【DTM】雅楽の三管の一つ、横笛の『龍笛』を学ぼう【和楽器】

雅楽で仕様される3つの管楽器、『笙』、『篳篥』、『龍笛』。

 

今回は「龍の鳴き声」と称される横笛、

『龍笛』

について、簡単にどういう楽器なのかを見ていきたいと思います。龍笛については音色はフルートとほとんど変わらないので、今回は音作りはしていません。

 

龍笛とは

雅楽の楽器の中では広い2オクターブの音域(E5~D7)をもち、低い音から高い音の間を縦横無尽に駆け抜けるその音色は「舞い立ち昇る龍の鳴き声」と例えられ、それが名前の由来となっている。

出典:Wikipedia 龍笛より

とのことで、素晴らしくかっこいい。

龍(竜)については、古代中国が起源とされているようですが、

  • 西洋では身体の太いタイプの地上型「竜(ドラゴン)」
  • 東洋では細長く、水中もしくは空にいるタイプの「龍」

と認識が分かれているのは面白いところ。

 

そしてこの横笛は古くから非常に人気のある楽器だったようで、古代日本では奈良時代から始まり、平安時代でも公家・武家共に好まれ、いくつかの書物にもよくその名が出てくるそうです。清少納言も篳篥とは正反対の大絶賛で、牛若丸(源義経)の持つ笛もこの横笛。

とにかく親しまれていたことだけは確かで、持ち運び易くてメロディも奏でやすい。また音色も優しく響くので、これで人気が出ないわけがないですね(笑

 

大神に出てくるウシワカもこれを持ってます。なぜか陰陽師で中途半端な英語を使いながら、これで叩っ斬ってくるウシワカイズヒア。

 

 

龍笛の長さはおよそ40cm。上のイラストでは5つですが、龍笛の指穴は7つ

「歌口」と呼ばれる吹き口には蝋が仕込まれていて音程などを調節し、その上の部分には笛を吹くための重心調整と音量を上げるために鉛が仕込まれているそうです。

 

そしてこの龍笛は「横笛」と言われ、横笛には龍笛の他に、

  • 高麗笛:約36cm。指穴6つ。龍笛よりも細く、高い音が出る(2度上)。狛笛とも。
  • 神楽笛:約45cm。指穴6つ。龍笛よりも太く、低い音が出る(2度下)。大和笛とも。

があります。

 

この3種類の横笛は、

  • 龍笛(りゅうてき)は、奈良時代から平安初期にかけて中国大陸より伝来した、宮廷の娯楽や儀式的に使われた「唐楽」
  • 高麗笛(こまぶえ)は朝鮮半島より伝来した「高麗楽」や、平安時代の東国の風習を取り入れた「東遊(あずまあそび)」
  • 神楽笛(かぐらぶえ)は、神を祭る、神の降臨の儀式・お祭りの「神楽」

で、使われるとのこと。

それぞれ異なる伝統があるようですが、今回は大まかにどういった用途で使われるかの把握に留めておきます。

 

 

ちなみに「能管」といって、龍笛に良く似た横笛がありますが、こちらは

「龍笛は能管の原型であるが、能管には龍笛にはない「のど」と呼ばれるものが笛の内部に入っており、音を出しやすくしてある」といわれます。

出典:雅楽-gagaku-あれこれ 龍笛と能管の違い より抜粋

とのこと。また上の動画によると、能管は合奏には向かず効果音的使用として用いられるということのようです。能管は龍笛の派生楽器らしいのですが、とても奥が深いですね。

 

 

龍笛の主な役割

龍笛は、音階も広く(E5~D7)篳篥よりも優しい音を出すことから、主に副旋律を担当。ただ、その使用をみるに、主旋律である篳篥を装飾するだけではなく、時としてその主旋律にいることも多いように思います。

 

また、雅楽の楽曲の始まりを司る役割もあり、楽曲の頭には、まずこの龍笛から演奏が始まるのが基本のようです。楽曲や調によって常にそうであるとも限らないようなのですが、基本は「龍笛から始まる」と、ここでは押さえておきます。

 

 

龍笛の音をフルート音源で代用

Youtubeなどで龍笛の音を確認してみたところ、高音なためか、

  • Xpand!2のフルート音色
  • Hollywood Orchestra・Woodwindsのフルート音色

と音色自体はほぼ変わらない印象を受けました。ただ、息の吹きぬけるようなわずかなブレス音が欲しいとは思ったのでPan Fluteを重ねようと考えましたが、Xpand!2にそれが無かった。それにXpand!2のフルート音、龍笛として考えるとビブラートが掛かりすぎている。

 

なので、今回龍笛の音はEASTWESTのハリウッドオーケストラのフルート音源でそのまんま代用してみます。

龍笛の音はあまり大きくビブラートが掛からない音の伸びを感じるので、ビブラートがあった場合、振れ幅は小さく、またどちらかというと細かい周期の音色を使う必要があると思いました。なるべく伸びの感じる音色で代用すると良いかもしれません。

そして、音色は龍笛と似ていますが、このサンプルの場合、音が綺麗過ぎる気がする。龍笛のあの独特の息の吹きぬけるようなブレス的な感じがない。

 

RAに入っていたPan Fluteでところどころのノート頭のブレス部分だけを追加。少しはマシになった気がしますが、RAのPan Fluteは音階が足りないため、欲しい音のブレスを鳴らせないのが痛い。

 

音色代用で作った笙と篳篥の音も混ぜてみます。こう聞くと篳篥の音にパンチが無いですね。重ね合わせているのに雅楽のような雰囲気が感じられない。うーん、この篳篥の音だと多分、清少納言に「耳にやかましい」と言って貰えないだろう。どうしたものか。

 

篳篥の音の打ち込みを少し変えてみました。さっきよりは少し篳篥っぽさが出たような…?(私の中の清少納言はまだ不満げではあります)

 

篳篥の打ち込み図。ボリュームの抑揚をトータルで上げ・下げ・上げにしてみたのと、ピッチベンドで伸ばす部分のノート頭をかなり大げさに書いてみました。ハンパに上げるよりもがっつり素早く上げてやった方がそれっぽく聞こえたんですよねぇ。

 

 

こちらの、初めて篳篥を吹かれた動画を拝見すると、弱く吹いてもしっかり音程は保たれているように思えるので、ノート頭をピッチベンドで下から少し持ち上げてそれっぽく聞こえるのは、耳のトリックなようです。

 

打ち込みでは、音色によって実際の原理通りに弄ってもそれっぽく聞こえないこともしばしばあるので、こうして実際とは違う音の動きを加えて耳の錯覚を使うこともよくあります。あくまで近似操作にすぎないのですが、結果的に「篳篥のそれっぽくなった」のなら、それはそれで良しと私は考えます。

 

 

まとめ

ひとまず龍笛についてまとめますと、

  • 副旋律を主に担当(主旋律にいることも多い)
  • モノフォニック楽器
  • 音階はE5~D7と広め
  • 音の立ち上がりの息の吹きぬける音が特徴的
  • 音色はフルートにかなり似ている
  • ビブラートはあまり大きくかからない
  • 音は優しく、親しみやすい

 

フルートの音を龍笛として使う場合、かなり音色が似ているのでそのまま代用してもいいかなとは思いますが、工夫が出来るのであればそうした方が更に雰囲気は出るかと思います。

いきなり作りこみが過ぎると、肝心の龍笛を使うことに嫌気が差さないこともないので、今回はこのくらいにしてみます。徐々にでいいんです。下手に見栄は張らない。

 

それではー

 

【DTM】Xpand!2を使って和楽器『篳篥』の音作りをしてみる【雅楽】

雅楽の三管と呼ばれる、笙(しょう)、龍笛(りゅうてき)、篳篥(ひちりき)。

 

今回は、その吹き物の一つである、

『篳篥』

という楽器ついて、DTMで楽曲を作っていく上でどのような楽器なのか、どんな役割があるかなどをまとめてみます。

篳篥もまた笙と同じく音源が全然出回っていない楽器なので、似ている音色を代用して使うことにしました。「GARRITAN WORLD INSTRUMENTS」には入っていましたが、国産ではまだ私は確認出来ていません。SONICA INSTRUMENTSさんのような和楽器専門の音源として是非欲しいところですよねー。

 

 

篳篥とは

雅楽では、笙(しょう)、龍笛(りゅうてき)と篳篥をまとめて三管と呼び、笙は天から差し込む光、龍笛は天と地の間を泳ぐ龍の声、篳篥は地に在る人の声をそれぞれ表すという。篳篥は笙や龍笛より音域が狭いが音量が大きい篳篥は主旋律(より正しくは「主旋律のようなもの」)を担当する

出典:Wikipedia 篳篥より

実際の雅楽の曲調ではあまりそういう印象は受けないかもしれませんが、例えるなら歌モノでいうボーカルの役割を果たしているといえばわかりやすいかなと。

 

長さは18cm。見た目はとても小さいのに、非常に力強い大きな音が出ます。そして楽器としての構造はオーボエに似ている。

 

音域は、西洋音階のソ(G4)から1オクターブと1音上のラ(A5)が基本だが、息の吹き込み方の強弱や葦舌のくわえ方の深さによって滑らかなピッチ変化が可能である。この奏法を塩梅(えんばい)と呼ぶ。

上の動画でも言っているのですが、「いい塩梅だなぁ~」というのはここから来ているようです。面白いですねー、歴史の謎を一つ解き明かした気分です。

音階はG4~A5とありますが、実際Saxなどの音色で当ててみるとこれも音的に1オクターブ高かったので、Cubaseなどで打ち込むときはG3~A4という風に1オクターブ下げて音を当てていきます。鳴らせる範囲は狭いですね。

 

力強い音が印象的な一方、こちらの動画のように、柔らかで甘い感じのする音色も特徴的。音の繋がりが非常に滑らかです。

 

そして面白いのが、

篳篥にはその吹奏によって人が死を免れたり、また盗賊を改心させたなどの逸話がある。しかしその一方で、胡器であるともされ、高貴な人が学ぶことは多くはなかった。

とあり、清少納言も「耳にうるさい」みたいなことを言っていたようなので、平安時代では甘く優しい音の出る篳篥というよりは、どちらかというとラッパみたいな印象のある音として使われていたのかなぁと思いました。

胡器の「胡」とは「えびす」のことで、いわゆる辺境に住む民族のこと。古代日本だけでなく、古代中国でも「胡」は”文化性の低い野蛮な民族”という意味として、中央政権からはこの言葉が使われていたらしいです。あくまで文書を残した国家から見た評価なので、そんな野蛮ではなかったとも思うんですけどね。想像を膨らませると面白い(笑

 

歴史としては、大石峯良(平安時代中期の人)が「篳篥の楽祖」とされ、平安時代には主に大篳篥が使われたがその後用いられなくなり、再び使用されるようになったのは明治時代だそうです。

一般的に言う篳篥は「小篳篥」になるので、「大篳篥」については今回割愛します。

 

 

篳篥は単音・モノフォニック

篳篥には笙のような単独での和音発声はありません。モノフォニックです。

そして篳篥はダブルリードなのですが、このダブルリードという意味は、

ダブルリードは、乾燥させた葦を削ったものを二枚重ね合わせて作られ(篳篥の場合は、乾燥させた筒状の葦の茎の一端を潰して削る事によって作られる)、これを楽器の吹口に取り付けて吹くことで振動させる。

出典:Wikipedia ダブルリードより

ということで、こういった吹き口が二枚重ねの作りになっている楽器の総称のこと。一本で2つの音を同時に出せるとか、そういう意味ではありません。

 

 

篳篥の音作り・サックスの音色で代用

篳篥の音源が少なくとも今、私の手元には無い。それは事実。

ということで、今回もXpand!2を使って篳篥の音を再現してみます。別にXpand!2でなくともいいのですが、私の中でXpand!2の音は結構汎用性の高い音といいますか、加工するにも融通が利くイメージがあるんです。

他には例えば、先日購入したKONTAKTシリーズのライブラリの中に入っていたAlto Saxophoneなど、キンキンさがキュッと詰め込まれたような音色でなかなか良さそうだとな思ったのですが、なんとAttackパラメータがなかったという。

そういうわけで、Xpand!2を使うことにしました(笑

 

サンプルは平調・越殿楽(越天楽)を参考にしています。

なんだろう、お豆腐屋さんみたいでもある(笑

 

音色は016 Brass+Woodwindの「Baritone Sax+」に、同じく「Alto Sax+」を小さく重ねがけしています。Attackは結構遅めに設定し、Releaseも気持ち遅めにしています。アタックをあまり遅くしすぎると篳篥らしさが失われてしまうのと、リリース少し伸ばした方が音と音の繋がりが滑らかになりやすいので、そうしました。

 

これは一例ですが、篳篥の周波数特性は力強い時はこのような形になっていました。

 

なので、Xpand!2の音にまずディストーションを薄っすらかけてから、このようにEQで足りない部分をかなりブーストしました。いつもなら最終ミキシングで削る帯域である、1.5kHz、2.5kHzを逆に、狭めたQで持ち上げてやり、その後に薄くコンプを掛けました。

 

・・・ミキシングでは普通はこんなEQの持ち上げ方はしないとは思いますが、一つの音作りの場合では、私はちょくちょくやってます。違和感が出ない程度に

ハチプロ(SC-88pro)を使っていた頃の癖でレゾナンスとかもXpand!2のコンソールで弄れたら良かったんですけど、それは無かったのでEQで済ませてみています。

 

 

折角なので以前音作りした笙の音も一緒に重ねてみます。進行は「凢・一・乙・乙」。

まだまだ納得のいく音にはなっていませんが、雰囲気は出てきたのではないだろうか。

 

今回の打ち込み画像。

cc7メインボリュームで抑揚をつけることにし、頭のピッチベンドをちょこっとだけ弄りました。ベロシティは、Attackはそんなに欲しくないけど音のキンキンさは欲しいので、強調したいところはMAX。少し消えていく感じを出したい部分は下げ目に。

 

 

まとめ

現時点での篳篥についてをまとめると、

  • 主旋律を担当
  • モノフォニック楽器
  • 音階は基本がG5~A6(打ち込みでは1オクターブ下に)
  • 音の立ち上がりや繋ぎは滑らか
  • 強い音ということが特徴的(柔らかい音も出せる)
  • 野生的であり、雅で艶やか
  • 柔らかい音の時はどこかエロい
  • 原理はオーボエに近い

 

構造がオーボエに近いということもあるので、立ち上がり感の似ているオーボエで代用してもいいのかもしれません。Saxは音こそ似ていますが篳篥に代用するにはAttackが強すぎるので。

そして篳篥はリードを司るだけあって、抑揚の取り方がやはり肝になると思いました。これからもっと研究していこう。

 

最後に、甘い音色の篳篥の動画を載せておきます。かっこいい・・・

 

それでは。

 

【DTM】Xpand!2を使って和楽器『笙』の音作りをしてみる【雅楽】

こんにちは、MAKOOTOです。

最近、三味線や民謡などに触れる機会があり、またそろそろ本格的に和楽器を主体とした楽曲を作っていこうと思うので、自分の知識の整理・底上げも兼ねて和風の楽器や楽曲などについての記事を書いていこうと思います。

 

手始めに今回は、雅楽の楽器の一つである

『笙』

についての音色と合竹(コード)、そしてどういった楽器なのかを簡単に書いてみます。

笙はですね~、昔からずっと気になっていた楽器で、その音色が非常に神々しくて好きだったんです。ゲーム「大神」をプレイした時に、いつかこの楽器を使った楽曲を作ってみたいとずっと思っていました。現物はまだ手に入れられてはいませんが、今は自分に出来ることをやろうと勉強しています(笑

 

笙とは

日本には奈良時代ごろに雅楽とともに伝わってきたと考えられている。雅楽で用いられる笙は、その形を翼を立てて休んでいる鳳凰に見立てられ、鳳笙(ほうしょう)とも呼ばれる。(中略)その音色は天から差し込む光を表すといわれている。

出典:Wikipedia 笙より

音色を聞けば、「ああ、これか~!」とすぐにわかると思います。非常に神秘的で神々しい音色

この楽器は、

17本のうち15本の竹管の下部に付けられた金属製の簧(した:リード)を振動させて音を出す。

とあり、パイプオルガンのリード管と同じ原理。また、ハーモニカと違って、息を吹いても吸っても音が鳴るというものです。

 

17本の竹の出音とそれぞれの名称は上図の通り。

ちなみに、

也・毛は、奈良時代の笙では簧(した)が付けられていたが、現行の笙では通常簧が付けられておらず無音であり、外観を整えるために竹が残されている。

伝来当初ははG6、はD#5であったが、現代音楽等ではをA#5、をF5として簧を付けた特別仕様の笙が使われることもある。

とのことで、「也」と「毛」は基本無音だそうですが、ここでは一応出た場合の音も記載しています。

 

この図では、

  • 左が「也:G6、毛:D#5」(伝来当初)
  • 右が「也:A#5、毛:F5」(現代・特別仕様)

を加えた笙の全音階です。

 

こちらの動画では、上画像の右側の方の音階と同じですが、古来の方(左側)では「Eb・F・Bb」は使われておらず、C音もC6のみですね。F音はGを基音とした呂旋(ミクソリディア)である双調(そうじょう)のみに入っています。そして雅楽における六調子では主に「D・A・E・B」の4つの音がよく使われるそうです。

 

 

笙の合竹

合竹(あいたけ)とは、笙で作る和音のコードのようなもので、5音・6音で構成されています。全部鳴らす場合もあれば、一音ずつ重ねていく場合もあります。

 

ここで、

「十」と「比」を除き、構成音のうち最も低い音の管名が合竹名となっている。行と七の音は全ての合竹で用いられ、逆に言(C#6)の音はどの合竹にも入っていない。

とあり、またこの合竹の最も低い音は旋律を司るともあります。

言(ごん)の音はC#6。言の音は笙で鳴らすことは出来ますが、合竹(笙のコードのようなもの)には使われないということですね。また、工(く)の音はC#5なので、こことも区別が必要になります。

 

以下、Xpand!2にあるハーモニカ音源の音をそのまま代用して、ひとまず音の雰囲気を感じ取ってもらうくらいのサンプルとして合竹を載せてみます。ちなみにWikiで見たままの音の位置をそのままXpand!2で鳴らしたところ、実際の笙の音より1オクターブ上の感じがしたので、Xpand!2のハーモニカ音源では1オクターブ下げて鳴らしています。

そして、基音となる部分を太字にします。「十」は下から2番目、「比」は下から3番目が基音となり、「十(双調)」は六調子の内の双調のみで仕様する合竹とのことです。

 

乞(コツ)

構成音は、乞(A4)、乙(E5)、行(A5)、七(B5)、八(E6)、千(F#6)

 

一(イチ)

一(B4)、凢(D5)、乙(E5)、行(A5)、七(B5)、千(F#6)

 

工(ク)

工(C#5)、凢(D5)、乙(E5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)

 

凢(ボウ)

凢(D5)、乙(E5)、行(A5)、七(B5)、八(E6)、千(F#6)

 

乙(オツ)

乙(E5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、八(E6)、千(F#6)

 

下(ゲ)

下(F#5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、千(F#6)

 

十(ジュウ)

下(F#5)、十(G5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、八(E6)

 

十(双調)

十(G5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、八(E6)

 

美(ビ)

美(G#5)、行(A5)、七(B5)、比(C6)、上(D6)、千(F#6)

 

行(ギョウ)

行(A5)、七(B5)、上(D6)、八(E6)、千(F#6)

 

比(ヒ)

行(A5)、七(B5)、比(C6)、上(D6)、八(E6)、千(F#6)

 

 

笙の音作り・ハーモニカ、アコーディオンの音色で代用

笙の音源は、調べてみても「コレ!」という音源が意外と出てきません。日本だけの楽器ではないので、ワールドエスニック総合音源みたいなものには入っているかとは思いますが、私はまだ見つけきれていません。

ですので、笙を音色として再現する場合、似たような音色であるハーモニカ・アコーディオンの音源で代用して、簡易的に笙の音を表現することにしてみます。楽器の原理も近いですしね。

 

以下は、Xpand!2のハーモニカ・アコーディオン音色で笙に音を似せるよう加工したサンプル曲です。

進行は、雅楽では有名な「越殿楽」の頭の進行をお借りして「凢・一・乙・乙」

進行だけを真似て合竹を置いただけで、実際の越殿楽の鳴らしではありません。

打ち込みはひとまずこのような感じ。息の流れと手移りがちと不透明で、ノートの伸ばし方はかなり勘が入ってるので参考にはせずに(笑

 

EQとディストーションを薄掛けして音作りをしてみましたが、実際の笙の音が生み出す艶やかなあの音とはやはり結構違いますね。統一感のある倍音成分の表現までは流石に音源にもよりますし。

その道の人が聴いたら「違うかな」と感じるとは思います。ただ、他の楽器と混ぜて雰囲気を出す分には、私はひとまずこれでも十分だろうと思います。そもそもハーモニカ等違う楽器音源で代用しているのだから、そこは致し方ないところ。

 

具体的な音色は、Xpand!2の020 Ethnicの「Harmonica+」と、それに小さく「Tango Accordian+」を重ねました。弄った箇所はHarmonica+の「Room Amount」を少し絞って広がりを消したくらいで、音量調節以外何もしていません。

 

 

まとめ

改めて笙の合竹を見ると、D・E・A・B音が頻繁に出てきているのがわかります。これは雅楽の六調子によるものなのですが、今回は笙の音色と和音に焦点を当てる形にして、雅楽についてはまた別の機会に記事にしようと思います。手移り(指運び)も実際のものがないとかなりわかりにくかったので(笑)

ちなみに、雅楽の調以外で笙を使う場合は、「D・E」、「A・B」、「E・F#」など、高域での全音間隔の音の重なりによる響きが笙の音の特徴の一つとも言えると思われますので、この構成音に合った調で曲を作ると良さそうかなと考えます。

今回の内容をまとめると、

  • D・E・A・B音は頻繁に出てくる
  • 高域なので合竹の不協和音はあまり気にならない
  • 全音間隔の組み合わせによる響き
  • 合竹(コード)は5・6音構成
  • 音の立ち上がりは緩め、音の消え入りも緩やか
  • 独奏も可能
  • ハーモニカ・アコーディオン系音源で代用は可能
  • 原理はパイプオルガンと同じ
  • 神々しい音色が特徴的

 

・・・といったところでしょうか。ざっくりすぎる気もしますが、ひとまずこれで「笙という音色」は使える形になるのではと思います。音色もそうですが、むしろ笙の表現には抑揚の方が大事な気がしますね。

 

最後に、笙職人さんの動画を載せておきます。

 

それでは!

 

【2017年秋M3】『BATTLE COLLECTION 3』を聴き終えての感想

sayaquさん主催、文字通りバトル曲を主題にした、

 

『BATTLE COLLECTION 3』

 

これに関しては曲数が多かったので、是非まとまった時間を取って感想を書きたかった。最近ぷちレビュー屋みたいなブログ記事が続いてますが、これは私なりのインプットの一つの形なので問題ないのです、ええ。

 

さぁ、聞いていこうじゃないか。

仮に1作品のゲームがあったとして、それに3つの戦闘曲が使われていると仮定すると、50曲はだいたい15~17作品のゲームが平均あることになる。それくらいのゲームのバトルサウンドを聞き込んだとなれば、きっとバトルマスターになれるに違いない

バトルマスターって、「がんせきおとし」とか使えたっけ・・・?忘れた(ドラクエ脳

 

BATTLE COLLECTION 3

1.For the Glory

Tsurugi(kt of 24)さん作。

バトルものながら、その中でもオープニングに相応しい物語の始まりを感じさせる曲。バトルものにギターサウンドというド定番中のド定番。この曲にはオープニングを感じさせるというよりは、主人公が堕ちるとこまで堕ちて、そこから一転、一大復帰したような壮大なロマンと哀愁を感じさせる曲展開になっています。

イントロの高速ギターリフとコーラス、続くピアノの高速アルペジオから始まり、メロディアスなリードギターがガチ勇者を感じさせる。これはまじでかっこいい。休符の使い方とか上手いし、さすがTsurugiさんだなぁと。ちなみにラストからまたこの頭に戻って曲を聴くとほんと始まりという感じがしてすんげーかっこいい。

 

2.The Burning Fist Of Revenge

清水 嶺さん作。

嶺さんといえば、ケルト系民族音楽の印象が強いのですが、この曲はガチでデスメタル。デスボイスもしっかり発声されていて、ギターの音、ソロ部分もちゃんとデスメタルやっててほんとこの人の多彩ぶりなんなのギャラクシーなのと思ってしまう。民族の色を一切感じさせない。この曲聴いたら普通にデスメタルの人だと思い込んでしまう完成度の高さ

ギターの音作りと、ドラムの音とか、ほんと研究しているなということがよくわかります。グレンラガンのヴィラルとの戦闘の時にこういうゴリッゴリのバリッバリのしかも丁度良い柔らかさのあるBGMがかかっていたのですが、ああいう重々しいイメージですね。タイトルもあいまってクソかっこいい。

 

3.Punishment

Winna Striveさん作。

ウィナさんはメロスピを心から愛しているだけあって、様式美すぎるくらい様式美。10年近く経ってもその哀愁さに色褪せるところを感じない。しかしこの曲はウィナさんの楽曲にしては速くないんですよ。しっかり戦闘のリズムというところが意識されている。

バテンカイトスを思い出しますね。メタル系として、ツインリードとピアノでこれでもかといわんばかりに戦闘の悲しさを物語っている。ストリングスがまた高いところで鳴ってるのも美味しいですね。バスドラの踏み具合がメタラーらしくて好きです。

 

4.Red Warriors

rsyさん作。

イントロにギターの音を使ってはいるのですが、それがセンターにあり、リードのオルガンが左右に振られていると言う構成から、一対一を彷彿とさせるどこか神秘的な感じのある曲。要所要所でベースが非常に高速に動くところがなんか良い。かっこいい。近未来的な印象で、マシーン相手の戦闘といいますか。

シンプルな曲展開そうで、実は目立たないようにセンターにオルガンらしき音色が重なってるのがまた良いです。後ろで鳴ってるシンセも空間を感じさせる。繰り返しが多い中、ベースがしっかり動いているところに不思議と飽きを感じさせない。これは上手い。

 

5.FateRival

ワカユウさん作。

私の個人的なイメージなのですが、イントロでキングコングのような凄い強い敵が想像できてしまった。Bメロのキメから、サビに入るところがめっちゃ美味しいギターサウンド系バトル曲。コーラスとリードギターのメロディがかっこいい。

全体を通しての緩急の上手さもあるのですが、その繋ぎやキメの部分の間の作り方が非常に上手いなと思ってしまった。スネアの時もあるし、ギターの時もあるし、なんていうんですかね、上手いんですよ。この曲の展開がもうまさに「宿敵」に相応しい。というか50曲中5曲目でライバル戦って早くないですか(笑)密度の濃さが伺えます。

 

6.Hero vs. Deja-Vu

Daisukeお姉さん作。

イントロの小さい光から、戦闘の展開が一気に開いたような感じがしました。曲を通して様々な戦闘の効果音が入っていて、それがまた走馬灯のように感じて非常に印象的。ブラスと小気味良いリズムがまた美味しいですね。Undertaleのアズゴア戦を思い出しました。効果音が、効果音として鳴っているところと曲の一部になっているところの境界線がまた良い。

曲の速さは決して速いわけではないのですが、淡々とこれまでのことを思い返しながら、どこかで胸がえぐられるような、どこか泣き出してしまいそうな悲しさを感じてしまった。私こういう曲大好きなんですよ。上手く言えないけど。最後明るく終わって、二つのモノが倒れる音が聞こえますが、これは・・・相打ちなのだろうか。

 

7.Barrage

Rutlδさん作。

EDM風の、太いけど柔らかいシンセ音が気持ちの良いサイバー系バトル曲。マシーンが意思をもって人間に近い挙動をしているようなイメージがあります。私はこういう曲あんまり作れないのでメチャクチャかっこいい。1:21辺りの一瞬潜り込むような音使いと3連符のところ、何度か聞き返しました(笑

この音がせり上がってくるような盛り上げ方や飛び交うようなシンセ音、ほんと何度聞いても飽きないのが凄い。これだけ音が自在に動いていて、展開も豊富なだけで十分なのに、曲としてコード展開もしっかり入っているので、何度も聴くことになるバトル曲なのにまだ聴いていたくなる。ループBGMの鏡だなと思いました。

 

8.Keep your Ambitions!

Rwiさん作。

この曲は~~~!!洞窟物語大好きな私にはこれはとても美味しいですぞーーー!!ピストンコラージュの音、忘れちゃいましたがこれもしかして使ってるんじゃないか・・・?だとしたら美味しすぎる・・・。

チップチューンに分類されるのかもしれませんが、波形メモリ音源で作られたようなサウンドがまた美味しい。ノイズ音がスネアの代わりになっているところと、サーッと後ろで音の厚みを加えているところがまたシブい。カウンターメロディが後半ずっとメインメロディに寄り添っているところなんか、カーリー背負ってるみたいで(略)。転調も含んで、最後まで展開にしっかり気を遣っていて、いやー素晴らしい。

 

9.Our Battle

せーらんさん作。

ピアノとストリングスから美しい河の流れを感じさせつつ、ノリの良い展開を彷彿とさせながら、Aメロ、Bメロ、サビに素早く移ったかと思ったら実はそのあとにもう一個サビがあったという、矢継ぎ早の戦闘にピッタリの曲。目まぐるしく移り変わる戦闘をこうまで細かく展開分け出来るのはすごい

私が少し彷彿とさせたのがスーファミ時代のファイナルファンタジーと、東方系に近いどこか和風さを感じる旋律。しかし丁度曲の間にEDM系のシンセ音がガツッと入ってくるんですよねー・・・なんちゅう多彩さ。聴き応えありすぎて3分弱があっという間でした(笑

 

10.SOLAR_Ba

十字ロさん作。

軽快なピアノから始まり、クロノトリガーのカエルを思い出すようなノリのある勇敢さを醸すリズムとプログレ風コードワーク。これも非常にかっこいい。その後の中盤のチップチューン風サウンドがゲームのアクションをやってる!という感覚がして楽しくなるのですが、ここで落ち着いたかなと思ったらまた動く。もう技術が詰め込まれすぎてて一言で言い表せないのが本音です。空間を感じさせるんですけど、なんの戦闘でもあいそうな万能さも感じます。

よく聴いていると、リズムも結構細かく違っていたり、パーカスの展開も一回聴いただけじゃ把握出来ないくらい細かい。シンセ音なんか、サステイン短めで印象付けているかと思えば今度は伸ばして滑らかにしているとか・・・レベル高いっす!(笑

 

11.vainglory encouter

MachiaWorksさん作。

ストリングスから緩やかなベースでぐいんと引っ張られる戦闘曲。ピアノとストリングス、それに緊張感を煽るシンセ音と軽快なドラムが、気の抜けない緊迫したバトルを感じさせます。なんだか渦の中で不安定ながら敵と対峙しているみたいな。

ストリングスの存在感が、ひたすら時空の流れを突き進んでいるような感覚を作りますね・・・パーカスの鳴りも荘厳さを作り出して、対峙している敵は人型ではなく、何か大きな「存在」みたい。ゾッとする部分と言うよりは、そういうものであるという。なるほど・・・vaingloryとは虚栄とのこと。見えざるものということなんですね。勉強になります。

 

12.Black Glass

主催のSayaquさん作。

これもダークな感じのする神秘的なサウンド。ベースがボワンとした不透明さを感じさせるところに、どこか影を追いかけるような駆け抜ける戦闘がイメージできました。リズム隊が左右に安定してありながらベル系のメロディが、点いては消えて、という一瞬の揺らぎを感じてすごく上手い。

後ろのピアノが焦燥感をどこか駆り立ててきつつ、ストリングスのざわめきが精霊みたい。怖さは無くて、ただひたすら透明感がある。どこか同じところをぐるぐる回っている錯覚にもなります。後半ピアノを呼び水に終盤まで持って行くところが非常にかっこいい・・・。

 

13.ベルトコンベア・キラー・ロボット

石田金時さん作。

一転、四つ打ちの明るい楽曲。タイトル通り、機械的に動くロボットが対戦相手なのですが、この敵と対峙する時は楽しい気分になるので何度も戦いたくなります。このロボはほんと何も考えてなくて、長年のプログラムが研ぎ澄まされすぎて動きが楽しくなっちゃった!みたいな陽気さを感じました。

後ろからゴォォォ!!というドでかい風をまとっているので、結構でかいロボットなんでしょうね。リバース的なシンバルの存在感がアホみたいに大きくて、曲の陽気さもあいまって楽しい。このロボとは何度も戦闘したい。尺が短いのがもったいないくらいです。もっと聴いていたい(笑

 

14.Valhalla

鷺莉さん作。

イントロが「ヴァルハラ」と名づけられる通り、非常に壮大な雰囲気から始まります。キックの音がどこか機械的でいて、シネマティックとデジタル音が融合したような、でらかっこいい曲。機械に取り込まれたヴァルキリーってこんな感じなんでしょうね。(ナデシコのユリカとか言ったら古いか

ピアノとストリングス、コーラスのコラボがまたすんごいかっこいい。ピアノのアタックが剣戟を感じさせるといいますか、哀愁とは違う、悲しく美しいバトル曲。特に後半のピアノなんて、円舞しながら崩れ落ちるような、虚しくなるような・・・ディレイの透明感がもう悲しく響く言葉にならない叫びにしか聞こえない。はー・・・、言葉にするのも億劫になってきた(笑

 

15.四神獣乱舞

nuuiさん作。

和風だ!和風の曲だ!何とは言えない伝統の力強い弦楽器!メロディは日本風なんですけど、楽器の感じが大陸を思わせます。どこか空間のある雅な舞台で妖怪含めた神様たちと踊りながら戦闘している感じがしました。私の感覚でいうなら、「大神」よりも「俺の屍を越えていけ」に近い、まざりっけのない純粋な歴史を感じる。

四つ打ちサウンドはこの日本の踊りにすごくよく合いますね。イントロの静かな和楽器と鼓の音など、非常に上品。雅だーなんか嬉しくなってしまう。鈴の音がまるで虫も一緒に踊りに混ざっているかのようで、生き物皆集まってるイメージに胸が熱くなる。これももっと聴いていたくなる。

 

16.勝利は我が手中にあり!

ネギたそ。さん作。

これはーーーー、和風ダイゼンガーみたいだ!熱い!多分ギターの音が私にスパロボさを感じさせたのかもしれません。前曲の「四神獣乱舞」と尺が2:36と同じところも面白い。和太鼓が強調的に使われていて、プレイヤーを鼓舞する力強さと背中を後押しするイカした毘沙門天をイメージしました。

笛の音が風を作り出し、太鼓が雷のようでまるで風神・雷神のよう。キックが四つ打ちで、ベースが気持ちよく動き、要所要所で和太鼓がドドンと鳴る。般若心経を唱えるかの如く、念仏的な効果音的演出がすげー良いです。ニヤニヤしてしまう。しかし、タイトルの通りドラマティックに曲が描けるって、凄いですよ。さっきから胸熱すぎるんですけどどうしたもんだ!

 

17.僕のRPG Ver.FC

あいともさん作。

おお、チップチューン!実際にゲームをプレイしているような操作効果音からオープニングが始まります。なんて和やかなオープニングなんだ・・・と思いきや、突如街が燃えて敵が現れたかのように戦闘シーンに入ります。なんだこのドラクエ4の第5章のような平和から一転地獄をみるかのような展開。美味しすぎる(笑

でもレトロなBGMなのでそんなに重さはなく、楽しいファミコンをプレイしている感じです。そして最後にズバッと斬られて(この音作りが印象的で素晴らしい)、何やら語りが入り、そこからノイズアウトします。なん・・・だと・・・お前にはまだ早すぎるとゲームに拒絶されたような感覚がニヤついてしまう(笑

 

18.Footsteps

Nabecさん作。

チップチューン続きです。この曲はファミコン音源として非常に完成度が高いように思われます。ファミコン時代の音の独特の揺らぎがあって、音使いがほんとに長年ファミコンの曲を作ってこられたような達人さを感じる(1988~1990年頃の当時の作曲家さんたちが慣れてきた様な)。ノイズのパーカス部分の使い方がまごうことなき達者な印象。

こういうチップチューンの、どんな戦闘シーンでも合いそうな王道のBGMを作れるって今やロストテクノロジー扱いなところがあるので、ほんと凄いの一言。この音の発生の一瞬の立ち上がり・・・上手く説明できませんが、自分のチップチューンがクソみたいに思える。pAPUの仕様でここまで存在感を作り出せるというこの力強さ・・・勉強になります。

 

19.Different Dimension

ちびファイさん作。

チップチューン続き3曲目。こちらも完成度が高く、非常にかっこいいです。こうして聞き込んでいくと、アタックを少し遅らせていてそれが揺らぎを作っていること、ノイズを使用したパーカッションの使い所が非常に多彩なのだということが少しずつわかってきます。ベースの動きがめちゃくちゃかっこいい。

通常戦闘というよりは、こちらもボス戦を彷彿とさせる緊迫感があります。矩形波等、機械的な信号の音色にも関わらず、そういった怖さは感じず、小さなブラウン管モニター内の強敵と戦っているぞという感じのある、臨場感ばっちりの楽曲。スタンダードな曲展開にも関わらず、全く飽きがこない。素晴らしすぎます。

 

20.中ボス1

Warrさん作。

ファミコン風ノイズから入り、チップチューン風のリードながらセンターにエレキギターとドラムが入っている展開が、ゲームの画面からリアルが出てきたようなメタルとチップチューンの融合曲。モノラル風で攻めてくるのかと思いきや、後半コーラスがステレオで入ってくるので二次元から三次元に変換しかかっているような面白さを感じます。演出が上手いです。

バッキングのギターが生でしかもかなり美味しいサウンドなので、かなり極悪なボスなのがわかります。フェードアウト前の最後の一瞬、音にステレオ感が増すので、なんかゾクッとしました。こっち側に来るの・・・!?みたいな。こういうあまり例にない演出って、センスを感じてしまうんですよねぇ・・・。

 

21.閃光

Ravusさん作。

ピアノの存在感が印象的な、どこか優雅さを感じさせるバトル曲。真ん中のドラム、大きく広がるストリングスと、広い空間を感じさせる包み込むようなサウンドで、戦闘曲ながらどこか安心感を与えられる感覚があります。

弦楽器の旋律と音が非常に優しいので、戦の悲しさを強く感じる。タイトルが「閃光」とあり、命の一瞬の輝きを思わせる・・・。広く響くドラムのシンバルがオーケストラのシンバルかの如く響く残響がまた心に染みる。剣を一振り振るうたびに零れ落ちる涙みたいで、かなり泣けるのは私だけでしょうか。

 

22.CRIMSON FIRE DRAGON

イノウエサオリさん作。

おお、スーファミ時代に感じたような躍動感がオーケストラ風にイメージされている・・・心躍るようなスネアが印象的な戦闘曲。SFC(スーファミ)からPS(プレステ)時代に以降する時のスクエア作品を思い出すと同時に、なぜかゼノサーガが浮かびました。

下手に歌モノのようなメロディを作らずにいるので、戦闘の状況がより客観的になりますね。これも勉強になる・・・。ただただ、圧倒的な敵とガリガリ戦っているけどなかなか状況が変わらない。といいますかタイトルに「ドラゴン」て付いてました。確かにそれなら状況がすぐに変わるわけがないよね、ドラゴンて最強種だし(笑

 

23.BAD SLIME

siroimuさん作。

え、これ・・・見た目凄い弱そうなんだけど突然変異みたいに生まれたやばいスライムが敵ですよね。めちゃくちゃかっこいいスライム戦。この曲を聴くと、突然変異で生まれたらきっと最初は孤独だったはずなんです。その中で生き抜く力を他の同族とは違う形で学ぶしかなかった。でもこのスライム、超いいやつなんですよね。困っているヤツを見たら放っておけない。

そんなドラマティックさがイメージされるようなリズミカルでクールな楽曲。この根が一途でひたむきな曲を聴いていると、胸が熱くなる。このスライムはわきまえているんですよ・・・現実を受け入れてるんです。どんなに強くとも自分がスライムの枠を超えることは出来ないということを。そんな楽曲のバランスの良さを見事に表現されていると思いました。美しい。

 

24.Ancient Guardian

柄杓毘売命さん作。

こちらもドラマティックな展開の楽曲。SC-88proを思い出すディストーションギターと、様式美的なメロディラインが泣きのツボを刺激してくるかのようです。このギターやストリングスの独特の音色などを聞いていると、何かを思い出しそうな、そういう感覚があるのが不思議なんですよね。

この古代のガーディアンとの決戦も、様々なドラマを経てきた上での対峙なんだろうなと思います。サビのコードの展開がメタル系によくあるメロディアスさとはちょっと違うのですが、様式美的なものを感じて仕方がない。この展開好きです。そしてさっきから私の中で胸熱展開が一人で続いています。大丈夫だろうか、生き残れるのか。

 

25.Dancing Black Thunder Part2

タチやんさん作。

電脳世界のバトルを彷彿とさせる曲。こちらはチップチューン要素も感じられるので、より電子の世界が視覚的に見える形での戦闘曲を思わせます。私の表現で古くて申し訳ないのですが、初代バーチャファイターのデュラル戦のような、ターミネーター2の液体金属人間のような、電脳世界の何かが具現化したような存在感があります。

こちらもメロディラインをメインで作らず、純粋に音を配置されたような楽曲に客観性といいますか、余計な感情が排除されたような印象。少しずつ周波数に揺らぎが加えられているのか、波動の世界に埋没したような感覚になる。

 

26.Dear “xxx”

morilynさん作。

おお、ピアノの音が歪んで荒廃したような世界を感じるぞ!SFの世界で荒れた大地に宇宙から降り立ち、まだ電源の入っている無人の施設に入り込んだかのような楽曲です。古い研究施設というイメージでしょうか、研究内容もあまり口外できないもので、どこか歪んで狂いが生じているといいますか。音やリズムのズラシに、世界の軋みの演出を感じる素晴らしい曲。

音が不意に途切れたりノイズが走ったりする音が、放置された場所を上手く表現していると思いました。この曲の雰囲気から察するに、相手は戦っているという感覚はないんでしょうねきっと。ただ、まとってくるような、何もわけがわからないまま、相手が傷ついていることも感知できないまま。おお・・・すごい。見事な表現すぎる。タイトルがまた意味深すぎて困る(笑

 

27.Glitch

NTK worksさん作。

これは・・・何ですか。果てしなくかっこいい故障曲なんですけど。この秩序と崩落のギリギリを攻め抜くサウンドの叩み掛けは、壊れた世界が急速に再生し、また同時に一瞬で崩れようとする刹那の連続を感じる。しかしサウンドの作りからその一個上に整然とした世界があるように思われてならない。

戦闘曲として聞くと、まずどう戦っていいのかの糸口がまるで掴めないファーストコンタクトなんじゃないでしょうか。攻撃が効いているのかどうかもわからないし、相手が何をしてくるかというパターンもまずわからない。でもそこに確かにいる、まさに正体不明。これほどの音使いをバトル曲で聴くことは極めて稀だと思います。こいつに遭遇したら次はいつ会えるかもわからない。そういう意味でこの曲を聴けている私は非常に幸運だと思ってしまった。ただ、凄い。凄い故障・・・なのか。

 

28.Unsaturated Gravity

startide / hiroさん作。

めちゃかっこいいベースの振動音と右から左に走り抜ける金属系音色から始まる、サイバー界とシネマティックが融合したような、膨大な時空の圧縮を感じさせる楽曲。かと思いきやそれは序章だったようで、雄大な大ボスと戦うロックテイストも織り交ざった大きな存在を感じる展開に繋がりました。ドラムがロック調とオーケストラ様式の合体版みたいで、もはや新ジャンル。凄い・・・新しい世界ありますよこの曲。

色々詰め込まれていて、言葉がおっつかない。4分超えがあっという間。音の空間の使い方といいますか、臨場感が素晴らしく表現されていて、なんだろう。音の魔術師みたいな感覚あります。とにかく舞台がでっかいんですよ。これラスボス曲だったらえらい感動するだろうなぁ・・・。ドラマティックでいて、明るい雰囲気もあるので、これそのまま天に召されそう(笑

 

29.決戦

こっけさん作。

こちらもシネマティックさを感じる、しかし王道のハードロック路線のラストバトル曲。ツインリードギターの旋律の残響がこれで最後かと思わせます。ヴァイオリンでしょうか、ソロの弦楽器がギターの間に入ってきて、ストリングスも綺麗に合奏する形になっているので、もう総力戦でしかない。うわー、この展開は熱いですね。

リードギターが曲がらない強さを感じて、弦楽器がしなやかな強さを感じる。なんでしょうね・・・ヒーローとヒロインが共に戦うこのラスボスは最後の試練となるのか、最初の試練となるのか。ラストバトルの原点を垣間見るような感覚があります。しかしミキシング綺麗だなぁ・・・。

 

30.聖人育成メソッド

Ominaさん作。

パ、パイプオルガンだ・・・!!荘厳だ!神を感じる・・・。と思いきや、ゴリゴリのギターサウンドで粛清が入ったかのような、漫画ベルセルクを彷彿とさせる正邪の相容れぬ拮抗の世界を描いたような楽曲。この楽曲には天使と悪魔、それもより深い因縁を感じます。現代風でいうなら、ブラックラグーンのような紙一重さを感じる。

ギターのソロに意地と意地のぶつかり合いを強烈に感じて凄い熱いです。そして最後に赤ん坊の泣き声が入って、そのままパイプオルガンの音に繋がっていくんですけど、最初「どうやってるんだ!?」と理解できませんでした。よく聴いていくと・・・いやこれ凄いですよ。頭でわかっててもなかなか出来るもんじゃないと思うのですが。しかもそのままオルガンの音が重複してどこかに消えていくという。なんて上手な(笑

 

31.甘栗こぶし

遊句さん作。

タイトルからも人目を引かざるをえないこの楽曲。演歌風のイントロからそのまま自然な流れでRPGの通常バトルに入っていき、和風の雰囲気を維持したままラストは演歌で〆るという他に類を見ない見事なまでの演歌とバトルの融合曲。Aメロは普通のバトル曲風に作ってあるのですが、Bメロから演歌が入ってきます。そしてサビはイントロの演歌のメロディを見事に使っている。

私がよく聞いていた80年代の演歌をどこかに感じるサウンドチョイスもまたいいですね。どうしてこんなに自然に演歌とバトルが合わさっているのかもう不思議でしょうがない、新しいジャンルを開拓されている名曲。いやぁ、これはほんとグッと来ますね、心にグッと入る。こんな戦闘曲あったら、一旦戦闘止めてしばらく聞き入るしかないんじゃないでしょうか(笑

 

32.紅鳶

きみどりルクスさん作。

一転、楽曲が西洋に飛びます。弦楽器・ピアノ・ウッドベース・クラシック系ギター・打楽器を遺憾なく使った踊りを踊るようなエレガントで優雅なアコースティックバトルサウンド。それぞれの楽器が激しくも呼吸を合わせたモダンさを感じさせます。ハーモニカがまたクールでかっこいい。

リズムの良い打楽器、艶やかなヴァイオリン音色、軽快で乾きをどこかに残しつつも潤いのあるギター・・・全部が美味しい。そしてこれだけ楽器がありながらそれぞれしっかり聞こえる。やばいっすよこれー、えらいかっこいいっすよー。こういうアコースティックなバトル曲は浜渦さんのアンリミテッド・サガの曲が有名かと思いますが、この紅鳶もすんごいおしゃれなので、これも途中で戦闘止めますね私は。サウンドがゲームを食ってしまうくらい良い曲です(笑

 

33.The Man-made Dryas

EBIさん作。

ケルティックサウンドを主体としつつ、ゲームの世界観全体を引っ張ってくるかのような様々な要素の内包率の高い曲。5→6→5・6→7+7+7+8など、拍子展開が非常に細かいのにそれを全く違和感として出さない辺り、本当に細かいところにまで緻密に手が込んでいるのがとても印象的。(間違ってたらすいません)

ケルト音楽がメインではあるのですが、効果音もふんだんに取り入れてあって、ゲームに使われているであろう感覚がそのままこの曲に取り込まれている感じがしました。フィールド曲というか、世界全体を自由に動き回る、旅と戦闘が一つのシステムとしてあるような、ゲーム自体が音楽と融合しているイメージ。これも色々取り入れてあって、一言では言い表せない広大さがあります。

 

34.龍樹の森

ころはさん作。

コロポックルの一生懸命冒険しているというような、心温かになるバトル曲。戦闘というよりは、一つの冒険を感じます。退治するという感覚も薄く、どちらかというとやったー!頑張ったぞー!というコミカルなゲームに非常によく似合う、木琴のメロディがほんとに心安らかになる。嬉し泣きしそうなのはなぜだろう。

フルート系の木管楽器とスネアの行進、後ろで実は結構忙しない仕事をしているストリングス・・・勉強になりますほんと。そして楽しい雰囲気ではあるのですが、なんだろう。こうして生きていることに何より喜びを感じているような感覚というのでしょうか。その作品の世界観をしっかり支えるようなバランスの良さもいいなぁ、ギュッと詰まってる宝箱みたいです。

 

35.fight against

豊葦水穂さん作。

ブラスのイントロが印象的なオーケストラ系バトルサウンド。木管、ブラス、ティンパニと非常にシンプルな構成ながら、笛のメロディがとても印象的です。笛のメロがかなり長い間旋律を司っているのですが、ここまで笛のリードでメロディ展開を作り上げるのは結構大変なはずなのですが、それを統一感を持ちつつ、微細に変化をつけているのは凄いです。

シンプルな構成ながらティンパニと和音を構成するブラスで低音とコード感がしっかり補われており、ツインリードの木管のハモリがバトルのテーマである哀愁さを作り上げています。これに肉付けされたバージョンとか、絶対かっこいいですよね。

 

36.Battle Beat

つばさくんさん作。

オーケストラとロックテイストの融合された、打楽器のビートが心地良いバトルサウンド。艶やかなトランペットと、中途で入ってくるアコギの旋律がどこか荒野を感じさせます。そして、後半に入る前に太鼓の音がソロになるところとか、一呼吸ある感じでかっこいい。後半のブラスのふくよかさなど、重厚な兵士を感じさせます。

技の応酬というよりは、曲全体の緩やかさから交互に力を見せ合う試合に近い印象があります。太鼓と入れ替わりで入るスネアの音の抜けから貫く天空を感じるので、グラディエイター同士の冷静なるぶつかり合いみたいに思えて、熱い中にもクールさも合わせてもっているようにも感じます。

 

37.Battle on the Ice

SOS☆さん作。

こちらもどちらかというと中世ヨーロッパの戦士同士の誇りをかけた戦いがイメージされるバトル曲。王城にて、王の御前試合のような、衛士たちの静かで厳かな戦闘。ゆっくり振り下ろす剣にはしっかり力が篭っていて、どこか泥臭さも感じるような。王の威厳がかなり間近に感じられて、分厚い権威を感じます。

タイトルから察するに、氷上か、もしくは寒い北国の屈強な戦士を思わせます。過酷な世界で生きる戦士の戦いは、環境からスピードというよりは、純粋なる力か、もしくはそこで生きるための胆力なのか。いずれにしろこれは力強いです。

 

38.Chiastolite

Gowrock as Salamanderさん作。

やばい、これはオーケストラで来てるけど、茫漠たる荒涼とした美しい世界を感じる。ワイルドアームズを彷彿とさせる、廃れ行く中にも生きる希望をもった生命の力強さを風に乗せて送り込まれるような、静かなかっこよさのある曲。この旋律でコーラスとピアノが乗るのはずるいですよね。ずるいんです、感動しないわけがない(笑

真ん中にブラス隊がいるのですが、それがもう真っ直ぐ進んでくるようで、勇ましい兵士の行進を思わせます。大きな打楽器音の振動がめちゃめちゃ気持ちいいです。そしてストリングスに合わせてピアノやコーラスが重なって戦闘にいざなってくれるんですよ。メロディアスだ~これは良い。

 

39.ReΞbellIon

gLa+nZさん作。

このオーケストラの怒涛の攻めはなんでしょう。まるで大海に飲まれる一匹の蛇の気分。打楽器の空気を揺らす振動音が迫力を増しますね。民族系の打楽器、電子音を取り入れた新世界シネマティックバトルサウンド。ガンダムUCのサウンドを作っていた頃の澤野さんの雰囲気をどこかに感じます。私には宇宙空間でのドラマの展開が伺えてしまう・・・。

シンセベースと民族打楽器が中盤入ってくるのが雰囲気をガラリと変えてくるんですよね。人の生きる世界に同居する無機質な音。そしてこの浮遊感、どうしても地上戦ではなく、宙間戦闘に感じてしまう。ドラマティックな運びになっているので、敵もやはり同じ人なんだと思います。無機質さは機械を使っているから、なのかなぁ(笑

 

40.Dice or Die

かまきりざーどさん作。

これは、初心に戻って地上戦ですね!?シンプルながらロックテイストでコンパクトにまとまっていて、SFCのファイナルファイトとか、そういった拳闘家の強さを目指す等身大の戦闘を感じました。メロディが耳に残りやすいです。こういうストレートなメロディラインと曲展開はやはり王道ながら安定したかっこよさがありますね。

これで格闘ゲームとかやってたら普通に燃えるだろうなぁ。バックの音の厚みを作るパッド系シンセ音が良い仕事していて、そのお陰でリード音がハモりでなくとも聴きやすい気がします。ベース音が時々上がってスラップテイストを出すのも美味しい。いや、いいなぁ。安定感のあるドラムも素直にかっこいい。

 

41.黄昏に沈む記憶

Rucaさん作。

ピアノのリフとリードの笛に歌うようなコーラスのイントロが印象的。余りに哀愁溢れすぎてて、戦っているというよりは、泣く泣くそうするしか他に道がないようなド悲しすぎる旋律の楽曲。もはや半自動のボタンを押したくないイベント戦闘。戦いたくない。でも避けられない。身が引き裂かれそうだ・・・。

現在41曲目ですが、ここまで真っ直ぐ悲しみに向けた曲はこれが一番なんじゃないだろうかと思ってしまう。それくらい悲しい。しかも後半、笑顔でさよならしようねといわんばかりの明るくしていこうという雰囲気がかんじられるところがまたやばい。なんなんですか、泣いていいですか。俺は今、泣いていい。(スクライド風

 

42.Atrocity

MIKAMI MAKOTOさん作。

黄昏の曲がラストにオルゴールで〆ていて、この曲はそんなオルゴールから始まり、激熱のシネマティックサウンドに繋がるという。しかしタイトルがまた・・・どこまでも狂気をはらんでいるバケモノが相手でもおかしくないというバトルサウンド。Undertaleの狂ったフラウィーを思い出しましたが、こちらの曲はより荘厳に、雄大さがあるという点では強大な気がします。

これはほんとに巨神兵のような、ワンダと巨像のあいつみたいなやっばいやつが顔を出しているのが浮かびました。そしてこの楽曲、シネマティックではあるのですが非常にまた聴きやすいんです。音の置き方がすんごいクリアで個人的な好みになりますがこのミキシングは私は凄い好きです。ホール感はあるんですけど、壁を感じない。壁がないわけじゃないんですけど、なんだろう・・・とても心地良い。

 

43.エンカウントなう

くふさん作。

JAZZ風のバトルサウンド。耳に残るメロディラインと軽快なテンポが合わさって個人的に好きな楽曲です。ウッドベースと打楽器がまるで一つの楽器のように厚みを作り出しているのが私にとってはとても新鮮です。ピアノを弾く様が楽しそうでニヤけてしまいますね、トランペットのリードが何とも言えず聴きやすい。

こんなノリの良い、聞いてて心地良い戦闘曲なら、あまり避けようとは思わないです。あと、戦闘というよりは純粋にそのゲームを楽しめる躍動感を感じるため、若干戦闘そっちのけになりそうなくらい聴き応えがあるのですが、戦闘とがっちりハマると脳汁出まくりそう。3分も尺があると長丁場でも戦闘が楽しめて、それもまた良しという風にバトルが楽しめる。いいなぁこういう楽曲。

 

44.逃走

しっぽさん作。

これはちょっと笑いました。ねずみ小僧もしくはクールな怪盗の喜怒哀楽を含む逃走劇を描いたようなバトル曲。しかも逃走ではあるのですが、すんごいかっこいい怪盗なんですよね。0:46辺りの展開が超好き。なにこのかっこいい作り。程好く歪んだギターと垢抜けたドラム、急遽入ってくるストリングスの絶大な効果。逃走というにはあまりにドラマが盛り込まれすぎてて、ギャップ差にやられた。

2:02で私の超好きな展開が再び来るのですが、途中でトランペットが離脱してストリングスのみのメロディラインになるところとか、なんですか。私の知らない私のツボ付いて来るとか。しかもところどころピアノだったりストリングスがオシャレな動きしてて、いやーーーー、曲聴きながらニヤけてる自分今気持ち悪い顔してんだろうなぁ・・・(笑

 

45.ホカホカ村の大剣士じゃがいも

MAKOOTO作。

あれこれは、と思ったら自分の曲でした。もうそんな順番まで来ていたのか、そしてここまで感想を書いてもう何時間経つだろう。ここまで様々なバトル曲を聴いてきたこともあり、改めてじゃがいもの曲を書き直したくなってきました。2でやろう2で。

ロックテイストを主体とはしているのですが、自分でタイトル付けてて言うのも何ですが、ふかしイモみたいな印象があるんですよ。ハマりそうでハマっていない、どこかフワッとしたような。そう、ふかした後の皮がこんなにも簡単に剥けてしまうのかといったように。我ながら、なかなか形容しがたい。

 

46.決勝戦 of Something

まっしゅまろんさん作。

私の中での剣と魔法の基本的なRPG戦闘曲として一番ハマってる気がするオルガンとギターの旋律が気持ちよい正統派バトルサウンド。ほんとこの曲好き。軽快なオルガンが常に音の厚みを支え、Aメロはこれまた聞きやすい太さが見事なシンセリード、そしてサビはギターリードという私の中では基本の王道RPGバトルを全て兼ね備えているという、理想の具現化されたような楽曲。リリースの短い軽快でアタックの強いスネア・・・等々、好み貫いててやばいです。

タイトルが「決勝戦」とあるので、戦闘というよりはスポーツに近い試合を感じますが、それがまた優しいですね。M3でご本人にご挨拶させて頂きましたが、非常に爽やかな方であられました。

 

47.対峙

保積さん作。

この方の作られる楽曲も私好みでございます。大王道の非常に純度の高いシネマティックバトルサウンド。まず音の迫力が凄い。ここまで音の遠近を作れるのも凄いのですが、残響の臨場感がハンパ無い。特にブラス系。シネマティックではあるのですが、この楽曲ではメロディが意識ささっているように感じられるので、敵は生物ですね。しかも歴史ある感じ。神という存在よりはもう少し地に足の着いた印象があるので、ドラゴンですかね。低音部で鳴っているシンセベースらしき音から、なにかしらの自然の主でありそう。

曲の作りから、繊細さと雄大さを同時に感じる名曲。

 

48.Rebel Struggle

MATSUさん作。

おお、こちらもまた王道オーケストラのラストバトル曲ですね。こちらの曲はこれまでの自分達の辿ってきた道の集大成を迎える最終章というイメージがあります。オーケストラ部隊に負けないくらいピアノの音の存在感が全範囲にあり、まるで何かの神々と戦っているような降臨感があります。

タイトルから、これは人間同士の反乱というイメージよりもやはりヴァルキリープロファイルに出てくるような神々への反逆というイメージの方が合う気がします。この楽曲に相応しい神が相手だと、とてもじゃないですが敵うようには思えないんですけど、神もひっくり返すと人間ですからね。面白いものです。しかし同じシネマティックサウンドでもこんなに方向性が違うことで色が変わるとは・・・。

 

49.eNsis

しぅさん作。Vo. 稚紗さん。

うおおお、ここでボーカル有りのシネマティックバトル参戦!!なんつー熱い展開なんだ。結構前にANUBIS Z.O.Eという当時やっばい近未来型アクションゲームがあったんですけど、それを彷彿とさせるボーカルの声による透明感と四つ打ちとシネマティック融合型というとりあえず超かっこいい曲です。

いやー、歌が入るとまた一層人間模様が強く印象付けられる感じがしますね。これはもう舞台が宇宙とか時空を超えてるんですけど、最終的にそこで繰り広げられるのは人間同士のぶつかりあいだったという、原点回帰を思わせます。音使いがこの曲もまた非常に上手い。もう私の体力はマイナス振り切って一周して戻ってきました。メビウスの輪。

 

50.Phantasm Strike

JourneyCatさん作。

全50曲の弓道で言う落ち、つまりトリを務める楽曲。全てのバトルを全ての次元を超えて最後に束ねるような結びに相応しい楽曲。転生した人間が、どの時空でも同じようなドラマを向かえ様々な経験をして一つに戻り、その自分を作り上げたこの世界の理と向き合うような、そんな次空間楽曲。なんですか次空間楽曲って。

この曲を聴いてると、ほんとにこれまで辿ってきた世界全てをサァッと風になって通り抜けるような感覚があります。なんだろう、ほんとに大事なことって、一人一つここに持ってるだけで、それだけで無敵になれるんだろう。色んなもの全部洗い流されてしまいました。細かいこと吹っ飛んでいく、そんな最高に爽やかな楽曲でした。

 

 

BATTLE COLLECTION 3を聴き終えて

今時計を見たら、10時間丸々かかってしまった(笑)。楽曲は計50曲で3時間弱なので、その3倍ですね。むしろ短く済んだほうではないかなと思います。記事の文字数は過去最高の17,000字弱。もっと旅行記などで果てしなく長い記事とはありますが、平均3,000字の自分にとっては大台を結構更新しました。ヤッタネ!

バトルコンピ3は聴き応えがありすぎて流石に一回休憩を挟みましたが、それに見合うだけの理論と感性が詰め込まれた、全てで一つの作品になっていると思いました。全編通して一曲一曲にそれぞれの個性・良さ・方向性などが違っていて、同じバトルという括りで本当にこれだけの色があるんだと痛感しました。

 

自分の感性からあれこれ書いてはいますが、最終的に言えることは、一つ一つの楽曲どれもが想いの宿った名曲であったということ。これは本心です。全てに私の学びがあった。そしてこんなにも音でそれぞれの世界が表現されているとは思わなかった。

めちゃくちゃ勉強になりました。どうもありがとうございました。

早速これからの曲作りにこの学びを活用していきたいと思います。

 

そしてSayaquさん、曲順見事でした。これの順番考えるのも結構悩むと思うんですよ。でもこれ、正解だったと私は思います。序盤から中盤も凄い面白かったんですけど、終盤にかけての盛り上がり方やばかったです。さすが主催なだけはある!(笑

 

はーーーーーーーーーー

 

すんごい良かったーーー…

 

 

それでは!

 

ふりーむ!のフリーゲーム「ナントカ三術将2.5 ジーンと夢の島」をプレイしてみた

今日は「ふりーむ!」に投稿されています、

召喚で乗り切る無人島探索ADV「ナントカ三術将2.5 ジーンと夢の島」

というフリーゲームのプレイ記事です。

 

こちらも先日楽曲使用のご報告があったので、BGMの使用感を確かめる為にもプレイしてみたのですが、この楽曲使用のご報告を頂いたゲームをプレイすることが最近の私の楽しみになってきました。

だって気になるじゃないですか。初めてプレイするゲームってワクワクするでしょ!?

 

ふりーむ!とは

無料ゲームがなんと10,000以上もある、ゲーム大好きな人にはまるで夢のようなドリーム。パラダイスのような楽園はここにあったか。

以下、ふりーむさんのサイトから抜粋して要約しますと以下のようになります。

  • 置いてあるゲームは「フリーゲーム」「無料体験版」のみなので全て無料
  • 個人製作者が趣味で制作している形式が主
  • ゲームを遊ぶのに登録等は不要
  • すぐプレイできる
  • ダウンロードして遊ぶWindows向けが中心(オフライン向け)
  • ウイルスチェックや動作チェックも済んでるよ!
  • プレイ後の感想があると皆喜ぶよ!

抜粋要約:ふりーむ!より

10,000点以上もフリーゲームがあるというの驚きですね。全部プレイしてたらきっとその方は神様でしょう。(おおカミよ、今月の貢物はこれだけです)2000年2月から始まり、今年で17年目だそうで私は全然知らなかったのですが、いや~凄い。作品数が多いのも凄いけど、ここまで続けてきたことが個人的には凄い

 

主にPC(Windows)で遊ぶゲームが主のようですが、

スマホで遊べるゲームは「ブラウザゲーム」と記載

抜粋:@FreemGames(ツイッターアカウント)より

ということで、スマホで遊べるフリーゲームも今見たら沢山ありました。

 

ここで一つ注意点があるとすれば、フリーゲームということで遊ぶのは無料だけど、それを素材として使って云々はまた別で、

著作権は各制作者にあります

ということですね。自分の楽曲も「一つの素材」として見てしまうので、ゲームを使用して何かするというのは個別に許諾が必要になりますということですが、普通に遊ぶ分には気にする必要はないです。

 

 

RPGツクール2000の画面をウインドウモードに

今回はそのふりーむ!に投稿されている「ナントカ三術将2.5 ジーンと夢の島」というゲームのプレイ記事になるわけですが、このゲームはRPGツクール2000で制作されています。なので、プレイ画面を開くと画面がフルスクリーンになってしまった。

なので、RPGツクール2000を開く時の注意点として書いておきます。

参照:RPGツクール2000 のゲームを「ウィンドウモード」で起動する

 

一応こちらの記事の通り、exeファイルのショートカットを作り、その中のリンク先のexeの後ろに「 0 0 Windows」と付け加えて、ショートカットから起動することでウインドウモードとして起動できました。二つ以上の引数の後に「Windows」だそうです。

参照記事では、続いて「3.相対パスで指定」とありますが、これはやらなくとも出来てしまったので良しとします。

いいのか、いいんです。プレイ出来れば。

 

また、通常のexeファイルから起動してやり、F4キーを押すことでもフルスクリーンとウインドウモードの切り替えが出るので、F4で問題なさそうであればそれでも良いかも。私はデュアルディスプレイ使用のため、画面の大きさの切り替わりのチラつきがきつかったので、上記の方法でウインドウモード化しました。

ちなみにF5を押すと更に小さく切り替えができ、F12を押すとゲームタイトルに戻れます。

 

 

ナントカ三術将2.5 ジーンと夢の島

ナントカ三術将2.5は、このシリーズの3作目に当たるようです。

作者の三條さんのふりーむ!のページはこちら。ホームページはこちらです。

 

それでは早速プレイしてみます。ちなみに私の初回プレイ時間は、大体2時間でした。サクッと遊べて良いコンパクトさです。

 

私はこの作品が初プレイ。なので、あらすじの尺から考えて、前作をプレイしていた方がより楽しめる形になっているのかもしれません。主人公はこの左の術将ジーン

 

探索アドベンチャーに入る前に、しっかり物語の展開が作られています。初プレイでもこの冒頭のお話を見ることでこのゲームの世界観とキャラクターが大体把握できます。

その序盤に一波乱あり、とある島でしゃべる石版エリスと共に島を探索する形でいよいよゲームが始まります。

 

エレメントを召喚し、探索を始めます。エレメント非常に可愛い。

 

ターン数がある程度進むと半自動的に物語が少しずつ進むので、この誘導は自然でいいですね。(多分自動だと思う)

 

序盤の何気ない石版エリスのこの言葉が、後になって意味があることがわかります。(これは2回目にして気付きました。)

 

ガンガン探索していきます。音楽がいいなぁ。

この淡々と何かの作業をこなしていく感じ、レミュオールの錬金術師を思い出します。あれ、冬に裸のままプレイしていたくらいハマったもんなぁ(お風呂行く前にちょっと始めたら数時間抜け出せなかった(笑))。それに近い感じのハマりの感覚があります。

 

探索は基本難しいことは何もしません。探索の設定を最初にしてやれば、あとはエレメントという召喚ユニットが結果を持ってきてくれます。そして毎回違う展開やアイテムが用意されているので、意外とワクワクする。

物語ではこの魔晶石を見つけていくことで、色んな属性のエレメントユニットを召喚できます。

 

主人公のジーン、結構賢いんですよね。さすが三術将の一人だけはあります。こういうキャラの丁寧な作り込みはやはり素晴らしい。

 

各探索場所では、それぞれの属性に適したエレメントで探索をすると探索効果が良いようです。「Area3の丘陵なら黄色のエレメント」という風に。色別で書いてあるのもわかりやすくていいですね。

BGMも物語の進行で計6曲用意されていて、楽しくなってきました。こういう飽きさせない工夫って大事だなぁ。

 

ターン25、物語中盤。魔晶石が二つ置けるようになりました。これで2つの魔晶石の組み合わせでしか出てこない召喚ユニットが召喚できるようになりました。

 

例として、黄魔晶石一つだとどんなに再召喚しても☆2スパッキーしか出てこないのですが、

 

黄魔晶石2つだと、☆3のティンキーが出てくるようになりました。

1つでもティンキーはもしかしたら凄く少ない確率で出てくるんだろうか・・・私が試した限りでは出てきませんでした。

 

青魔晶石1つだと、頑張ってトビヒオでしたが、

 

青魔晶石2つだと、クリア☆3とアクア☆2が出るようになった!

 

赤魔晶石1つだと、バーニング☆2。(この辺りで夢中になる)

 

赤魔晶石2つで、ウォウム☆2とグレイブナイト☆3。ウォウム可愛いです。赤であって、必ずしも火ではないところが面白い。あと、グレイブナイトかっちょいいすね。

 

青・赤でニャンニャ☆2、オーロラ☆3。キャラクターに独自の個性を感じる。これはきちんとこの作品の世界観が構築されている証でしょう。

 

そして緑と青でウォーウランド!・・・え、ウォーウランドきた!?!?

冒頭のストーリーで名前の挙がった召喚ユニット「ウォーウランド」はここで初の顔見せとなります。とってもかわいい。

このキャラクターもツクール素材ではなくて、三條さんご自身で描かれているものでしょうか。すげードット絵すげー・・・!!

 

1ターン毎に鐘の音がなるので、時の経過が感じられてこのゲームの世界にいるような感覚になりますね。ジーンが瞬きしたりと、細かいところに動きが感じられて感心してしまう。

 

エレメントで何度もユニットを召喚しなおせるので、ここで気に入ったユニットが出るまで召喚することでこのゲームに慣れてくる感がありました。やり方がわかってくるとゲームの世界に入り込みやすくなりますね。

上位のユニットが出てくると、「お!」ってなるのですが、私はボーナス+10になる同じ色・同じユニットの組み合わせでプレイしてました。

 

ターン40でジーンが少しナーバスになり、美味しいものを思い浮かべてはどうかという石版エリスの提案で、なぜか2つの選択が出てきました。怪しい・・・これがどう今後に繋がるのか想像がつかない(笑

 

ある程度ターン数が進むと島の番人が姿を現し、主人公であるジーンに二つの選択を迫ります。

これはどっちを選ぶかで結果が変わりそうだな~と思っていたら・・・

 

自動で当初の目的の方に流れました。

これは絶対もう一方のほうもある(笑

絶対ある。探索が足りなかったのか、初回はこのパターンなのか・・・ひとまず、ここで一旦ゲームは区切られる形となります。

 

 

セーブ後のコンティニュー

まー何もわからないままこれで終わりなわけないですよねー!?

 

というわけで、実はもう一方の選択肢を選んだ場合のお話がこの後に始まります。

人生の選択は一つしか選べませんが、実はこうして覚えていないだけで過去に遡って「こうしたかった」という方を結果的に我々は選んでいるのかもしれない。並行世界や仮想世界の認識が少しずつ一般化している気がするので、こういう展開はいいなと思います。

 

 

ここから、石版エリスの謎に迫る形で探索が始まります。

 

 

 

さあ、探索を本格的に続け、ついに物語の最終章・・・!!

 

ワー、島ガ綺麗ダナー!!!

(続きはゲーム本編でお楽しみ下さい)

 

 

初回トータルクリア

というわけで(笑)、このゲームの一番美味しいところは敢えて触れずに、クリア後の私の探索リザルトはこんな感じ。結構探索しまくっていたため、コレクションはコンプリートしていたみたいです。

 

これでようやく胸のつかえが取れて、ジーン帰還。船長も喜んでいます。

 

 

以上でストーリーは終了。やーラストの展開がかなり面白かった!!

このストーリーの作りの面白さは、最後の最後で核心にやっとたどり着く形になっているので、それを中盤までジーン主体でいるため、結構気付けないようになっています。

 

ただね、序盤から結構意味のあることがほのめかされていたりするので、上手いなと素直に思いました。エリスがねー、すんごいリアルで、途中でゲームやってる感覚無くなるような接し方してくるんですよ。

ずるいよね。最後の最後でほんとなんというか、リアルだなぁ(笑

 

そしてクリア後は、このように探索で手に入れたコレクションやエレメントの図鑑埋めが出来るようになっています。

 

アイテムの説明が結構面白いんですよね~。じっくり時間をかけて集めながら楽しんだ方がよかったかもしれない(笑

 

 

エレメント集め

この時点で結構長くなってしまいましたが、折角なので残りのエレメントも集めてみたいと思います。

 

緑1つで、ケリー☆2。

 

緑2で、マダリット☆2、グリーブ☆3。グリーブなんかやばそうな雰囲気。

 

赤と緑で、ネイブ☆2、ハレイズナ☆3。やっぱりエレメントの個性があっていいなぁ。

 

黄色と緑で、イザルタ☆2(黄)、シュレイ☆3(緑)。

 

赤と黄色で、コオク☆2、ペルマイン☆3。

 

青と緑で、ナッソ☆2、ウォーウランド☆3。

 

青と黄色で、マシュリー☆2、エフリク☆3。

 

あと、無属性で赤と青のパターンで出てきたナイトを入れて、エレメントコレクション完成でございます!やったぜ。

 

 

おわりに

結局、この記事を書くに当たって、初回プレイの2時間と、エレメントコンプに3時間くらいかけてしまった。

完全クリア後は、

  • キャンペーンモード:ゲームクリア後の単純に探索を楽しむモード
  • オールスターモード:図鑑がリセットされ、エレメント完全ランダム召喚
  • オプション:ウインドウカラー、セーブアイコン、BGMの変更

の3つを楽しむことができます。

 

ああ、完全に忘れていましたが、私の楽曲「緑の茂みのカメレオン」は、BGM#3。一旦区切りが入り、その再開からのBGMとしてご使用頂いていました。作者の三條さんには気に入って頂けたようで何よりです。

個人的にはゲーム中に使われている他の5曲(私以外の作曲の方)どれも良いんですよね~、どれも良いんですけどしいて言うなら#1が好き。

 

ゲームとしては、

  • エレメントという可愛い召喚キャラクター
  • 探索での収集アイテム
  • 一つのテーマに絞ったストーリーの流れ

そしてそれらの要素がコンパクトにまとまりよく詰まっていて、ver2.5というナンバリング作品にも拘らずかなりの完成度の高さを感じました。

作者である三條さんにお伺いしたところ、背景画像などは素材屋さんからお借りして加工されているそうですが、キャラやエレメント・コレクションなどのドット絵は自作だそうです。凄いですよね・・・全然違和感ないですもん。

それに、ゲーム性としての探索コレクション集めも難しくないように出来ている。だからライトに遊べる。その分、一つ一つの作りが全部に行き届いていて、統一感が生まれている。この確固とした独自性が非常に素晴らしい

 

というわけで、最後は今作の主要エレメントであるウォーウランドで締めてみたいと思います。

 

かわいいなーウォーウランド!!

 

愛のこもった良い作品を、どうもありがとうございました・・・!!

それでは!

 

セガ・マスターシステムをエミュレートしたプラグイン『SN76489』でチップチューン作り

今日は、フリープラグインである「SOCALABS 8-BIT TREATS」から、「SN76489」で音弄りなどをして遊んでみたいと思います。

 

セガ・マスターシステムとは、1985年(ファミコンの2年後)に日本で発売されたセガ・マークⅢの北米版のゲーム機のこと。日本では、その北米版を逆輸入する形で、その2年後の1987年に発売されていたそうです。

メガドライブの前のバージョンがこのセガ・マークⅢ、セガ・マスターシステムで、そのメガドライブの後継機がセガサターン。そしてドリームキャスト

 

私が小学生低学年くらいの頃、友達の大半は皆ファミコンを持っていて、よくゲームソフトを持ち寄って遊んでいました。そんな中、一人二人はファミコンじゃないのを持ってたんですよね。それがPCエンジンとかメガドライブとかでした。

その友達の家に遊びにいかないとプレイできないゲームだったので、かなりレアでしたし、新鮮だったのを覚えています。

「ひろしん家いってアレやろーぜ!!」(ソニックのこと

みたいなね(笑

 

SN76489の仕様を確認

  • 矩形波チャンネルが3つ
  • 3和音発声
  • ノイズチャンネルは1つ(種類は2つ)

 

…と、結構シンプルな構成になっています。一般的には「PSG」と区分けされるこのSN76489。厳密には違うものではありますが、単純に音として聞いて判断する場合は「PSG」と言っても間違いではないです。伝わるには伝わる。

 

PSGとは(狭義)

厳密には、PSGは「Programmable Sound Generator」の略で、GI(ゼネラル・インストゥルメンツ)社の

  • AY-3-8910(またはこれの相当品)

のことをいいます。その仕組みは、

  • 矩形波3(Duty比1:1固定)+ノイズ
  • ノイズの音量出力は矩形波3チャンネルのどれかに依存
  • エンベロープ(ADSR)制御

ということで、デューティ比50%固定とエンベロープ機能、ノイズの音量出力方式が矩形波チャンネルに依存している点が特徴的。

 

DCSGとは(狭義)

「AY-3-8910」をPSGと呼ぶ場合、「SN76489」をDCSG(Digital Complex Sound Generator)と呼びます。

SN76489では、

  • 矩形波3(Duty比1:1固定)+ノイズ
  • ノイズの音量出力は独立して制御できる
  • エンベロープ(ADSR)なし
  • 3チャンネル目を同期ノイズ出力にすることでデューティ比6.25/93.75の音

「矩形波3+ノイズ1」の構成は「AY-3-8910」とは変わりませんが、エンベロープなしということと、ノイズが独立して音量調整ができます。

 

SSG音源とFM音源

ヤマハが作った「YM2203」という音源チップには、FM音源とSSG音源が組み込まれています。SSGとは、

FM音源によるPSG互換機能をSSG(Software-controlled Sound Generator)音源、単純にSSGとも呼ぶ。

出典:Wikipedia「PSG」より

とあり、AY-3-8910のPSG機能のソフトウェアのこと、でしょうね。ヤマハではPSGをSSGとも言うそうです。

 

Wikiでは『YM2203をFM音源チップ』と書かれているので誤解してしまいそうになったのですが、厳密には、

4オペレータ、同時発音数3音のFM音源に加え、AY-3-8910(PSG)相当のSSG(Software-controlled Sound Generator)音源と、入出力を備え、プログラマブルタイマーを2系統内蔵する。

出典:Wikipedia「YM2203」より

とあるので、

「 YM2203 = FM音源 + SSG(PSG)音源 」

ということになりそうです。

 

 

以上より、ピコピコしたファミコンサウンドには大体矩形波が使われているので、それを「PSG」と言っても間違いではないのでしょうが、この表現だと誤解を生んでしまう恐れがあるので、私は「ファミコンサウンド」とか「ピコピコ音源」とか使ってます(笑

 

 

SM76489の操作方法

  • Pulse1~3が矩形波1~3チャンネル分の音量出力0~100%
  • Noiseの音量出力0~100%
  • 右のTypeはNoiseの2種類、Priodic/White
  • 右下のSpeedはNoiseのパターン4種、Fast/Medium/Slow/Tone2
  • 矩形波の3音はポリフォニック

 

プラグインSN76489の特徴は一つのトラックで、矩形波が3音同時発声するので、トラック数を分けなくていいので便利ですね。ノイズも同時に発声するのですが、これは別トラックで分けた方が使いやすそうです。

 

ポリフォニックの仕様は、3音発声の場合、一番下のノートからPulse1・2・3と出力が振り分けられる仕様のようです。

 

例えば、MIDIトラックに3音分のノートを置いて、このようにPulse1、2は100%(出力ON)にして、Pulse3の出力を0(OFF)にすると、上のE5・D5の音は鳴らない。

 

また、低音はA1より下は全部A1音が鳴り、それより下の音は存在していない形になっています。

 

 

Type「Periodic」について

Wikiの「PSG・SN76489の項目(ページ中段辺り)」では、

通常音色はデューティ比50/50のみであるが、3チャンネル目を同期ノイズ出力にすることでデューティ比6.25/93.75の音となる。トーン周波数に対し音程は半音ずれるが、ギターに似た音色となるため、若干弱い低音部をカバーする事が出来た。

とあり、SN76489の右側「Periodic/Tone2」にすることで、Duty比6.25/93.75の矩形波の音が出ます。

 

まず、3音鳴るようこのようにノートを置いてみます。

 

全ての出力をONにして、Type「Periodic/Tone2」にすると、一番下の音でなくて、一番上の音(Palse3)の音にノイズチャンネルが同期し、メロディが高音と低音でカバーされる形になりました。

ちなみにこのままの状態で、PeriodicのTypeをFast、Medium、Slowにしてみると、Pulse3にノイズが追随せずに、オクターブ違いのA音が出力されました。

 

・Periodic/Fast

 

・Periodic/Medium

 

・Periodic/Slow

 

 

キーをA音にしているのでそんなに違和感ありませんが、毎回曲中これだと流石にきつい。

また、このノイズ部分の音の使い方に関しては、例えば一度ノートを置いて鳴らしたあとにノートの上下入れ替えたりすると、先に鳴らした同期音を記憶しているのか、一番上のPulse3でなっているはずの音には同期しなかったりします。

 

まず、最初の状態。

これを、ノートの場所を変えてみます。

 

2小節目の一番下のベース音(黒く選択されているところ)を・・・

 

2オクターブ上げて、Pulse3が鳴らすはずのポジションへ移してやりました。

 

しかし、ノイズ同期はこの一番上に上げたはずの音には同期せず、ノートを動かす前の一番上だった音に同期したままという。

うん、なんだかこの挙動には懐かしさを感じます。MMLでSC-88proのインサーションエフェクトとか弄ってた頃を思い出します。ON/OFFの命令を指定してやらないと音が出っぱなしとか、設定リセットされないまんまとか(笑

 

ノイズ同期音をベース音にして音を鳴らすには

完全解決とはいきませんが、このノイズ同期のデューティ比6.25/93.75の音をベース音に持っていく為に、私なりの工夫の一例を以下に書きます。

初めに全チャンネル出力をONにして、右のNoiseTypeは「Reriodic」、Speed/Tone2にしておきます。

 

MIDIノートは、一番上にベース音が来るよう配置。黒く選択ささっている部分がそうですね。ノート音とPulse出力の振り分けは、

  • 下から順に、Pulse1、Pulse2、Pulse3

となっているので、この一番上のノートはPulse3が担当し、尚且つ再生時のノイズ同期もこのPulse3にされる(私の環境ではそうでした)。ノートの位置に気を付けながら打ち込んでいって、完成となったら、

 

Pulse3の出力だけ0%(OFF)にして再生してやります。

すると結果はこんな感じ。

デューティ比6.25/93.75の矩形波のベース音にすることに成功しました。

 

ちなみに同期はさせずに「矩形波3つ分」と「ノイズチャンネル分」を別トラックで用意して綺麗にまとめた版はこちら。

音的には後者の方がいいかなと個人的には思います。

 

 

おわりに

このプラグインはポリフォニックなので3和音分+ノイズ分の2トラック分のプラグインを起動させてやれば、難しいことは考えずに普通に曲は作れるかと思います。

ノイズ同期部分に関しては不透明なところがあるのですが、デューティ比6.25/93.75の音を出したいなら、別のプラグインで1トラック用意してあげたほうがわかりやすくて楽かな。要はその音が出せればいいのだから。

プラグインとしては、ポリフォニックというのが使いやすくていいですね。

 

 

おわりに2

以上、4回に渡ってSOCALABS 8-BIT TREATSのプラグインの使用感を、チップチューンの知識底上げとして記事にしてみました。

ここまで記事にして来てこれを言うのも何ですが、

  • チップチューンを作るならわざわざこのプラグインを使う必要はない

ということ。

みもフタもない言い方になりますが、シンセ音を弄る音源は本当にたくさんありますし、このプラグイン自体、1980年代のレトロゲーム機の音源をエミュレートしているだけあって、それぞれ癖があって使いづらい部分もあります。

DPCMや波形メモリ音源の部分もなかったりしますから、完全なエミュレートとは言えないでしょう。(DPCMはそもそもサンプリングで、また波形メモリ音源は別個の技術になるので、このプラグインのコンセプトから敢えて省かれていると思われます。)

 

しかし、このエミュレートプラグインから私が強く感じたことは、そういう部分ではなくて、当時はそれぞれに個性があって、またそれぞれの癖がある中で様々なサウンドが作られてきたということ。今では一緒くたにされてしまう内容にでも、きちんと違いがあったんだよという気持ちを強く感じる。

そういう意味で、自分の知識も含めて、チップチューンの違いをこのプラグインを通して少しでも整地できればなぁと思って記事にしてみました。簡単に書けるかと思ったら結構時間かかってしまってます。

 

幼少期にリアルタイムで触れていた世代ではあるのですが、何分エミュレートの専門的な知識がそこまでないので、どっか間違ってないかなーと少し心配ですが、その時は是非教えてくださいませ(笑

 

それでは!

 

【C64音源】Commodore64をエミュレートしたプラグイン『SID』でチップチューン作り

今日は、フリープラグインである「SOCALABS 8-BIT TREATS」から、「SID」で音弄りなどをして遊んでみたいと思います。

 

こいつはすごいですよ、Socalabs 8Bit Treatsの4つのエミュレートプラグインの中でも、かなり性能がいい。それもそのはず、他がゲーム機に対し、SIDだけはCommodore 64というコンピュータの音源エミュレート。ホームコンピュータではあるものの、1980年代、北米ではファミコンが入ってくる前に、ゲーム機としても一時代を築き、欧州でもかなりの人気があったといいます。

なんかこう、一人だけフルアーマーみたいな印象。

 

SIDの仕様を確認

  • Commodore64(C64)をエミュレート
  • 3基のオシレーター(矩形波・三角波・ノコギリ波・ノイズの4種類の波形)
  • オシレーターごとのADSR機能
  • リングモジュレーション(三角波出力切り替え)とオシレーター間のハードシンク機能
  • ハイパス・バンドパス・ローパスフィルター

 

というわけで、矩形波2・三角波1とかいうレベルではなく、3基がそれぞれ波形4つも使えるというなかなかのパワフルさ。しかも、Attack、Decay、Sustain、Releaseの設定もそれぞれ行えて、Tune、Fireもあり、ハードシンク、リングモジュレーションまで出来る。更にトータルにLowPass、BandPass、HiPassがついていて、右下にCutoff、Resonanceもある。

ファミコンと比べるのも少し土俵違いな気もしますが、随分出来る内容が豊富です。音源チップのSIDとは「Sound Interface Device」の略なので、まさに当時の音に特化したチップですね。

 

 

SIDの操作方法

まず、具体的なパラメータを見ていきます。

  • 左にあるのがオシレーター3基。Off/OnでSquare(矩形波)・Triangle(三角波)・Saw(ノコギリ波)・Noise(ノイズ)にそれぞれ変更可能。
  • オシレーターそれぞれにリングモジュレーション、ハードシンク付き。
  • PWは「Square(矩形波)」の時のみ反応。デューティ比の変調で0~100%
  • Aの値は、2、8、16、24、38、56、68、80、100、240、500、800[ms]、単位上がって1、3、5、8[s]
  • D・Rの値は、6、24、48、72、114、168、204、240、300、750[ms]、単位上がって1.5、2.4、3、9、15、24[s]
  • Sの値は、0、7、13、20、27、33、40、47、53、60、67、73、80、87、93、100%
  • LP、BP、HPはチャンネルごとにBypassのON/OFF切り替え可能
  • Cutoffは、220~17999Hz
  • Reso・Volumeは、Sと同じ固定値ごとで、0~100%

画面右のフィルターは、通したくなければバイパスしてしまえば音はそのまま出力されますが、通した場合は、3つのフィルター最低1つはOnにしないと音は出力されません。

 

4種類の波形

3基のオシレーターではそれぞれ4種類の波形が出せます。種類は、

  • Square(矩形波)
  • Triangle(三角波)
  • Saw(ノコギリ波)
  • Noise(ノイズ)

の4つ。正弦波のみ、音色としてないだけですね。

 

ハードシンクとは

ハードシンクというのは、二つの周波数を同期させて新たな波形を作り出す機能のこと。

これはハードシンクの簡易図ですが、上図のように、周期の短いオシレーター2(緑)を使って、周期の長いオシレーター1(赤)にシンクをかけます。すると、オシレーター1(赤)オシレーター2(緑)が1周期するごとに波形が一旦リセットされ、結果的にオシレーター1は新たな波形を作る事になる

オシレーターシンクにはハードとソフトがありますが、一般的にはこのハードのことを指すようです。

もうちょっとだけ詳しく、という方はこちら

 

 

SIDでのハードシンクの確認

記事が長くなることを覚悟の上で、SIDでのハードシンクの確認をしてみます。

チャンネルは1と3を使い、それぞれチャンネル1にTriangle(三角波)、チャンネル3にSquare(矩形波Duty比50%)、周波数を変えるには、ピッチを変化させてやればよいので、お互いの周波数差を比較的低域で5半音(Tune12と17の差)空けてみました。ピッチが高いほど周期が短く、ピッチが低いほど周期は長いです。低域を選んだ理由は、単にオーディオデータで拡大した時に見やすいから。

 

矩形波のみ

矩形波はこんな音です。チャンネル3のみ、左で音色を選んだ上で、OutputをOnにしてやることで音が出ます。どうせなら全部にこのON/OFFをつけてくれたら楽だったのですが、エミュレートにそんな要望は筋違いになるでしょうね(笑

 

三角波のみ

正弦波に凄く近い音の感じで、篭っているようにも聞こえます。チャンネル1の一番左「Wave」で「Triangle」を選んで単に鳴らした音。

 

矩形波・三角波同時鳴らし

チャンネル1と3の、矩形波と三角波を単に同時に慣らしただけの状態。周波数特性も単に重なり合っただけで、音も別個に聞こえます。

 

同時鳴らし、Sync3<1(三角波の周期を優先)

チャンネル3の矩形波の周期をチャンネル1の三角波に同期させます。SID真ん中の下「Sync3<1」をONにします。「3<1」というのは、「チャンネル3の周期より、チャンネル1の周期の方が上」。つまり、1の三角波の周期を優先させるということ。

音も、矩形波の方に変化が現れたのが視覚と耳からもわかります。

 

同時鳴らし、Sync1<3(矩形波の周期を優先)

今度は逆に、チャンネル1の「Sync1<3」をONにします。こちらはチャンネル3の矩形波の周期をチャンネル1に当てているという形。こちらは音が一つにまとまったような感じがします。

 

矩形波のみ鳴らし、Sync3<1(三角波の周期を優先)

チャンネル1から信号部分だけをチャンネル3に同期している状態です。チャンネル1は一度鳴らしてしまえば、Wave/OFFにして出力を切っても、このプラグインの作りでは周波数の信号はそのまま残っているみたいなので、このように同期だけさせて単音鳴らしということが出来ました。

 

三角波のみ鳴らし、Sync1<3(矩形波の周期を優先)

こちらはチャンネル1の三角波出力に、チャンネル3の周期分だけを優先させた場合。もしこの状態で、優先させているチャンネル3の同期周波数を変えたいという場合、この状態でチャンネル3のTuneを回しても反映されません。一度チャンネル3で音を出して、そこからTuneでピッチを変化させてから、同期先のチャンネルに反映される形になっているようです。

 

 

リングモジュレーターで音作り

Syncの下にRingというボタンがあります。それがリングモジュレーション機能。これを使ってちょっと音作りをしてみたら、なかなかかっこいい低音が出来ました。

ノートはA2。チャンネルは1を矩形波、3を三角波として、チャンネル3の「Ring3<1」をON。矩形波のDuty比は78%Tune-28。三角波とは28半音分のピッチ差があるということですね。そしてここで倍音が上手く噛み合った感じがしました。

 

なので、試しに矩形波のTuneを1オクターブ上げた状態のTune-16。こちらも良い感じに音が混ざり合っているかと思います。

 

リングモジュレーション機能とは

二つの周波数の和と差、つまり単純に足し算した周波数と引き算した周波数を同時に出力するというもの。例として、「2,000Hzの周波数Aと、500Hzの周波数Bがあったとする」と、リングモジュレーターで出力される周波数は、

  • A+B=2,500Hz
  • A-B=1,500Hz

ということになります。げげ、これはなかなかやばい周波数の値を出力してしまったようです(笑

 

リングモジュレーターの使い方はSleepfreaksさんが非常にわかりやすくオススメなのでこちら

ついでに、理論的にパッとわかりたい場合はこちら

それぞれご参照ください。

 

このSIDのプラグインだけでいえば、上の画像のように、「Ring3<1」とある場合、三角波(Triangle)を符号の低い方(チャンネル3)に置くと、Ring/ONにした際、チャンネル1は「Triangle・Square・Saw・Noise」全ての音色で音が変化しました

それ以外は「Triangle<Triangle」を除く全てにおいてRing/ONでも新たな音の変化は確認できませんでした。例えば、チャンネル1=Square・チャンネル2=Sawでは、リングモジュレーション機能をONにしても音の変化は起こらなかったということです。

 

また、ハードシンクでの参照先の周波数の信号だけ受けて単音出力するやり方はそのままリングモジュレーターでも出来るので、二つの和と差の音が同時に出力されるリングモジュレーターで、単音だけ出力させることが可能です。上画像で言えば、チャンネル1の出力をOFFにすれば、チャンネル3から片方の音が出力されます。

Ring3<1だから、多分引き算分の周波数が抽出できている、とは思うのですが、そこまでは確認していません。とりあえず、単音分は出る

 

 

おわりに

今回は曲作りはせずに、音作りをメインにしてみました。パラメータが色々あるとそれだけで音作りを楽しめてしまうので、時間があっという間に過ぎちゃいますね~・・・いやほんと。

Commodore 64のエミュレート、SIDのお陰でまた一歩シンセ音レベルが上がりそうです。

カットオフ・レゾナンスに関しては今回触れませんでしたが、それは別の機会にまとめたいと思います。

 

それでは!

 

【FC音源】ファミコンをエミュレートしたプラグイン『RP2A03』でチップチューン作り

今回は、「SOCALABS 8-BIT TREATS」のうちの一つ、ファミコンを模した「RP2A03」の仕様を見てみます。

 

任天堂のファミコンといえば国内では知らない人はいないであろう、ゲーム業界の金字塔ハードウェア。去年の2016年11月、ファミコンのクラシックミニが発売されて話題となり、今年の2017年10月にはスーパーファミコンのクラシックミニが新たに発売されました。

ファミコンのクラシックミニは去年の発売以降、一旦生産中止となっていましたが、今年のスーファミのクラシックミニが発売されるとほぼ同時に生産再開することになったようです。スーファミの方も、来年以降も生産していくようですね。

2017年11月くらいでは、実店舗にまだファミコンミニの姿は見えてなかったのですが(私の地域では)、クリスマスにはなんとか少ないながらも間に合わせてくれるんじゃないかなぁとは思います。

SWITCH・スーファミミニ・ファミコンミニ・・・任天堂は大忙しですねぇ。

 

RP2A03の仕様を確認

さあ、早速プラグイン「RP2A03」を使ってみましょう。RP2A03の仕様は、

  • Ricoh 2A03をエミュレート
  • 矩形波チャンネルが2つ
  • 三角波チャンネルが1つ
  • ノイズチャンネルが1つ

ですので、これにDPCM(サンプリング音)を1チャンネル分加えてやることで、ファミコン音源の再現の形は整いそうです。

 

ちなみに、PSG音源のWikiの後半に、

  • パルス波(矩形波)発生装置 2系統(デューティ比3:1、1:1、1:3、1:7切り替え)
  • 三角波発生装置 1系統(4bit波形、音量は仕様上固定だが、DPCMと絡んだバグに近い挙動が存在し、これを利用するといじることが出来る)
  • ノイズ発生装置 1系統(擬似乱数雑音・短周期ノイズ切り替え、周波数変更が可能。ただし、最初期型(コントローラのボタンが四角いゴム)のファミコンでは短周期ノイズは出せない)
  • DPCM 1系統
  • ミキサー

という仕様の音源がRP2A03に組み込まれていて、これをpAPUと呼び、そしてこのpAPUのパルス波発生装置はゲームボーイ・ゲームボーイアドバンスにも使用されているとのこと。

・・・おや、「SOCALABS 8-BIT TREATS」のゲームボーイ音源のプラグイン名が確か「PAPU」でしたね。

 

実機のゲームボーイは、

CPU:シャープ製のLR35902にサウンドなどの機能と共に組み込まれている。

出典:ゲームボーイ – Wikipedia より

ということなので、サウンドも司るCPU名をプラグイン名にということであれば、ゲームボーイ音源プラグインの名は「LR35902」でも良さそうなものですが、ゲームボーイ音源は、初代ファミコン音源のデューティ比切り替えの出来るパルス波を持つという特徴があるので、そちらの方を優先させて「PAPU」という名を付けられたのではないかと思います。

 

DPCMとは

そもそもDPCMとは、「差分パルス符号変調」といって信号の圧縮方式のこと。ファミコンではこの方式を音の圧縮に取り入れて使用しているので、

ファミコン音源でいうDPCMは「音の荒いサンプリング音」

と捉えて頂くとわかりやすいかと思います。

 

こちらの動画が非常にわかりやすかったのでご紹介。

サンプリングとはいえ、ファミコンの容量ではどうしてもデータを小さくしないといけないため、音がザラザラといいますか、通信が途絶える一歩手前のトランシーバーみたいな音になってしまいやすい。

なので、マリオ3のあの抜けのいいパーカッションの音などは逆にビビります。凄い。

 

FamiTrackerのDPCM部分のサンプルを見てみると、画面右側「Loaded samples」の下に0~8までの系9個の音がサンプリング音として収録されていました。0~4までは、A#・B・C#・D・Dの音がサンプリングされ、5~8にはパーカス・リズム音が使われています。

実際にこの辺りは8bitのゲーム内での容量の許す範囲内で、ということですね。

 

スーパーマリオ3では、DPCMにドラムキットなどのパーカス音が思ったよりふんだんに使われているのがわかります。

実機におけるDPCMの具体的な音の出し方については、私にとって理解が届かない部分も多かった為ここでは割愛しますが、ひとまずこの記事でのファミコン音源再現としてのDPCMは、幾つかの低ビットレートを想定したサンプリング音ということで話を進めていきます。

 

以下、DPCMについての参考ページ。

  1. こちらのページ中盤のDPCMの項目
  2. こちらの記事、冒頭部分
  3. こちらの記事、中盤のDPCM

 

 

RP2A03の操作方法

前置きが長くなりましたが、RP2A03のプラグイン画面を見てみます。

  • 矩形波チャンネル2つ、どちらもスウィープ機能あり(画面左)
  • 三角波チャンネル1つ、ON/OFFのみでTuneとFineのみ(画面右上)
  • ノイズチャンネル1つ、音量0~100%、切り替えON/OFF(画面右下)
  • 一番右下に全部の音のトータル出力調整
  • Pulse:矩形波の音量。0~100%
  • Duty Cycle:音色の変化。duty比:12.5%、25%、50%、75%4つ
  • Tune:キーの変更1単位で1半音、-48~+48まで
  • Fine:更に細かいピッチ変化100で1半音、-100~+100まで
  • Sweep:スウィープパラメータ。マイナスだと音が落ちていきプラスだと音が階段状に高速で上がる。-8~+8
  • Shift:スウィープパラメータ。数字が大きいほどゆっくりになる。0~7

 

プラグインの「PAPU」では矩形波チャンネルにAttackとReleaseがありましたが、こちらではその設定がありません。ただし、音量調整は2つのチャンネルに個別でついています。三角波に至ってはピッチの調整以外なく、ON/OFFのみで非常にシンプル。ノイズも音量調整と切り替えON/OFFのみ。

ファミコン初期時代は、こんなシンプルさで曲を作っていたんですね~。そしてその中で様々な工夫が生み出されて今がある・・・なんというロマン。

 

 

サンプル曲を作ってみました

あまり難しいことはしていません。デチューン音色を途中で使っているのと、擬似ディレイと効果音的な音を作って混ぜたくらいです。ほぼフルで使ってはいますが、構成は結構シンプル。

 

Kick(バスドラ)とSnareはDPCMでサンプリングしたと置き換えて、低ビットレートで録音したものを2点のみ使用。あとは、主に矩形波の1チャンネル分をコントロールチェンジ(CC)といって、実機では内部で途中途中音色やパラメータを変更しているとして、その分をトラック数を増やして表現しました。

最終的に矩形波2+三角波1で、合わせて3和音を越えなければいいという、いつも通り大雑把なやり方です(笑

 

内訳は以下の通り。

 

DPCM分、バスドラの音

GrooveAgent・Comp Kit CDのバスドラをCubaseでビットレートを下げて録音したものを使いました。

 

DPCM分、スネアの音

こちらも同じキットのスネアを、ビットレートを下げて録音。FamiTrackerで録って少しリアリティを・・・とも思ったのですが、変換につぐ変換の手順が遠かったのでやめました。

 

矩形波1(リード、装飾の擬似ディレイなど)

デューティ比12.5%。出力は最大。

 

矩形波2(リード、ハモリなど)

デューティ比50%。出力は最大。

 

サビ一周目の矩形波2つのデチューン(リード)

デューティ比25%、出力は最大で、片方だけFine-20にして重ねています。

 

三角波(ベース)

ONのみ!!

 

ノイズ(リズム、ハイハットの代わり)

50%出力のみ!!(笑

 

飛び道具的な矩形波(スウィープで効果音的に使用)

デューティ比12.5%。出力は最大にして、SweepとShiftをそれぞれ-2、2にするとこんな音が出ます。序盤はノートを下の方、つまり低域に置くと潰れたようになりますが、高域に音を置くと、最後のティウンティウン音になります。この音を聞くとロックマン、もしくはスターラスターを思い出す・・・。

 

 

擬似ディレイ

今回、擬似ディレイを使ってみました。上記に載せた矩形波1(リード、装飾の擬似ディレイなど)の音がそうなのですが、そのやり方は上画面の通り。

続く音をすぐ後ろに等間隔で置いて、ベロシティを小さくしただけ。これで、奥行きが感じられるように聞こえるわけですね。当時のファミコン時代はこうして如何に、制限のかかった状態で音の表現を豊かにしていくかを作り上げていったんですね~、いや~スバラシイ。実にスバラシイ。

 

 

おわりに

ファミコンの音使いは、時代が後半になるにつれてどんどん工夫が凝らされていって、ここまで出来るのか!?という音の表現が編み出されていたりしますが、今回のサンプルのように、非常にシンプルな曲も多いです。

ごく初期のファミコンソフトでは効果音だけでそもそもBGMがないものもありますし、DPCMの存在も初めは認知されていなかったなど、結構奥が深い。

 

チップチューンの完成度を高めようとする場合は、実機をプレイするのが一番なんですけど、例えば、ゲームで効果音が鳴っている間、最低限BGMの妨げにならないようにするために、

  • 矩形波チャンネル1=メロディメイン(固定)
  • 矩形波チャンネル2=効果音orハモリ・アルペジオ
  • 三角波チャンネル1=ベース(固定)

という風に、1チャンネル分は効果音と兼用のチャンネルになることを想定して、SEが入った時だけ矩形波チャンネル2のBGM入力が一旦リセットされて、SEが鳴り終ったらそのBGM入力の続きが出力される、とか。

またこれはゲームにもよりますが、コントローラのボタンを押したときにその信号入力によって(微妙にですが)他の信号との干渉が発生して、何かのタイミングの入力時だけ音が一瞬小さくなるとか・・・(これはやりすぎか

 

このように、方向性にもよりますが、非常にシンプルながらも、奥の深さが底知れないのが、チップチューンの面白さの一つなのではないかと思います。

 

それでは、今回はこの辺で。

 

【GB音源】Gameboyをエミュレートしたプラグイン『PAPU』でチップチューン作り

前回、

1980年代ゲーム機の音源をエミュレートした『SOCALABS 8-BIT TREATS』が無料配布

という記事を書きました。

今回はそのプラグインの一つ、ゲームボーイをエミュレートしたPAPUを使ってGB音源風のチップチューン作りをしてみたいと思います。

 

PAPUの仕様を確認

PAPUの仕様は、

  • 任天堂ゲームボーイをエミュレート
  • 矩形波チャンネルが2つ
  • その内片方のチャンネルにはスウィープ機能搭載
  • ノイズチャンネルが1つ
  • ステレオ機能(LCR)搭載

本来のゲームボーイ音源にはこれに「波形メモリ音源」が載っかっています。なので、PAPUとその波形メモリ音源に変わるプラグインを使ってやれば、GB音源を再現できるということですね。

 

波形メモリ音源とは

波形メモリ音源はちょっと特殊で、こちらの記事を参照すると、

1周期分の波形データだけ持っておいて音階をつけて鳴らす音源方式

ということ。

 

どういうことかというと、

これはChip32というソフトで見る矩形波。例では真四角です。この形を一周期として音が鳴っている。PAPUの画像でも一つの波形がずーっと連続して並んでるように見えると思います。

この音はこんな感じ。

 

そして、波形メモリ音源というのは、この一周期の形を自由に変形できるというもの。

例えば、真ん中だけそれぞれ凹ませた波形を作ってみて聞いてみると・・・

 

真四角の矩形波よりちょ~っと音が明るい感じになりました。もっと変化つけた方がわかりやすかったかもしれませんが、波形メモリ音源はこうして自由に波形を変形させられるので、チップチューン音の基本となる正弦波・矩形波・三角波・ノコギリ波以外の独自の音を作る事ができる。

ナムコ社のアーケード版「ドルアーガの塔」や「マッピー」なんかにはこれが搭載されて、当時は新たな音の表現として画期的だったそうです。

 

というわけで、PAPUにこのChip32を併用して、ゲームボーイ音源を再現する形をとってみます

Chip32はフリーソフトです。ダウンロードは、こちら

OS対応はWindowsではXPまでの表記ですが、私のWindows7でも動きました。

 

 

PAPUの操作方法

改めてPAPUのプラグイン画面をみてみます。

 

  • 1つ目の矩形波チャンネルにスウィープ機能
  • 2つ目の矩形波チャンネルはスウィープなし
  • 3つ目のノイズチャンネル
  • その横に全部の音のアプトプット
  • PW:音色の変化。duty比:12.5%、25%、50%、75%4つ
  • Attack:音の立ち上がり0.0、0.3、0.5、0.8、1.0、1.3、1.5、1.8s
  • Release:音の余韻の長さ0.0、0.3、0.5、0.8、1.0、1.3、1.5、1.8s
  • Tune:キーの変更1単位で1半音、-48~+48まで。
  • Fine:更に細かいピッチ変化100で1半音、-100~+100まで。
  • Sweep/Shift:スウィープの度合いを決めるパラメータ(弄った方が分かり易い)

 

こんな感じでしょうか。文字で説明するより実際に弄った方がわかりやすいかとは思いますが、最初なので記載しておきます。

 

 

スウィープ機能の音作りで遊んでみる

弄っているとすぐに色々な音が出せることがわかります。わかりにくいかとは思うので、サラッと見てください。一例として私が遊んで作った音を載せておきます。

 

スライムが歩くような効果音

小さいなにかがヨチヨチ歩くような効果音。チャンネル1のパラメータは上記赤枠。左上のノートを1オクターブ下げてやれば、Tuneを-18から-6にしてやることで同じ音になります。

 

弾を発射する音など?

Tuneがえらいことになってますが、それはノートが下の方にあるからです。色々弄ってたらこんなパラメータになってしまった(笑

ランダム要素を出すためにクオンタイズをかけません。

 

何かが落ちる音

ノートは短いですが、その分リリースを少し伸ばして余韻を作ります。

 

何かが迫ってくる音

これはスウィープではなくノイズですが、ついでに載せておきます。

アタックを少しだけ遅らせると、迫り来る感じが出てきます。ノイズの種類をかえてちょっと弄るとこんな音が出せるという。

 

 

ゲームをしているような展開を表現してみる

簡単に、ゲームをプレイしている時のように音を置いていってみました。

作ったあとに思ったのですが、曲が始まったあとも効果音入れればそれっぽく聞こえたかもしれませんね。ま、まぁ、今回はサンプルということで(逃

そして以下は、その時使った音などの資料です。

 

ベース音やバッキング、サビのリード音

デューティ比25%の明るい使いやすい音。

 

Aメロのリード音

使用しているのは2チャンネルの矩形波。デューティ比は50%。透き通るような音ですね。アタックを0.3にしてフワッと入るようになってます

 

リズム隊のノイズ音(ハイハットの代わり)

使っているのは一番下のノイズ部だけ。うるさすぎないよう、Outputを少し絞っています。

 

波形メモリ音源で作った音

独自に波形を作れるので、結構違った音が作れますねー。良さそうな音を色々探せそう。

 

 

PAPUを使う時の留意点

PAPUは、モノフォニック(単音発声)なため、全チャンネルをONにしても3チャンネル全部同時に鳴るだけで、和音は鳴りません。3チャンネル同時に鳴るのと、和音を出せるのはまた意味が違うということ。

 

なので、ゲーム内ではその時その時で音色などを変換していることを想定し、矩形波2+波形メモリ1+ノイズ1の最大計4音がなるようにバランス調整しました。

トラック数が多いのは、違う音色に切り替えた時の音を別トラックで予め作っておいた方が楽なので、そうしています。一応トラック数も絞って音色を変えたりは出来るのですが(昔はよくそうしていました)、ただの自分用サンプルの場合はこうして大雑把(笑

 

ちなみに、今回のサンプルでは取り入れていませんが、モノフォニックではあっても、ピッチを少しずらした矩形波2つを同時に鳴らすと、少し太めといいますか、新たな音がでます。

まずは、普通の矩形波一本。

なんの変哲も無い、ただの矩形波のようだ・・・!!

 

しかし、2本目のピッチをすこ~しだけずらすと・・・?

わーお、かっこいいー

 

矩形波2チャンネルを使い、片方のピッチ(Fine)を16/100半音ずらしてみた時の重なりの音。これは別に全く同じ波形でなくとも、色々な波形の組み合わせで音が違います。

この音の重ねで出力される音は結構かっこいいことが多いので、ここぞという時に使うと良い味が出ると思います。こういう微妙に違う音を重ねて厚みのある音を作る事をデチューンといいます。

 

 

おわりに

矩形波やノイズなどを出す音源は色んなプラグインが沢山あるので、PAPUに限らず、自分に合った音源を使うのが一番ではあると思います。ただ、ゲームボーイ音源がどういう風に作られているかを知るという意味では、エミュレートされているだけあってそれにほぼ近い内容での曲は作れるのではないかと思います。

デューティ比やアタックなどのパラメータがある程度固定で用意されているというのも、実機感があっていいですね。その感覚を使っていって覚えていくのは結構ありかなと思いました。

 

それでは!

 

1980年代ゲーム機の音源をエミュレートした『SOCALABS 8-BIT TREATS』が無料配布

音楽制作ソフト・ハードウェア開発を行っているTracktion Corporation社が、1980年代のゲーム機の音をエミュレートしたソフト音源、「SOCALABS 8-BIT TREATS」を無償配布しています。

SOCALABS 8-BIT TREATSには4つのプラグインがあり、それぞれ

  • PAPU(ゲームボーイ・任天堂)
  • RP2A03(ファミコン・任天堂)
  • SID(Commodore 64)
  • SN76489(セガ・マスターシステム)

をエミュレートしているようです。

ICONさんの記事を何気なく読んでいたらこれを目にして、ちょっと面白そうなプラグインだと思ったので記事にしてみました。

 

PAPU(ゲームボーイ)

公式ページには、

  • 任天堂ゲームボーイをエミュレート
  • 矩形波チャンネルが2つ
  • その内片方のチャンネルにはスウィープ機能搭載
  • ノイズチャンネルが1つ

とあります。

ゲームボーイの音色とチャンネルは、

  • 矩形波2
  • 波形メモリ1
  • ノイズ1

なので、PAPUに波形メモリ音源を別で用意して1チャンネル分加えてやれば、ほぼゲームボーイ音源を再現できそうです。波形メモリ音源がない以外には、きちんとGB音源のステレオ出力も再現されている。

ゲームボーイのステレオ出力って、印象全然覚えてないんですけどね。友達がちらほら持ってたくらいだしなぁ。

 

RP2A03(ファミコン)

  • NTSC方式・任天堂ファミコンのRicoh 2A03をエミュレート
  • 矩形波チャンネルが2つ
  • 三角波チャンネルが1つ
  • ノイズチャンネルが1つ

NTSC方式というのは、ビデオ出力・放送方式のことで日本や主に北アメリカで採用されているもの。そのファミコンに使われている、リコーが開発した2A03という8bitCPUをエミュレートしたものだそうです。

拡張とかそういうのは考えずに、DPCMの無いごく普通のファミコン音源と考えるとよいと思います。

DPCMとは、要約すると「サンプリング音を一つだけ使えますよ」ということ。くにおくんの「なめんなよ」とか、マリオ3の甲高いコンガみたいなパーカス音がそうですね。

 

 

SID(Commodore 64)

  • モステクノロジー開発のSID搭載コモドール64(C64)をエミュレート
  • 3基のオシレーター
  • 矩形波・三角波・ノコギリ波・ノイズの4種類の波形
  • オシレーターごとのADSR機能
  • リングモジュレーション(三角波出力切り替え)とオシレーター間のハードシンク機能
  • ハイパス・バンドパス・ローパスフィルター搭載

コモドール64とは、ファミコンとほぼ同時期に欧米などで流行ったコンピューター。日本ではほとんど売れなかったそうで、その道の人でなければ国内での認知度は低いかも知れません。

しかし性能は凄い。4種類の波形を出せるオシレーターが3基。またADSRのパラメータ変化も可能。ADSRとは「Attack、Decay、Sustain、Release」のことで、ゲームボーイを模したPAPUよりも随分と操作の幅が広い。

更にリングモジュレーションにハードシンク機能、ハイパス・バンドパス・ローパスフィルターまで積んであり、いや~これは値段高くてもしょうがないでしょう。C64凄いね。

そんなC64を模したプラグインがこのSID。CPUの名前のまんまですね。

 

SN76489(セガ・マスターシステム)

  • セガ・マスターシステム(他)のテキサス・インストゥルメンツ社開発のSN76489をエミュレート
  • 矩形波チャンネルが3つ
  • 3和音発声
  • ノイズチャンネルは1つ(種類は2つ)

メガドライブの前身となるセガ・マスターシステムの音源を模したプラグイン。C64はどちらかというとパソコンに当たるため、性能はずば抜けているようにも思いますが、こちらはゲーム機。

矩形波3つがモノフォニックではなく、そのまま一つとしてポリフォニック。つまり3和音発声という形になっている。ノイズの種類が二つあるのがちょっとした特徴ですね。

ちなみに、YAMAHAのYM2413というFM音源搭載は日本版のみで、このプラグインには用意されていません。

 

自作でSN76489を鳴らしている動画。こういった動画は見ていて面白いです。

へー!こういう風になってるんだー!って感心してしまうというか。

 

ダウンロード方法

とても簡単。まずはこちらへ飛びます。

 

そして、真ん中の「FREE DOWNLOAD」をクリック。

 

未登録であればアカウントを作ります。各項目を入力して、ロボットじゃないよと宣言して、「SUNMIT」をクリック。

 

ご自分のプラットフォームを選んでクリックし、Downloadします。私はWindowsなので真ん中を選択。

 

あとは、DLされたファイルを解凍し、中のテキストにも書いてありますが、DAWのプラグインフォルダにdllファイルを移してやれば終わりです。

例えば、Cubaseを使っている場合は

  • C:\Program Files (x86)\Steinberg\VstPlugins

など。

 

おわりに

懐かしのファミコン的なサウンドを今では「チップチューン」と一括りにカテゴライズされていますが、実際の実機では、使われているチップが似ているけど違うので、それぞれの音構成も、似ているけど違います(2度言う

ネオジオやX68000などに使われているFM音源は、この矩形波がよく使われた時代の少しあと。このプラグインにはそのFM音源が入ってないところにどこか拘りを感じる(笑

フリープラグインで操作自体もそんなに難しくはないので、チップチューンを作るならダウンロードして使ってみるものいいと思います。「SOCALABS 8-BIT TREATS」

あとでこれの操作感の記事でも書いてみようかな。

 

それでは!