こんにちは、MAKOOTOです。
今回はEQを実際に弄ってみて、その使い方の基本をなんとなく覚えてしまおう、
という内容の記事です。
私自身、勉強することは毎日山のようにあるのですが、
その道中の過程を少しでもお役に立てて頂けたら幸いです。
是非、私の屍を越えていって頂きたい。(生きてますけど
DTMにおけるEQの用途
大きく分けて、二つの意味合いがあると思います。
- 音作りで使う
- バランスを整えるのに使う
音作りをする場合は、例えばエレキギターの音。
エレキギターの音作りの方向性は色々あるかとは思いますが、
私の例を出すと、
「サイドギターで使用してあまり主張しすぎないように使いたいので、
もう予めハイとローをばっさりカットしておこう」
とか。
そしてバランスを整える場合ですが、EQはどちらかというと、
このミキシングなどのバランス調整で主に使用することが多いのではないかと思います。
エレキギターやシンセ音など、
人工的な音に関してはEQは音作りに積極的に利用されますが、
アコギやオーケストラ楽曲など、
生音主体で曲を作る場合はあまりEQを弄らない方が自然に聞こえます。
音作りでのEQは分野が絞られるので、
今回はミキシングなどのバランス調整での使い方をざっくりご紹介できたらと思います。
ミキシングのEQ使用例
サンプルを用意してみました。
曲の構成は、ドラム・ベース・ピアノの三つです。
これを実際に整えていく形でEQの使い方を見ていきます。
ちなみに音色は全部Cubase付属のものを使っていて、
- ドラム:Groove Agent SE「Vintage Kit 1」
- ベース:HALion Sonic SE「Precision Flatwound」
- ピアノ:HALion Sonic SE「Bright Rock Piano」
というラインナップです。
なんとなく良さそうかなーというのをサクッとチョイスした体なので、
綿密に音を吟味したわけではありません。
が、この状態からどう音を整えていくかという意味ではよい訓練になるので、
今回はこれでいってみます。
上のサンプルは、
ドラムのシンバルだけ少し左右に広げてリリースを途中で切っているのみで、
あとは何も弄っていない素のままの音です。
素のままの音なので、ちょっとボワッとした印象があるので、
少しスッキリさせる方向でEQを弄ってみたいと思います。
現時点での方向性は、
キックの音が割と派手目なので一番下にもってきて、その上にベースを乗せる感じ。
ピアノはアップライトな感じに仕上げてみようかなと思います。
ベースのEQ例
私はベースの音を基盤にしてミキシングすることが多いので、まずはここから見ていきたいと思います。
・ベースの素の音
ちょっとボワッとしてるかなぁというのが私の第一印象。
今回は他にドラムとピアノしかないので、ムンベ(ドラムンベース)みたいにベースを全面に主張させてもいいのかもと少し思ったのですが、ベースの動き自体はルート音をなぞるだけで、しかもピアノの主張を強くさせてしまった。
なので、ベースはやはり軽く整える程度にしておこうかと思います。
ただ、EQを使う時の注意点なのですが、このモコモコ感を失くそうと、EQのみで低域を整えようとした場合、不自然に音が細くなってしまうケースが多いです。
経験上、かなりEQをがっつり削り気味にしないとすっきり聞こえない。でもそうすると、音がえらい細くなってどうしたもんかという状態になってしまう。
周波数を弄るEQの基本使用として、「ブーストする場合はQは広め、カットする場合はQは狭めで使用すると、音の変化に不自然さが出にくい傾向がある」
と言われています。
前回の「EQ・Lv1」ではこの表示が実は逆になっていますが、まずはブーストする時は広く、カットする時は狭くを基本として使用してみましょう。色んな本でも書かれてはいますが、その方が不自然さは確かに出にくいと私も思う。
というわけで、このベースのモコモコ感はコンプで解決することにして、コンプの前と後にEQをそれぞれ用意して、整える方向でいってみます。
ベースにインサートしたプラグインは、「EQ1ーComp-EQ2」の順番です。
ベース・EQ1
コンプに行く前のEQ調整です。
- 一番左のローカット
キックが一番低域であることを強調するためにかけました。
- 左から二番目の127Hzでのカット
後のコンプによる歪みでこの辺りがモワつくのを予め抑えるためと、キックのここの部分を気持ち強調させるために。
- その右の420Hz辺りをブースト
コンプによる歪みを少し加えるのと、ここを持ち上げることによってベース音に少し厚さと明るさを出すため。
- 一番右のシェルビングによるハイカット
正直いらない気もしましたが、念の為ベースの余計な高域を抑えるためにかけています。
ベース・Comp
EQ1を通ったあとのコンプの設定は上記の通り。
あまり歪ませるつもりはないのでスレッショルドは浅めにとり、ただモワつきを抑えるのとベースという役割からレシオは8:1。アタックは、このベースがそんなに突飛な動きをしていないことから緩めの36msec程度。リリースは100msec程度に収めて音の戻りも多少滑らかに、という意図で設定しています。
ベース・EQ2
コンプ後のベースを若干整える気持ちで使用しています。
左のローカットはコンプで潰してもやはり出てきてしまう60~70Hz辺りの低音を、ダメ押しで若干不自然にならない程度に削りました。右の1.4kHzのちょっとしたブーストは、この曲音色が少ないことからちょっとだけベースの色を出してもいいなぁと感じて少し持ち上げています。
・出来たベースの音
少し軽く、明るい感じになったと思います。
私は基本、ベースにはアンプなどの歪み系を入れてもっとブリブリさせるのが好みなのですが、今回はEQ回なので(コンプは使ってしまっていますが)、これで良しということにしました。
ドラムのEQ例
次にドラムです。今回はドラム丸ごとにエフェクト処理をしていきます。
・素のドラムの音
少しさっぱりし過ぎな気がするので、今回はドラムをもう少し雑に聞こえるよう低音をメインに少し調整してみます。
インサートしたプラグインはベース同様、「EQ1ーComp-EQ2」の順番です。
ドラム・EQ1
コンプの前にかけるEQの処理は、
- 150Hzちょいブーストさせてコンプの潰しを若干効かせる
- 1.5k、2.5kHzを少し削って耳触りを若干すっきり
- 8kHzより上を気持ち持ち上げて、金物のシャリを若干強調
ドラム・Comp
ドラムのトータルに掛けているので、やんわりとした潰し具合を出すためにRatio4:1、アタックは34msecくらい、リリースは55msecと少し短めにしました。ドラムの音色を個別に弄る場合はまたスネア、バスドラ、金物でこの辺りの数値を変えますが、ドラムトータルにコンプをかける場合、やりすぎるとノリが不自然になる気がします。
ただ、その不自然さを意図した演出であれば逆に効果的になります。今回は、気持ち一体感を出す程度なのでこのくらいで。
ドラム・EQ2
コンプ後のEQでは、
- ベースで削った50Hz以下を敢えてドラムでブーストして強調
- 250Hz、650Hz付近を弱ブーストして、ドラムの音を少し強調
という意図で処理しています。
250Hzは音が濁りやすいポイントで、ここを削ると音の抜けが良くなり、ブーストすると音が詰まり、すっきりしないような感じになります。
難しいのが、ここをEQでざっくり行っていいケースとそうでないケースがある。ドラムのトータルのような全体に影響のあるトラックでEQでここをざっくり削ると、全体の曲が痩せ細る感じが出てしまうので、コンプなどを挟んだりしているわけです。
今回は、ドラムを少し濁らせたかったので若干ブーストさせています。
・出来たドラムの音
ドラムトータルで聴いて、少し音が太くなったと思います。
最近よく思うのが、単体で聞くとあまり効果がわからない音の処理でも、全体で聞くと案外違いがわかるようになるということ。なので、曲内の音数が多い場合、単体で聞いてあまり違いがわからないくらいで私は良いと思います。
それが段々積み重なって違いが出ているように私は思います。
ピアノのEQ例
ドラムとベースに低音を任せて、ピアノはアップライトに仕上げてみます。Before・Afterを同時に載せます。
・ピアノ素の音
・出来たピアノの音
単体で聞くと、ピアノが少し後ろに引っ込んだような、控えめになったと思います。
インサートしたプラグインは「EQ1ーComp-EQ2」の順番でもう統一しちゃいました。
ピアノ・EQ1
今回、私がコンプ前に形作ったEQの処理は、
- 150Hz以下をばっさりカット
- ドラムと重ねてみて少しうるさめに感じた350Hz、550Hzをピンポイントでカット
- 音色が全体的に少なめなので、2.4kHzから上をやんわりブースト
低域をバサッと削っていて、アップライトさが浮き彫りになったため、私が感じた350、550Hzの若干耳障りなところを探って削っています。
ピアノ・コンプ
中低域の少し飛び出した部分をほんとに薄く潰しました。アタックはドラムと同じにして、リリースは180msecと長め。このサンプルではピアノを叩いてノリを出しているのですが、素のままだとそのノリが少ししつこい感じがしたので、リリース長めにとって若干の緩和をはかっています。
ピアノ・EQ2
コンプ後のピアノの周波数帯。こういうハイとローががっつりない音になると、残りの中域の操作が結構キモになります。新たに耳障りに感じた430Hz、650Hz辺りを削り、更に安定の2.5kHz削りを掛けて、もう大分引っ込める感じにしてみました。
上手い人はあまり無駄な操作をしないのですが、私はまだ試行錯誤が足りてない気がするので、こうしてピンポイントカットをちょいちょいしてしまいますね~(笑
EQ処理終了・聴き比べてみよう
さあお待ちかね、処理前と後を聞き比べてみましょう。何気にミキシングなどの処理はこういうBefore/Afterが楽しみな私がいます(笑
・素の音
・処理後の音
素の音のボワァっとした感じが処理後に上手く無くせて、スッキリさせられたんじゃないかな~と思います。EQとコンプしか使ってないのでこれだけだと全体的に物足りなく感じますが、これにディレイやリバーブが加わってくるとなると、更に素の音とは違った印象になるのは想像がつくのではないかなと。
終わりに
というわけで、簡単なEQ使用例でした。今回のポイントとしては
- EQでブーストする場合は、Q(幅)を基本広めに。
- EQでカットする場合は、Q(幅)を基本狭めに。
EQ処理はあくまで音を周波数特性から変形させていく、そういうアプローチなので、
- 原音の自然さを大事にしたい場合、少し変化を加えるくらいがいい
- 200Hz付近の低音を削りたい場合はコンプを織り交ぜてEQはコンパクトに
すると良いかと思います。
今回の記事、ちょっと見づらいかもしれませんね。記事の書き方を上手くしていかないとなぁ。
それでは!