【DTM】雅楽の打楽器『羯鼓(かっこ)』(鞨鼓)の音作りと打ち込み方【和楽器】

今回は、雅楽で使われる打楽器の

  • 羯鼓(かっこ、鞨鼓とも)
  • 太鼓(たいこ)
  • 鉦鼓(しょうこ)

の3つの打楽器のうちの一つ、羯鼓についての打ち込みについて書いていきます。本当は3つ全部やるつもりだったんですけど、結構記事が長くなってしまったので今回は羯鼓のみとなってしまった。

 

雅楽の打楽器

雅楽では打楽器を「打物(うちもの)」と呼び、その演奏スタイルの一つである“管絃”で使用される打物は、

  • 羯鼓(かっこ、鞨鼓とも)
  • 太鼓(たいこ)
  • 鉦鼓(しょうこ)

の3つ。「羯鼓」の字は、昔は羊の皮が使われていたためで、今はそれ以外の革も使われる為「鞨鼓」とも書くそうです。張られた革を桴(ばち)で叩いて音を鳴らします。

また、この“管絃”の他に“舞楽”というものがあり、この舞楽には、

  • 左方の舞楽(唐楽)
  • 右方の舞楽(高麗楽)

と2種類あります。

 

今回の題材となる羯鼓はその“管絃”“左方の舞楽”で使われ、“右方の舞楽”には、羯鼓の代わりにそれによく似た「三ノ鼓(さんのつづみ)」と呼ばれる打物が使われます。

三ノ鼓の羯鼓との違いは、

奏法に違いがあり、右手には太い棒状の桴(ばち)、左手は楽器の調緒(しらべお:鼓面を結んでいる紐)を持って演奏します。一回あるいは数回打つ奏法(帝(テン)/帝帝(テンテン))しかなく、「鞨鼓」のように連続して打つことはありません。

引用:http://www.gagaku.net/Gakki/uchimono.html

と、打ち方のバリエーションは羯鼓に比べて少なく、またどちらかというとリズミカルに鳴らす打物のようです。

これは左方(唐楽)と右方(高麗楽)の系統の違いから見ていくと更に理解が深まりそうですが、今回は「羯鼓」についての音作りや打法の打ち込みなどをメインに見てので、ひとまずこの辺りに留めておきます。

 

羯鼓

次に、羯鼓の楽器としての役割と打法をまとめます。

雅楽における羯鼓の役割

  • 楽曲の指揮者のような存在
    → 熟練の奏者が主に担当する
    → 打楽器としての位は第一位
  • 曲全体の流れやその速度の進行を担う
  • 曲の終わりの合図も受け持つ

 

羯鼓の打法

打法は、ここでは動画の流れに沿って2つに大別します。

  • 一度だけ叩くのが「(せい)」
  • もう片方の手で叩く速度を少しずつ上げていくのが「(らい)」
    → 片方の手でそれを行うのが「片来(かたらい)」
    → 両方の手で交互に叩くのが「諸来(もろらい)」

尚、打法を3つで言い表す場合は「来」をまとめずに、「正・片来・諸来」と分けます。

 

羯鼓の奏法

上の動画は「正、片来、正、諸来」という流れ。越殿楽の始めもこの「正、片来、正、諸来」なので、3つの打法が入った一番基本的な型なのかもしれません。

また、羯鼓の奏法としては、以下「鞨鼓八声」という八つの代表的な型があるとのこと。

▼鞨鼓八声

  • 「阿礼声」(あれいせい)・・・調子という楽曲に用います。 (是調子ノ打方ナリ)
  • 「大掲声」(だいかっせい)・・・延八拍子の楽曲で用います。 (延八拍子ノ打方ナリ)
  • 「小掲声」(しょうかっせい)・・・早四拍子の楽曲で用います。 (早四拍子ノ打方ナリ)
  • 「沙音声」(しゃおんせい)・・・早八拍子の楽曲で用います。 (早八拍子ノ打方ナリ)
  • 「璫鐺声」(とうとうせい)・・・輪台、五常楽破で用います。 (尋問抄曰、中八拍子ノ打様ナリ)
  • 「塩短声」(えんたんせい)・・・序吹の楽曲に用います。 (序ノ打方ナリ)
  • 「泉郎声」(せんろうせい)・・・延四拍子の楽曲で用います。 (延四拍子ノ打方ナリ)
  • 「織錦声」(しょくきんせい)・・・六拍子の楽曲で用います。 (六拍子ノ打方ナリ)

参照:歌舞管弦 – 羯鼓 – より

雅楽の曲を本来の伝統に沿って作製する場合などはこの辺りも掘り下げて学んでいく必要はあるかとは思いますが、ひとまずここでは「正・片来・正・諸来」という基本と思われる奏法と、古代の文献にもある8つの伝統的な奏法があるのだということを押さえておきます。

 

羯鼓の打ち込みサンプル・正

まず打法「正」の音をサンプルとして作ってみました。

これは動画にある羯鼓の音などを参考に、EZX LATIN PERCUSSION / BOXという音源のC#3・Bongo2の音をEQ加工して高めの音が特徴的な具合に作ったものです

 

ちなみにこちらがLATIN PERCUSSIONの加工前のBongoの音。これだけ聞くと、ああ、ボンゴだなって感じです。

 

羯鼓の音作りはボンゴなどの高い音が出る音源で代用

羯鼓は打物の中では直径も小さく、割と甲高い音が鳴るので、このようにボンゴなどの音を使って代用できるかと思います。

最近和楽器のソフト音源が増えてきているので、もしかしたら羯鼓の音源もあるのかもしれませんが、私もまだ詳しく調べ切れていないのと、手持ちで再現できるならその方が早いと思って加工して作りました。単音ですしね。

 

Bongoの音から羯鼓の音へのEQ加工の図例。

リファレンスの音と元のBongo音の差をCubase内のStudioEQを3つ使い、元音に近づけつつ、聞いて違和感のないくらいまでもっていきます。原音はもう少し1~5kHz辺りも出ていましたが、加工用のボンゴでそこをブーストするとキンキンして私の耳が「それはダメ」と言っていたのでそこは抑え目に。

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]こういう加工をする場合は、周波数だけをそのまま似せても原音の通りになるわけじゃないから、最終的には自分の耳で判断するといいよ[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]おっ、急に登場とはやるな[/speech_bubble]

 

作った羯鼓の音の周波数特性

作った擬似羯鼓の音の周波数波形。音のピッチにもよりますが、今回の音では550、690Hz辺りが一番よく出ていて、継いで350、990Hz周辺、そして1.5k、2.5kHzという感じです。あと、見えてはいませんが100Hz辺りを少し持ち上げてやると、ポンッという羯鼓を叩く独特の迫力が少し出てきます。

こうして音を近づける作業は、一側面ではあっても音の特徴が自分の中に経験値として蓄積されていきますし、新たな発見があってやはり楽しいですね。

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii3.jpg” name=”ルイー”]打楽器系の100Hz辺りは迫力が出るのか[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii5.jpg” name=”ルイー”]・・・フッ、俺も100Hz出すしかねーな[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]そうだね、君の顔下ほとんどないもんね[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii2.jpg” name=”ルイー”]実は地上から若干浮いているのだ!![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu6.jpg” name=”シブ君”]・・・ドラえもん?[/speech_bubble]

 

「正」の打ち込み例

こちらは打ち込みの様子。BPM120の一小節を1/64に区切った状態です。EZX LATIN PERCUSSIONのBongo2ではベロシティの変化だけでは音が小さくなりきらなかったため、オートメーションをかけて音の消え入りを表現。

「正」の叩き方にもよるでしょうが、今回は動画を参考に9音使い、その間隔は頭の音から順に、

  • 92,80,80,80,75,90,70,100msec

と微妙に法則が見出せない感じとなりました。さすが手癖の間隔。

 

ちなみにこれを簡略化させようと、頭を揃えてから1/64でクオンタイズをかけてやると・・・

こんな感じに。これならまぁ、先程とそんなに違いはないかなぁという印象。他の音と混ぜれば多分わからない。

 

これをもっと簡素化しようと1/32でクオンタイズをかけてみると・・・

・・・大分ズレを感じるかと思います。

ただ、羯鼓の「正」らしい打ち込みを表現するなら若干簡略化しすぎかなと個人的には思いますが、そういうのを抜きにして打ち込み表現の一つとしては十分ありだと思います。新たな発見なら尚良し。ドラムのフィルの作り方とちょっと似てますね。

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]ポジティブ~[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]ぽじシブ~[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu3.jpg” name=”シブ君”]は?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii3.jpg” name=”ルイー”]わー、ダークシブの登場だー[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]・・・[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu7.jpg” name=”シブ君”]かわいい?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii4.jpg” name=”ルイー”]いや、かわいくはねぇよ[/speech_bubble]

 

最終的に表現者それぞれの好みや思惑で割と簡単に押し通せたりするのが音楽というものでもあるので、この辺は参考程度に見て下さい。

 

羯鼓の打ち込みサンプル・片来

・・・このあと、何かがトトンと登場するようなイメージがどこかにありますね。

 

「片来」の打ち込みの様子です。「正」では、ドラムでいうスネアのゴーストノートを細かく見ていった形になりましたが、上画像では丁度良く1小節ごとの間隔で音の間隔が段々と狭くなっている。

DTMでの打ち込みでこれを表現する場合は、

  • 上画像のようにBPMを固定して音を段々狭めるようにおいていく
  • もしくは、音の間隔を固定してテンポを段々速めていく

の2パターンのやり方がオーソドックスかと思われます。要は自分のやりやすい方法でそれっぽく聞こえればOK

 

一例として、BPM固定ならばこうして「1/8・1/8の三連符・1/16・1/16の三連符」という風に、一拍置きに順に幅を狭めてからクオンタイズでランダム化を掛けるというやり方や、

 

バーッと同じ間隔で音を並べてからテンポトラックで段々速くするだけで「片来」の表現の基本形はできます。

 

羯鼓の打ち込みサンプル・諸来

音として聞く分に「諸来」は基本的には片来と同じですね。

 

ただ「諸来」は、羯鼓を左右から交互に叩いて音を出す打法なので、細かい表現をするならば左と右の音のピッチ差を若干ずらすなどして僅かに音の違いを作ると、よりそれっぽくなるかと思います。なので、上のサンプルでは2つの音を交互に鳴らして作成しました。

 

スーペリアドラマー2.0で読み込んだラテンパーカッションの音作りでは、左と右の音でそれぞれ音源を立ち上げ、ピッチの部分のみを若干ずらす。基本はこれだけです。理由としては、「左の面」「右の面」それぞれに張られた“張りの強さ”は違いとして分けた方が自然であろうという考え方から。

また上画像では、ボンゴ音の頭の鳴り直後の余韻が少々大きすぎたように感じられたため、アタック感のみを強調するようエンベロープ調整をかけています。

 

ただ、実際に叩く音では、一面であっても、強さ、場所、空気感などで、厳密に言うと全く同じ音は出ません。なので耳で聞く分には、片来と諸来、どちらがどちらかなどそもそもわからないこともあるため、一音のみで諸来を表現しても特に違和感はないかと思われます。今のサンプラー音源なら毎回違う音が出るように設計されていたりしますしね。

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]最初にしっかり押えておけば、後で手間を省く時が楽ってことだね[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]でも、時間かかるならいっそ録音したほうが速かったりしないか?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]ま、ねー[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]サクッと録音で済ませられたらいいけどね[/speech_bubble]

 

・・・今回、羯鼓について少しだけ細かく見ていく形をとっていますがこれには理由がありまして、調べてみると、

演奏は難しく、長い年月を掛けて研鑚を積んだ雅楽家でも円滑に演奏することは容易ではないという。東儀俊美は、自然と音楽のリズムを把握する奏者でなければ、上手く羯鼓を演奏するのは難しいと指摘している。

引用:Wikipedia 羯鼓 より

というように、羯鼓の演奏にはかなり高度な技術や経験が必要とされるとあったから。

東儀俊美氏は代々雅楽を世襲してきた家系の熟練の雅楽師。その人をもってして「難しい」というのは、如何に羯鼓が雅楽において重要な役割を担っているかがよくわかる。

 

そんなわけで、DTMで打ち込みをするにしても力を入れておいたほうが自然だろうと考えて、羯鼓の初回にして少し気合を入れたというわけです。自分なりの敬意の表し方というのもありますが。

 

まとめ

今回の羯鼓について大雑把にまとめてみます。

  • 羯鼓が使われるのは、雅楽では“管絃”“左方の舞楽”
  • “右方の舞楽”三ノ鼓
  • 楽曲の中では指揮者(コンサートマスター)
  • 曲全体の流れやその速度の進行を担う
  • 曲の終わりの合図も羯鼓の仕事
  • 一度だけ叩くのが「(せい)」
  • 片方の手で少しずつ速度を上げて叩く「片来(かたらい)」
  • 両方の手で交互に速度を上げて叩くのが「諸来(もろらい)」
  • 代表的な奏法は「鞨鼓八声」
  • 音は少し高めで歯切れは良い
  • Bongoの音などで代用可能
  • 羯鼓の演奏次第で曲全体の絞まりが変わってくると思われる

 

こんなところでしょうか。

一応この記事では、雅楽の楽曲を本気で作るというよりは、もっとふわっと「和風の曲をDTMで作ろう」というものなのですが、折角なので一つの楽器ごとにこうして経験値を積み上げていくと、いつの間にか曲全体もクオリティアップ!!・・・という魂胆で進めていっております。

 

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]次は太鼓・鉦鼓について見ていくよ![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]てかさ、俺思いついちゃったんだけどさ[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]羯鼓の音、俺の頭にお前をポコポコ当てればそれっぽく鳴るかな?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]・・・[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]何その自虐ライブ[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]いやお前、四分音符の化身だろ、丁度いいじゃん[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu3.jpg” name=”シブ君”]そんな綺麗な頭に誰が乗るか[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii4.jpg” name=”ルイー”]え、それ褒めてんの?なんでキレてるんだ・・・[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu7.jpg” name=”シブ君”]それじゃーまたね![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii3.jpg” name=”ルイー”]相変わらず唐突だなぁ・・・[/speech_bubble]

 

【笙・Lv1】和楽器『笙』について一歩踏み込んで学んでいく【DTM】

和楽器である『笙』について、前回は鳴らせる音とそのコードである「合竹」の音と組み合わせについての触りを書きましたが、今回は笙を音色としてより使えるイメージを持つため、一歩踏み込んだ理解をしてみたいと思います。

 

笙の手移り

まず、笙の手移り(運指)について見ていきます。

ただこの記事では実際の笙を吹くわけではなく、「DTMなどで和風の曲を作るための自然な笙の使い方」を知ろうという方向性なので、運指というよりは、それぞれの指が担当する音を知る形といった方が適切かなと思います。

 

竹は、順番に、「千十下乙工美一八也言七行上凡乞毛比」と、ぐるりと円を描いて、並んでいます。

右手の人差し指で押さえるのが「比(ひ)、乙(おつ)、下(げ)」の竹。
右手の親指で押さえるのが、「千(せん)、十(じゅう)、工(く)」の竹。
左手の親指で押さえるのが「美(び)、一(いち)、八(はち)、言(ごん)」の竹。
左手の人差し指で押さえるのが「七(しち)」の竹。
左手の中指で押さえるのが「行(ぎょう)」の竹。
左手の薬指で押さえるのが、「上(じょう)、凢(ぼう)、乞(こつ)」の竹。

引用:築山桂オフィシャルサイトより

これをドレミファソラシド(CDEFGAB)の表記にすると、

  • 右手人差し指:比=C6、乙=E5、下=F#5
  • 右手親指  :千=F#6、十=G5、工=C#5
  • 左手親指  :美=G#5、一=B4、八=E6、言=C#6
  • 左手人差し指:七=B5
  • 左手中指  :行=A5
  • 左手薬指  :上=D6、凢=D5、乞=A4

という風になります。基本的には「一指一音」と考えていきます。

これにより「七」と「行」は指固定音であることがわかりました。この七(ラ)と行(シ)は全ての合竹で使われていて、合竹の主軸とも呼べる音と考えられます。これについては後述します。

 

手移りを色別で図にしてみるとこういう感じに。やはり図にした方がわかりやすいですね。「也」と「毛」は鳴らない前提です。

また、笙の各合竹の手移りについては穴守稲荷神社さんのサイトにある教則用資料が参考になるかと思いますので、リンクを貼っておきます。

  • 穴守雅楽会のページ一番下の教則用資料、楽譜:鳳笙の音取のPDF

 

笙という楽器の役割についてあれこれ

以下、笙の奏者であり、製作者でもある工房 西塔さんの「笙の研究」からの引用を中心に、笙についての理解を深めていく形をとっていこうと思います。

 

笙の音としての雰囲気

篳篥の音を笙の音が包み込んで天空へいざなって行く、その先導をするのが龍笛なのだ、という気がします。

雅楽の三管は、

  • 篳篥:主旋律を担当
  • 龍笛:主旋律もしくはその装飾(副旋律)を担当
  • 笙:その背景を和音で担当

という風にそれぞれの役割を持っているわけですが、雅楽では笙は篳篥の音に合わせて付いていくことが自然な流れのようですね。合竹などの和音で鳴らす場合は、曲全体を包み込むように上の方で鳴っているポジションが基本的には具合が良いようです。

 

笙の抑揚について

笙の吹き始めは静かに息を入れ、音が出るに従って強く吹くのは「先端をゆっくり動かしながら、その動きが厚みのある部分へ伝わって行くようにしているのです」(中略)一拍目はPPで、徐々にクレッシェンドし、四拍目がf かffになります。(中略)太鼓の「ズン」が鳴り、四拍目あたり、つまり「付所」の一拍前あたりから笙の主管が吹き始め、続いて皆が一斉に吹き始めます。 笙を構えるのは「付所の一小節前からゆっくり持ち上げ、三拍目の太鼓のズンのときに口に届くように」

雅楽では、楽譜の合竹もしくは音程の横に「●」黒丸が付いており、そこが太鼓の鳴る場所という意味で「付所」と呼ぶそうです。上記の内容を打ち込みで簡単に表現するとしたら、

こういう感じでしょうか。上画像では60が小節の頭で曲の入りだとしたら、実際に笙の音が鳴るのはその少し前からで、小節に入り段々音が大きくなり4拍目辺りで一番音が大きくなる。

笙の抑揚に関しては、雅楽の曲など実際に演奏されている曲を聴いて、自分の耳で自然なところを覚えていく必要はありそうですが、笙の音の入りはとても静かであるということを基本としてここでは押さえておきます。

 

蝉の声について

 

笙という楽器は、基本的には単音で吹く楽器ではありません。なぜならば、単音では蝉の声にならないのです。

これは「雅楽での本来の笙の使われ方」ということですね。そしてこの「蝉の声」という部分は、

 

明治時代の多忠龍楽師の書物に「蝉がジェージェー鳴いている中にチィーッという高い音が聞こえる。それをねらって作る」と記してあります。つまり、実音ではなく共鳴音ということです。(中略)
七・行の音がなぜ通奏音なのか、なぜすべての合竹に七・行が含まれているのか、ということを考える必要があります。この七・行が蝉の声を誘因するに違いないのです。

七(A5)と行(B5)の音は前述の通り、全ての合竹に含まれている音です。前回の笙の記事では単純に合竹の大まかな特徴として「全音間隔の組み合わせによる響き」と書きましたが、どうやらこの七と行の音が笙の合竹のキーとなるようです。

 

次に「七と八」の音を合わせて吹き、同時に鳴り出すようにするのがバランスです。バランスが良ければ、静かに吹きながら耳を澄まして聞きます。七の音でもない八の音でもない別の音が「チィーッ」と鳴っていたら、それが蝉の声です。聞き分ける方法は「八」を鳴らしてその音を意識しながら「七」を加える。「八」より高い音が鳴るかどうかということです。

七はB5、八はE6。完全4度の間隔ですね。笙のこの音程はかなり高いところに位置しますが、この二つの音で新たな音、つまり七と八を同時に鳴らして共鳴音が発生すれば古代の笙による蝉の音の再現が出来るということでしょう。

DTMではこの辺は自分の作るスタイルやジャンル、手間などで作りこみも変わってくるとは思いますが、笙の知識としては押さえておきたいポイントですね。

 

合竹を七と行を基本に分析してみる

笙の和音は基本的には十種類で、そのいずれにも「行(A)」ど「七(B)」の二つの音が通奏音として入っています。
その十種いずれもが「行」を中心にした3度5度8度に該当する協和音と、「七」を中心にした3度5度8度に該当する協和音との二種類を一つに合わせたものです。

とのことなので、まず最低でも全音間隔で開いている合竹「乞」を例にとってみます。

合竹「乞」の構成音は、乞(A4)、乙(E5)、行(A5)、七(B5)、八(E6)、千(F#6)。

ここで、行・七それぞれから各音を見てみると、

  • 行(A5):乞(A4)は1オクターブ下、八(E6)は完全5度上、乙(E5)は完全4度下。
  • 七(B5):乙(E5)は完全5度下、千(F#6)は完全5度上。

・・・なるほど、行と七の音を基本に考えると西洋音楽の考えと一致します。そうすると合竹はその行(A5)系和音、七(B5)系和音という二つの和声(コード)を同時に鳴らすことで共鳴音が重複されて神秘的な音となっているという考え方が出来そうです。

 

次に半音間隔のある合竹「下」を見てみます。

構成音は下(F#5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、千(F#6)。

ここで、行・七それぞれから各音を見てみると、

  • 行(A5):下(F#5)は短3度間隔。
  • 七(B5):下(F#5)は完全4度下、美(G#5)は短3度間隔、上(D6)は短3度間隔、千(F#6)は完全5度上。

という風に、一見不規則に見えていた合竹にもきちんと音の配列から、確かな意味を感じることが出来ました。

ここで、引用先から

ところが「工(C♯)の一音だけは「行」列に対しても「七」列に対しても不協和音です。この「工」の音が入った「工和音」は本当の不協和音になります。

とある通り、合竹「工」は10個の合竹で唯一半音の重なりも2箇所あり、かなり刺激的な音となっています。

かなり綺麗に聞こえる「乞・一・凢・乙・行」は全音間隔で最低でも離れていて、初聴きはちょっと違和感のある「下・十・美・比」は半音の重なりが1つなので、C#5を基点とした「工」は合竹の中でも一番の不協和音の合竹といえそうです。

ただ、合竹「工」の構成音を見てみると、工(C#5)、凢(D5)、乙(E5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)。完全5度の美(G#5)が入っていて、濁っていながら綺麗には聞こえるという形はきちんと取ってるんですよね。それに乙と工、美と七は短3度(長6度)と相性も良く、真横でぶつかりながら音の統制は一応取れているとも言える。

そしてこの合竹「工」は、越殿楽・五常楽急(ごしょうらくのきゅう)・皇麞急(おうじょうのきゅう)の三つの楽譜に出てきているので、刺激担当としてはむしろ大活躍の合竹という印象があります。合竹の傾向などは、雅楽の曲や楽譜を見て経験値を積んでいくしかないですね。

 

合竹の各音のバランスについて

笙の「和音」を「合竹(あいたけ)」といいますが、「合」ですから共に出る音が対等でなければ、つまりバランスが良くなければいけません。

良い笙は、竹の音の鳴るタイミングと音の大きさもなるべく均一であることが望ましいようです。DTMではこれは好都合な点ですね。クオンタイズとベロシティに小さい範囲でランダム化を掛けるだけで良さそうです。

ただ、動画などで笙の合竹の音の鳴り出しを聴いていると、若干アルペジオっぽくバララッと入って聞こえてくることがあります。引用先では良い笙の基準からこれを「あまりよろしくはない」と述べられていますが、逆にDTMでは均一すぎてしまうので人の味として音のバラつきを加えた方がよりそれっぽい雰囲気は出そうです。

 

サンプル①:音の発生タイミングベタ打ち

なんかそもそもアタック無さすぎるような・・・なんだ、笙っぽくない。なんだろう。

 

サンプル②:音のタイミングずらし

あれ、結構ずらしたつもりなんだけど、頭の音量が小さいからかアタックが遅すぎるからか、あんまりバラッと入らなかったですね。他の音入ったらわからないというか、散らした意味ないレベルのような。

 

サンプル③:アタックとエクスプレッション微調整&ついでに合竹代えてみる

ああ、やっとバラつきはそれっぽくなった気がする。でも色々動画で聴いてきているせいか、この音あんまり笙っぽくなくなってきた気がするというか、イマイチじゃないか・・・?

次作る曲にこの音色を使って混ぜてみて、違和感あったら作り直そう。

 

雅楽のテンポは非常にゆっくり

そして以下は、引用先の工房 西塔さんの初心者の方に笙を鳴らすための基礎練習ということで記載されてあった内容からとなります。

時計の秒針を見ながら、一行(越天楽の八小節)を一分で吹くのです。吹いて吸って15秒、ズレがあってもかまいません。おおむね一行一分です。
雅楽は、ゆったり吹き始めて少しずつ早くなりますが、一行一分と思って練習しておけばたいがい対処出来ます。

これは雅楽の概ねの目安を知れるという意味では大変ありがたい内容。8小節60秒というのは、テンポで言うとBPM32。雅楽の楽曲がとてもゆっくりであることは体感理解はしていましたが、今までこの数値は見た事なかったのでちょっとびっくりしました。

そして32というのは2の5乗。どこか神秘の香りがしますね!(しませんか

 

気替えについて

笙には息継ぎという考えは無く、「吸う・吐く」の呼吸をしながら常に音を出し続けることが出来ます。この「吸う・吐く」の息を変えることを「気替え(きがえ)」といいます。

気替えに関しては、「一小節目4拍を吸う、次の二小節目4拍を吐く」という呼吸の時もあれば、一小節内に合竹が複数ある場合、その小節内で気替えを行ったりもするそうです。

DTMの打ち込みには特に関係はありませんが、気替えを行う前後での音の強弱の変化を知っておく分には損はないかと思い、メモ用に書いてみます。

 

楽譜に出てくる「引」について

「引」に関しては、宮内庁楽部の先生方は「苦しければ目立たないように気替をすればよい」と教えてくれます。ただ、四拍の息遣いで八拍吹ける道理はないので、「引」は音は小さくなるものと思って下さい。

これは笙の打ち込みには関係ないかもしれませんが、雅楽の笙の楽譜を見ると、合竹ではなくたまに「引」と書かれていて、これなんだ?と思っていた自分用の備忘録です。

 

手移りの流れ

曲に入り、指を二本以上動かすときは、高い音からはずして行き、先発の指が下げ終ってから次の指が動き始めるようにします。

例えば、越殿楽や五常楽急の楽譜に出てくる「十-下」の合竹などは、6音中2音を手移りで変える必要があります。

画像では音源の兼ね合いで本来より1オクターブ下げていますが、「十-下」では、E6→F#6、G5→G#5となるので、一本目の指で押さえている想定のE6を離してからF#6を押える(鳴る)と同時に、二本目のG5を押えている指を離しG#5に移る。こういう流れですね。

ただこれは、引用先では「初心者の為の基礎練習」とあり、こちらの「歌舞管絃」さんの笙のページには手移りの順序にはルールがきちんとあるとのことで丁寧に記載もされていました。

 

打ち込みでは実際の手移り等イメージしづらいところはあるかとは思いますが、脳内で「これはこう動く」と意識するだけでも大分違うはずなので、その参考資料にということでリンク記述しています。

 

まとめ

今回の『笙』について学んだことをまとめてみます。

  • 指の押える箇所は上図を基本
  • 曲全体を包み込むように上の方で鳴っている感じ
  • 音の鳴り始めはとても緩やか
  • 七・行の音は10個の合竹全てに使われている通奏音
  • 七・行の音は合竹の大事な部分
  • 笙の響きは蝉の声
  • 蝉の声は共鳴音で表現
  • 雅楽のテンポは非常にゆっくり
  • 各音の大きさ・タイミングはなるべく均等が良い

 

雅楽は日本伝統の音楽であり、また合奏が主体であることから、こうして独学で学んでいくのが難しいジャンルかもわかりません。雅楽の会それぞれに伝わっている部分もあるでしょうし。

ですが、どう転んでも理解が深まることには変わりない。それに曲を作る時「早速あの奏法試してみるぜ!」みたいに燃えてきて凄く楽しいんですよね。

 

まだ調べたいことが沢山あるので、これからも楽しみです。

それでは、今回はこの辺で。

 

 

箏についての歴史を少し掘り下げて知って箏を好きになろう計画

こんにちは。今回は「箏」についての知識を少しだけ掘り下げて見ていきます。

DTMでソフト音源として箏を鳴らす上では、歴史的な知識がなくとも実務的には問題ありません。が、私はその楽器の歴史的な背景を知っているだけでも力の入り方はやはり変わってくるので、多少時間は掛かってもなるべくこういった知識はつけていきたいと考えています。

 

箏とは

一般的に、「箏(こと)」と呼ばれ、「琴(きん)」の字を当てることもあるが、「箏」と「琴」は別の楽器である。

出典:Wikipedia「箏」より

和楽器に慣れ親しんでいない場合、上画像の楽器のことを「琴」と書いてしまうかと思います。かくいう私も少し前までは箏のことを「琴」と書いていました。

現在広く普及している和楽器である「箏」は、人型の形をした「柱(じ)」と呼ばれるもので音程を調節するもので、基本は十三弦。これは奈良時代に唐から伝わったとされるもので、龍の象徴とされていたそうです。

そして「琴」は、その柱が無く弦を押さえる場所で音程を決める楽器だそうです。

 

「箏」と「琴」が実はそれぞれ別の楽器だったとは・・・名称がごちゃまぜになっているだけじゃなかったんですね。今まで知りませんでした。

 

箏の起源

日本では、大まかに分けて

  • 弥生時代もしくはそれ以前の古代日本に存在していた「こと」
    →主に呪術的な意味合いがあった模様
  • 奈良時代、中国の唐より伝来した「こと」
    音を奏でる楽器的なものとして伝わった模様

と、2パターンの「こと」があったようです。

日本古代の「こと」は古事記にもそれを弾く描写があり、「和琴」の原型という形。またこの「こと」と思われる出土品が縄文時代の青森、滋賀、北海道の遺跡で見つかっているらしく、弥生時代のものと形も似ているそうです。

現在一般的に普及している「箏」は奈良時代、中国は唐の時代よりもたらされたものが原型らしいのですが、それとは別に元々日本に存在していた「こと」があったんですねぇ。その「こと」は呪術的な用いられ方をされていたらしいです。

 

・・・そういえば、雅楽の越殿楽も現代音楽から見るとかなり儀式的な要素を強く感じます。ギターと同じで音を出すことに関してはかなり汎用性の高そうな箏ですが、元々は神聖なものの表しとして静粛で厳かに使われていたようです。

 

また、琴という言葉に関しては、Wikiに、

『源氏物語』などの古文では、「琴」は、琴(きん)のほかに、箏、琵琶などすべての撥弦楽器を指している。このことは、明治時代に日本に新しい楽器が入ってきた際に、洋琴(ピアノ)、風琴(オルガン)、手風琴(アコーディオン)、自鳴琴(オルゴール)、提琴(ヴァイオリン)などと呼ばれていたことからも伺い知ることができる。

とあり、撥弦楽器の総称を「琴」もしくは「こと」と呼んでいたそうです。如何に日本で「こと」が古くからあって親しまれていたかがよくわかります。

 

生田流と山田流

現在、箏を学ぶ場合、二つの流派があります。それが生田流山田流

これは、江戸時代初期に楽器としての箏および箏曲の基礎を大成させた八橋検校(やつはし・けんぎょう)の後、江戸時代中期に活躍した生田検校山田検校をルーツとしたもののようです。

ちなみに「検校」とは昔、盲人に与えられた最高の官名のこと。江戸時代においては箏は盲目音楽家の専売特許だったようですね。

 

また、京都の「八ツ橋」というお菓子はこの八橋検校の功績を称えて(もしくは偲ばれて)作られたとか。三角形の生の方ではなく、硬いパキッとしたお菓子の方ですね。箏の形を模しているそうです。

 

生田流と山田流に話を戻して、この二つの違いを大雑把にまとめると、

生田流

  • 角爪
  • 楽器に対し左斜め約45度に構える
  • 独奏曲において技巧が発達
  • 上方(関西地方)を中心に発達

山田流

  • 丸爪
  • 楽器に対し正面に構える
  • 「歌もの」を多く扱う
  • 江戸(関東地方)を中心に発達

 

また、箏という楽器本体に関しては、

山田流式の方が音量が大きく豊かな音色である為、現在製作されている箏は一部を除いてほとんどが山田流式の箏

とのこと。

箏自体は浄瑠璃風の歌モノを中心として改良された山田流式が主流なようですが、私の知る箏を学んでいる人には生田流が多い印象があります。爪の形と座る姿勢は別ですが、実際演奏する楽曲などはそんなに大きな違いはないそうです。

 

簡単な生田流と山田流の見分け方

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]さて、ここで簡単な問題です!ジャンジャジャ-ン![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii7.jpg” name=”ルイー”]うお、俺たち忘れられてなかったのか![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]まぁ細かいことはいいのだよ。それより問題だから答えなさい。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii4.jpg” name=”ルイー”]あ、はい・・・なんスか突然[/speech_bubble]

 

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]この画像の人は、生田流山田流、どちらでしょ~~か?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii2.jpg” name=”ルイー”]フン、簡単だ。答えは生田流だろう。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii5.jpg” name=”ルイー”]爪が四角いからな・・・フッ[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]はい正解~!素晴らしいね~その通り!![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]ちなみに生田流の斜めに座る理由は、角爪を上手く使う為だと言われているよ。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]爪の材質はワシントン条約後の今でも象牙が主流だけど、最近はプラスチックや樹脂製とかも出てるのです。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]あとルイーはただの三角形[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii9.jpg” name=”ルイー”]なるほどな~、そういう理由があったんだな。合点がいったぜ。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii3.jpg” name=”ルイー”]・・・あれっ、今サラッと俺のこと小バカにした?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]以上、簡単な流派の見分け方でした~[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]生田流と山田流の簡単な歴史は「箏曲の二大流派〜生田流と山田流の違い〜」をどうぞ![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]あとルイーは顔三角形だけど実はアホ[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii4.jpg” name=”ルイー”]え、三角形のとこ、実は褒めてたの・・・?[/speech_bubble]

 

『春の海』作曲の宮城道雄

前回の箏の打ち込みの記事でも記述しましたが、近現代で箏の楽曲で最も有名な人といえばやはり宮城道雄の名が挙がるかと思われます。作である「春の海」は、タイトルは知らなくとも誰もがどこかで聞いたことのあるであろう名曲。(上動画の箏奏者:宮城喜代子さんはその姪っこさん)

明治時代以降は当道制度が廃止されて、盲人以外でも箏の演奏が職業として認められたそうですが、宮城道雄(あえて歴史的人物と同じように敬称を略して書いていますが)は、幼き頃に失明した盲目の箏曲家とのこと。

 

箏の鳴らし方の動画でもお世話になった、伝統音楽デジタルライブラリーの吉原佐知子さんのこの演奏曲「水の変態」も宮城道雄作曲。この曲はあの伊藤博文も心を打たれたといいます。

 

Youtubeで探してみると宮城道雄作の箏楽曲がかなり出てきます。いやもう、ほんと聞き応えのある楽曲ばかり。奏者の方の演奏力も凄いのですが、なんだろう、開いた口が塞がらないまま聞き入ってしまう。

 

このように箏の静かな曲から激しい曲までなんでもこなす宮城道雄ですが、明治末から主に大正・昭和にかけて、邦楽全般の活性に力を注ぐだけでなく、西洋音楽を取り入れつつ、楽器改良(十七絃箏開発など)や楽譜の普及にも尽力。また文筆家でもあったなど、その活動内容は非常に幅広い。

現代音楽の礎の築きに宮城道雄が大きく貢献したことはまず間違いないですね。

 

箏の参考楽曲色々

Youtubeで見つけた箏の演奏を幾つか挙げてみます。

ジャンプSQの漫画「この音とまれ!」の作中の楽曲「龍星群」。六面(6個)もの箏での合奏はかなり迫力があります。箏がメインの漫画なんてなかなか無いでしょうが、その作中の楽曲が実際に、というと現実味が一気に出てきて良いですね。曲もかっこいい。

 

ロックバンド「メフィストフェレス」のギターを弾いている沢井比河流さん作曲の「絵空箏」。こちらも箏のみの楽曲で、箏の数は九面。ステージが狭く音が近いためか、グワッときます。箏が一面だけの楽曲が世には多いとは思いますが、そんな自分の中の固定観念が崩されるようなこちらも迫力のある楽曲。

 

こちらは25絃箏のさくらアレンジ。基本の13絃に更に12音もプラスして、鳴らせる音がかなり多くなっています。ただ、その分絃同士の間隔は狭くなっているようです。

十七絃箏は、十三絃箏に主に低音部分がプラスされているようですが、二十五絃までいくとどうなんでしょうね。低音だけでなく、平調子であれば中間部にFやA#の音を置いたりなど、欲しい部分を足すのだろうか。

 

こちらはアニメ「Naruto」の「Sadness and Sorrow」の箏演奏ver。アニメのナルトは見ていませんが、あの作品は忍者が主題ですから基本的に悲しいことばっかです。しかし、箏でナルトの曲を演奏すると更に雰囲気がそれっぽく感じられるのではないかと。

 

「和楽器バンド」で箏を演奏されている、いぶくろ聖志さんの箏のサポート動画。動画では箏の演奏に関する内容を紹介されていますが、動画の最初や最後に入ってくるいぶくろさん作曲の箏楽曲が実に心地良いです。

 

おわりに

以上、箏に関する私なりの大雑把な知識の掘り下げでした。

最初は、箏の木や絃の材質、各部の名称などを書いていったほうがいいのかなと思っていましたが、まだ箏に触れ始めたこの段階でそれをやってしまうと単なる暗記になりそうだったため、「箏を取り巻く歴史的な背景と今」を自分なりに簡単にまとめたらこうなりました。

・・・単に私が、歴史から辿ると面白味を感じるというだけなんですけどね(笑

 

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]・・・ということじゃった。めでたしめでたし[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]日本昔話風に締めるとは、やるなシブ[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]おっけー、それじゃ今回はこんな感じで![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii2.jpg” name=”ルイー”]おう、またな![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu7.jpg” name=”シブ君”]あとルイーは鼻くそでかすぎ![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii4.jpg” name=”ルイー”]お前ほんと相変わらずだな・・・[/speech_bubble]