【ディレイ・Lv4】ディレイで作り出す3つのステレオ感・その1【DTM】

こんにちは、MAKOOTOです。

 

今回と次回に分けて、ディレイを使ってステレオ感を作り出す、そのやり方を書いてみます。

わかりやすくディレイの掛け方の3パターン、

  1. 横の流れを作り出すステレオ感
  2. 音の箱を作り出すステレオ感
  3. 音の壁を作り出すステレオ感

と表現して説明してみます。

 

 

このページでは、まず上の1、2について書いていきます。

 

 

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3パターンのディレイを掛ける

 

まずは、ディレイを掛ける前のサンプルがこちら。

 

音色の位置を図で表すとこんな感じです。

  • ドラムとベースは真ん中。
  • メロディを兼ねるシンセリードはLに振り切り。
  • アルペジオのマンドリンはセンターに。
  • 低音のシンセストリングスはRに振り切り。

 

ドラムとベースにはコンプとリミッターを適当にかけていますが、

他の3音色には何もエフェクト等かけていません。素の音です。

 

今この記事を書いていて、なぜ自分はこの音色を選んだのかちょっと謎なんですけど、

細かいことは気にしない方向でいきます。

 

 

では、この謎の音色3兄弟であるシンセリード、マンドリン、シンセストリングスに、

それぞれ違う設定のディレイを掛けてみましょう。

 

結果はこちら。

 

どうでしょうか。

素のままよりもステレオ感が生まれ、全体にまとまりができたのではないかと思います。

これは、上記ヘンテコ3兄弟にただディレイを掛けただけです。

 

図で大雑把に見るとこんな具合です。

私のせいであんまり伝わらないかもしれませんが、

ディレイの効果はかなり凄いんです。

ずっと聴いてると段々良さ気に聞こえてくるからちょっとやばい。

 

 

 

[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii2.jpg” name=”ルイー”]なるほど、ディレイってこういう風にも使えるんだな[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]でもこの曲そもそもよくわからない[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]どこで使えばいいかもわからない[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu4.jpg” name=”シブ君”]ボツです[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii4.jpg” name=”ルイー”]いや、そこはもういいだろ・・・[/speech_bubble]

 

シブ君のダメ出しも食らったので、早速ディレイの設定を見ていきます。

 

 

1、横の流れを作り出すステレオ感

一つ目は、左で鳴っているメロディの役割を持つシンセリード音。

 

これが素の音。

 

 

ディレイを掛けたあと。

 

これは、原音をL(左)に振り切り、

ディレイ音だけをセンター(中央)から鳴らして、

ステレオ感を演出しています

 

左で鳴った音を中央にディレイとして返すことで、

オケ(メイン以外の音全体)と馴染ませようということです。

 

 

以下、その設定。

 

 

シンセリードの原音トラックは「Retrologue 02」(↑図、右上)。

まず、ディレイ音のみを鳴らすためのFXチャンネルトラックを作ります。

名前は「L Synth Lead Delay」にして(↑図、右下の水色トラック)、

これに「Retrologue 02」で鳴らした音をセンドで100%で送ります。

(図左の「0.00」は原音と同じ音量という意味)

 

そして、ディレイトラックである「L Synth Lead Delay」にはMonoDelayをインサートしておきます。

1、ディレイ専用のトラックにかかっているインサートエフェクトです。

今回、私は隠し味として「Distortion」も掛けてみました。

 

2、ディレイ音のDelayTime=1/16に設定。

こうすることで、左から中央に音が流れるような感じになります。

 

3、原音を左右に広げるだけなので、最初の音さえあれば良いため、Feedback=0。

 

4、フィルターは掛けないほうが原音のまま出力されるのですが、

シンセ音が若干ハデ目に感じたので、ハイとローを少しカットしました。

 

5、ディレイ音だけを出したいので、Mix=100.0。(センドエフェクトは基本Mix=100です)

 

6、ハイとローのカットにプラスして、ほんとに薄ーくディストーションを掛けて歪ませ、

原音との違いをすんごいうっすら~と出そうとしてます。

0だと全く掛からないので0.1にしてますが、ほぼわからないレベル。

 

7、Toneは、ディストーションを掛ける周波数帯域の幅のことです。

ローとハイをカットしてはいますが、とりあえず全体に掛けるということで、Maxの10.0に設定。

 

8、ディストーションを掛けると聴感的に音量が上がる時があるので、OUTPUTは少し下げめに。

 

 

図右は、原音トラックのフェーダー部分。音を真左から出したいので原音はLに振り切り

図左は、「Sends」つまり送り先の音の位置です。このディレイ音はセンターに調整します。

 

 

そして原音(左トラック)とディレイ音(右トラック)の音量調整。

ディレイ音を、原音の音量のままにすることもありますが、

今回はディレイ音を少し下げて、左から中央への奥行きも少しだけ狙っています。

 

 

 

2、ショートディレイで音の箱的なステレオ感を出す

二つ目は、真右にあるシンセストリングス音。

 

素の音。

 

 

ディレイを掛けた音。

 

このシンセストリングスには、原音はR(右)に振り切り。

ディレイ音は、DelayTimeは30msec(0.03秒)にして、センターに返しています

 

この、100msec以下くらいの極短いディレイタイムでのディレイを、

ショート・ディレイとわかりやすく呼びます。

人によっては50msec以下だったりとか、色々あると思います。

 

この曲はBPM=200で、1拍(1/4)が300msec(0.3秒)

なので、設定した30msecはその10分の1。かなり短めです。

 

これもシンセリードの時と同様で、FXトラックでディレイ音のみ出しています。

DelayTime=30.0、Feedback=0。

こちらに関しては、ほぼ原音をディレイで返す方向なので、フィルターも使いません。

 

原音・ディレイの音量はほぼ同じくらいにします。

こうすることで、流れではなく、音の広がりを確保することになります。

 

↑図の「1」がディレイトラック。定位はセンター。

「2」が原音のトラックで、これはR(右)に振り切り

 

 

そして、少しわかりにくいのですが、ディレイトラックを、原音より若干音量を下げています

これは、原音とディレイ音の音量が同じ場合、

遅れてきた音の方に定位を感じやすい

ということから来ています。

 

 

人間の耳の感覚はそういう風に錯覚する傾向があるということです。

 

 

ただ、これまでの私の体感としては、

音色によっては先に鳴った方に定位を感じやすい

場合も往々にしてあるということ。

 

なので、どちらかの音量を上げ下げして、

なんとなくその中央から音が聞こえてくるポイントを探してあげます。

全く同じ音量」ではなくて「ほぼ同じ音量」と表記しているのはそのためです。

 

 

 

今の時点で簡単にまとめると、

 

音に横の流れを作るなら、ディレイタイムを少し多めにして音量差をつける

シンセリードに掛けたディレイは1/16なので、かなり音の遅れを感じ取ることが出来ます。

タイミングをずらした上で片方の音量を変えると、

  • 「音:大→小」で、遠くに行く感じ
  • 「音:小→大」で、向こうから来る感じ

という流れを擬似的に作り出せるというわけです。

これがステレオ的な横の流れ

 

 

単純にステレオ感を出すなら、原音とディレイ音の音量はほぼ同じにする

原音とショートディレイによってタイミングのズレた音は、

音量が同じ場合、その真ん中から聞こえるというよりは、大体はどちらか寄りに聞こえます。

なので、その定位を調整するため、音量を微調整する必要があります。

 

基本は音量を大きくした方に定位は寄ります

 

 

「音の箱」と冒頭で表現したのは、原音とディレイ音が同じ音量だからなのですが、

DelayTimeによってその真ん中から聞こえるようにするか、

左右両方から聞こえるようにするかも調整できるからです。

横幅の広い箱にするか、細い箱にするか、というイメージですね。

 

DelayTimeを短くすると箱が狭くなり、長くすると箱が広くなります。(ステレオ化)

 

私の感覚だと、

100~50msecだと定位を振ったポイントで原音・ディレイ音がそれぞれ鳴る感覚ですが、

50~20msecだと、振った定位よりも狭目に聞こえて、

20msec以下だと、定位を振っているにも関わらずほぼモノラル化してダブります。

 

 

ただ、2番目に紹介したシンセストリングスのような音色の場合、

倍音の関係もあってあまり細かい設定にしなくとも音が広がったので、

そういう場合は音量調整はそこまで詰めません。

 

役割的には、右でふわ~っと鳴ってればいいかなくらいなので。(笑

 

(倍音成分に関しては、今は割愛します。)

 

 

 

まとめ

1.横の流れを作り出すステレオ感

  • 原音とディレイ音の位置間隔で、音が流れる
  • DelayTimeを短めに取ると、横の流れの歯切れが良くなる
  • 原音とディレイ音に音量差をつけると、奥行きの流れを作り出せる
  • Feedbackは0でも良いが、あっても問題ない
  • 音量調整をするため、ディレイ専用トラックを別で作って、センドで送る

 

2.音の箱的なステレオ感を作る

  • 原音とディレイ音の位置間隔で、ステレオ感の幅が決まる
  • DelayTimeは50msec以下くらいで調整
  • 原音とディレイ音の音量をほぼ同じにする
  • Feedbackは0。
  • 微妙な音量調整が必要。ステレオ感の定位が決まる

 

 

ちょっと長くなってしまったので、続きは次の記事にしたいと思います。

【ディレイ・Lv5】ディレイで作り出す3つのステレオ感・その2【DTM】

 

 

 

それでは!