箏についての歴史を少し掘り下げて知って箏を好きになろう計画

こんにちは。今回は「箏」についての知識を少しだけ掘り下げて見ていきます。

DTMでソフト音源として箏を鳴らす上では、歴史的な知識がなくとも実務的には問題ありません。が、私はその楽器の歴史的な背景を知っているだけでも力の入り方はやはり変わってくるので、多少時間は掛かってもなるべくこういった知識はつけていきたいと考えています。

 

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箏とは

一般的に、「箏(こと)」と呼ばれ、「琴(きん)」の字を当てることもあるが、「箏」と「琴」は別の楽器である。

出典:Wikipedia「箏」より

和楽器に慣れ親しんでいない場合、上画像の楽器のことを「琴」と書いてしまうかと思います。かくいう私も少し前までは箏のことを「琴」と書いていました。

現在広く普及している和楽器である「箏」は、人型の形をした「柱(じ)」と呼ばれるもので音程を調節するもので、基本は十三弦。これは奈良時代に唐から伝わったとされるもので、龍の象徴とされていたそうです。

そして「琴」は、その柱が無く弦を押さえる場所で音程を決める楽器だそうです。

 

「箏」と「琴」が実はそれぞれ別の楽器だったとは・・・名称がごちゃまぜになっているだけじゃなかったんですね。今まで知りませんでした。

 

箏の起源

日本では、大まかに分けて

  • 弥生時代もしくはそれ以前の古代日本に存在していた「こと」
    →主に呪術的な意味合いがあった模様
  • 奈良時代、中国の唐より伝来した「こと」
    音を奏でる楽器的なものとして伝わった模様

と、2パターンの「こと」があったようです。

日本古代の「こと」は古事記にもそれを弾く描写があり、「和琴」の原型という形。またこの「こと」と思われる出土品が縄文時代の青森、滋賀、北海道の遺跡で見つかっているらしく、弥生時代のものと形も似ているそうです。

現在一般的に普及している「箏」は奈良時代、中国は唐の時代よりもたらされたものが原型らしいのですが、それとは別に元々日本に存在していた「こと」があったんですねぇ。その「こと」は呪術的な用いられ方をされていたらしいです。

 

・・・そういえば、雅楽の越殿楽も現代音楽から見るとかなり儀式的な要素を強く感じます。ギターと同じで音を出すことに関してはかなり汎用性の高そうな箏ですが、元々は神聖なものの表しとして静粛で厳かに使われていたようです。

 

また、琴という言葉に関しては、Wikiに、

『源氏物語』などの古文では、「琴」は、琴(きん)のほかに、箏、琵琶などすべての撥弦楽器を指している。このことは、明治時代に日本に新しい楽器が入ってきた際に、洋琴(ピアノ)、風琴(オルガン)、手風琴(アコーディオン)、自鳴琴(オルゴール)、提琴(ヴァイオリン)などと呼ばれていたことからも伺い知ることができる。

とあり、撥弦楽器の総称を「琴」もしくは「こと」と呼んでいたそうです。如何に日本で「こと」が古くからあって親しまれていたかがよくわかります。

 

生田流と山田流

現在、箏を学ぶ場合、二つの流派があります。それが生田流山田流

これは、江戸時代初期に楽器としての箏および箏曲の基礎を大成させた八橋検校(やつはし・けんぎょう)の後、江戸時代中期に活躍した生田検校山田検校をルーツとしたもののようです。

ちなみに「検校」とは昔、盲人に与えられた最高の官名のこと。江戸時代においては箏は盲目音楽家の専売特許だったようですね。

 

また、京都の「八ツ橋」というお菓子はこの八橋検校の功績を称えて(もしくは偲ばれて)作られたとか。三角形の生の方ではなく、硬いパキッとしたお菓子の方ですね。箏の形を模しているそうです。

 

生田流と山田流に話を戻して、この二つの違いを大雑把にまとめると、

生田流

  • 角爪
  • 楽器に対し左斜め約45度に構える
  • 独奏曲において技巧が発達
  • 上方(関西地方)を中心に発達

山田流

  • 丸爪
  • 楽器に対し正面に構える
  • 「歌もの」を多く扱う
  • 江戸(関東地方)を中心に発達

 

また、箏という楽器本体に関しては、

山田流式の方が音量が大きく豊かな音色である為、現在製作されている箏は一部を除いてほとんどが山田流式の箏

とのこと。

箏自体は浄瑠璃風の歌モノを中心として改良された山田流式が主流なようですが、私の知る箏を学んでいる人には生田流が多い印象があります。爪の形と座る姿勢は別ですが、実際演奏する楽曲などはそんなに大きな違いはないそうです。

 

簡単な生田流と山田流の見分け方

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]さて、ここで簡単な問題です!ジャンジャジャ-ン![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii7.jpg” name=”ルイー”]うお、俺たち忘れられてなかったのか![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]まぁ細かいことはいいのだよ。それより問題だから答えなさい。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii4.jpg” name=”ルイー”]あ、はい・・・なんスか突然[/speech_bubble]

 

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]この画像の人は、生田流山田流、どちらでしょ~~か?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii2.jpg” name=”ルイー”]フン、簡単だ。答えは生田流だろう。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii5.jpg” name=”ルイー”]爪が四角いからな・・・フッ[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]はい正解~!素晴らしいね~その通り!![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]ちなみに生田流の斜めに座る理由は、角爪を上手く使う為だと言われているよ。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]爪の材質はワシントン条約後の今でも象牙が主流だけど、最近はプラスチックや樹脂製とかも出てるのです。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]あとルイーはただの三角形[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii9.jpg” name=”ルイー”]なるほどな~、そういう理由があったんだな。合点がいったぜ。[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii3.jpg” name=”ルイー”]・・・あれっ、今サラッと俺のこと小バカにした?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]以上、簡単な流派の見分け方でした~[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]生田流と山田流の簡単な歴史は「箏曲の二大流派〜生田流と山田流の違い〜」をどうぞ![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]あとルイーは顔三角形だけど実はアホ[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii4.jpg” name=”ルイー”]え、三角形のとこ、実は褒めてたの・・・?[/speech_bubble]

 

『春の海』作曲の宮城道雄

前回の箏の打ち込みの記事でも記述しましたが、近現代で箏の楽曲で最も有名な人といえばやはり宮城道雄の名が挙がるかと思われます。作である「春の海」は、タイトルは知らなくとも誰もがどこかで聞いたことのあるであろう名曲。(上動画の箏奏者:宮城喜代子さんはその姪っこさん)

明治時代以降は当道制度が廃止されて、盲人以外でも箏の演奏が職業として認められたそうですが、宮城道雄(あえて歴史的人物と同じように敬称を略して書いていますが)は、幼き頃に失明した盲目の箏曲家とのこと。

 

箏の鳴らし方の動画でもお世話になった、伝統音楽デジタルライブラリーの吉原佐知子さんのこの演奏曲「水の変態」も宮城道雄作曲。この曲はあの伊藤博文も心を打たれたといいます。

 

Youtubeで探してみると宮城道雄作の箏楽曲がかなり出てきます。いやもう、ほんと聞き応えのある楽曲ばかり。奏者の方の演奏力も凄いのですが、なんだろう、開いた口が塞がらないまま聞き入ってしまう。

 

このように箏の静かな曲から激しい曲までなんでもこなす宮城道雄ですが、明治末から主に大正・昭和にかけて、邦楽全般の活性に力を注ぐだけでなく、西洋音楽を取り入れつつ、楽器改良(十七絃箏開発など)や楽譜の普及にも尽力。また文筆家でもあったなど、その活動内容は非常に幅広い。

現代音楽の礎の築きに宮城道雄が大きく貢献したことはまず間違いないですね。

 

箏の参考楽曲色々

Youtubeで見つけた箏の演奏を幾つか挙げてみます。

ジャンプSQの漫画「この音とまれ!」の作中の楽曲「龍星群」。六面(6個)もの箏での合奏はかなり迫力があります。箏がメインの漫画なんてなかなか無いでしょうが、その作中の楽曲が実際に、というと現実味が一気に出てきて良いですね。曲もかっこいい。

 

ロックバンド「メフィストフェレス」のギターを弾いている沢井比河流さん作曲の「絵空箏」。こちらも箏のみの楽曲で、箏の数は九面。ステージが狭く音が近いためか、グワッときます。箏が一面だけの楽曲が世には多いとは思いますが、そんな自分の中の固定観念が崩されるようなこちらも迫力のある楽曲。

 

こちらは25絃箏のさくらアレンジ。基本の13絃に更に12音もプラスして、鳴らせる音がかなり多くなっています。ただ、その分絃同士の間隔は狭くなっているようです。

十七絃箏は、十三絃箏に主に低音部分がプラスされているようですが、二十五絃までいくとどうなんでしょうね。低音だけでなく、平調子であれば中間部にFやA#の音を置いたりなど、欲しい部分を足すのだろうか。

 

こちらはアニメ「Naruto」の「Sadness and Sorrow」の箏演奏ver。アニメのナルトは見ていませんが、あの作品は忍者が主題ですから基本的に悲しいことばっかです。しかし、箏でナルトの曲を演奏すると更に雰囲気がそれっぽく感じられるのではないかと。

 

「和楽器バンド」で箏を演奏されている、いぶくろ聖志さんの箏のサポート動画。動画では箏の演奏に関する内容を紹介されていますが、動画の最初や最後に入ってくるいぶくろさん作曲の箏楽曲が実に心地良いです。

 

おわりに

以上、箏に関する私なりの大雑把な知識の掘り下げでした。

最初は、箏の木や絃の材質、各部の名称などを書いていったほうがいいのかなと思っていましたが、まだ箏に触れ始めたこの段階でそれをやってしまうと単なる暗記になりそうだったため、「箏を取り巻く歴史的な背景と今」を自分なりに簡単にまとめたらこうなりました。

・・・単に私が、歴史から辿ると面白味を感じるというだけなんですけどね(笑

 

[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]・・・ということじゃった。めでたしめでたし[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii1.jpg” name=”ルイー”]日本昔話風に締めるとは、やるなシブ[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]おっけー、それじゃ今回はこんな感じで![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii2.jpg” name=”ルイー”]おう、またな![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu7.jpg” name=”シブ君”]あとルイーは鼻くそでかすぎ![/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii4.jpg” name=”ルイー”]お前ほんと相変わらずだな・・・[/speech_bubble]