵琶

雅楽の管絃催馬楽に使われる琵琶のこと。発祥はイラン、南アジアを経て唐より伝わった、日本では始めての琵琶とされている。

  • 奈良時代の形を今もほぼそのままの形で伝えている
  • 撥は最も小さい
  • 柱の間隔が狭い(ギターでいうフレットのようなもの)
  • “さわり”がない(ビィィン・・・と響く独特の音を出すための部分)
  • 雅楽ではリズム楽器として分散和音を奏で、各小節間の難しい間合いを繋ぐ役割
    → アルペジオ風に弾き、最後の音を次の小節頭の拍子に鳴らす、など

 

楽琵琶の音の参考動画。

雅楽では琵琶は派手な役割ではないのですが、これがあるとないとではやはり風情が違うように感じます。

 

平家琵琶

楽琵琶からの派生で、平家物語を語る時に用いられる。開祖は鎌倉時代の「生仏」とされ、“徒然草”によれば藤原行長の著した「平家物語」を生仏が語り出したのが始まりといわれる。

  • 撥は少し大きめ(杓文字型)で、先端が大きく開いたものを使う
  • 形は楽琵琶をほんの少しだけ小さくしたようなもの
  • 四弦または五弦があり、五弦目は四弦と音程は基本同じ
  • 平家琵琶を使った平家物語の語り物の音楽のことを「平曲」という
    → 雅楽琵琶と盲僧琵琶を統合したもの
  • 物語と弾きを合わせたのようにも

 

こちらは平家琵琶での平曲「那須与一」。

平曲にはこの他にも、「敦盛」「壇ノ浦」「祇園精舎」など、平家に纏わる有名な物語が沢山有り、琵琶のどこか物悲しい響きが合わさってとても聞き応えがあります。

 

また、平曲では語りに合わせて琵琶の弾き方、つまりコードと同じ意味を持つ旋律があり、それを弾くのだそうです。

 

盲僧琵琶

盲目の琵琶奏者、琵琶法師が用いる。

  • 細い形状が多く、笹琵琶とも呼ばれる
  • 柱の高さが高め(これは現代の改良によるもの?)
  • 音はとても柔らかめ
  • 平安時代には経文を唱える宗教音楽としての意味合いをもっていた
  • 平家物語や浄瑠璃など、様々な語りを持つ
  • 「平曲」が芸術性という意味での歌モノであるならば、盲僧琵琶は語りの合い間に鳴らすという印象

 

こちらの動画は、最後の琵琶法師といわれる山鹿良之さんの「羅生門」。語りを伝える為の場面に合わせて琵琶を使うという風なので、芸術音楽としての琵琶とはまた違った印象があります。琵琶よりもむしろ語りとその内容に聞き応えを感じてしまう。法師すごすぎる・・・。

雅楽の管絃などを宮廷の儀式的な音の使用とするならば、平曲は流れるような歌であり、盲僧琵琶は語りを中心とした効果音的な使い方をしているようにも見えます。ただ、琵琶法師にも色々な人がいたようなので、一概にそう言い切ることは出来なさそう。

 

薩摩琵琶

16世紀、盲僧琵琶が薩摩で改良されたものが始まりとされている。今年の大河ドラマの「西郷どん」にも出てくるのだろうか、最近見れてません(涙

  • 武士の力強さを歌い上げるために作り上げられた
  • 盲僧琵琶に比べて、胴が製で撥で叩き付けることが可能
  • 撥は平家琵琶よりも大型で扇型
  • 筑前琵琶の音楽要素を取り入れた「錦琵琶」が作られた
  • 現代では「鶴田流」が有名

 

こちらは鶴田錦史さんの「壇ノ浦」。平家琵琶と比べると、撥の大きさもあるのかやや派手めというか、非常に力強い印象があります。平家琵琶は主に、隆盛から没落にまで至る諸行無常を歌うのに対し、薩摩琵琶は元々薩摩武士の士気向上のために作られたものだそうなので、やはり力強さを一際感じるものであるように思われます。

また、鶴田錦史さんは男装をされていますが、女性の方だそうです。使っていた琵琶の名は「朝嵐」。上杉謙信の逸話といい、どこか不思議な感じがしますね。

 

筑前琵琶

明治時代、薩摩琵琶を研究して筑前盲僧琵琶を改良してつくられたもの。

  • 薩摩琵琶と比べると、歌と演奏がより一体となっている
    → 三味線音楽の要素が取り入れられている
  • 薩摩琵琶より、胴・撥共に少し小柄
  • 薩摩琵琶より、優しい音色
  • 女性奏者に人気

 

こちらは筑前琵琶奏者の田原順子さんの平曲「祇園精舎」。

音色としては、薩摩琵琶に比べて叩き方が少し優しいこともあるように思えますが、どこか柔らかく、歌いながら演奏していることも多く、現代音楽に親しんでいる側から聞くと、一番聞きやすいのではないかなと。薩摩が男性的だとすれば、筑前は女性的であると思われました。

 

おわりに

今回、琵琶について調べてみたところ、思った以上に歴史や種類が多く、これだけを把握するのにも時間がかかってしまい、音作りまでとても入れなかった。

ひとまずここまでの内容を私の感覚でまとめてみると、

  • 楽琵琶・平家琵琶は伝統的(儀式的)
  • 薩摩琵琶・筑前琵琶は音楽的
  • 現代では筑前琵琶が一番聞きやすいかもしれない
  • 主に語りに合わせて使われることが主流
  • 平家の武士が琵琶を使った流れからか、戦乱の諸行無常さを強く感じる
  • 音は三味線に近いが、種類によってかなり違う
  • 奏法は難易度高めと思われる
    → 打ち込みも多分難しめ
  • 現代音楽との融和性は低め
    → 雅楽以外での、他の楽器との合奏があまりないため

 

・・・こんなところでしょうか。琵琶が雅楽以外で合奏としてこれまで加わっていない経緯としてはやはり、

  • 語り物の楽器としての文化が古くからあったため

というのが一番の理由なのではないかと考えました。平家物語は800年以上経った今でも愛されている物語。そういう点で、琵琶の仕事はもう古くから地位を確立していたのだろうと思われます。

それに、音色が似ている三味線は16世紀頃に始まったとされる、琵琶から見れば割と新しい楽器。三味線も伝統はありますが、琵琶から見るとやはり楽器としては自由度が高くみえるのかもしれません。

 

今のところ、琵琶を使うのは思った以上に難しいというのが率直な意見。そんな簡単に使えるとも思っていませんが、現在、予想以上に歴史や用途に奥の深いものをとてもとても感じております。というか平曲などの語り物に聞き入ってしまって、楽器の分析が・・・。

 

最後に今回、琵琶について画像を探していたのですが、琵琶は琵琶でも果物の方ばかり出てきました(笑

おかしい・・・楽器の方ももっと有名かと思ったんだがー

 

それでは、今回はこんなところで!

 

【DTM】雅楽の打楽器『太鼓』『鉦鼓』について知っていく【和楽器】

雅楽で使われる3つの打楽器、

  • 羯鼓(かっこ、鞨鼓とも)
  • 太鼓(たいこ)
  • 鉦鼓(しょうこ)

今回は、「太鼓」「鉦鼓」の2点に絞って見ていきたいと思います。前回の羯鼓の記事についてはこちら。

 

太鼓

「太鼓」の文字は現代でも広く使われていますが(和太鼓、太鼓の達人など)、この記事では雅楽で使われる『太鼓』という風にみていきます。

 

雅楽の太鼓は、正式には「釣太鼓」(楽太鼓)と呼ばれるものを使います。釣太鼓は主に管絃使われ、舞楽では大太鼓が使われることが正式なようですが、大太鼓は非常に大きく、また正式な雅楽舞台が必要とされるということで、舞楽でもこの釣太鼓が使われることも多いそうです。

持ち運び易い釣太鼓の方がなにかと使いやすいのでしょう。ですが買うとなると100万円くらいしたりする、今の私から見たらびっくりするような高級品。

 

また、大太鼓には、左方の舞楽で使われるものには、

  • 日輪
  • 三つ巴

右方の舞楽では

  • 月輪
  • 二つ巴

と、左舞・右舞それぞれの世界観・宇宙観があり、装飾の剣菱紋様がまるで裏表のように描かれています。

最初、この「日輪の三つ巴」「月輪の二つ巴」の分け方を知ったとき、私はかなりの衝撃を受けたのですが、そのことはひとまず割愛します。DTMには特に関係がないので。(何があった

 

太鼓(釣太鼓)の打法

  • 左の桴で弱く叩くことを「(ずん)」
  • 右の桴で強く叩くことを「(どう)」

また、右の桴で「百」を打つと太鼓の皮の振動が大きくなるので、その余韻を防ぐために、打ったあと両方の桴の先を皮に付けて振動を抑えるのだそうです。

 

こちらはEastWestの「RA」という音源に入っていた太鼓での「図・百」。

 

・・・えらい見辛いですね。音源を持っていれば、

EW Ra → Far East(東洋)→ Perc(パーカス)→ Taiko Drm(太鼓)

という風に入っている音を無加工でそのまま。

太鼓音源には音が沢山入っているので、自分が求める音に近い音として今回はG4に配置されている音を使いました。特にこだわりがなければ事前加工はしなくてもいいかと。

 

こちらのサンプルはXpand!2025 PercussionTaiko Drums Big 1+での図・百。

 

音は特に弄っていません。しいていうならDecayで余韻の調整をするくらいでしょうか。

さすがに釣太鼓のビリビリという振動音まではこの辺の調整では再現になりませんが、太鼓の音にプラグインなどでDistortionを極薄に掛けて、「一風変わった擬似振動を作り出してみる」というのも面白いのではないかと思います。

 

音はF6をチョイス。釣太鼓の音は若干高めの音なんですかね、私はそう感じました。

 

雅楽における太鼓(釣太鼓)の役割

さて、奏法なのですが、現代では打楽器は主に曲のリズムを刻むイメージがあると思いますし、大多数の楽曲ではそういう使われ方をします。

そしてポピュラーな打楽器である和太鼓なども、聞いていると叩き方には様々あることがわかるのですが、雅楽で使う釣太鼓に関しては以下、このような記述がありました。

多くの雅楽曲では、太鼓の奏法自体にリズミカルな役割を持たせてはいません。特に唐楽で奏する太鼓は、それぞれの楽曲で予め決まっている小拍子の数(小節数)毎に打つという、一種の区切りを表す役割を持っています。

出典:歌舞管弦 -太鼓- より

つまり、雅楽の管絃・左舞などでは太鼓はリズムを刻むという役割ではなく、節目の合図的に使われる(百を打つ)ことが主流とのこと。

ですが、雅楽の中でも右舞では、三ノ鼓もリズミカルな傾向があるのと同様、太鼓にもリズムが感じられるような使われ方がされるそうです。

 

・・・確かに、管絃・左舞・右舞それぞれを聞いていると、上記の通りそういった傾向が感じられました。基本的には儀式を重んじる楽曲ではそんなドンドコドンドコやらんということですね。

 

もしDTM的に言えば、

  • 都の貴族のいる街やお上のBGMなら太鼓は節目に威厳的に打ち
  • 町民やわいわいやってるお祭りのBGMならドンドコやる

といった使い分けをするとわかりやすいでしょうか。というか私がそう分けて使ってるだけなのですが。

 

大太鼓の音を創作して遊ぶ

上動画は釣太鼓とは別で、大太鼓が使われる例なのですが、これを見て最初めちゃくちゃ笑いました。弱く叩く「図」はともかく、強く叩く「百」はマジ殴りレベルなんですよ。奏者の被り物が若干ずれるくらいの(笑

音の質はというと、ガツンというよりはカツンといった感じのかなり硬めな印象。太鼓を叩くというよりはピストルの発砲音の方が近いかもしれません。

ちなみに屋内で大太鼓が使われている雅楽の演目をみた限りでは、普通に大きく低く響く太鼓の音が出ていました。大太鼓にも色々あるようです。

 

これは動画の音の再現ではなく、そのイメージから創作的に作った大太鼓の音。Xpand!2内で3つの音を重ねて簡単に作ってみました。ちと軽めですね。

 

  • 音程を感じさせない打撃音にClap
  • 太鼓の大きさをイメージしてThunder Drums+
  • バチンという音に若干の追加が欲しくてBig Snare+

という風に音作りを楽しんでみます。少し効果音的な音作り。これだけだと別段どうということのない音の印象ですが、例えば、Reverv timeを5秒くらいに伸ばしてサイズも広めに取ったリバーブをがっつり掛けてやると、

 

結果、全然大太鼓ではない(笑)んですけど、これはこれで別の用途がありそうな風に仕上げられたりはします。(リバーヴのお陰とかいわない

複数の音を一つの音として聴けるように仕上げる訓練ということで、参考程度に載せておきます。

 

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]遊び心も大事だねぇ[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]左様[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu6.jpg” name=”シブ君”]・・・波平さん?[/speech_bubble]

 

鉦鼓

管絃での鉦鼓は「釣鉦鼓」と言われ、高めで硬く、重い金属音が鳴ります。そして大きな音は基本出さない。

はっきりとした音程の無い効果音的なサウンドという扱いでここでは見ていきますが、これはシンセ音などで音作りをするより、この音に近い金属的な打楽器音源の音で置き換えるのが一番早い気がします。

鉦鼓の材質は青銅または黄銅製で作られているらしく、検索してみると真鍮(黄銅)製のものが多い印象でした。金属については全然詳しくないので、ここでは高めで硬く、そして重い音が出るという点を押えておきたいと思います。

 

鉦鼓の打法

  • 片手で摺る「(きん)」
  • 両の手で摺る「金金(ききん)」

鉦鼓は叩く・打つではなく「摺(す)る」といいます。また、「金」「金金」も「チン」「チチン」と表現されたりもするようです。雅楽の曲を聞きこんでいけば細かな使い所は見えてきそうですが、今回はこの2点を基本として押えます。

 

鉦鼓を敢えてCelestaなどの音で代用してみる

早速近しい金属音を手持ちの音源で探してみたのですが・・・なんか見つからないんですよね(笑)。幾つかの動画を見るに、軽く摺っても随分と密度の高さを感じる重たい音が出るので、そのまま置き換えても鉦鼓の音に聞こえない。

そんなわけで、敢えてXpand!2内にあるCelestaの音を使ってコンプとEQを使い、鉦鼓の音にどれだけ迫れるかを試してみました。

 

・・・はい、まず笑っちゃうくらい軽い音のサンプルが出来上がりました(笑

 

使った音色は017 MalletsCeleste Hard+。Xpand!2内ではリリースを短めにしたくらいで大きな変更はしていません。Hard+と表記があったので、これは硬いだろうと思ったのですが、全然硬さが足りない。なんという密度の違いだ。

 

この音に掛けたコンプの設定です。がっつり深めにかけてますが、原音が軽いのでコンプにも限界はある。Attackは16msec辺りが良さそうではあったのですが、もっと自分の耳が鍛えられたら変わってきそうな気はします。

 

ちなみにリファレンスの鉦鼓の音の倍音成分に似せる為、ピークの強かったところに近似的に音を置いているのですが(上画像)、やはり音程感がはっきりしてしまっているので、金属を叩く音としては聞こえにくいですね。

 

なので、ここから、打ち込んだ10音それぞれの音程を全てリファレンスの倍音周波数に合わせるためにピッチを全て変え、更に上からコンプで潰した結果がこちら。

10音それぞれのピッチを全てずらした為、先程よりは音程感が薄れ、金属的な響きのようにはなりました・・・が、一つのまとまった音としては聞こえない

 

これは自分で作った音の周波数特性。

リファレンスの周波数の高さ(出力)に合わせてはいるのですが、やはりこの見た目だけ揃えても上手くいかないですね。元が違う音だし、原音のピークの分布はもっと細かく多いですから、当り前といえば当り前。

うーむ、代表的な箇所を見つけて真似れば近似できるかと思ったけど、金属音はそう簡単にはいかないのか。

 

というわけで、上記の状態から見た目の周波数を気にせず耳で一つの音として聞こえるよう各音の音量を調整した結果がこちら。

まだ若干バラつきは感じますが、これならギリギリ一個の音としての響きに聞こえなくもない。

 

ただし、一音一音全てのピッチをずらす作業を行う為、今回の場合Xpand!2の音源を計10個立ち上げることになってしまって、なんかもう大変なことになりました。

こうして音作りをする場合、曲を作りながらこうして立ち上げて音作りするのではなく、別プロジェクトで鉦鼓なら「鉦鼓の音」を作り上げてWAVなどで書き出し、以降はその一つのファイルのみを読み込んで使っていくのが至極当り前のやり方かと思われます。

・・・でないと、CPU処理が後々えらいことになりますし(笑

 

いや~、金属音難しいな~!!(笑

 

雅楽における鉦鼓の役割

鉦鼓も、太鼓と同じように、管絃・左舞では釣鉦鼓が使われ、右舞では大鉦鼓が使われるそうですが、やはり大鉦鼓もモノが大きい為か釣鉦鼓が良く使われるそうです。大鉦鼓は低い音が鳴り、釣鉦鼓のように小さい鉦鼓は高い音が鳴ります。

鉦鼓の役割は、太鼓が大きな節目を知らせる役割を持つとすれば、鉦鼓は小さな節目を知らせる役割を持つとのこと。またこちらも桴をもって摺るのですが、羯鼓や太鼓の一瞬後に音として続く形をとる。これは、鉦鼓の音が思ったよりも目立つため、その分控えめに使われるということのようです。

 

・・・なるほど、鉦鼓がそもそも控えめであるなら、先程私が作った下手な鉦鼓の音でもなんとかなるかもしれませんね!(いいのか

 

まとめ

太鼓

  • 弱く叩く「
  • 強く叩く「
  • 雅楽では曲の節目に鳴らす(小節の頭)
  • 儀式的な楽曲ではドンドコ鳴らさない、静かにドンッと打つ
  • 色んな太鼓音源ですぐに代用可能
  • 大きい太鼓は低い音小さい太鼓は高い音

鉦鼓

  • 1回摺る「」(チン)
  • 2回連続で摺る「金金」(チチン)
  • 大きな音では基本鳴らさない
  • 雅楽では曲の小さな節目に鳴らす
  • 重く硬い音が特徴的
  • 案外代用出来そうな金属音が見当たらない
    → 頑張って探す
  • 太鼓・羯鼓に続いて控えめに鳴らす
  • 大きな鉦鼓は低い音小さな鉦鼓は高い音

 

・・・さて、これで雅楽の3つの打物についての基本的な知識は押えられました。少しずつ楽器の役割と使い所が見えてみて、これを楽曲制作に活かすのがとても楽しみな私がいます。

学びは多分一生終わりませんが、それを表現してこその学び。一個ずつ丁寧に見ていきたいところです。

 

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]あれ、ぼくたち今回全然出番なかったね[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]ネタを入れつつ流れ作っていくのも大変だから、少しずつでいいんじゃないか?[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]ま、ねー[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]しょうがない、許してあげましょう[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii2.jpg” name=”ルイー”]それじゃ、またな![/speech_bubble]

 

【DTM】雅楽の打楽器『羯鼓(かっこ)』(鞨鼓)の音作りと打ち込み方【和楽器】

今回は、雅楽で使われる打楽器の

  • 羯鼓(かっこ、鞨鼓とも)
  • 太鼓(たいこ)
  • 鉦鼓(しょうこ)

の3つの打楽器のうちの一つ、羯鼓についての打ち込みについて書いていきます。本当は3つ全部やるつもりだったんですけど、結構記事が長くなってしまったので今回は羯鼓のみとなってしまった。

 

雅楽の打楽器

雅楽では打楽器を「打物(うちもの)」と呼び、その演奏スタイルの一つである“管絃”で使用される打物は、

  • 羯鼓(かっこ、鞨鼓とも)
  • 太鼓(たいこ)
  • 鉦鼓(しょうこ)

の3つ。「羯鼓」の字は、昔は羊の皮が使われていたためで、今はそれ以外の革も使われる為「鞨鼓」とも書くそうです。張られた革を桴(ばち)で叩いて音を鳴らします。

また、この“管絃”の他に“舞楽”というものがあり、この舞楽には、

  • 左方の舞楽(唐楽)
  • 右方の舞楽(高麗楽)

と2種類あります。

 

今回の題材となる羯鼓はその“管絃”“左方の舞楽”で使われ、“右方の舞楽”には、羯鼓の代わりにそれによく似た「三ノ鼓(さんのつづみ)」と呼ばれる打物が使われます。

三ノ鼓の羯鼓との違いは、

奏法に違いがあり、右手には太い棒状の桴(ばち)、左手は楽器の調緒(しらべお:鼓面を結んでいる紐)を持って演奏します。一回あるいは数回打つ奏法(帝(テン)/帝帝(テンテン))しかなく、「鞨鼓」のように連続して打つことはありません。

引用:http://www.gagaku.net/Gakki/uchimono.html

と、打ち方のバリエーションは羯鼓に比べて少なく、またどちらかというとリズミカルに鳴らす打物のようです。

これは左方(唐楽)と右方(高麗楽)の系統の違いから見ていくと更に理解が深まりそうですが、今回は「羯鼓」についての音作りや打法の打ち込みなどをメインに見てので、ひとまずこの辺りに留めておきます。

 

羯鼓

次に、羯鼓の楽器としての役割と打法をまとめます。

雅楽における羯鼓の役割

  • 楽曲の指揮者のような存在
    → 熟練の奏者が主に担当する
    → 打楽器としての位は第一位
  • 曲全体の流れやその速度の進行を担う
  • 曲の終わりの合図も受け持つ

 

羯鼓の打法

打法は、ここでは動画の流れに沿って2つに大別します。

  • 一度だけ叩くのが「(せい)」
  • もう片方の手で叩く速度を少しずつ上げていくのが「(らい)」
    → 片方の手でそれを行うのが「片来(かたらい)」
    → 両方の手で交互に叩くのが「諸来(もろらい)」

尚、打法を3つで言い表す場合は「来」をまとめずに、「正・片来・諸来」と分けます。

 

羯鼓の奏法

上の動画は「正、片来、正、諸来」という流れ。越殿楽の始めもこの「正、片来、正、諸来」なので、3つの打法が入った一番基本的な型なのかもしれません。

また、羯鼓の奏法としては、以下「鞨鼓八声」という八つの代表的な型があるとのこと。

▼鞨鼓八声

  • 「阿礼声」(あれいせい)・・・調子という楽曲に用います。 (是調子ノ打方ナリ)
  • 「大掲声」(だいかっせい)・・・延八拍子の楽曲で用います。 (延八拍子ノ打方ナリ)
  • 「小掲声」(しょうかっせい)・・・早四拍子の楽曲で用います。 (早四拍子ノ打方ナリ)
  • 「沙音声」(しゃおんせい)・・・早八拍子の楽曲で用います。 (早八拍子ノ打方ナリ)
  • 「璫鐺声」(とうとうせい)・・・輪台、五常楽破で用います。 (尋問抄曰、中八拍子ノ打様ナリ)
  • 「塩短声」(えんたんせい)・・・序吹の楽曲に用います。 (序ノ打方ナリ)
  • 「泉郎声」(せんろうせい)・・・延四拍子の楽曲で用います。 (延四拍子ノ打方ナリ)
  • 「織錦声」(しょくきんせい)・・・六拍子の楽曲で用います。 (六拍子ノ打方ナリ)

参照:歌舞管弦 – 羯鼓 – より

雅楽の曲を本来の伝統に沿って作製する場合などはこの辺りも掘り下げて学んでいく必要はあるかとは思いますが、ひとまずここでは「正・片来・正・諸来」という基本と思われる奏法と、古代の文献にもある8つの伝統的な奏法があるのだということを押さえておきます。

 

羯鼓の打ち込みサンプル・正

まず打法「正」の音をサンプルとして作ってみました。

これは動画にある羯鼓の音などを参考に、EZX LATIN PERCUSSION / BOXという音源のC#3・Bongo2の音をEQ加工して高めの音が特徴的な具合に作ったものです

 

ちなみにこちらがLATIN PERCUSSIONの加工前のBongoの音。これだけ聞くと、ああ、ボンゴだなって感じです。

 

羯鼓の音作りはボンゴなどの高い音が出る音源で代用

羯鼓は打物の中では直径も小さく、割と甲高い音が鳴るので、このようにボンゴなどの音を使って代用できるかと思います。

最近和楽器のソフト音源が増えてきているので、もしかしたら羯鼓の音源もあるのかもしれませんが、私もまだ詳しく調べ切れていないのと、手持ちで再現できるならその方が早いと思って加工して作りました。単音ですしね。

 

Bongoの音から羯鼓の音へのEQ加工の図例。

リファレンスの音と元のBongo音の差をCubase内のStudioEQを3つ使い、元音に近づけつつ、聞いて違和感のないくらいまでもっていきます。原音はもう少し1~5kHz辺りも出ていましたが、加工用のボンゴでそこをブーストするとキンキンして私の耳が「それはダメ」と言っていたのでそこは抑え目に。

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]こういう加工をする場合は、周波数だけをそのまま似せても原音の通りになるわけじゃないから、最終的には自分の耳で判断するといいよ[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]おっ、急に登場とはやるな[/speech_bubble]

 

作った羯鼓の音の周波数特性

作った擬似羯鼓の音の周波数波形。音のピッチにもよりますが、今回の音では550、690Hz辺りが一番よく出ていて、継いで350、990Hz周辺、そして1.5k、2.5kHzという感じです。あと、見えてはいませんが100Hz辺りを少し持ち上げてやると、ポンッという羯鼓を叩く独特の迫力が少し出てきます。

こうして音を近づける作業は、一側面ではあっても音の特徴が自分の中に経験値として蓄積されていきますし、新たな発見があってやはり楽しいですね。

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii3.jpg” name=”ルイー”]打楽器系の100Hz辺りは迫力が出るのか[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii5.jpg” name=”ルイー”]・・・フッ、俺も100Hz出すしかねーな[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]そうだね、君の顔下ほとんどないもんね[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii2.jpg” name=”ルイー”]実は地上から若干浮いているのだ!![/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu6.jpg” name=”シブ君”]・・・ドラえもん?[/speech_bubble]

 

「正」の打ち込み例

こちらは打ち込みの様子。BPM120の一小節を1/64に区切った状態です。EZX LATIN PERCUSSIONのBongo2ではベロシティの変化だけでは音が小さくなりきらなかったため、オートメーションをかけて音の消え入りを表現。

「正」の叩き方にもよるでしょうが、今回は動画を参考に9音使い、その間隔は頭の音から順に、

  • 92,80,80,80,75,90,70,100msec

と微妙に法則が見出せない感じとなりました。さすが手癖の間隔。

 

ちなみにこれを簡略化させようと、頭を揃えてから1/64でクオンタイズをかけてやると・・・

こんな感じに。これならまぁ、先程とそんなに違いはないかなぁという印象。他の音と混ぜれば多分わからない。

 

これをもっと簡素化しようと1/32でクオンタイズをかけてみると・・・

・・・大分ズレを感じるかと思います。

ただ、羯鼓の「正」らしい打ち込みを表現するなら若干簡略化しすぎかなと個人的には思いますが、そういうのを抜きにして打ち込み表現の一つとしては十分ありだと思います。新たな発見なら尚良し。ドラムのフィルの作り方とちょっと似てますね。

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]ポジティブ~[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]ぽじシブ~[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu3.jpg” name=”シブ君”]は?[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii3.jpg” name=”ルイー”]わー、ダークシブの登場だー[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]・・・[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu7.jpg” name=”シブ君”]かわいい?[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii4.jpg” name=”ルイー”]いや、かわいくはねぇよ[/speech_bubble]

 

最終的に表現者それぞれの好みや思惑で割と簡単に押し通せたりするのが音楽というものでもあるので、この辺は参考程度に見て下さい。

 

羯鼓の打ち込みサンプル・片来

・・・このあと、何かがトトンと登場するようなイメージがどこかにありますね。

 

「片来」の打ち込みの様子です。「正」では、ドラムでいうスネアのゴーストノートを細かく見ていった形になりましたが、上画像では丁度良く1小節ごとの間隔で音の間隔が段々と狭くなっている。

DTMでの打ち込みでこれを表現する場合は、

  • 上画像のようにBPMを固定して音を段々狭めるようにおいていく
  • もしくは、音の間隔を固定してテンポを段々速めていく

の2パターンのやり方がオーソドックスかと思われます。要は自分のやりやすい方法でそれっぽく聞こえればOK

 

一例として、BPM固定ならばこうして「1/8・1/8の三連符・1/16・1/16の三連符」という風に、一拍置きに順に幅を狭めてからクオンタイズでランダム化を掛けるというやり方や、

 

バーッと同じ間隔で音を並べてからテンポトラックで段々速くするだけで「片来」の表現の基本形はできます。

 

羯鼓の打ち込みサンプル・諸来

音として聞く分に「諸来」は基本的には片来と同じですね。

 

ただ「諸来」は、羯鼓を左右から交互に叩いて音を出す打法なので、細かい表現をするならば左と右の音のピッチ差を若干ずらすなどして僅かに音の違いを作ると、よりそれっぽくなるかと思います。なので、上のサンプルでは2つの音を交互に鳴らして作成しました。

 

スーペリアドラマー2.0で読み込んだラテンパーカッションの音作りでは、左と右の音でそれぞれ音源を立ち上げ、ピッチの部分のみを若干ずらす。基本はこれだけです。理由としては、「左の面」「右の面」それぞれに張られた“張りの強さ”は違いとして分けた方が自然であろうという考え方から。

また上画像では、ボンゴ音の頭の鳴り直後の余韻が少々大きすぎたように感じられたため、アタック感のみを強調するようエンベロープ調整をかけています。

 

ただ、実際に叩く音では、一面であっても、強さ、場所、空気感などで、厳密に言うと全く同じ音は出ません。なので耳で聞く分には、片来と諸来、どちらがどちらかなどそもそもわからないこともあるため、一音のみで諸来を表現しても特に違和感はないかと思われます。今のサンプラー音源なら毎回違う音が出るように設計されていたりしますしね。

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]最初にしっかり押えておけば、後で手間を省く時が楽ってことだね[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]でも、時間かかるならいっそ録音したほうが速かったりしないか?[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]ま、ねー[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]サクッと録音で済ませられたらいいけどね[/speech_bubble]

 

・・・今回、羯鼓について少しだけ細かく見ていく形をとっていますがこれには理由がありまして、調べてみると、

演奏は難しく、長い年月を掛けて研鑚を積んだ雅楽家でも円滑に演奏することは容易ではないという。東儀俊美は、自然と音楽のリズムを把握する奏者でなければ、上手く羯鼓を演奏するのは難しいと指摘している。

引用:Wikipedia 羯鼓 より

というように、羯鼓の演奏にはかなり高度な技術や経験が必要とされるとあったから。

東儀俊美氏は代々雅楽を世襲してきた家系の熟練の雅楽師。その人をもってして「難しい」というのは、如何に羯鼓が雅楽において重要な役割を担っているかがよくわかる。

 

そんなわけで、DTMで打ち込みをするにしても力を入れておいたほうが自然だろうと考えて、羯鼓の初回にして少し気合を入れたというわけです。自分なりの敬意の表し方というのもありますが。

 

まとめ

今回の羯鼓について大雑把にまとめてみます。

  • 羯鼓が使われるのは、雅楽では“管絃”“左方の舞楽”
  • “右方の舞楽”三ノ鼓
  • 楽曲の中では指揮者(コンサートマスター)
  • 曲全体の流れやその速度の進行を担う
  • 曲の終わりの合図も羯鼓の仕事
  • 一度だけ叩くのが「(せい)」
  • 片方の手で少しずつ速度を上げて叩く「片来(かたらい)」
  • 両方の手で交互に速度を上げて叩くのが「諸来(もろらい)」
  • 代表的な奏法は「鞨鼓八声」
  • 音は少し高めで歯切れは良い
  • Bongoの音などで代用可能
  • 羯鼓の演奏次第で曲全体の絞まりが変わってくると思われる

 

こんなところでしょうか。

一応この記事では、雅楽の楽曲を本気で作るというよりは、もっとふわっと「和風の曲をDTMで作ろう」というものなのですが、折角なので一つの楽器ごとにこうして経験値を積み上げていくと、いつの間にか曲全体もクオリティアップ!!・・・という魂胆で進めていっております。

 

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]次は太鼓・鉦鼓について見ていくよ![/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]てかさ、俺思いついちゃったんだけどさ[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]羯鼓の音、俺の頭にお前をポコポコ当てればそれっぽく鳴るかな?[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]・・・[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]何その自虐ライブ[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]いやお前、四分音符の化身だろ、丁度いいじゃん[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu3.jpg” name=”シブ君”]そんな綺麗な頭に誰が乗るか[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii4.jpg” name=”ルイー”]え、それ褒めてんの?なんでキレてるんだ・・・[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu7.jpg” name=”シブ君”]それじゃーまたね![/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii3.jpg” name=”ルイー”]相変わらず唐突だなぁ・・・[/speech_bubble]

 

【笙・Lv1】和楽器『笙』について一歩踏み込んで学んでいく【DTM】

和楽器である『笙』について、前回は鳴らせる音とそのコードである「合竹」の音と組み合わせについての触りを書きましたが、今回は笙を音色としてより使えるイメージを持つため、一歩踏み込んだ理解をしてみたいと思います。

 

笙の手移り

まず、笙の手移り(運指)について見ていきます。

ただこの記事では実際の笙を吹くわけではなく、「DTMなどで和風の曲を作るための自然な笙の使い方」を知ろうという方向性なので、運指というよりは、それぞれの指が担当する音を知る形といった方が適切かなと思います。

 

竹は、順番に、「千十下乙工美一八也言七行上凡乞毛比」と、ぐるりと円を描いて、並んでいます。

右手の人差し指で押さえるのが「比(ひ)、乙(おつ)、下(げ)」の竹。
右手の親指で押さえるのが、「千(せん)、十(じゅう)、工(く)」の竹。
左手の親指で押さえるのが「美(び)、一(いち)、八(はち)、言(ごん)」の竹。
左手の人差し指で押さえるのが「七(しち)」の竹。
左手の中指で押さえるのが「行(ぎょう)」の竹。
左手の薬指で押さえるのが、「上(じょう)、凢(ぼう)、乞(こつ)」の竹。

引用:築山桂オフィシャルサイトより

これをドレミファソラシド(CDEFGAB)の表記にすると、

  • 右手人差し指:比=C6、乙=E5、下=F#5
  • 右手親指  :千=F#6、十=G5、工=C#5
  • 左手親指  :美=G#5、一=B4、八=E6、言=C#6
  • 左手人差し指:七=B5
  • 左手中指  :行=A5
  • 左手薬指  :上=D6、凢=D5、乞=A4

という風になります。基本的には「一指一音」と考えていきます。

これにより「七」と「行」は指固定音であることがわかりました。この七(ラ)と行(シ)は全ての合竹で使われていて、合竹の主軸とも呼べる音と考えられます。これについては後述します。

 

手移りを色別で図にしてみるとこういう感じに。やはり図にした方がわかりやすいですね。「也」と「毛」は鳴らない前提です。

また、笙の各合竹の手移りについては穴守稲荷神社さんのサイトにある教則用資料が参考になるかと思いますので、リンクを貼っておきます。

  • 穴守雅楽会のページ一番下の教則用資料、楽譜:鳳笙の音取のPDF

 

笙という楽器の役割についてあれこれ

以下、笙の奏者であり、製作者でもある工房 西塔さんの「笙の研究」からの引用を中心に、笙についての理解を深めていく形をとっていこうと思います。

 

笙の音としての雰囲気

篳篥の音を笙の音が包み込んで天空へいざなって行く、その先導をするのが龍笛なのだ、という気がします。

雅楽の三管は、

  • 篳篥:主旋律を担当
  • 龍笛:主旋律もしくはその装飾(副旋律)を担当
  • 笙:その背景を和音で担当

という風にそれぞれの役割を持っているわけですが、雅楽では笙は篳篥の音に合わせて付いていくことが自然な流れのようですね。合竹などの和音で鳴らす場合は、曲全体を包み込むように上の方で鳴っているポジションが基本的には具合が良いようです。

 

笙の抑揚について

笙の吹き始めは静かに息を入れ、音が出るに従って強く吹くのは「先端をゆっくり動かしながら、その動きが厚みのある部分へ伝わって行くようにしているのです」(中略)一拍目はPPで、徐々にクレッシェンドし、四拍目がf かffになります。(中略)太鼓の「ズン」が鳴り、四拍目あたり、つまり「付所」の一拍前あたりから笙の主管が吹き始め、続いて皆が一斉に吹き始めます。 笙を構えるのは「付所の一小節前からゆっくり持ち上げ、三拍目の太鼓のズンのときに口に届くように」

雅楽では、楽譜の合竹もしくは音程の横に「●」黒丸が付いており、そこが太鼓の鳴る場所という意味で「付所」と呼ぶそうです。上記の内容を打ち込みで簡単に表現するとしたら、

こういう感じでしょうか。上画像では60が小節の頭で曲の入りだとしたら、実際に笙の音が鳴るのはその少し前からで、小節に入り段々音が大きくなり4拍目辺りで一番音が大きくなる。

笙の抑揚に関しては、雅楽の曲など実際に演奏されている曲を聴いて、自分の耳で自然なところを覚えていく必要はありそうですが、笙の音の入りはとても静かであるということを基本としてここでは押さえておきます。

 

蝉の声について

 

笙という楽器は、基本的には単音で吹く楽器ではありません。なぜならば、単音では蝉の声にならないのです。

これは「雅楽での本来の笙の使われ方」ということですね。そしてこの「蝉の声」という部分は、

 

明治時代の多忠龍楽師の書物に「蝉がジェージェー鳴いている中にチィーッという高い音が聞こえる。それをねらって作る」と記してあります。つまり、実音ではなく共鳴音ということです。(中略)
七・行の音がなぜ通奏音なのか、なぜすべての合竹に七・行が含まれているのか、ということを考える必要があります。この七・行が蝉の声を誘因するに違いないのです。

七(A5)と行(B5)の音は前述の通り、全ての合竹に含まれている音です。前回の笙の記事では単純に合竹の大まかな特徴として「全音間隔の組み合わせによる響き」と書きましたが、どうやらこの七と行の音が笙の合竹のキーとなるようです。

 

次に「七と八」の音を合わせて吹き、同時に鳴り出すようにするのがバランスです。バランスが良ければ、静かに吹きながら耳を澄まして聞きます。七の音でもない八の音でもない別の音が「チィーッ」と鳴っていたら、それが蝉の声です。聞き分ける方法は「八」を鳴らしてその音を意識しながら「七」を加える。「八」より高い音が鳴るかどうかということです。

七はB5、八はE6。完全4度の間隔ですね。笙のこの音程はかなり高いところに位置しますが、この二つの音で新たな音、つまり七と八を同時に鳴らして共鳴音が発生すれば古代の笙による蝉の音の再現が出来るということでしょう。

DTMではこの辺は自分の作るスタイルやジャンル、手間などで作りこみも変わってくるとは思いますが、笙の知識としては押さえておきたいポイントですね。

 

合竹を七と行を基本に分析してみる

笙の和音は基本的には十種類で、そのいずれにも「行(A)」ど「七(B)」の二つの音が通奏音として入っています。
その十種いずれもが「行」を中心にした3度5度8度に該当する協和音と、「七」を中心にした3度5度8度に該当する協和音との二種類を一つに合わせたものです。

とのことなので、まず最低でも全音間隔で開いている合竹「乞」を例にとってみます。

合竹「乞」の構成音は、乞(A4)、乙(E5)、行(A5)、七(B5)、八(E6)、千(F#6)。

ここで、行・七それぞれから各音を見てみると、

  • 行(A5):乞(A4)は1オクターブ下、八(E6)は完全5度上、乙(E5)は完全4度下。
  • 七(B5):乙(E5)は完全5度下、千(F#6)は完全5度上。

・・・なるほど、行と七の音を基本に考えると西洋音楽の考えと一致します。そうすると合竹はその行(A5)系和音、七(B5)系和音という二つの和声(コード)を同時に鳴らすことで共鳴音が重複されて神秘的な音となっているという考え方が出来そうです。

 

次に半音間隔のある合竹「下」を見てみます。

構成音は下(F#5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、千(F#6)。

ここで、行・七それぞれから各音を見てみると、

  • 行(A5):下(F#5)は短3度間隔。
  • 七(B5):下(F#5)は完全4度下、美(G#5)は短3度間隔、上(D6)は短3度間隔、千(F#6)は完全5度上。

という風に、一見不規則に見えていた合竹にもきちんと音の配列から、確かな意味を感じることが出来ました。

ここで、引用先から

ところが「工(C♯)の一音だけは「行」列に対しても「七」列に対しても不協和音です。この「工」の音が入った「工和音」は本当の不協和音になります。

とある通り、合竹「工」は10個の合竹で唯一半音の重なりも2箇所あり、かなり刺激的な音となっています。

かなり綺麗に聞こえる「乞・一・凢・乙・行」は全音間隔で最低でも離れていて、初聴きはちょっと違和感のある「下・十・美・比」は半音の重なりが1つなので、C#5を基点とした「工」は合竹の中でも一番の不協和音の合竹といえそうです。

ただ、合竹「工」の構成音を見てみると、工(C#5)、凢(D5)、乙(E5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)。完全5度の美(G#5)が入っていて、濁っていながら綺麗には聞こえるという形はきちんと取ってるんですよね。それに乙と工、美と七は短3度(長6度)と相性も良く、真横でぶつかりながら音の統制は一応取れているとも言える。

そしてこの合竹「工」は、越殿楽・五常楽急(ごしょうらくのきゅう)・皇麞急(おうじょうのきゅう)の三つの楽譜に出てきているので、刺激担当としてはむしろ大活躍の合竹という印象があります。合竹の傾向などは、雅楽の曲や楽譜を見て経験値を積んでいくしかないですね。

 

合竹の各音のバランスについて

笙の「和音」を「合竹(あいたけ)」といいますが、「合」ですから共に出る音が対等でなければ、つまりバランスが良くなければいけません。

良い笙は、竹の音の鳴るタイミングと音の大きさもなるべく均一であることが望ましいようです。DTMではこれは好都合な点ですね。クオンタイズとベロシティに小さい範囲でランダム化を掛けるだけで良さそうです。

ただ、動画などで笙の合竹の音の鳴り出しを聴いていると、若干アルペジオっぽくバララッと入って聞こえてくることがあります。引用先では良い笙の基準からこれを「あまりよろしくはない」と述べられていますが、逆にDTMでは均一すぎてしまうので人の味として音のバラつきを加えた方がよりそれっぽい雰囲気は出そうです。

 

サンプル①:音の発生タイミングベタ打ち

なんかそもそもアタック無さすぎるような・・・なんだ、笙っぽくない。なんだろう。

 

サンプル②:音のタイミングずらし

あれ、結構ずらしたつもりなんだけど、頭の音量が小さいからかアタックが遅すぎるからか、あんまりバラッと入らなかったですね。他の音入ったらわからないというか、散らした意味ないレベルのような。

 

サンプル③:アタックとエクスプレッション微調整&ついでに合竹代えてみる

ああ、やっとバラつきはそれっぽくなった気がする。でも色々動画で聴いてきているせいか、この音あんまり笙っぽくなくなってきた気がするというか、イマイチじゃないか・・・?

次作る曲にこの音色を使って混ぜてみて、違和感あったら作り直そう。

 

雅楽のテンポは非常にゆっくり

そして以下は、引用先の工房 西塔さんの初心者の方に笙を鳴らすための基礎練習ということで記載されてあった内容からとなります。

時計の秒針を見ながら、一行(越天楽の八小節)を一分で吹くのです。吹いて吸って15秒、ズレがあってもかまいません。おおむね一行一分です。
雅楽は、ゆったり吹き始めて少しずつ早くなりますが、一行一分と思って練習しておけばたいがい対処出来ます。

これは雅楽の概ねの目安を知れるという意味では大変ありがたい内容。8小節60秒というのは、テンポで言うとBPM32。雅楽の楽曲がとてもゆっくりであることは体感理解はしていましたが、今までこの数値は見た事なかったのでちょっとびっくりしました。

そして32というのは2の5乗。どこか神秘の香りがしますね!(しませんか

 

気替えについて

笙には息継ぎという考えは無く、「吸う・吐く」の呼吸をしながら常に音を出し続けることが出来ます。この「吸う・吐く」の息を変えることを「気替え(きがえ)」といいます。

気替えに関しては、「一小節目4拍を吸う、次の二小節目4拍を吐く」という呼吸の時もあれば、一小節内に合竹が複数ある場合、その小節内で気替えを行ったりもするそうです。

DTMの打ち込みには特に関係はありませんが、気替えを行う前後での音の強弱の変化を知っておく分には損はないかと思い、メモ用に書いてみます。

 

楽譜に出てくる「引」について

「引」に関しては、宮内庁楽部の先生方は「苦しければ目立たないように気替をすればよい」と教えてくれます。ただ、四拍の息遣いで八拍吹ける道理はないので、「引」は音は小さくなるものと思って下さい。

これは笙の打ち込みには関係ないかもしれませんが、雅楽の笙の楽譜を見ると、合竹ではなくたまに「引」と書かれていて、これなんだ?と思っていた自分用の備忘録です。

 

手移りの流れ

曲に入り、指を二本以上動かすときは、高い音からはずして行き、先発の指が下げ終ってから次の指が動き始めるようにします。

例えば、越殿楽や五常楽急の楽譜に出てくる「十-下」の合竹などは、6音中2音を手移りで変える必要があります。

画像では音源の兼ね合いで本来より1オクターブ下げていますが、「十-下」では、E6→F#6、G5→G#5となるので、一本目の指で押さえている想定のE6を離してからF#6を押える(鳴る)と同時に、二本目のG5を押えている指を離しG#5に移る。こういう流れですね。

ただこれは、引用先では「初心者の為の基礎練習」とあり、こちらの「歌舞管絃」さんの笙のページには手移りの順序にはルールがきちんとあるとのことで丁寧に記載もされていました。

 

打ち込みでは実際の手移り等イメージしづらいところはあるかとは思いますが、脳内で「これはこう動く」と意識するだけでも大分違うはずなので、その参考資料にということでリンク記述しています。

 

まとめ

今回の『笙』について学んだことをまとめてみます。

  • 指の押える箇所は上図を基本
  • 曲全体を包み込むように上の方で鳴っている感じ
  • 音の鳴り始めはとても緩やか
  • 七・行の音は10個の合竹全てに使われている通奏音
  • 七・行の音は合竹の大事な部分
  • 笙の響きは蝉の声
  • 蝉の声は共鳴音で表現
  • 雅楽のテンポは非常にゆっくり
  • 各音の大きさ・タイミングはなるべく均等が良い

 

雅楽は日本伝統の音楽であり、また合奏が主体であることから、こうして独学で学んでいくのが難しいジャンルかもわかりません。雅楽の会それぞれに伝わっている部分もあるでしょうし。

ですが、どう転んでも理解が深まることには変わりない。それに曲を作る時「早速あの奏法試してみるぜ!」みたいに燃えてきて凄く楽しいんですよね。

 

まだ調べたいことが沢山あるので、これからも楽しみです。

それでは、今回はこの辺で。

 

 

箏についての歴史を少し掘り下げて知って箏を好きになろう計画

こんにちは。今回は「箏」についての知識を少しだけ掘り下げて見ていきます。

DTMでソフト音源として箏を鳴らす上では、歴史的な知識がなくとも実務的には問題ありません。が、私はその楽器の歴史的な背景を知っているだけでも力の入り方はやはり変わってくるので、多少時間は掛かってもなるべくこういった知識はつけていきたいと考えています。

 

箏とは

一般的に、「箏(こと)」と呼ばれ、「琴(きん)」の字を当てることもあるが、「箏」と「琴」は別の楽器である。

出典:Wikipedia「箏」より

和楽器に慣れ親しんでいない場合、上画像の楽器のことを「琴」と書いてしまうかと思います。かくいう私も少し前までは箏のことを「琴」と書いていました。

現在広く普及している和楽器である「箏」は、人型の形をした「柱(じ)」と呼ばれるもので音程を調節するもので、基本は十三弦。これは奈良時代に唐から伝わったとされるもので、龍の象徴とされていたそうです。

そして「琴」は、その柱が無く弦を押さえる場所で音程を決める楽器だそうです。

 

「箏」と「琴」が実はそれぞれ別の楽器だったとは・・・名称がごちゃまぜになっているだけじゃなかったんですね。今まで知りませんでした。

 

箏の起源

日本では、大まかに分けて

  • 弥生時代もしくはそれ以前の古代日本に存在していた「こと」
    →主に呪術的な意味合いがあった模様
  • 奈良時代、中国の唐より伝来した「こと」
    音を奏でる楽器的なものとして伝わった模様

と、2パターンの「こと」があったようです。

日本古代の「こと」は古事記にもそれを弾く描写があり、「和琴」の原型という形。またこの「こと」と思われる出土品が縄文時代の青森、滋賀、北海道の遺跡で見つかっているらしく、弥生時代のものと形も似ているそうです。

現在一般的に普及している「箏」は奈良時代、中国は唐の時代よりもたらされたものが原型らしいのですが、それとは別に元々日本に存在していた「こと」があったんですねぇ。その「こと」は呪術的な用いられ方をされていたらしいです。

 

・・・そういえば、雅楽の越殿楽も現代音楽から見るとかなり儀式的な要素を強く感じます。ギターと同じで音を出すことに関してはかなり汎用性の高そうな箏ですが、元々は神聖なものの表しとして静粛で厳かに使われていたようです。

 

また、琴という言葉に関しては、Wikiに、

『源氏物語』などの古文では、「琴」は、琴(きん)のほかに、箏、琵琶などすべての撥弦楽器を指している。このことは、明治時代に日本に新しい楽器が入ってきた際に、洋琴(ピアノ)、風琴(オルガン)、手風琴(アコーディオン)、自鳴琴(オルゴール)、提琴(ヴァイオリン)などと呼ばれていたことからも伺い知ることができる。

とあり、撥弦楽器の総称を「琴」もしくは「こと」と呼んでいたそうです。如何に日本で「こと」が古くからあって親しまれていたかがよくわかります。

 

生田流と山田流

現在、箏を学ぶ場合、二つの流派があります。それが生田流山田流

これは、江戸時代初期に楽器としての箏および箏曲の基礎を大成させた八橋検校(やつはし・けんぎょう)の後、江戸時代中期に活躍した生田検校山田検校をルーツとしたもののようです。

ちなみに「検校」とは昔、盲人に与えられた最高の官名のこと。江戸時代においては箏は盲目音楽家の専売特許だったようですね。

 

また、京都の「八ツ橋」というお菓子はこの八橋検校の功績を称えて(もしくは偲ばれて)作られたとか。三角形の生の方ではなく、硬いパキッとしたお菓子の方ですね。箏の形を模しているそうです。

 

生田流と山田流に話を戻して、この二つの違いを大雑把にまとめると、

生田流

  • 角爪
  • 楽器に対し左斜め約45度に構える
  • 独奏曲において技巧が発達
  • 上方(関西地方)を中心に発達

山田流

  • 丸爪
  • 楽器に対し正面に構える
  • 「歌もの」を多く扱う
  • 江戸(関東地方)を中心に発達

 

また、箏という楽器本体に関しては、

山田流式の方が音量が大きく豊かな音色である為、現在製作されている箏は一部を除いてほとんどが山田流式の箏

とのこと。

箏自体は浄瑠璃風の歌モノを中心として改良された山田流式が主流なようですが、私の知る箏を学んでいる人には生田流が多い印象があります。爪の形と座る姿勢は別ですが、実際演奏する楽曲などはそんなに大きな違いはないそうです。

 

簡単な生田流と山田流の見分け方

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]さて、ここで簡単な問題です!ジャンジャジャ-ン![/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii7.jpg” name=”ルイー”]うお、俺たち忘れられてなかったのか![/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]まぁ細かいことはいいのだよ。それより問題だから答えなさい。[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii4.jpg” name=”ルイー”]あ、はい・・・なんスか突然[/speech_bubble]

 

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]この画像の人は、生田流山田流、どちらでしょ~~か?[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii2.jpg” name=”ルイー”]フン、簡単だ。答えは生田流だろう。[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii5.jpg” name=”ルイー”]爪が四角いからな・・・フッ[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]はい正解~!素晴らしいね~その通り!![/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]ちなみに生田流の斜めに座る理由は、角爪を上手く使う為だと言われているよ。[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]爪の材質はワシントン条約後の今でも象牙が主流だけど、最近はプラスチックや樹脂製とかも出てるのです。[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]あとルイーはただの三角形[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii9.jpg” name=”ルイー”]なるほどな~、そういう理由があったんだな。合点がいったぜ。[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii3.jpg” name=”ルイー”]・・・あれっ、今サラッと俺のこと小バカにした?[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]以上、簡単な流派の見分け方でした~[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]生田流と山田流の簡単な歴史は「箏曲の二大流派〜生田流と山田流の違い〜」をどうぞ![/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]あとルイーは顔三角形だけど実はアホ[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii4.jpg” name=”ルイー”]え、三角形のとこ、実は褒めてたの・・・?[/speech_bubble]

 

『春の海』作曲の宮城道雄

前回の箏の打ち込みの記事でも記述しましたが、近現代で箏の楽曲で最も有名な人といえばやはり宮城道雄の名が挙がるかと思われます。作である「春の海」は、タイトルは知らなくとも誰もがどこかで聞いたことのあるであろう名曲。(上動画の箏奏者:宮城喜代子さんはその姪っこさん)

明治時代以降は当道制度が廃止されて、盲人以外でも箏の演奏が職業として認められたそうですが、宮城道雄(あえて歴史的人物と同じように敬称を略して書いていますが)は、幼き頃に失明した盲目の箏曲家とのこと。

 

箏の鳴らし方の動画でもお世話になった、伝統音楽デジタルライブラリーの吉原佐知子さんのこの演奏曲「水の変態」も宮城道雄作曲。この曲はあの伊藤博文も心を打たれたといいます。

 

Youtubeで探してみると宮城道雄作の箏楽曲がかなり出てきます。いやもう、ほんと聞き応えのある楽曲ばかり。奏者の方の演奏力も凄いのですが、なんだろう、開いた口が塞がらないまま聞き入ってしまう。

 

このように箏の静かな曲から激しい曲までなんでもこなす宮城道雄ですが、明治末から主に大正・昭和にかけて、邦楽全般の活性に力を注ぐだけでなく、西洋音楽を取り入れつつ、楽器改良(十七絃箏開発など)や楽譜の普及にも尽力。また文筆家でもあったなど、その活動内容は非常に幅広い。

現代音楽の礎の築きに宮城道雄が大きく貢献したことはまず間違いないですね。

 

箏の参考楽曲色々

Youtubeで見つけた箏の演奏を幾つか挙げてみます。

ジャンプSQの漫画「この音とまれ!」の作中の楽曲「龍星群」。六面(6個)もの箏での合奏はかなり迫力があります。箏がメインの漫画なんてなかなか無いでしょうが、その作中の楽曲が実際に、というと現実味が一気に出てきて良いですね。曲もかっこいい。

 

ロックバンド「メフィストフェレス」のギターを弾いている沢井比河流さん作曲の「絵空箏」。こちらも箏のみの楽曲で、箏の数は九面。ステージが狭く音が近いためか、グワッときます。箏が一面だけの楽曲が世には多いとは思いますが、そんな自分の中の固定観念が崩されるようなこちらも迫力のある楽曲。

 

こちらは25絃箏のさくらアレンジ。基本の13絃に更に12音もプラスして、鳴らせる音がかなり多くなっています。ただ、その分絃同士の間隔は狭くなっているようです。

十七絃箏は、十三絃箏に主に低音部分がプラスされているようですが、二十五絃までいくとどうなんでしょうね。低音だけでなく、平調子であれば中間部にFやA#の音を置いたりなど、欲しい部分を足すのだろうか。

 

こちらはアニメ「Naruto」の「Sadness and Sorrow」の箏演奏ver。アニメのナルトは見ていませんが、あの作品は忍者が主題ですから基本的に悲しいことばっかです。しかし、箏でナルトの曲を演奏すると更に雰囲気がそれっぽく感じられるのではないかと。

 

「和楽器バンド」で箏を演奏されている、いぶくろ聖志さんの箏のサポート動画。動画では箏の演奏に関する内容を紹介されていますが、動画の最初や最後に入ってくるいぶくろさん作曲の箏楽曲が実に心地良いです。

 

おわりに

以上、箏に関する私なりの大雑把な知識の掘り下げでした。

最初は、箏の木や絃の材質、各部の名称などを書いていったほうがいいのかなと思っていましたが、まだ箏に触れ始めたこの段階でそれをやってしまうと単なる暗記になりそうだったため、「箏を取り巻く歴史的な背景と今」を自分なりに簡単にまとめたらこうなりました。

・・・単に私が、歴史から辿ると面白味を感じるというだけなんですけどね(笑

 

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]・・・ということじゃった。めでたしめでたし[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]日本昔話風に締めるとは、やるなシブ[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]おっけー、それじゃ今回はこんな感じで![/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii2.jpg” name=”ルイー”]おう、またな![/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu7.jpg” name=”シブ君”]あとルイーは鼻くそでかすぎ![/speech_bubble]

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii4.jpg” name=”ルイー”]お前ほんと相変わらずだな・・・[/speech_bubble]

 

 

【DTM】KOTO NATIONで箏の打ち込みの基礎を学ぶ【和楽器】

今回は箏(琴)音源である「KOTO NATION」を使って、箏の基本的な奏法を打ち込みで作ってみました。

箏について調べてみたら、DTM界隈ではもはやお馴染みのこおろぎさんがすでに大まかな内容を記事にされていたので、それを見た上で箏の打ち込み内容について記述していく形をとってみます。

 

以下は、こおろぎさんの箏・KOTO NATIONに関する記事です。

KOTO NATIONを使った箏の奏法の基本的な打ち込み

演奏法の参考動画は、こおろぎさんの記事にもあった以下の「箏の音の出し方」などを解説する動画です。

このシリーズの動画を元に各奏法をKOTO NATIONで一つずつ打ち込んでみます。

 

まず、一番基本と思われる平調子・壱越(イチコツ)で箏の調子(キー)を合わせます。

箏の調子についてはこちら

箏の基本形は十三弦。通常、この13音を鳴らすことになります。

ですが、箏の音を固定させる役割の柱(じ)を演奏中に動かしたり、他に十七絃箏や25絃箏という弦の多い筝もあることから、強押し・弱押しによる音程の変化を除いても、このチューニングされている音以外を鳴らしても別段問題はないようです。割と柔軟に対応できる楽器らしい。

ただ、闇雲に鳴らしたい音を箏という音源で鳴らしてしまうと、肝心の箏らしさが失われてしまうので、曲に合わせて箏の調子を事前に決めておき、そこから+αとして音を増やす形が良さそう。(強押しの全音間隔より大きく空いてしまうと不自然になるなど)

ポイントとしては、実際に手元に箏があって「さあこれから自分の手で実際に演奏しよう」というイメージを持つだけでも打ち込みの嘘くささは多少緩和されるので、この辺りは常に意識していきたいところです。

 

KOTO NATIONのキースイッチ

KOTO NATIONには、

  • Koto(琴(平調子))
  • Bass Koto(十七絃箏(Cmaj))
  • Shamisen(三味線(地歌))

の3つの音源が入っています。

そのうち、Koto・Bass Kotoのデフォルトのキースイッチを以下にまとめます。青字は比較的多様するであろう部分です。

 

Koto

  • A0:SCRAPES (C1~C3)
  • G#0:HARD PLUCK (C1~C4)
  • G0:HARMONICS  (C1~C4)
  • F#0:TREMOLO  (C1~C4)
  • F0:PIZZICATO  (C1~C4)
  • E0:HITS  (C1~C4)
  • D#0:OCTAVES  (C1~C4)
  • D0:MORDENT SLOW  (C1~C4)
  • C#0:VIBRATO SLOW(v0~69)  (C1~C4)
  • C#0:VIBRATO FAST(v70~127)  (C1~C4)
  • C0:SUSTAIN(v0~115)  (C1~C4)
  • C0:MORDENT FAST(v116~127)  (C1~C4)
  • B-1:TONAL GLISS  (C1~F1)
  • A#-1:ATONAL GLISS  (C1~C4)
  • A-1:PHRASES1 (D1,G1,A1,A#1,D2,D#2,G2,A2)
  • G#-1:PHRASES2 (D1,G1,A1,A#1,D2,D#2,G2,A2)

 

※注1 vというのはヴェロシティのこと。例えばC0でv100のノートを置くとSUSTAINがONになり、v120だとMORDENT FASTに切り替わる。

※注2 (C1~C4)というのは、ピアノロールのその範囲内で音が用意されているということ

 

Bass Koto

  • F#0:WOOD HITS (C1~F1)
  • F0:TONAL HITS  (C1~G#1)
  • E0:SLIDES  (C1~B1)
  • D#0:GLISSANDO  (C1~A#1)
  • D0:PIZZICATO (A#0~G3)
  • C#0:MUTE (A#0~G3)
  • C0:SUSTAIN (A#0~G3)

 

このようにKOTO NATIONには、弦を爪で押し弾く音以外にも、ハープっぽい音やボディを叩く音など色々入っています。ただ、そんなに使う頻度は多くはなさそう。他にもVIBRATOなどはジャラジャラ鳴らす方が筝っぽいので私はあんまり使わないかも。

 

右手の奏法

それでは、KOTO NATIONを使って一つずつ奏法を確認していきます。まずはメインで音を奏でる役割を持つ右手から。

 

すくい爪

すくい爪とは、爪の裏側で弦をすくい上げて弾く奏法のこと。

意外なことにKOTO NATIONには、爪の裏側で弦を掬い上げて弾くような、そういった擦り音の混じった音が基本入っていません。なので、すくい爪で音を出していると仮定した場合、通常の押しで鳴らす音と区別させなくてはいけないように思いました。

サンプルの1フレーズ目は、すくい爪の部分を敢えて「D#0:OCTAVES」で表現し、2フレーズ目は単純に全て「C0:SUSTAIN」音のヴェロシティの変化だけで表現してみました。「D#0:OCTAVES」の音は本来オクターブ上の音を同時に鳴らしている合せ爪的なもので、確かに違いを出すという意味では正解ですが、すくい爪としてはやはり違う感じですね。

 

ただ、すくい爪には上記の擦り音を含んだものと、あまり擦り音を含まない音を出す弾き方、両方を含むそうなので、ここは素直にヴェロシティの変化で表現するで良さそうです。

 

押し合わせ

押し合わせとは、隣り合った弦の片方を右手で押して、もう片方の弦と同じ音にして2本同時に弾く奏法

単音よりも鳴りや弾きの音が重なり合って、インパクトもあるし、これだけで情緒が感じられます。不思議だなぁ。

そしてこういった時の音の打ち込みは、基本msec単位でのずらし調整になります。耳で聞くと比較的音がずれていることはわかるものなのですが、打ち込むとなると「こんなに極小の差なの!?」と実感するのは、DTMで生っぽさを追及したことのある人なら誰でも一度は思ったことのある感想ではないかと。

人間の耳は精度がいいですね、ほんと。

 

かき爪

かき爪とは、中指で隣り合った弦を2本同時に掻くように鳴らす奏法

先に鳴らした音と後で鳴らす音のノートは基本くっつけておきます。もしくは一つのノートをハサミツールで切るだけでもいいかも。

またこの動画から、五(D)と六(D#)を同時に鳴らすことを自然に行っていることから、半音重なる音を同時に鳴らすことは割と普通であることがわかります。この音の重なりに対する捉え方は、西洋音楽とはかなり違う点ですね。

また、初歩的なことかもしれませんが、仮に前後の音にこれくらい隙間があった場合、耳で聞くと一度ぶつ切りに聞こえてしまうことがあります。指で同じ場所を鳴らす2度目は、弦が弾かれて音が出るまでの一瞬弦の振動が止まるのは事実なのですが、それは本当に一瞬なので、ここは素直にノートを繋げておいたほうが自然に聞こえます

私の耳の感覚とKOTO NATIONのリリース具合では、単音で0.03秒くらい空ける分にはパッと聞いて繋がりに違和感はギリギリなく、0.07秒くらい空くと「あ、切れてるな」という感覚でした。・・・なんにせよ、くっ付けてしまって問題ないと思います(笑

 

合せ爪

合せ爪とは、親指と人差し指or中指、二つの指で2本の弦を同時に弾く奏法

挟み込むようにして少し弦の間隔を空けて、1度と5度上、もしくはオクターブで鳴らすことが多いようです。上画像では、1フレーズ目のオクターブ鳴らしを「D#0:OCTAVES」で、2フレーズ目は「C0:SUSTAIN」でオクターブ重ねを打ち込んでいます。

どっちもあまり変わらない印象なので、素直にOCTAVES使っちゃって良さそう。

 

流し爪

流し爪とは、親指の爪で高い音から低い音へグリッサンドする奏法

箏の代表的な奏法。やっぱりこれですよね~筝といったら。

この流し爪と、次に続く引き連の表現は、KOTO NATIONには「B-1:TONAL GLISS」として用意されています。1フレーズ目はそれをそのまま使い、2フレーズ目はSUSTAINで一音ずつ打ち込んでいます。

用意されているTONAL GLISSは、

  • 上から下へ(流し爪)
  • 下から上へ(引き連)
  • 下から上へ行ってまた下にいく(引き連→流し爪)

に、各々早いタイプとゆっくりのタイプの計6種類あります。ここで更にヴェロシティを弄ることで音の強弱も付けられますが、やはり既に用意されているフレーズのため細かい音の配置や音量調整は出来ません。なので、TONAL GLISSを使う場合はバックが賑やかな曲などで使い、抑揚を付けたり、より臨場感のある箏の表現をしたい場合は一個ずつ手打ちした方が良さそうです。

流石にこのフレーズを用意されているモノから細かく弄るのは無理があるでしょうから、そこは致し方ないところですね。

 

引き連

引き連とは、流し爪とは逆で、中指で低い音から高い音へグリッサンドする奏法

動画では「真ん中を弾かないこともある」とのこと。なるほど、勉強になります。

こちらはTONAL GLISSを使わず、全部一個ずつ打ち込んでいます。やはり流し爪・引き連は箏の代表的な奏法であると思われる為、出来る事ならこれの打ち込み感覚を経験値として身につけておき、ここぞという時に必殺技のように使いたいところです。

多分その方がTONAL GLISSの使い所もわかるはずなんですよね。力の抜きどころが見えるというか。

 

裏連

裏連とは、高い音でトレモロ(同じ音を連続で小刻みに鳴らす)をしてから、低い音へグリッサンドし、最後に2~3本の弦を弾く、という一連の流れの奏法

サンプルでは、1フレーズ目のトレモロには「F#0:TREMOLO」を、2フレーズ目では通常音の「C0:SUSTAIN」で表現しています。

トレモロには爪の裏と表、つまりすくい爪と押し爪が交互になっているので2フレーズ目のSUSTAINのみだと違和感出るかな?と思ったのですが、案外聞けますね。ただし擦り音がないのでデメリットとしては少し綺麗に聞こえてしまうくらいでしょうか。トレモロに関しては、

  • 「F#0:TREMOLO」を使うと、音は良いけどトレモロ中の抑揚が作れない
  • 「C0:SUSTAIN」を使うと、抑揚は付けられるけど少し音が綺麗すぎる

という、それぞれのメリットとデメリットがありました。TREMOLOを使う場合、オートメーションで抑揚を書いてやればいいのかもしれませんが、個人的にはSUSTAINで手打ちした方が手間は省けそう。

 

すり爪

すり爪とは、一指し指・中指の爪の裏側で2本の弦を右から左へ擦り、元へ戻す奏法

KOTO NATIONには「A0:SCRAPES」にこの弦を擦る音が色々入っていますが、用意されている音にはぎゃんぎゃん擦っている効果音的なものが多く、また最初に右から左へ擦る音が入っていないというか、それらしい音がなかった元へ戻す音は問題なく使えそうです。

すり爪をDTMの楽曲で使う機会はほとんど無いような気もするのですが、最初の右から左へ擦るまっとうに使えそうな音がなかったのはこれも意外だった。

 

散し爪・輪連

散し爪とは、中指の爪の側面で弦を擦る奏法輪連とは、人差し指と中指で一と二の弦を擦る奏法

KOTO NATIONにはこの擦りながら出す音というものが入っていないため、残念ながらKOTO NATION単独ではこの二つの奏法は表現できません。(多分

仮にこれを表現する場合は、違う音源の擦り音を合わせて同時に鳴らすなどする必要が出てくるかと思います。自分の手間と相談するか、箏姫かぐやを使うなど。

 

かけ爪・半かけ爪

かけ爪とは、人差し指→中指→親指の流れで鳴らす奏法。基本は人差し指2音・中指2音、親指1音の計5音で、「強・弱・強・弱・強」という抑揚のバランスがある。また半かけ爪とは、この内第2音(弱)と第4音(弱)の音量がゼロ、つまり弾かない形とのこと。

ポイントはこの強弱であることらしく、頭の人差し指はしっかりと響く音を鳴らすようです。この指のリズムも筝の特徴なのかもしれません。ちなみにかけ爪の譜面上の特別な明記法はないようです。

 

割り爪

割り爪とは、隣り合った2本の弦を人差し指と中指で順に2回に分けて弾く奏法

動画ではそれにプラスして、その後に親指でオクターブ上を弾くと述べていますが、頭のジャンジャンという部分が割り爪の基本部分のようですね。

 

左手の奏法

続いて左手の奏法に入ります。主な役割は音の鳴りの幅を広げるといったところでしょうか。もちろん左手でハープのように音を鳴らすこともあります。

 

押し手(強押し・弱押し)

奏者からみて、柱(じ)の左側の弦を左手で押すことで、音が高くなります。

強押しは全音(一音)分高くする時弱押しは半音高くすることをいいます。

サンプルでは前半部分をそのまま打ち込みしたケース、後半はピッチベンドで全音・半音変えた状態にしています。動画を見る限りではかなり音がはっきりしていた印象があったため、ピッチベンドで表現しなくても良いような気もしました。

ただそうすると作り手側があとで振り返った場合、どこで強押ししてるかわからなくなると思われたので、ここは多少めんどうでもピッチベンドで強押し・弱押しを表現することを心がけたい気がします。またその場合、その部分だけ別トラックにKOTO NATIONを新たに読み込ませて、ベンドが効いている弦とそうでない弦とで分けることになります。

 

後押し

後押しとは、弦を弾いた後で左手で音の余韻を高く上げる奏法

押し手と同じ要領ですね、これはピッチベンドで表現します。ピッチを細かくカーブを書かなくともほぼ後押しの効果は得られたので簡単でとても楽。クリック二回で済みます。

押し手では、ピッチベンドによる音の経過音は無いようにしますが、こちらの後押しではその変化する音を聞かせるようにする形になります。

 

押し放し

押し放しとは、押し手や後押しをした後に左手を放し、余韻を変化させる(元に戻す)奏法

サンプル2音目がそうです。これもピッチベンドでサクッと表現します。

 

突き色

突き色とは、右手で弦を弾いた直後に左手で弦を突くように放して余韻の変化を作る奏法

筝ならではの音色ですね。この音は「C0:MORDENT FAST」がそうで、C0のヴェロシティを116~127にすると自動的にこの突き色の音になります。「C0:SUSTAIN」はヴェロシティ0~115

 

揺り色

揺り色とは、一つ目に、押し手をした状態から弦を鳴らした後に素早く放しと押しを連続して行う奏法。二つ目に、左手で柱のすぐ左側の弦を揺らす奏法

サンプルでは、前半部分に一つ目の揺り色。後半部分に二つ目の揺り色を表現しています。

押し手を使った揺り色はピッチベンドで表現し、揺らす揺り色は「C#0:VIBRATO FAST/SLOW」を使います。SLOWはv0~69、FASTはv70~127(v=ヴェロシティ)。

 

引き色

引き色とは、弦を鳴らしたあと、柱のすぐ左側を柱の方に引っ張って弦をたるませ、音を下げる奏法

音のリリース具合から、ノート長後ろ1/4辺りを1/4半音下げるくらいが丁度良い気がしました。音が下がっていることがギリギリわかるくらいが良さそう。

 

消し爪

消し爪とは、奏者から見て柱のすぐ右側の弦に、人差し指の爪をかすかに触れさせて弾く奏法。動画では爪に触れるわずかな振動音から、ハウリングのような響きを感じさせる音が紹介されています。

この奏法音はKOTO NATIONにはそれらしきものが該当しなかったので、せめて近いであろう「E0:HITS」でサンプルは代用しましたが、これはNGでしょう。名前からそれらしき「G0:HARMONICS」の音も試してみましたが、これもNG。

というわけでKOTO NATIONでは消し爪の音は無いものと考えます

 

ここまでの奏法を学んだ直後のサンプル楽曲

はい、ここまで学んだ直後に、箏の独奏をババッと作ってみましたババッと。

抑揚はヴェロシティのみで表現してみました。いや~、頭でわかっているだけで全然身体に染みこんでないことがよくわかるサンプル曲となってしまいましたね。当り前なんですけど。

本来、きちんと聞かせられるようなレベルの曲を置いた方が私の体裁は保たれるのかもしれませんが(笑)、これは「箏を学び始めた直後のLv1の状態」ということで形に残しておくことにしました。

あとで聞き返してこのサンプルに何も違和感を覚えなかった場合、その時点で自分のレベルが上がっていないということになるはずなので。

 

春の海の耳コピ

記事終わりの箏サンプル曲が上のものじゃあんまりだろうということで、箏の楽曲として有名な「春の海」を耳コピしてみました。冒頭部分を聞くと、「あ、これどこかで聞いたことある!」と思うかもしれません。

箏に関しては、ヴェロシティで基本的な抑揚を作り、その音の質の違いなどで補いきれない部分はボリュームをオートメーションの書き込みでちょいちょい上げ下げしています。

耳コピのサンプルが途中で終わっているのは、そもそも箏の練習のつもりで耳コピしていたのに、箏よりも和楽の楽曲のテンポの取り方や尺八の抑揚の方に時間を取られてしまい、予想以上に長丁場になりそうだったからです(笑

尺八の音源選定もまだ済んでいないというのもあるのですが。

・・・というわけで、「春の海」はこちらの動画で堪能して下さい。

いや~~~、この手の耳コピは相変わらず大変なんですが、やっぱり勉強になるなぁ・・・。

 

おわりに

まだ箏に慣れ親しんでいない状態ではありますが、現時点で使っていくと箏らしい、もしくは実際に大事そうな奏法は、

右手

  • すくい爪
  • 押し合わせ
  • かき爪
  • 合せ爪
  • 流し爪
  • 引き連
  • 裏連
  • かけ爪
  • 割り爪

左手

  • 押し手
  • 後押し
  • 押し放し
  • 突き色
  • 揺り色
  • 引き色

・・・でしょうか。というかKOTO NATIONで表現しにくい奏法を除いた全部を書いただけのような。

ただ、箏の歴史はとても古いもので、今に伝わる奏法はそれぞれの意味や鳴らしどころの役割がしっかりあるはずなので、どれが良いとか悪いとかはないでしょう。一個ずつ使い所を理解していって、自然な箏の使い方が出来るようにこれから勉強していきたいと思います。

 

最後に、今回のレッスン動画の奏者の方の演奏の中で、個人的に好きな動画を載せてみます。タイトルとは裏腹にかなり激しくロックしているような雰囲気もあり、情熱を感じて凄くかっこいい。

 

それでは!

 

【DTM】雅楽の三管の一つ、横笛の『龍笛』を学ぼう【和楽器】

雅楽で仕様される3つの管楽器、『笙』、『篳篥』、『龍笛』。

 

今回は「龍の鳴き声」と称される横笛、

『龍笛』

について、簡単にどういう楽器なのかを見ていきたいと思います。龍笛については音色はフルートとほとんど変わらないので、今回は音作りはしていません。

 

龍笛とは

雅楽の楽器の中では広い2オクターブの音域(E5~D7)をもち、低い音から高い音の間を縦横無尽に駆け抜けるその音色は「舞い立ち昇る龍の鳴き声」と例えられ、それが名前の由来となっている。

出典:Wikipedia 龍笛より

とのことで、素晴らしくかっこいい。

龍(竜)については、古代中国が起源とされているようですが、

  • 西洋では身体の太いタイプの地上型「竜(ドラゴン)」
  • 東洋では細長く、水中もしくは空にいるタイプの「龍」

と認識が分かれているのは面白いところ。

 

そしてこの横笛は古くから非常に人気のある楽器だったようで、古代日本では奈良時代から始まり、平安時代でも公家・武家共に好まれ、いくつかの書物にもよくその名が出てくるそうです。清少納言も篳篥とは正反対の大絶賛で、牛若丸(源義経)の持つ笛もこの横笛。

とにかく親しまれていたことだけは確かで、持ち運び易くてメロディも奏でやすい。また音色も優しく響くので、これで人気が出ないわけがないですね(笑

 

大神に出てくるウシワカもこれを持ってます。なぜか陰陽師で中途半端な英語を使いながら、これで叩っ斬ってくるウシワカイズヒア。

 

 

龍笛の長さはおよそ40cm。上のイラストでは5つですが、龍笛の指穴は7つ

「歌口」と呼ばれる吹き口には蝋が仕込まれていて音程などを調節し、その上の部分には笛を吹くための重心調整と音量を上げるために鉛が仕込まれているそうです。

 

そしてこの龍笛は「横笛」と言われ、横笛には龍笛の他に、

  • 高麗笛:約36cm。指穴6つ。龍笛よりも細く、高い音が出る(2度上)。狛笛とも。
  • 神楽笛:約45cm。指穴6つ。龍笛よりも太く、低い音が出る(2度下)。大和笛とも。

があります。

 

この3種類の横笛は、

  • 龍笛(りゅうてき)は、奈良時代から平安初期にかけて中国大陸より伝来した、宮廷の娯楽や儀式的に使われた「唐楽」
  • 高麗笛(こまぶえ)は朝鮮半島より伝来した「高麗楽」や、平安時代の東国の風習を取り入れた「東遊(あずまあそび)」
  • 神楽笛(かぐらぶえ)は、神を祭る、神の降臨の儀式・お祭りの「神楽」

で、使われるとのこと。

それぞれ異なる伝統があるようですが、今回は大まかにどういった用途で使われるかの把握に留めておきます。

 

 

ちなみに「能管」といって、龍笛に良く似た横笛がありますが、こちらは

「龍笛は能管の原型であるが、能管には龍笛にはない「のど」と呼ばれるものが笛の内部に入っており、音を出しやすくしてある」といわれます。

出典:雅楽-gagaku-あれこれ 龍笛と能管の違い より抜粋

とのこと。また上の動画によると、能管は合奏には向かず効果音的使用として用いられるということのようです。能管は龍笛の派生楽器らしいのですが、とても奥が深いですね。

 

 

龍笛の主な役割

龍笛は、音階も広く(E5~D7)篳篥よりも優しい音を出すことから、主に副旋律を担当。ただ、その使用をみるに、主旋律である篳篥を装飾するだけではなく、時としてその主旋律にいることも多いように思います。

 

また、雅楽の楽曲の始まりを司る役割もあり、楽曲の頭には、まずこの龍笛から演奏が始まるのが基本のようです。楽曲や調によって常にそうであるとも限らないようなのですが、基本は「龍笛から始まる」と、ここでは押さえておきます。

 

 

龍笛の音をフルート音源で代用

Youtubeなどで龍笛の音を確認してみたところ、高音なためか、

  • Xpand!2のフルート音色
  • Hollywood Orchestra・Woodwindsのフルート音色

と音色自体はほぼ変わらない印象を受けました。ただ、息の吹きぬけるようなわずかなブレス音が欲しいとは思ったのでPan Fluteを重ねようと考えましたが、Xpand!2にそれが無かった。それにXpand!2のフルート音、龍笛として考えるとビブラートが掛かりすぎている。

 

なので、今回龍笛の音はEASTWESTのハリウッドオーケストラのフルート音源でそのまんま代用してみます。

龍笛の音はあまり大きくビブラートが掛からない音の伸びを感じるので、ビブラートがあった場合、振れ幅は小さく、またどちらかというと細かい周期の音色を使う必要があると思いました。なるべく伸びの感じる音色で代用すると良いかもしれません。

そして、音色は龍笛と似ていますが、このサンプルの場合、音が綺麗過ぎる気がする。龍笛のあの独特の息の吹きぬけるようなブレス的な感じがない。

 

RAに入っていたPan Fluteでところどころのノート頭のブレス部分だけを追加。少しはマシになった気がしますが、RAのPan Fluteは音階が足りないため、欲しい音のブレスを鳴らせないのが痛い。

 

音色代用で作った笙と篳篥の音も混ぜてみます。こう聞くと篳篥の音にパンチが無いですね。重ね合わせているのに雅楽のような雰囲気が感じられない。うーん、この篳篥の音だと多分、清少納言に「耳にやかましい」と言って貰えないだろう。どうしたものか。

 

篳篥の音の打ち込みを少し変えてみました。さっきよりは少し篳篥っぽさが出たような…?(私の中の清少納言はまだ不満げではあります)

 

篳篥の打ち込み図。ボリュームの抑揚をトータルで上げ・下げ・上げにしてみたのと、ピッチベンドで伸ばす部分のノート頭をかなり大げさに書いてみました。ハンパに上げるよりもがっつり素早く上げてやった方がそれっぽく聞こえたんですよねぇ。

 

 

こちらの、初めて篳篥を吹かれた動画を拝見すると、弱く吹いてもしっかり音程は保たれているように思えるので、ノート頭をピッチベンドで下から少し持ち上げてそれっぽく聞こえるのは、耳のトリックなようです。

 

打ち込みでは、音色によって実際の原理通りに弄ってもそれっぽく聞こえないこともしばしばあるので、こうして実際とは違う音の動きを加えて耳の錯覚を使うこともよくあります。あくまで近似操作にすぎないのですが、結果的に「篳篥のそれっぽくなった」のなら、それはそれで良しと私は考えます。

 

 

まとめ

ひとまず龍笛についてまとめますと、

  • 副旋律を主に担当(主旋律にいることも多い)
  • モノフォニック楽器
  • 音階はE5~D7と広め
  • 音の立ち上がりの息の吹きぬける音が特徴的
  • 音色はフルートにかなり似ている
  • ビブラートはあまり大きくかからない
  • 音は優しく、親しみやすい

 

フルートの音を龍笛として使う場合、かなり音色が似ているのでそのまま代用してもいいかなとは思いますが、工夫が出来るのであればそうした方が更に雰囲気は出るかと思います。

いきなり作りこみが過ぎると、肝心の龍笛を使うことに嫌気が差さないこともないので、今回はこのくらいにしてみます。徐々にでいいんです。下手に見栄は張らない。

 

それではー

 

【DTM】Xpand!2を使って和楽器『篳篥』の音作りをしてみる【雅楽】

雅楽の三管と呼ばれる、笙(しょう)、龍笛(りゅうてき)、篳篥(ひちりき)。

 

今回は、その吹き物の一つである、

『篳篥』

という楽器ついて、DTMで楽曲を作っていく上でどのような楽器なのか、どんな役割があるかなどをまとめてみます。

篳篥もまた笙と同じく音源が全然出回っていない楽器なので、似ている音色を代用して使うことにしました。「GARRITAN WORLD INSTRUMENTS」には入っていましたが、国産ではまだ私は確認出来ていません。SONICA INSTRUMENTSさんのような和楽器専門の音源として是非欲しいところですよねー。

 

 

篳篥とは

雅楽では、笙(しょう)、龍笛(りゅうてき)と篳篥をまとめて三管と呼び、笙は天から差し込む光、龍笛は天と地の間を泳ぐ龍の声、篳篥は地に在る人の声をそれぞれ表すという。篳篥は笙や龍笛より音域が狭いが音量が大きい篳篥は主旋律(より正しくは「主旋律のようなもの」)を担当する

出典:Wikipedia 篳篥より

実際の雅楽の曲調ではあまりそういう印象は受けないかもしれませんが、例えるなら歌モノでいうボーカルの役割を果たしているといえばわかりやすいかなと。

 

長さは18cm。見た目はとても小さいのに、非常に力強い大きな音が出ます。そして楽器としての構造はオーボエに似ている。

 

音域は、西洋音階のソ(G4)から1オクターブと1音上のラ(A5)が基本だが、息の吹き込み方の強弱や葦舌のくわえ方の深さによって滑らかなピッチ変化が可能である。この奏法を塩梅(えんばい)と呼ぶ。

上の動画でも言っているのですが、「いい塩梅だなぁ~」というのはここから来ているようです。面白いですねー、歴史の謎を一つ解き明かした気分です。

音階はG4~A5とありますが、実際Saxなどの音色で当ててみるとこれも音的に1オクターブ高かったので、Cubaseなどで打ち込むときはG3~A4という風に1オクターブ下げて音を当てていきます。鳴らせる範囲は狭いですね。

 

力強い音が印象的な一方、こちらの動画のように、柔らかで甘い感じのする音色も特徴的。音の繋がりが非常に滑らかです。

 

そして面白いのが、

篳篥にはその吹奏によって人が死を免れたり、また盗賊を改心させたなどの逸話がある。しかしその一方で、胡器であるともされ、高貴な人が学ぶことは多くはなかった。

とあり、清少納言も「耳にうるさい」みたいなことを言っていたようなので、平安時代では甘く優しい音の出る篳篥というよりは、どちらかというとラッパみたいな印象のある音として使われていたのかなぁと思いました。

胡器の「胡」とは「えびす」のことで、いわゆる辺境に住む民族のこと。古代日本だけでなく、古代中国でも「胡」は”文化性の低い野蛮な民族”という意味として、中央政権からはこの言葉が使われていたらしいです。あくまで文書を残した国家から見た評価なので、そんな野蛮ではなかったとも思うんですけどね。想像を膨らませると面白い(笑

 

歴史としては、大石峯良(平安時代中期の人)が「篳篥の楽祖」とされ、平安時代には主に大篳篥が使われたがその後用いられなくなり、再び使用されるようになったのは明治時代だそうです。

一般的に言う篳篥は「小篳篥」になるので、「大篳篥」については今回割愛します。

 

 

篳篥は単音・モノフォニック

篳篥には笙のような単独での和音発声はありません。モノフォニックです。

そして篳篥はダブルリードなのですが、このダブルリードという意味は、

ダブルリードは、乾燥させた葦を削ったものを二枚重ね合わせて作られ(篳篥の場合は、乾燥させた筒状の葦の茎の一端を潰して削る事によって作られる)、これを楽器の吹口に取り付けて吹くことで振動させる。

出典:Wikipedia ダブルリードより

ということで、こういった吹き口が二枚重ねの作りになっている楽器の総称のこと。一本で2つの音を同時に出せるとか、そういう意味ではありません。

 

 

篳篥の音作り・サックスの音色で代用

篳篥の音源が少なくとも今、私の手元には無い。それは事実。

ということで、今回もXpand!2を使って篳篥の音を再現してみます。別にXpand!2でなくともいいのですが、私の中でXpand!2の音は結構汎用性の高い音といいますか、加工するにも融通が利くイメージがあるんです。

他には例えば、先日購入したKONTAKTシリーズのライブラリの中に入っていたAlto Saxophoneなど、キンキンさがキュッと詰め込まれたような音色でなかなか良さそうだとな思ったのですが、なんとAttackパラメータがなかったという。

そういうわけで、Xpand!2を使うことにしました(笑

 

サンプルは平調・越殿楽(越天楽)を参考にしています。

なんだろう、お豆腐屋さんみたいでもある(笑

 

音色は016 Brass+Woodwindの「Baritone Sax+」に、同じく「Alto Sax+」を小さく重ねがけしています。Attackは結構遅めに設定し、Releaseも気持ち遅めにしています。アタックをあまり遅くしすぎると篳篥らしさが失われてしまうのと、リリース少し伸ばした方が音と音の繋がりが滑らかになりやすいので、そうしました。

 

これは一例ですが、篳篥の周波数特性は力強い時はこのような形になっていました。

 

なので、Xpand!2の音にまずディストーションを薄っすらかけてから、このようにEQで足りない部分をかなりブーストしました。いつもなら最終ミキシングで削る帯域である、1.5kHz、2.5kHzを逆に、狭めたQで持ち上げてやり、その後に薄くコンプを掛けました。

 

・・・ミキシングでは普通はこんなEQの持ち上げ方はしないとは思いますが、一つの音作りの場合では、私はちょくちょくやってます。違和感が出ない程度に

ハチプロ(SC-88pro)を使っていた頃の癖でレゾナンスとかもXpand!2のコンソールで弄れたら良かったんですけど、それは無かったのでEQで済ませてみています。

 

 

折角なので以前音作りした笙の音も一緒に重ねてみます。進行は「凢・一・乙・乙」。

まだまだ納得のいく音にはなっていませんが、雰囲気は出てきたのではないだろうか。

 

今回の打ち込み画像。

cc7メインボリュームで抑揚をつけることにし、頭のピッチベンドをちょこっとだけ弄りました。ベロシティは、Attackはそんなに欲しくないけど音のキンキンさは欲しいので、強調したいところはMAX。少し消えていく感じを出したい部分は下げ目に。

 

 

まとめ

現時点での篳篥についてをまとめると、

  • 主旋律を担当
  • モノフォニック楽器
  • 音階は基本がG5~A6(打ち込みでは1オクターブ下に)
  • 音の立ち上がりや繋ぎは滑らか
  • 強い音ということが特徴的(柔らかい音も出せる)
  • 野生的であり、雅で艶やか
  • 柔らかい音の時はどこかエロい
  • 原理はオーボエに近い

 

構造がオーボエに近いということもあるので、立ち上がり感の似ているオーボエで代用してもいいのかもしれません。Saxは音こそ似ていますが篳篥に代用するにはAttackが強すぎるので。

そして篳篥はリードを司るだけあって、抑揚の取り方がやはり肝になると思いました。これからもっと研究していこう。

 

最後に、甘い音色の篳篥の動画を載せておきます。かっこいい・・・

 

それでは。

 

【DTM】Xpand!2を使って和楽器『笙』の音作りをしてみる【雅楽】

こんにちは、MAKOOTOです。

最近、三味線や民謡などに触れる機会があり、またそろそろ本格的に和楽器を主体とした楽曲を作っていこうと思うので、自分の知識の整理・底上げも兼ねて和風の楽器や楽曲などについての記事を書いていこうと思います。

 

手始めに今回は、雅楽の楽器の一つである

『笙』

についての音色と合竹(コード)、そしてどういった楽器なのかを簡単に書いてみます。

笙はですね~、昔からずっと気になっていた楽器で、その音色が非常に神々しくて好きだったんです。ゲーム「大神」をプレイした時に、いつかこの楽器を使った楽曲を作ってみたいとずっと思っていました。現物はまだ手に入れられてはいませんが、今は自分に出来ることをやろうと勉強しています(笑

 

笙とは

日本には奈良時代ごろに雅楽とともに伝わってきたと考えられている。雅楽で用いられる笙は、その形を翼を立てて休んでいる鳳凰に見立てられ、鳳笙(ほうしょう)とも呼ばれる。(中略)その音色は天から差し込む光を表すといわれている。

出典:Wikipedia 笙より

音色を聞けば、「ああ、これか~!」とすぐにわかると思います。非常に神秘的で神々しい音色

この楽器は、

17本のうち15本の竹管の下部に付けられた金属製の簧(した:リード)を振動させて音を出す。

とあり、パイプオルガンのリード管と同じ原理。また、ハーモニカと違って、息を吹いても吸っても音が鳴るというものです。

 

17本の竹の出音とそれぞれの名称は上図の通り。

ちなみに、

也・毛は、奈良時代の笙では簧(した)が付けられていたが、現行の笙では通常簧が付けられておらず無音であり、外観を整えるために竹が残されている。

伝来当初ははG6、はD#5であったが、現代音楽等ではをA#5、をF5として簧を付けた特別仕様の笙が使われることもある。

とのことで、「也」と「毛」は基本無音だそうですが、ここでは一応出た場合の音も記載しています。

 

この図では、

  • 左が「也:G6、毛:D#5」(伝来当初)
  • 右が「也:A#5、毛:F5」(現代・特別仕様)

を加えた笙の全音階です。

 

こちらの動画では、上画像の右側の方の音階と同じですが、古来の方(左側)では「Eb・F・Bb」は使われておらず、C音もC6のみですね。F音はGを基音とした呂旋(ミクソリディア)である双調(そうじょう)のみに入っています。そして雅楽における六調子では主に「D・A・E・B」の4つの音がよく使われるそうです。

 

 

笙の合竹

合竹(あいたけ)とは、笙で作る和音のコードのようなもので、5音・6音で構成されています。全部鳴らす場合もあれば、一音ずつ重ねていく場合もあります。

 

ここで、

「十」と「比」を除き、構成音のうち最も低い音の管名が合竹名となっている。行と七の音は全ての合竹で用いられ、逆に言(C#6)の音はどの合竹にも入っていない。

とあり、またこの合竹の最も低い音は旋律を司るともあります。

言(ごん)の音はC#6。言の音は笙で鳴らすことは出来ますが、合竹(笙のコードのようなもの)には使われないということですね。また、工(く)の音はC#5なので、こことも区別が必要になります。

 

以下、Xpand!2にあるハーモニカ音源の音をそのまま代用して、ひとまず音の雰囲気を感じ取ってもらうくらいのサンプルとして合竹を載せてみます。ちなみにWikiで見たままの音の位置をそのままXpand!2で鳴らしたところ、実際の笙の音より1オクターブ上の感じがしたので、Xpand!2のハーモニカ音源では1オクターブ下げて鳴らしています。

そして、基音となる部分を太字にします。「十」は下から2番目、「比」は下から3番目が基音となり、「十(双調)」は六調子の内の双調のみで仕様する合竹とのことです。

 

乞(コツ)

構成音は、乞(A4)、乙(E5)、行(A5)、七(B5)、八(E6)、千(F#6)

 

一(イチ)

一(B4)、凢(D5)、乙(E5)、行(A5)、七(B5)、千(F#6)

 

工(ク)

工(C#5)、凢(D5)、乙(E5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)

 

凢(ボウ)

凢(D5)、乙(E5)、行(A5)、七(B5)、八(E6)、千(F#6)

 

乙(オツ)

乙(E5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、八(E6)、千(F#6)

 

下(ゲ)

下(F#5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、千(F#6)

 

十(ジュウ)

下(F#5)、十(G5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、八(E6)

 

十(双調)

十(G5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、八(E6)

 

美(ビ)

美(G#5)、行(A5)、七(B5)、比(C6)、上(D6)、千(F#6)

 

行(ギョウ)

行(A5)、七(B5)、上(D6)、八(E6)、千(F#6)

 

比(ヒ)

行(A5)、七(B5)、比(C6)、上(D6)、八(E6)、千(F#6)

 

 

笙の音作り・ハーモニカ、アコーディオンの音色で代用

笙の音源は、調べてみても「コレ!」という音源が意外と出てきません。日本だけの楽器ではないので、ワールドエスニック総合音源みたいなものには入っているかとは思いますが、私はまだ見つけきれていません。

ですので、笙を音色として再現する場合、似たような音色であるハーモニカ・アコーディオンの音源で代用して、簡易的に笙の音を表現することにしてみます。楽器の原理も近いですしね。

 

以下は、Xpand!2のハーモニカ・アコーディオン音色で笙に音を似せるよう加工したサンプル曲です。

進行は、雅楽では有名な「越殿楽」の頭の進行をお借りして「凢・一・乙・乙」

進行だけを真似て合竹を置いただけで、実際の越殿楽の鳴らしではありません。

打ち込みはひとまずこのような感じ。息の流れと手移りがちと不透明で、ノートの伸ばし方はかなり勘が入ってるので参考にはせずに(笑

 

EQとディストーションを薄掛けして音作りをしてみましたが、実際の笙の音が生み出す艶やかなあの音とはやはり結構違いますね。統一感のある倍音成分の表現までは流石に音源にもよりますし。

その道の人が聴いたら「違うかな」と感じるとは思います。ただ、他の楽器と混ぜて雰囲気を出す分には、私はひとまずこれでも十分だろうと思います。そもそもハーモニカ等違う楽器音源で代用しているのだから、そこは致し方ないところ。

 

具体的な音色は、Xpand!2の020 Ethnicの「Harmonica+」と、それに小さく「Tango Accordian+」を重ねました。弄った箇所はHarmonica+の「Room Amount」を少し絞って広がりを消したくらいで、音量調節以外何もしていません。

 

 

まとめ

改めて笙の合竹を見ると、D・E・A・B音が頻繁に出てきているのがわかります。これは雅楽の六調子によるものなのですが、今回は笙の音色と和音に焦点を当てる形にして、雅楽についてはまた別の機会に記事にしようと思います。手移り(指運び)も実際のものがないとかなりわかりにくかったので(笑)

ちなみに、雅楽の調以外で笙を使う場合は、「D・E」、「A・B」、「E・F#」など、高域での全音間隔の音の重なりによる響きが笙の音の特徴の一つとも言えると思われますので、この構成音に合った調で曲を作ると良さそうかなと考えます。

今回の内容をまとめると、

  • D・E・A・B音は頻繁に出てくる
  • 高域なので合竹の不協和音はあまり気にならない
  • 全音間隔の組み合わせによる響き
  • 合竹(コード)は5・6音構成
  • 音の立ち上がりは緩め、音の消え入りも緩やか
  • 独奏も可能
  • ハーモニカ・アコーディオン系音源で代用は可能
  • 原理はパイプオルガンと同じ
  • 神々しい音色が特徴的

 

・・・といったところでしょうか。ざっくりすぎる気もしますが、ひとまずこれで「笙という音色」は使える形になるのではと思います。音色もそうですが、むしろ笙の表現には抑揚の方が大事な気がしますね。

 

最後に、笙職人さんの動画を載せておきます。

 

それでは!

 

【2017年秋M3】『BATTLE COLLECTION 3』を聴き終えての感想

sayaquさん主催、文字通りバトル曲を主題にした、

 

『BATTLE COLLECTION 3』

 

これに関しては曲数が多かったので、是非まとまった時間を取って感想を書きたかった。最近ぷちレビュー屋みたいなブログ記事が続いてますが、これは私なりのインプットの一つの形なので問題ないのです、ええ。

 

さぁ、聞いていこうじゃないか。

仮に1作品のゲームがあったとして、それに3つの戦闘曲が使われていると仮定すると、50曲はだいたい15~17作品のゲームが平均あることになる。それくらいのゲームのバトルサウンドを聞き込んだとなれば、きっとバトルマスターになれるに違いない

バトルマスターって、「がんせきおとし」とか使えたっけ・・・?忘れた(ドラクエ脳

 

BATTLE COLLECTION 3

1.For the Glory

Tsurugi(kt of 24)さん作。

バトルものながら、その中でもオープニングに相応しい物語の始まりを感じさせる曲。バトルものにギターサウンドというド定番中のド定番。この曲にはオープニングを感じさせるというよりは、主人公が堕ちるとこまで堕ちて、そこから一転、一大復帰したような壮大なロマンと哀愁を感じさせる曲展開になっています。

イントロの高速ギターリフとコーラス、続くピアノの高速アルペジオから始まり、メロディアスなリードギターがガチ勇者を感じさせる。これはまじでかっこいい。休符の使い方とか上手いし、さすがTsurugiさんだなぁと。ちなみにラストからまたこの頭に戻って曲を聴くとほんと始まりという感じがしてすんげーかっこいい。

 

2.The Burning Fist Of Revenge

清水 嶺さん作。

嶺さんといえば、ケルト系民族音楽の印象が強いのですが、この曲はガチでデスメタル。デスボイスもしっかり発声されていて、ギターの音、ソロ部分もちゃんとデスメタルやっててほんとこの人の多彩ぶりなんなのギャラクシーなのと思ってしまう。民族の色を一切感じさせない。この曲聴いたら普通にデスメタルの人だと思い込んでしまう完成度の高さ

ギターの音作りと、ドラムの音とか、ほんと研究しているなということがよくわかります。グレンラガンのヴィラルとの戦闘の時にこういうゴリッゴリのバリッバリのしかも丁度良い柔らかさのあるBGMがかかっていたのですが、ああいう重々しいイメージですね。タイトルもあいまってクソかっこいい。

 

3.Punishment

Winna Striveさん作。

ウィナさんはメロスピを心から愛しているだけあって、様式美すぎるくらい様式美。10年近く経ってもその哀愁さに色褪せるところを感じない。しかしこの曲はウィナさんの楽曲にしては速くないんですよ。しっかり戦闘のリズムというところが意識されている。

バテンカイトスを思い出しますね。メタル系として、ツインリードとピアノでこれでもかといわんばかりに戦闘の悲しさを物語っている。ストリングスがまた高いところで鳴ってるのも美味しいですね。バスドラの踏み具合がメタラーらしくて好きです。

 

4.Red Warriors

rsyさん作。

イントロにギターの音を使ってはいるのですが、それがセンターにあり、リードのオルガンが左右に振られていると言う構成から、一対一を彷彿とさせるどこか神秘的な感じのある曲。要所要所でベースが非常に高速に動くところがなんか良い。かっこいい。近未来的な印象で、マシーン相手の戦闘といいますか。

シンプルな曲展開そうで、実は目立たないようにセンターにオルガンらしき音色が重なってるのがまた良いです。後ろで鳴ってるシンセも空間を感じさせる。繰り返しが多い中、ベースがしっかり動いているところに不思議と飽きを感じさせない。これは上手い。

 

5.FateRival

ワカユウさん作。

私の個人的なイメージなのですが、イントロでキングコングのような凄い強い敵が想像できてしまった。Bメロのキメから、サビに入るところがめっちゃ美味しいギターサウンド系バトル曲。コーラスとリードギターのメロディがかっこいい。

全体を通しての緩急の上手さもあるのですが、その繋ぎやキメの部分の間の作り方が非常に上手いなと思ってしまった。スネアの時もあるし、ギターの時もあるし、なんていうんですかね、上手いんですよ。この曲の展開がもうまさに「宿敵」に相応しい。というか50曲中5曲目でライバル戦って早くないですか(笑)密度の濃さが伺えます。

 

6.Hero vs. Deja-Vu

Daisukeお姉さん作。

イントロの小さい光から、戦闘の展開が一気に開いたような感じがしました。曲を通して様々な戦闘の効果音が入っていて、それがまた走馬灯のように感じて非常に印象的。ブラスと小気味良いリズムがまた美味しいですね。Undertaleのアズゴア戦を思い出しました。効果音が、効果音として鳴っているところと曲の一部になっているところの境界線がまた良い。

曲の速さは決して速いわけではないのですが、淡々とこれまでのことを思い返しながら、どこかで胸がえぐられるような、どこか泣き出してしまいそうな悲しさを感じてしまった。私こういう曲大好きなんですよ。上手く言えないけど。最後明るく終わって、二つのモノが倒れる音が聞こえますが、これは・・・相打ちなのだろうか。

 

7.Barrage

Rutlδさん作。

EDM風の、太いけど柔らかいシンセ音が気持ちの良いサイバー系バトル曲。マシーンが意思をもって人間に近い挙動をしているようなイメージがあります。私はこういう曲あんまり作れないのでメチャクチャかっこいい。1:21辺りの一瞬潜り込むような音使いと3連符のところ、何度か聞き返しました(笑

この音がせり上がってくるような盛り上げ方や飛び交うようなシンセ音、ほんと何度聞いても飽きないのが凄い。これだけ音が自在に動いていて、展開も豊富なだけで十分なのに、曲としてコード展開もしっかり入っているので、何度も聴くことになるバトル曲なのにまだ聴いていたくなる。ループBGMの鏡だなと思いました。

 

8.Keep your Ambitions!

Rwiさん作。

この曲は~~~!!洞窟物語大好きな私にはこれはとても美味しいですぞーーー!!ピストンコラージュの音、忘れちゃいましたがこれもしかして使ってるんじゃないか・・・?だとしたら美味しすぎる・・・。

チップチューンに分類されるのかもしれませんが、波形メモリ音源で作られたようなサウンドがまた美味しい。ノイズ音がスネアの代わりになっているところと、サーッと後ろで音の厚みを加えているところがまたシブい。カウンターメロディが後半ずっとメインメロディに寄り添っているところなんか、カーリー背負ってるみたいで(略)。転調も含んで、最後まで展開にしっかり気を遣っていて、いやー素晴らしい。

 

9.Our Battle

せーらんさん作。

ピアノとストリングスから美しい河の流れを感じさせつつ、ノリの良い展開を彷彿とさせながら、Aメロ、Bメロ、サビに素早く移ったかと思ったら実はそのあとにもう一個サビがあったという、矢継ぎ早の戦闘にピッタリの曲。目まぐるしく移り変わる戦闘をこうまで細かく展開分け出来るのはすごい

私が少し彷彿とさせたのがスーファミ時代のファイナルファンタジーと、東方系に近いどこか和風さを感じる旋律。しかし丁度曲の間にEDM系のシンセ音がガツッと入ってくるんですよねー・・・なんちゅう多彩さ。聴き応えありすぎて3分弱があっという間でした(笑

 

10.SOLAR_Ba

十字ロさん作。

軽快なピアノから始まり、クロノトリガーのカエルを思い出すようなノリのある勇敢さを醸すリズムとプログレ風コードワーク。これも非常にかっこいい。その後の中盤のチップチューン風サウンドがゲームのアクションをやってる!という感覚がして楽しくなるのですが、ここで落ち着いたかなと思ったらまた動く。もう技術が詰め込まれすぎてて一言で言い表せないのが本音です。空間を感じさせるんですけど、なんの戦闘でもあいそうな万能さも感じます。

よく聴いていると、リズムも結構細かく違っていたり、パーカスの展開も一回聴いただけじゃ把握出来ないくらい細かい。シンセ音なんか、サステイン短めで印象付けているかと思えば今度は伸ばして滑らかにしているとか・・・レベル高いっす!(笑

 

11.vainglory encouter

MachiaWorksさん作。

ストリングスから緩やかなベースでぐいんと引っ張られる戦闘曲。ピアノとストリングス、それに緊張感を煽るシンセ音と軽快なドラムが、気の抜けない緊迫したバトルを感じさせます。なんだか渦の中で不安定ながら敵と対峙しているみたいな。

ストリングスの存在感が、ひたすら時空の流れを突き進んでいるような感覚を作りますね・・・パーカスの鳴りも荘厳さを作り出して、対峙している敵は人型ではなく、何か大きな「存在」みたい。ゾッとする部分と言うよりは、そういうものであるという。なるほど・・・vaingloryとは虚栄とのこと。見えざるものということなんですね。勉強になります。

 

12.Black Glass

主催のSayaquさん作。

これもダークな感じのする神秘的なサウンド。ベースがボワンとした不透明さを感じさせるところに、どこか影を追いかけるような駆け抜ける戦闘がイメージできました。リズム隊が左右に安定してありながらベル系のメロディが、点いては消えて、という一瞬の揺らぎを感じてすごく上手い。

後ろのピアノが焦燥感をどこか駆り立ててきつつ、ストリングスのざわめきが精霊みたい。怖さは無くて、ただひたすら透明感がある。どこか同じところをぐるぐる回っている錯覚にもなります。後半ピアノを呼び水に終盤まで持って行くところが非常にかっこいい・・・。

 

13.ベルトコンベア・キラー・ロボット

石田金時さん作。

一転、四つ打ちの明るい楽曲。タイトル通り、機械的に動くロボットが対戦相手なのですが、この敵と対峙する時は楽しい気分になるので何度も戦いたくなります。このロボはほんと何も考えてなくて、長年のプログラムが研ぎ澄まされすぎて動きが楽しくなっちゃった!みたいな陽気さを感じました。

後ろからゴォォォ!!というドでかい風をまとっているので、結構でかいロボットなんでしょうね。リバース的なシンバルの存在感がアホみたいに大きくて、曲の陽気さもあいまって楽しい。このロボとは何度も戦闘したい。尺が短いのがもったいないくらいです。もっと聴いていたい(笑

 

14.Valhalla

鷺莉さん作。

イントロが「ヴァルハラ」と名づけられる通り、非常に壮大な雰囲気から始まります。キックの音がどこか機械的でいて、シネマティックとデジタル音が融合したような、でらかっこいい曲。機械に取り込まれたヴァルキリーってこんな感じなんでしょうね。(ナデシコのユリカとか言ったら古いか

ピアノとストリングス、コーラスのコラボがまたすんごいかっこいい。ピアノのアタックが剣戟を感じさせるといいますか、哀愁とは違う、悲しく美しいバトル曲。特に後半のピアノなんて、円舞しながら崩れ落ちるような、虚しくなるような・・・ディレイの透明感がもう悲しく響く言葉にならない叫びにしか聞こえない。はー・・・、言葉にするのも億劫になってきた(笑

 

15.四神獣乱舞

nuuiさん作。

和風だ!和風の曲だ!何とは言えない伝統の力強い弦楽器!メロディは日本風なんですけど、楽器の感じが大陸を思わせます。どこか空間のある雅な舞台で妖怪含めた神様たちと踊りながら戦闘している感じがしました。私の感覚でいうなら、「大神」よりも「俺の屍を越えていけ」に近い、まざりっけのない純粋な歴史を感じる。

四つ打ちサウンドはこの日本の踊りにすごくよく合いますね。イントロの静かな和楽器と鼓の音など、非常に上品。雅だーなんか嬉しくなってしまう。鈴の音がまるで虫も一緒に踊りに混ざっているかのようで、生き物皆集まってるイメージに胸が熱くなる。これももっと聴いていたくなる。

 

16.勝利は我が手中にあり!

ネギたそ。さん作。

これはーーーー、和風ダイゼンガーみたいだ!熱い!多分ギターの音が私にスパロボさを感じさせたのかもしれません。前曲の「四神獣乱舞」と尺が2:36と同じところも面白い。和太鼓が強調的に使われていて、プレイヤーを鼓舞する力強さと背中を後押しするイカした毘沙門天をイメージしました。

笛の音が風を作り出し、太鼓が雷のようでまるで風神・雷神のよう。キックが四つ打ちで、ベースが気持ちよく動き、要所要所で和太鼓がドドンと鳴る。般若心経を唱えるかの如く、念仏的な効果音的演出がすげー良いです。ニヤニヤしてしまう。しかし、タイトルの通りドラマティックに曲が描けるって、凄いですよ。さっきから胸熱すぎるんですけどどうしたもんだ!

 

17.僕のRPG Ver.FC

あいともさん作。

おお、チップチューン!実際にゲームをプレイしているような操作効果音からオープニングが始まります。なんて和やかなオープニングなんだ・・・と思いきや、突如街が燃えて敵が現れたかのように戦闘シーンに入ります。なんだこのドラクエ4の第5章のような平和から一転地獄をみるかのような展開。美味しすぎる(笑

でもレトロなBGMなのでそんなに重さはなく、楽しいファミコンをプレイしている感じです。そして最後にズバッと斬られて(この音作りが印象的で素晴らしい)、何やら語りが入り、そこからノイズアウトします。なん・・・だと・・・お前にはまだ早すぎるとゲームに拒絶されたような感覚がニヤついてしまう(笑

 

18.Footsteps

Nabecさん作。

チップチューン続きです。この曲はファミコン音源として非常に完成度が高いように思われます。ファミコン時代の音の独特の揺らぎがあって、音使いがほんとに長年ファミコンの曲を作ってこられたような達人さを感じる(1988~1990年頃の当時の作曲家さんたちが慣れてきた様な)。ノイズのパーカス部分の使い方がまごうことなき達者な印象。

こういうチップチューンの、どんな戦闘シーンでも合いそうな王道のBGMを作れるって今やロストテクノロジー扱いなところがあるので、ほんと凄いの一言。この音の発生の一瞬の立ち上がり・・・上手く説明できませんが、自分のチップチューンがクソみたいに思える。pAPUの仕様でここまで存在感を作り出せるというこの力強さ・・・勉強になります。

 

19.Different Dimension

ちびファイさん作。

チップチューン続き3曲目。こちらも完成度が高く、非常にかっこいいです。こうして聞き込んでいくと、アタックを少し遅らせていてそれが揺らぎを作っていること、ノイズを使用したパーカッションの使い所が非常に多彩なのだということが少しずつわかってきます。ベースの動きがめちゃくちゃかっこいい。

通常戦闘というよりは、こちらもボス戦を彷彿とさせる緊迫感があります。矩形波等、機械的な信号の音色にも関わらず、そういった怖さは感じず、小さなブラウン管モニター内の強敵と戦っているぞという感じのある、臨場感ばっちりの楽曲。スタンダードな曲展開にも関わらず、全く飽きがこない。素晴らしすぎます。

 

20.中ボス1

Warrさん作。

ファミコン風ノイズから入り、チップチューン風のリードながらセンターにエレキギターとドラムが入っている展開が、ゲームの画面からリアルが出てきたようなメタルとチップチューンの融合曲。モノラル風で攻めてくるのかと思いきや、後半コーラスがステレオで入ってくるので二次元から三次元に変換しかかっているような面白さを感じます。演出が上手いです。

バッキングのギターが生でしかもかなり美味しいサウンドなので、かなり極悪なボスなのがわかります。フェードアウト前の最後の一瞬、音にステレオ感が増すので、なんかゾクッとしました。こっち側に来るの・・・!?みたいな。こういうあまり例にない演出って、センスを感じてしまうんですよねぇ・・・。

 

21.閃光

Ravusさん作。

ピアノの存在感が印象的な、どこか優雅さを感じさせるバトル曲。真ん中のドラム、大きく広がるストリングスと、広い空間を感じさせる包み込むようなサウンドで、戦闘曲ながらどこか安心感を与えられる感覚があります。

弦楽器の旋律と音が非常に優しいので、戦の悲しさを強く感じる。タイトルが「閃光」とあり、命の一瞬の輝きを思わせる・・・。広く響くドラムのシンバルがオーケストラのシンバルかの如く響く残響がまた心に染みる。剣を一振り振るうたびに零れ落ちる涙みたいで、かなり泣けるのは私だけでしょうか。

 

22.CRIMSON FIRE DRAGON

イノウエサオリさん作。

おお、スーファミ時代に感じたような躍動感がオーケストラ風にイメージされている・・・心躍るようなスネアが印象的な戦闘曲。SFC(スーファミ)からPS(プレステ)時代に以降する時のスクエア作品を思い出すと同時に、なぜかゼノサーガが浮かびました。

下手に歌モノのようなメロディを作らずにいるので、戦闘の状況がより客観的になりますね。これも勉強になる・・・。ただただ、圧倒的な敵とガリガリ戦っているけどなかなか状況が変わらない。といいますかタイトルに「ドラゴン」て付いてました。確かにそれなら状況がすぐに変わるわけがないよね、ドラゴンて最強種だし(笑

 

23.BAD SLIME

siroimuさん作。

え、これ・・・見た目凄い弱そうなんだけど突然変異みたいに生まれたやばいスライムが敵ですよね。めちゃくちゃかっこいいスライム戦。この曲を聴くと、突然変異で生まれたらきっと最初は孤独だったはずなんです。その中で生き抜く力を他の同族とは違う形で学ぶしかなかった。でもこのスライム、超いいやつなんですよね。困っているヤツを見たら放っておけない。

そんなドラマティックさがイメージされるようなリズミカルでクールな楽曲。この根が一途でひたむきな曲を聴いていると、胸が熱くなる。このスライムはわきまえているんですよ・・・現実を受け入れてるんです。どんなに強くとも自分がスライムの枠を超えることは出来ないということを。そんな楽曲のバランスの良さを見事に表現されていると思いました。美しい。

 

24.Ancient Guardian

柄杓毘売命さん作。

こちらもドラマティックな展開の楽曲。SC-88proを思い出すディストーションギターと、様式美的なメロディラインが泣きのツボを刺激してくるかのようです。このギターやストリングスの独特の音色などを聞いていると、何かを思い出しそうな、そういう感覚があるのが不思議なんですよね。

この古代のガーディアンとの決戦も、様々なドラマを経てきた上での対峙なんだろうなと思います。サビのコードの展開がメタル系によくあるメロディアスさとはちょっと違うのですが、様式美的なものを感じて仕方がない。この展開好きです。そしてさっきから私の中で胸熱展開が一人で続いています。大丈夫だろうか、生き残れるのか。

 

25.Dancing Black Thunder Part2

タチやんさん作。

電脳世界のバトルを彷彿とさせる曲。こちらはチップチューン要素も感じられるので、より電子の世界が視覚的に見える形での戦闘曲を思わせます。私の表現で古くて申し訳ないのですが、初代バーチャファイターのデュラル戦のような、ターミネーター2の液体金属人間のような、電脳世界の何かが具現化したような存在感があります。

こちらもメロディラインをメインで作らず、純粋に音を配置されたような楽曲に客観性といいますか、余計な感情が排除されたような印象。少しずつ周波数に揺らぎが加えられているのか、波動の世界に埋没したような感覚になる。

 

26.Dear “xxx”

morilynさん作。

おお、ピアノの音が歪んで荒廃したような世界を感じるぞ!SFの世界で荒れた大地に宇宙から降り立ち、まだ電源の入っている無人の施設に入り込んだかのような楽曲です。古い研究施設というイメージでしょうか、研究内容もあまり口外できないもので、どこか歪んで狂いが生じているといいますか。音やリズムのズラシに、世界の軋みの演出を感じる素晴らしい曲。

音が不意に途切れたりノイズが走ったりする音が、放置された場所を上手く表現していると思いました。この曲の雰囲気から察するに、相手は戦っているという感覚はないんでしょうねきっと。ただ、まとってくるような、何もわけがわからないまま、相手が傷ついていることも感知できないまま。おお・・・すごい。見事な表現すぎる。タイトルがまた意味深すぎて困る(笑

 

27.Glitch

NTK worksさん作。

これは・・・何ですか。果てしなくかっこいい故障曲なんですけど。この秩序と崩落のギリギリを攻め抜くサウンドの叩み掛けは、壊れた世界が急速に再生し、また同時に一瞬で崩れようとする刹那の連続を感じる。しかしサウンドの作りからその一個上に整然とした世界があるように思われてならない。

戦闘曲として聞くと、まずどう戦っていいのかの糸口がまるで掴めないファーストコンタクトなんじゃないでしょうか。攻撃が効いているのかどうかもわからないし、相手が何をしてくるかというパターンもまずわからない。でもそこに確かにいる、まさに正体不明。これほどの音使いをバトル曲で聴くことは極めて稀だと思います。こいつに遭遇したら次はいつ会えるかもわからない。そういう意味でこの曲を聴けている私は非常に幸運だと思ってしまった。ただ、凄い。凄い故障・・・なのか。

 

28.Unsaturated Gravity

startide / hiroさん作。

めちゃかっこいいベースの振動音と右から左に走り抜ける金属系音色から始まる、サイバー界とシネマティックが融合したような、膨大な時空の圧縮を感じさせる楽曲。かと思いきやそれは序章だったようで、雄大な大ボスと戦うロックテイストも織り交ざった大きな存在を感じる展開に繋がりました。ドラムがロック調とオーケストラ様式の合体版みたいで、もはや新ジャンル。凄い・・・新しい世界ありますよこの曲。

色々詰め込まれていて、言葉がおっつかない。4分超えがあっという間。音の空間の使い方といいますか、臨場感が素晴らしく表現されていて、なんだろう。音の魔術師みたいな感覚あります。とにかく舞台がでっかいんですよ。これラスボス曲だったらえらい感動するだろうなぁ・・・。ドラマティックでいて、明るい雰囲気もあるので、これそのまま天に召されそう(笑

 

29.決戦

こっけさん作。

こちらもシネマティックさを感じる、しかし王道のハードロック路線のラストバトル曲。ツインリードギターの旋律の残響がこれで最後かと思わせます。ヴァイオリンでしょうか、ソロの弦楽器がギターの間に入ってきて、ストリングスも綺麗に合奏する形になっているので、もう総力戦でしかない。うわー、この展開は熱いですね。

リードギターが曲がらない強さを感じて、弦楽器がしなやかな強さを感じる。なんでしょうね・・・ヒーローとヒロインが共に戦うこのラスボスは最後の試練となるのか、最初の試練となるのか。ラストバトルの原点を垣間見るような感覚があります。しかしミキシング綺麗だなぁ・・・。

 

30.聖人育成メソッド

Ominaさん作。

パ、パイプオルガンだ・・・!!荘厳だ!神を感じる・・・。と思いきや、ゴリゴリのギターサウンドで粛清が入ったかのような、漫画ベルセルクを彷彿とさせる正邪の相容れぬ拮抗の世界を描いたような楽曲。この楽曲には天使と悪魔、それもより深い因縁を感じます。現代風でいうなら、ブラックラグーンのような紙一重さを感じる。

ギターのソロに意地と意地のぶつかり合いを強烈に感じて凄い熱いです。そして最後に赤ん坊の泣き声が入って、そのままパイプオルガンの音に繋がっていくんですけど、最初「どうやってるんだ!?」と理解できませんでした。よく聴いていくと・・・いやこれ凄いですよ。頭でわかっててもなかなか出来るもんじゃないと思うのですが。しかもそのままオルガンの音が重複してどこかに消えていくという。なんて上手な(笑

 

31.甘栗こぶし

遊句さん作。

タイトルからも人目を引かざるをえないこの楽曲。演歌風のイントロからそのまま自然な流れでRPGの通常バトルに入っていき、和風の雰囲気を維持したままラストは演歌で〆るという他に類を見ない見事なまでの演歌とバトルの融合曲。Aメロは普通のバトル曲風に作ってあるのですが、Bメロから演歌が入ってきます。そしてサビはイントロの演歌のメロディを見事に使っている。

私がよく聞いていた80年代の演歌をどこかに感じるサウンドチョイスもまたいいですね。どうしてこんなに自然に演歌とバトルが合わさっているのかもう不思議でしょうがない、新しいジャンルを開拓されている名曲。いやぁ、これはほんとグッと来ますね、心にグッと入る。こんな戦闘曲あったら、一旦戦闘止めてしばらく聞き入るしかないんじゃないでしょうか(笑

 

32.紅鳶

きみどりルクスさん作。

一転、楽曲が西洋に飛びます。弦楽器・ピアノ・ウッドベース・クラシック系ギター・打楽器を遺憾なく使った踊りを踊るようなエレガントで優雅なアコースティックバトルサウンド。それぞれの楽器が激しくも呼吸を合わせたモダンさを感じさせます。ハーモニカがまたクールでかっこいい。

リズムの良い打楽器、艶やかなヴァイオリン音色、軽快で乾きをどこかに残しつつも潤いのあるギター・・・全部が美味しい。そしてこれだけ楽器がありながらそれぞれしっかり聞こえる。やばいっすよこれー、えらいかっこいいっすよー。こういうアコースティックなバトル曲は浜渦さんのアンリミテッド・サガの曲が有名かと思いますが、この紅鳶もすんごいおしゃれなので、これも途中で戦闘止めますね私は。サウンドがゲームを食ってしまうくらい良い曲です(笑

 

33.The Man-made Dryas

EBIさん作。

ケルティックサウンドを主体としつつ、ゲームの世界観全体を引っ張ってくるかのような様々な要素の内包率の高い曲。5→6→5・6→7+7+7+8など、拍子展開が非常に細かいのにそれを全く違和感として出さない辺り、本当に細かいところにまで緻密に手が込んでいるのがとても印象的。(間違ってたらすいません)

ケルト音楽がメインではあるのですが、効果音もふんだんに取り入れてあって、ゲームに使われているであろう感覚がそのままこの曲に取り込まれている感じがしました。フィールド曲というか、世界全体を自由に動き回る、旅と戦闘が一つのシステムとしてあるような、ゲーム自体が音楽と融合しているイメージ。これも色々取り入れてあって、一言では言い表せない広大さがあります。

 

34.龍樹の森

ころはさん作。

コロポックルの一生懸命冒険しているというような、心温かになるバトル曲。戦闘というよりは、一つの冒険を感じます。退治するという感覚も薄く、どちらかというとやったー!頑張ったぞー!というコミカルなゲームに非常によく似合う、木琴のメロディがほんとに心安らかになる。嬉し泣きしそうなのはなぜだろう。

フルート系の木管楽器とスネアの行進、後ろで実は結構忙しない仕事をしているストリングス・・・勉強になりますほんと。そして楽しい雰囲気ではあるのですが、なんだろう。こうして生きていることに何より喜びを感じているような感覚というのでしょうか。その作品の世界観をしっかり支えるようなバランスの良さもいいなぁ、ギュッと詰まってる宝箱みたいです。

 

35.fight against

豊葦水穂さん作。

ブラスのイントロが印象的なオーケストラ系バトルサウンド。木管、ブラス、ティンパニと非常にシンプルな構成ながら、笛のメロディがとても印象的です。笛のメロがかなり長い間旋律を司っているのですが、ここまで笛のリードでメロディ展開を作り上げるのは結構大変なはずなのですが、それを統一感を持ちつつ、微細に変化をつけているのは凄いです。

シンプルな構成ながらティンパニと和音を構成するブラスで低音とコード感がしっかり補われており、ツインリードの木管のハモリがバトルのテーマである哀愁さを作り上げています。これに肉付けされたバージョンとか、絶対かっこいいですよね。

 

36.Battle Beat

つばさくんさん作。

オーケストラとロックテイストの融合された、打楽器のビートが心地良いバトルサウンド。艶やかなトランペットと、中途で入ってくるアコギの旋律がどこか荒野を感じさせます。そして、後半に入る前に太鼓の音がソロになるところとか、一呼吸ある感じでかっこいい。後半のブラスのふくよかさなど、重厚な兵士を感じさせます。

技の応酬というよりは、曲全体の緩やかさから交互に力を見せ合う試合に近い印象があります。太鼓と入れ替わりで入るスネアの音の抜けから貫く天空を感じるので、グラディエイター同士の冷静なるぶつかり合いみたいに思えて、熱い中にもクールさも合わせてもっているようにも感じます。

 

37.Battle on the Ice

SOS☆さん作。

こちらもどちらかというと中世ヨーロッパの戦士同士の誇りをかけた戦いがイメージされるバトル曲。王城にて、王の御前試合のような、衛士たちの静かで厳かな戦闘。ゆっくり振り下ろす剣にはしっかり力が篭っていて、どこか泥臭さも感じるような。王の威厳がかなり間近に感じられて、分厚い権威を感じます。

タイトルから察するに、氷上か、もしくは寒い北国の屈強な戦士を思わせます。過酷な世界で生きる戦士の戦いは、環境からスピードというよりは、純粋なる力か、もしくはそこで生きるための胆力なのか。いずれにしろこれは力強いです。

 

38.Chiastolite

Gowrock as Salamanderさん作。

やばい、これはオーケストラで来てるけど、茫漠たる荒涼とした美しい世界を感じる。ワイルドアームズを彷彿とさせる、廃れ行く中にも生きる希望をもった生命の力強さを風に乗せて送り込まれるような、静かなかっこよさのある曲。この旋律でコーラスとピアノが乗るのはずるいですよね。ずるいんです、感動しないわけがない(笑

真ん中にブラス隊がいるのですが、それがもう真っ直ぐ進んでくるようで、勇ましい兵士の行進を思わせます。大きな打楽器音の振動がめちゃめちゃ気持ちいいです。そしてストリングスに合わせてピアノやコーラスが重なって戦闘にいざなってくれるんですよ。メロディアスだ~これは良い。

 

39.ReΞbellIon

gLa+nZさん作。

このオーケストラの怒涛の攻めはなんでしょう。まるで大海に飲まれる一匹の蛇の気分。打楽器の空気を揺らす振動音が迫力を増しますね。民族系の打楽器、電子音を取り入れた新世界シネマティックバトルサウンド。ガンダムUCのサウンドを作っていた頃の澤野さんの雰囲気をどこかに感じます。私には宇宙空間でのドラマの展開が伺えてしまう・・・。

シンセベースと民族打楽器が中盤入ってくるのが雰囲気をガラリと変えてくるんですよね。人の生きる世界に同居する無機質な音。そしてこの浮遊感、どうしても地上戦ではなく、宙間戦闘に感じてしまう。ドラマティックな運びになっているので、敵もやはり同じ人なんだと思います。無機質さは機械を使っているから、なのかなぁ(笑

 

40.Dice or Die

かまきりざーどさん作。

これは、初心に戻って地上戦ですね!?シンプルながらロックテイストでコンパクトにまとまっていて、SFCのファイナルファイトとか、そういった拳闘家の強さを目指す等身大の戦闘を感じました。メロディが耳に残りやすいです。こういうストレートなメロディラインと曲展開はやはり王道ながら安定したかっこよさがありますね。

これで格闘ゲームとかやってたら普通に燃えるだろうなぁ。バックの音の厚みを作るパッド系シンセ音が良い仕事していて、そのお陰でリード音がハモりでなくとも聴きやすい気がします。ベース音が時々上がってスラップテイストを出すのも美味しい。いや、いいなぁ。安定感のあるドラムも素直にかっこいい。

 

41.黄昏に沈む記憶

Rucaさん作。

ピアノのリフとリードの笛に歌うようなコーラスのイントロが印象的。余りに哀愁溢れすぎてて、戦っているというよりは、泣く泣くそうするしか他に道がないようなド悲しすぎる旋律の楽曲。もはや半自動のボタンを押したくないイベント戦闘。戦いたくない。でも避けられない。身が引き裂かれそうだ・・・。

現在41曲目ですが、ここまで真っ直ぐ悲しみに向けた曲はこれが一番なんじゃないだろうかと思ってしまう。それくらい悲しい。しかも後半、笑顔でさよならしようねといわんばかりの明るくしていこうという雰囲気がかんじられるところがまたやばい。なんなんですか、泣いていいですか。俺は今、泣いていい。(スクライド風

 

42.Atrocity

MIKAMI MAKOTOさん作。

黄昏の曲がラストにオルゴールで〆ていて、この曲はそんなオルゴールから始まり、激熱のシネマティックサウンドに繋がるという。しかしタイトルがまた・・・どこまでも狂気をはらんでいるバケモノが相手でもおかしくないというバトルサウンド。Undertaleの狂ったフラウィーを思い出しましたが、こちらの曲はより荘厳に、雄大さがあるという点では強大な気がします。

これはほんとに巨神兵のような、ワンダと巨像のあいつみたいなやっばいやつが顔を出しているのが浮かびました。そしてこの楽曲、シネマティックではあるのですが非常にまた聴きやすいんです。音の置き方がすんごいクリアで個人的な好みになりますがこのミキシングは私は凄い好きです。ホール感はあるんですけど、壁を感じない。壁がないわけじゃないんですけど、なんだろう・・・とても心地良い。

 

43.エンカウントなう

くふさん作。

JAZZ風のバトルサウンド。耳に残るメロディラインと軽快なテンポが合わさって個人的に好きな楽曲です。ウッドベースと打楽器がまるで一つの楽器のように厚みを作り出しているのが私にとってはとても新鮮です。ピアノを弾く様が楽しそうでニヤけてしまいますね、トランペットのリードが何とも言えず聴きやすい。

こんなノリの良い、聞いてて心地良い戦闘曲なら、あまり避けようとは思わないです。あと、戦闘というよりは純粋にそのゲームを楽しめる躍動感を感じるため、若干戦闘そっちのけになりそうなくらい聴き応えがあるのですが、戦闘とがっちりハマると脳汁出まくりそう。3分も尺があると長丁場でも戦闘が楽しめて、それもまた良しという風にバトルが楽しめる。いいなぁこういう楽曲。

 

44.逃走

しっぽさん作。

これはちょっと笑いました。ねずみ小僧もしくはクールな怪盗の喜怒哀楽を含む逃走劇を描いたようなバトル曲。しかも逃走ではあるのですが、すんごいかっこいい怪盗なんですよね。0:46辺りの展開が超好き。なにこのかっこいい作り。程好く歪んだギターと垢抜けたドラム、急遽入ってくるストリングスの絶大な効果。逃走というにはあまりにドラマが盛り込まれすぎてて、ギャップ差にやられた。

2:02で私の超好きな展開が再び来るのですが、途中でトランペットが離脱してストリングスのみのメロディラインになるところとか、なんですか。私の知らない私のツボ付いて来るとか。しかもところどころピアノだったりストリングスがオシャレな動きしてて、いやーーーー、曲聴きながらニヤけてる自分今気持ち悪い顔してんだろうなぁ・・・(笑

 

45.ホカホカ村の大剣士じゃがいも

MAKOOTO作。

あれこれは、と思ったら自分の曲でした。もうそんな順番まで来ていたのか、そしてここまで感想を書いてもう何時間経つだろう。ここまで様々なバトル曲を聴いてきたこともあり、改めてじゃがいもの曲を書き直したくなってきました。2でやろう2で。

ロックテイストを主体とはしているのですが、自分でタイトル付けてて言うのも何ですが、ふかしイモみたいな印象があるんですよ。ハマりそうでハマっていない、どこかフワッとしたような。そう、ふかした後の皮がこんなにも簡単に剥けてしまうのかといったように。我ながら、なかなか形容しがたい。

 

46.決勝戦 of Something

まっしゅまろんさん作。

私の中での剣と魔法の基本的なRPG戦闘曲として一番ハマってる気がするオルガンとギターの旋律が気持ちよい正統派バトルサウンド。ほんとこの曲好き。軽快なオルガンが常に音の厚みを支え、Aメロはこれまた聞きやすい太さが見事なシンセリード、そしてサビはギターリードという私の中では基本の王道RPGバトルを全て兼ね備えているという、理想の具現化されたような楽曲。リリースの短い軽快でアタックの強いスネア・・・等々、好み貫いててやばいです。

タイトルが「決勝戦」とあるので、戦闘というよりはスポーツに近い試合を感じますが、それがまた優しいですね。M3でご本人にご挨拶させて頂きましたが、非常に爽やかな方であられました。

 

47.対峙

保積さん作。

この方の作られる楽曲も私好みでございます。大王道の非常に純度の高いシネマティックバトルサウンド。まず音の迫力が凄い。ここまで音の遠近を作れるのも凄いのですが、残響の臨場感がハンパ無い。特にブラス系。シネマティックではあるのですが、この楽曲ではメロディが意識ささっているように感じられるので、敵は生物ですね。しかも歴史ある感じ。神という存在よりはもう少し地に足の着いた印象があるので、ドラゴンですかね。低音部で鳴っているシンセベースらしき音から、なにかしらの自然の主でありそう。

曲の作りから、繊細さと雄大さを同時に感じる名曲。

 

48.Rebel Struggle

MATSUさん作。

おお、こちらもまた王道オーケストラのラストバトル曲ですね。こちらの曲はこれまでの自分達の辿ってきた道の集大成を迎える最終章というイメージがあります。オーケストラ部隊に負けないくらいピアノの音の存在感が全範囲にあり、まるで何かの神々と戦っているような降臨感があります。

タイトルから、これは人間同士の反乱というイメージよりもやはりヴァルキリープロファイルに出てくるような神々への反逆というイメージの方が合う気がします。この楽曲に相応しい神が相手だと、とてもじゃないですが敵うようには思えないんですけど、神もひっくり返すと人間ですからね。面白いものです。しかし同じシネマティックサウンドでもこんなに方向性が違うことで色が変わるとは・・・。

 

49.eNsis

しぅさん作。Vo. 稚紗さん。

うおおお、ここでボーカル有りのシネマティックバトル参戦!!なんつー熱い展開なんだ。結構前にANUBIS Z.O.Eという当時やっばい近未来型アクションゲームがあったんですけど、それを彷彿とさせるボーカルの声による透明感と四つ打ちとシネマティック融合型というとりあえず超かっこいい曲です。

いやー、歌が入るとまた一層人間模様が強く印象付けられる感じがしますね。これはもう舞台が宇宙とか時空を超えてるんですけど、最終的にそこで繰り広げられるのは人間同士のぶつかりあいだったという、原点回帰を思わせます。音使いがこの曲もまた非常に上手い。もう私の体力はマイナス振り切って一周して戻ってきました。メビウスの輪。

 

50.Phantasm Strike

JourneyCatさん作。

全50曲の弓道で言う落ち、つまりトリを務める楽曲。全てのバトルを全ての次元を超えて最後に束ねるような結びに相応しい楽曲。転生した人間が、どの時空でも同じようなドラマを向かえ様々な経験をして一つに戻り、その自分を作り上げたこの世界の理と向き合うような、そんな次空間楽曲。なんですか次空間楽曲って。

この曲を聴いてると、ほんとにこれまで辿ってきた世界全てをサァッと風になって通り抜けるような感覚があります。なんだろう、ほんとに大事なことって、一人一つここに持ってるだけで、それだけで無敵になれるんだろう。色んなもの全部洗い流されてしまいました。細かいこと吹っ飛んでいく、そんな最高に爽やかな楽曲でした。

 

 

BATTLE COLLECTION 3を聴き終えて

今時計を見たら、10時間丸々かかってしまった(笑)。楽曲は計50曲で3時間弱なので、その3倍ですね。むしろ短く済んだほうではないかなと思います。記事の文字数は過去最高の17,000字弱。もっと旅行記などで果てしなく長い記事とはありますが、平均3,000字の自分にとっては大台を結構更新しました。ヤッタネ!

バトルコンピ3は聴き応えがありすぎて流石に一回休憩を挟みましたが、それに見合うだけの理論と感性が詰め込まれた、全てで一つの作品になっていると思いました。全編通して一曲一曲にそれぞれの個性・良さ・方向性などが違っていて、同じバトルという括りで本当にこれだけの色があるんだと痛感しました。

 

自分の感性からあれこれ書いてはいますが、最終的に言えることは、一つ一つの楽曲どれもが想いの宿った名曲であったということ。これは本心です。全てに私の学びがあった。そしてこんなにも音でそれぞれの世界が表現されているとは思わなかった。

めちゃくちゃ勉強になりました。どうもありがとうございました。

早速これからの曲作りにこの学びを活用していきたいと思います。

 

そしてSayaquさん、曲順見事でした。これの順番考えるのも結構悩むと思うんですよ。でもこれ、正解だったと私は思います。序盤から中盤も凄い面白かったんですけど、終盤にかけての盛り上がり方やばかったです。さすが主催なだけはある!(笑

 

はーーーーーーーーーー

 

すんごい良かったーーー…

 

 

それでは!

 

セガ・マスターシステムをエミュレートしたプラグイン『SN76489』でチップチューン作り

今日は、フリープラグインである「SOCALABS 8-BIT TREATS」から、「SN76489」で音弄りなどをして遊んでみたいと思います。

 

セガ・マスターシステムとは、1985年(ファミコンの2年後)に日本で発売されたセガ・マークⅢの北米版のゲーム機のこと。日本では、その北米版を逆輸入する形で、その2年後の1987年に発売されていたそうです。

メガドライブの前のバージョンがこのセガ・マークⅢ、セガ・マスターシステムで、そのメガドライブの後継機がセガサターン。そしてドリームキャスト

 

私が小学生低学年くらいの頃、友達の大半は皆ファミコンを持っていて、よくゲームソフトを持ち寄って遊んでいました。そんな中、一人二人はファミコンじゃないのを持ってたんですよね。それがPCエンジンとかメガドライブとかでした。

その友達の家に遊びにいかないとプレイできないゲームだったので、かなりレアでしたし、新鮮だったのを覚えています。

「ひろしん家いってアレやろーぜ!!」(ソニックのこと

みたいなね(笑

 

SN76489の仕様を確認

  • 矩形波チャンネルが3つ
  • 3和音発声
  • ノイズチャンネルは1つ(種類は2つ)

 

…と、結構シンプルな構成になっています。一般的には「PSG」と区分けされるこのSN76489。厳密には違うものではありますが、単純に音として聞いて判断する場合は「PSG」と言っても間違いではないです。伝わるには伝わる。

 

PSGとは(狭義)

厳密には、PSGは「Programmable Sound Generator」の略で、GI(ゼネラル・インストゥルメンツ)社の

  • AY-3-8910(またはこれの相当品)

のことをいいます。その仕組みは、

  • 矩形波3(Duty比1:1固定)+ノイズ
  • ノイズの音量出力は矩形波3チャンネルのどれかに依存
  • エンベロープ(ADSR)制御

ということで、デューティ比50%固定とエンベロープ機能、ノイズの音量出力方式が矩形波チャンネルに依存している点が特徴的。

 

DCSGとは(狭義)

「AY-3-8910」をPSGと呼ぶ場合、「SN76489」をDCSG(Digital Complex Sound Generator)と呼びます。

SN76489では、

  • 矩形波3(Duty比1:1固定)+ノイズ
  • ノイズの音量出力は独立して制御できる
  • エンベロープ(ADSR)なし
  • 3チャンネル目を同期ノイズ出力にすることでデューティ比6.25/93.75の音

「矩形波3+ノイズ1」の構成は「AY-3-8910」とは変わりませんが、エンベロープなしということと、ノイズが独立して音量調整ができます。

 

SSG音源とFM音源

ヤマハが作った「YM2203」という音源チップには、FM音源とSSG音源が組み込まれています。SSGとは、

FM音源によるPSG互換機能をSSG(Software-controlled Sound Generator)音源、単純にSSGとも呼ぶ。

出典:Wikipedia「PSG」より

とあり、AY-3-8910のPSG機能のソフトウェアのこと、でしょうね。ヤマハではPSGをSSGとも言うそうです。

 

Wikiでは『YM2203をFM音源チップ』と書かれているので誤解してしまいそうになったのですが、厳密には、

4オペレータ、同時発音数3音のFM音源に加え、AY-3-8910(PSG)相当のSSG(Software-controlled Sound Generator)音源と、入出力を備え、プログラマブルタイマーを2系統内蔵する。

出典:Wikipedia「YM2203」より

とあるので、

「 YM2203 = FM音源 + SSG(PSG)音源 」

ということになりそうです。

 

 

以上より、ピコピコしたファミコンサウンドには大体矩形波が使われているので、それを「PSG」と言っても間違いではないのでしょうが、この表現だと誤解を生んでしまう恐れがあるので、私は「ファミコンサウンド」とか「ピコピコ音源」とか使ってます(笑

 

 

SM76489の操作方法

  • Pulse1~3が矩形波1~3チャンネル分の音量出力0~100%
  • Noiseの音量出力0~100%
  • 右のTypeはNoiseの2種類、Priodic/White
  • 右下のSpeedはNoiseのパターン4種、Fast/Medium/Slow/Tone2
  • 矩形波の3音はポリフォニック

 

プラグインSN76489の特徴は一つのトラックで、矩形波が3音同時発声するので、トラック数を分けなくていいので便利ですね。ノイズも同時に発声するのですが、これは別トラックで分けた方が使いやすそうです。

 

ポリフォニックの仕様は、3音発声の場合、一番下のノートからPulse1・2・3と出力が振り分けられる仕様のようです。

 

例えば、MIDIトラックに3音分のノートを置いて、このようにPulse1、2は100%(出力ON)にして、Pulse3の出力を0(OFF)にすると、上のE5・D5の音は鳴らない。

 

また、低音はA1より下は全部A1音が鳴り、それより下の音は存在していない形になっています。

 

 

Type「Periodic」について

Wikiの「PSG・SN76489の項目(ページ中段辺り)」では、

通常音色はデューティ比50/50のみであるが、3チャンネル目を同期ノイズ出力にすることでデューティ比6.25/93.75の音となる。トーン周波数に対し音程は半音ずれるが、ギターに似た音色となるため、若干弱い低音部をカバーする事が出来た。

とあり、SN76489の右側「Periodic/Tone2」にすることで、Duty比6.25/93.75の矩形波の音が出ます。

 

まず、3音鳴るようこのようにノートを置いてみます。

 

全ての出力をONにして、Type「Periodic/Tone2」にすると、一番下の音でなくて、一番上の音(Palse3)の音にノイズチャンネルが同期し、メロディが高音と低音でカバーされる形になりました。

ちなみにこのままの状態で、PeriodicのTypeをFast、Medium、Slowにしてみると、Pulse3にノイズが追随せずに、オクターブ違いのA音が出力されました。

 

・Periodic/Fast

 

・Periodic/Medium

 

・Periodic/Slow

 

 

キーをA音にしているのでそんなに違和感ありませんが、毎回曲中これだと流石にきつい。

また、このノイズ部分の音の使い方に関しては、例えば一度ノートを置いて鳴らしたあとにノートの上下入れ替えたりすると、先に鳴らした同期音を記憶しているのか、一番上のPulse3でなっているはずの音には同期しなかったりします。

 

まず、最初の状態。

これを、ノートの場所を変えてみます。

 

2小節目の一番下のベース音(黒く選択されているところ)を・・・

 

2オクターブ上げて、Pulse3が鳴らすはずのポジションへ移してやりました。

 

しかし、ノイズ同期はこの一番上に上げたはずの音には同期せず、ノートを動かす前の一番上だった音に同期したままという。

うん、なんだかこの挙動には懐かしさを感じます。MMLでSC-88proのインサーションエフェクトとか弄ってた頃を思い出します。ON/OFFの命令を指定してやらないと音が出っぱなしとか、設定リセットされないまんまとか(笑

 

ノイズ同期音をベース音にして音を鳴らすには

完全解決とはいきませんが、このノイズ同期のデューティ比6.25/93.75の音をベース音に持っていく為に、私なりの工夫の一例を以下に書きます。

初めに全チャンネル出力をONにして、右のNoiseTypeは「Reriodic」、Speed/Tone2にしておきます。

 

MIDIノートは、一番上にベース音が来るよう配置。黒く選択ささっている部分がそうですね。ノート音とPulse出力の振り分けは、

  • 下から順に、Pulse1、Pulse2、Pulse3

となっているので、この一番上のノートはPulse3が担当し、尚且つ再生時のノイズ同期もこのPulse3にされる(私の環境ではそうでした)。ノートの位置に気を付けながら打ち込んでいって、完成となったら、

 

Pulse3の出力だけ0%(OFF)にして再生してやります。

すると結果はこんな感じ。

デューティ比6.25/93.75の矩形波のベース音にすることに成功しました。

 

ちなみに同期はさせずに「矩形波3つ分」と「ノイズチャンネル分」を別トラックで用意して綺麗にまとめた版はこちら。

音的には後者の方がいいかなと個人的には思います。

 

 

おわりに

このプラグインはポリフォニックなので3和音分+ノイズ分の2トラック分のプラグインを起動させてやれば、難しいことは考えずに普通に曲は作れるかと思います。

ノイズ同期部分に関しては不透明なところがあるのですが、デューティ比6.25/93.75の音を出したいなら、別のプラグインで1トラック用意してあげたほうがわかりやすくて楽かな。要はその音が出せればいいのだから。

プラグインとしては、ポリフォニックというのが使いやすくていいですね。

 

 

おわりに2

以上、4回に渡ってSOCALABS 8-BIT TREATSのプラグインの使用感を、チップチューンの知識底上げとして記事にしてみました。

ここまで記事にして来てこれを言うのも何ですが、

  • チップチューンを作るならわざわざこのプラグインを使う必要はない

ということ。

みもフタもない言い方になりますが、シンセ音を弄る音源は本当にたくさんありますし、このプラグイン自体、1980年代のレトロゲーム機の音源をエミュレートしているだけあって、それぞれ癖があって使いづらい部分もあります。

DPCMや波形メモリ音源の部分もなかったりしますから、完全なエミュレートとは言えないでしょう。(DPCMはそもそもサンプリングで、また波形メモリ音源は別個の技術になるので、このプラグインのコンセプトから敢えて省かれていると思われます。)

 

しかし、このエミュレートプラグインから私が強く感じたことは、そういう部分ではなくて、当時はそれぞれに個性があって、またそれぞれの癖がある中で様々なサウンドが作られてきたということ。今では一緒くたにされてしまう内容にでも、きちんと違いがあったんだよという気持ちを強く感じる。

そういう意味で、自分の知識も含めて、チップチューンの違いをこのプラグインを通して少しでも整地できればなぁと思って記事にしてみました。簡単に書けるかと思ったら結構時間かかってしまってます。

 

幼少期にリアルタイムで触れていた世代ではあるのですが、何分エミュレートの専門的な知識がそこまでないので、どっか間違ってないかなーと少し心配ですが、その時は是非教えてくださいませ(笑

 

それでは!