音楽制作ソフト・ハードウェア開発を行っているTracktion Corporation社が、1980年代のゲーム機の音をエミュレートしたソフト音源、「SOCALABS 8-BIT TREATS」を無償配布しています。
SOCALABS 8-BIT TREATSには4つのプラグインがあり、それぞれ
- PAPU(ゲームボーイ・任天堂)
- RP2A03(ファミコン・任天堂)
- SID(Commodore 64)
- SN76489(セガ・マスターシステム)
をエミュレートしているようです。
ICONさんの記事を何気なく読んでいたらこれを目にして、ちょっと面白そうなプラグインだと思ったので記事にしてみました。
PAPU(ゲームボーイ)
公式ページには、
- 任天堂ゲームボーイをエミュレート
- 矩形波チャンネルが2つ
- その内片方のチャンネルにはスウィープ機能搭載
- ノイズチャンネルが1つ
とあります。
ゲームボーイの音色とチャンネルは、
- 矩形波2
- 波形メモリ1
- ノイズ1
なので、PAPUに波形メモリ音源を別で用意して1チャンネル分加えてやれば、ほぼゲームボーイ音源を再現できそうです。波形メモリ音源がない以外には、きちんとGB音源のステレオ出力も再現されている。
ゲームボーイのステレオ出力って、印象全然覚えてないんですけどね。友達がちらほら持ってたくらいだしなぁ。
RP2A03(ファミコン)
- NTSC方式・任天堂ファミコンのRicoh 2A03をエミュレート
- 矩形波チャンネルが2つ
- 三角波チャンネルが1つ
- ノイズチャンネルが1つ
NTSC方式というのは、ビデオ出力・放送方式のことで日本や主に北アメリカで採用されているもの。そのファミコンに使われている、リコーが開発した2A03という8bitCPUをエミュレートしたものだそうです。
拡張とかそういうのは考えずに、DPCMの無いごく普通のファミコン音源と考えるとよいと思います。
DPCMとは、要約すると「サンプリング音を一つだけ使えますよ」ということ。くにおくんの「なめんなよ」とか、マリオ3の甲高いコンガみたいなパーカス音がそうですね。
SID(Commodore 64)
- モステクノロジー開発のSID搭載コモドール64(C64)をエミュレート
- 3基のオシレーター
- 矩形波・三角波・ノコギリ波・ノイズの4種類の波形
- オシレーターごとのADSR機能
- リングモジュレーション(三角波出力切り替え)とオシレーター間のハードシンク機能
- ハイパス・バンドパス・ローパスフィルター搭載
コモドール64とは、ファミコンとほぼ同時期に欧米などで流行ったコンピューター。日本ではほとんど売れなかったそうで、その道の人でなければ国内での認知度は低いかも知れません。
しかし性能は凄い。4種類の波形を出せるオシレーターが3基。またADSRのパラメータ変化も可能。ADSRとは「Attack、Decay、Sustain、Release」のことで、ゲームボーイを模したPAPUよりも随分と操作の幅が広い。
更にリングモジュレーションにハードシンク機能、ハイパス・バンドパス・ローパスフィルターまで積んであり、いや~これは値段高くてもしょうがないでしょう。C64凄いね。
そんなC64を模したプラグインがこのSID。CPUの名前のまんまですね。
SN76489(セガ・マスターシステム)
- セガ・マスターシステム(他)のテキサス・インストゥルメンツ社開発のSN76489をエミュレート
- 矩形波チャンネルが3つ
- 3和音発声
- ノイズチャンネルは1つ(種類は2つ)
メガドライブの前身となるセガ・マスターシステムの音源を模したプラグイン。C64はどちらかというとパソコンに当たるため、性能はずば抜けているようにも思いますが、こちらはゲーム機。
矩形波3つがモノフォニックではなく、そのまま一つとしてポリフォニック。つまり3和音発声という形になっている。ノイズの種類が二つあるのがちょっとした特徴ですね。
ちなみに、YAMAHAのYM2413というFM音源搭載は日本版のみで、このプラグインには用意されていません。
自作でSN76489を鳴らしている動画。こういった動画は見ていて面白いです。
へー!こういう風になってるんだー!って感心してしまうというか。
ダウンロード方法
とても簡単。まずはこちらへ飛びます。
そして、真ん中の「FREE DOWNLOAD」をクリック。
未登録であればアカウントを作ります。各項目を入力して、ロボットじゃないよと宣言して、「SUNMIT」をクリック。
ご自分のプラットフォームを選んでクリックし、Downloadします。私はWindowsなので真ん中を選択。
あとは、DLされたファイルを解凍し、中のテキストにも書いてありますが、DAWのプラグインフォルダにdllファイルを移してやれば終わりです。
例えば、Cubaseを使っている場合は
- C:\Program Files (x86)\Steinberg\VstPlugins
など。
おわりに
懐かしのファミコン的なサウンドを今では「チップチューン」と一括りにカテゴライズされていますが、実際の実機では、使われているチップが似ているけど違うので、それぞれの音構成も、似ているけど違います(2度言う
ネオジオやX68000などに使われているFM音源は、この矩形波がよく使われた時代の少しあと。このプラグインにはそのFM音源が入ってないところにどこか拘りを感じる(笑
フリープラグインで操作自体もそんなに難しくはないので、チップチューンを作るならダウンロードして使ってみるものいいと思います。「SOCALABS 8-BIT TREATS」
あとでこれの操作感の記事でも書いてみようかな。
それでは!