【コンプ・Lv2】コンプレッサーの基本、スレッショルドの浅めと深め

こんにちは、MAKOOTOです。

 

今回はコンプレッサーLv2ということで、まずは基本から。

代表的なパラメータは以下の通り。

 

コンプパラメータ

  1. スレッショルド(Threshold)
  2. レシオ(Ratio)
  3. アウトプットゲイン(Output Gain)
  4. アタックタイム(Attack Time)
  5. リリースタイム(Release Time)
  6. ゲインリダクション(Gain Reduction

 

コンプレッサーによって、当り前のパラメータがついていないものや、

Distortion等、上記にない機能が備わっているものもあります。

Cubaseのコンプにはレシオに組み込まれているKnee(ニー)も個別になかったり、

同じく上にはインプットゲイン(Input Gain)も無いですね。

 

ですが、そもそもはコンプを使う意味さえ知っていればよいわけですから、

仮に上記パラメータの無いコンプに出くわしても慌てる必要は全くありません。

 

それでは、早速見て行きましょう。

 

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スレッショルド(Threshold)

圧縮を開始させるための音量ポイント、閾(しきい)値のことです。

この数値(音量)を原音が超えると圧縮が始まります。

Cubase-Comp

 

 

まず、スレッショルドが原音より高い場合。(例:0dB)

スレッショルド1

原音よりもスレッショルドは極浅めの設定なので全く圧縮されません。

 

 

次に、スレッショルドレベルを原音より少しだけ低めにしてみます。(例:-10dB)

スレッショルド2

紫色の部分はスレッショルドを越えてことになるので、ここの部分が圧縮されることになります。

ただ、その部分はちょっとしかないので、この場合「浅め」と表現します。

 

 

では、思いっきりスレッショルドレベルを下げてみます。(例:-40dB)

スレッショルド3

わかりやすいですねー、上の青紫色の部分がでかくなりました。

この部分が圧縮対象になるので、がっつり音が潰れることになります。

このスレッショルドの設定を低くすることを「深め」といいます。

 

 

では、他のパラメータはとりあえず置いておいて、

スレッショルドの効果を音で確認してみましょう。

わかりやすくすぐに圧縮されるよう、アタックタイムは0.1msecにしています。

 

 

「スレッショルド:0dB」(素の音と同じ)

 

スレ0

スレッショルドが0dBなので、素の音と全く同じです。

 

 

「スレッショルド:-10dB」(浅め)

 

スレ-10

慣れるまでは素の音との違いがわからないかもしれませんが、

波形を見ると確実に音の立ち上がりの部分が潰されています。

 

 

「スレッショルド:-30dB」(深め)

 

スレ-30

ここまでやるとすごくわかりやすい!(笑

頭の部分が思いっきり潰されているのがわかります。

立ち上がりが余韻とほぼ同じくらいまで圧縮されているので、

残響効果で、まるで遠くで叩いているような感じにも聞こえます。

 

 

スレッショルドの「浅め」と「深め」

 

スレッショルドでは、この数値だから浅い、深いという絶対的な数値はありません。

「原音に対して」浅く掛かっているか、深く掛かっているか

という相対的なものとなります。

 

以下に代表的な浅め・深めの使い方を書いてみます。

実際、各パラメータの設定によってその使い所はかなり違ってくるのですが、

最初は大雑把でもよいので、全体像が見えると理解しやすいのではないかと。

 

 

浅めの使い所

  • 原音のニュアンスはあまり変えたくない
  • 存在感を少しだけ強くしたい
  • 飛び出ているなと感じる音だけ抑えたい
  • 頭は潰したくないけど、余韻を少し消したい

 

・・・などが挙げられます。

原音の雰囲気がよいので、あまり弄りたくはないんだけど、

他の楽器などの音との兼ね合いでぶつかったり、埋もれたりなどした時に、

その兼ね合いをちょっとだけ整えてやる、というイメージです。

 

ちなみに、極薄掛けした場合、慣れていないと単音では効果がわかりにくいのですが、

これが複数の楽器が同時に鳴っている場合、相対的に質感が変わってきます。

それが2個、3個と弄っていくと、最初の時とは大分違うようになる。

 

なんか違う・・・何が違うかよくわからないけど、聞きやすい。かっこいい!

こういう風に聞こえるようになります。

 

 

深めの使い所

  • リズムに迫をつけたい
  • 輪郭をはっきり作りたい
  • バラつきすぎた音量差をある程度揃えたい
  • ぶつかりあっている同じ帯域の音をバランスよくしたい
  • 高圧縮による音の歪みを利用したい時
  • 音を前に持ってきたり、後ろに引っ込ませたい
  • タイトな音を作りたい

 

・・・などがあるのではないかと思います。

これはやはり、コンプをかける音の特性ごとに設定も違ってきて、

主にアタック・リリースを細かく設定していく必要があるので一概には言えませんが、

深く掛ける場合はどのみち音に激しい変化が出てきます。

 

この辺りは概要程度なので、サラッと流して下さい。

 

 

始めてコンプを使う時のコツ

 

これは私がオススメする、コンプに慣れる初めの方法なのですが、はじめは、

 

スレッショルドを少し深めに設定してから、

パラメータを弄ってみて下さい。

 

使い始めの初期の場合、コンプはその効果がわかりにくいと言われていますが、

事実、その通りだと思います。

 

長年現場でエンジニアとして音に携わっている人間は、

聴覚の次元が常人とはケタが違います。

ほんと凄いですよ。耳の精度がえらい高く、凄まじく鍛え抜かれている。

 

それくらい精度の高い耳での判断なので、

注意深く違いを聞き取る意識を普段から高めていない場合、

正直言って、よくわからないのは当り前です。

 

 

なので、コンプを使い始めの頃は、まずはスレッショルドをかなり下げ目にして、

それから各パラメータを弄ってみて下さい。

その方がコンプを掛けた時の音がはっきり聞き取れるので、

まずはどういう効果が出るのかを、耳で把握してみましょう。

 

そして、こういう音になるのか!と段々とわかるようになったら、

スレッショルドを浅めにしていって、その違いを聞き取れるようにしていきます。

 

 

ただし、注意点としては、深く掛けすぎないこと

スレッショルドが深すぎる場合、

コンプの種類によっては圧縮のしすぎで音が意図せず歪んでしまうことがあります。

 

また、スレッショルドによって、コンプの掛かり始め、掛かり終わりの位置が変わります。

スレッショルド違い

同じアタックタイムやリリースタイムでも、

立ち上がりと残響状態が音のレベル部分によって違うので、

単純に深めの設定をそのまま浅めにもっていけばいい、というわけでもなくなります。

 

流れとしては、

  1. ある程度、スレッショルドを深めに掛けて設定し、音を聞いてみる。
  2. 次にコンプをバイパスして(コンプが動作しない状態)、素の音を聞いてみる。
  3. またコンプを掛けた音を聞いてみる・・・

と比較してみるとよいかと思います。

 

この場合、コンプを掛けている時は、全体の音量が下がっている事が多いので、

なるべく原音と同じ音量で聞けるようにするため、

コンプ内でのアウトプットゲイン(MakeUp Gain)を上げておくと良いです。

 

 

下のサンプルを聞き比べてみてください。

 

「素の音」

 

「スレッショルド-30、原音と同じ音量くらいまでゲインを上げたもの」

 

2番目のサンプルを聞くと、余韻が物凄く大きくなっているのがわかります。

また、全体の音量を持ち上げている形になるので、

500Hz辺りのキィー…ンという音が目立って聞こえるようになっています。

 

これは、コンプを少し深めに掛けることで発生する倍音成分がプラスされたものかと思われます。

コンプではこうして意図的に歪みを作って、音を太くする、音を豊かにする使い方があります。

これが逆に嫌だなと思った場合、コンプの後にEQを掛けて、

余計な倍音成分をカットしたりなどすればよいかと思います。

 

 

まとめ

 

コンプの基本パラメータは、

  1. スレッショルド(Threshold)
  2. レシオ(Ratio)
  3. アタックタイム(AttackTime)
  4. リリースタイム(ReleaseTime)
  5. インプット/アウトプットゲイン(Input/Output Gain)
  6. ニー(Knee)

 

スレッショルドとは、どの音量値から圧縮をはじめるかを設定するもの

原則として、原音より数値を低くしないとコンプは作動しない。

 

コンプに慣れるには、初めはスレッショルドを深めに設定して、音の変化を把握しよう

 

 

ということで、今回はスレッショルドについての記事で終わってしまいました。

それだけコンプは気を遣うエフェクトでもあるので、

じっくり確実に見ていきましょう。

 

 

それでは!