DTM音楽業界のプラグインなどがたまに格安や無料になるワケ【考察】

こんにちは、MAKOOTOです。

前回、DTM総合音源「Xpand!2」が無料キャンペーンやってた!という記事を書いて思い出しました。

なんかこの業界って、プラグインを格安で販売する比率多くない?

と。

 

これに関して最近みた記事では、現代の音楽フリーランサー最前線のこおろぎさんちの、

老舗プラグインメーカー『Waves』がなぜセールばかりなのか教えます

が面白くてオススメなのですが、ちょいと自分なりに思ったことは自分でまとめてみようかなと思いまして。そういうわけで書いてみました。

 

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DTM音楽業界のプラグインなどの格安・無料のワケ

顧客を獲得したい

まぁぶっちゃけ「顧客の獲得」。これが一番じゃないかなとは思います(笑

自分が経営者側として考えるなら、まず自分の商品をアプローチ出来るお客さんがいないと話にならないわけです。いいものも使ってもらえなければ意味がない。というか、認識されて始めて存在する、という人間社会なので、まずは知ってもらう。

とある老舗のお店では、火事になった際に何を持ち出したかというと、顧客名簿だったという話を聞いたことがあります。それくらい、お客さんリストというのは大事なんですね。

 

見出しのニュースとして使いやすい

これはこおろぎさんの記事にも書いてありましたが、例えば、とあるお店に入っている時に、

「只今○○の商品、半額となっております!」

とアナウンスが流れたとします。

そうしたら、大抵はふーんと聞き流すはずなのですが、脳内では一瞬でも「何が半額なんだ?」と判断しちゃうんですよね、意識するしないに関わらず(笑)。で、それが自分の欲しいものであったら、少なからずそれを探したくなるじゃないですか。欲しいものが何かしらあるからお店に来ているわけで。

「人間、今何が起きているか」を常に知ろうという本能というかそれに近いものが備わっているため、ニュースというのは本能的に情報を得ようとする人間の核を付いた行為になるわけで、正直これはなかなか上手いやり方なんです。皆当り前にやってますが。

まずは自分の話を聞いてもらうことが大事。ニュースというのは、その足がかりとして非常に有効であるということが言えます。

 

在庫がデータ上でのモノなので、リリース価格の変動が容易

これはどういうことかというと、目の前にある実物、つまりハードウェアですね。人間やはり実際に手で触れられるもの、物としてきちんと存在しているものの方を現代では基本優先させます。

これはまだインターネット社会というものが普及して年数も浅く、すでに飽和してしまった部分もあればまだまだ未開の地に思えるという認識が大きいということで、目に見えないものに対する金銭価値の置き方が未だ不安定なままである、ということが言えると思います。

また、こういうプラグインの販売はデータ上でのやりとりが主なため、例えばクレジットカード払いも、お金の動きとしてはどこか実感が遠いものとして理由の一つにあると思いますね。

 

開発費さえ回収できれば在庫は無限

在庫管理について考える必要がないのも、リリースが容易である強みの一つでしょう。初めに価値を与え、それをセールということで相対的に「今だけ安い」状態を作り出す。普段手の届かないものが目の前に下りてきたら、知らないことに対する興味、知ろうとする本能が購買意欲を後押しする。赤ちゃんがたまに知らない人の顔をじーーーっと見ているのと似てる気がする。

実際に、例えば服やCDなど、モノを抱えるというのは結構管理や維持費がかかりますし、それを運ぶのもなかなか労力がいるわけです。昔のドラえもん映画みたいに、未来から時空を超えて一瞬で小包が届くとかは今の文明にはないので(笑

そういう意味で、開発費さえ回収したらあとは在庫が無限。しかもデータ転送も、筋肉を使って「どっこいしょー」的なことは一切不要。指を少し動かす程度で事足りる。となれば、それだけ時間と手間が大幅に余るわけで、当然、大きく融通の利く商品といえます。

 

ブラックフライデーというものが存在する

日本では、ハロウィン同様最近馴染みが出てきたイベントかと思います。

ブラックフライデー(英語: Black Friday)とは、小売店などで大規模な安売りが実施される11月の第4金曜日のことである。(中略)ブラックフライデーには買い物客が殺到して小売店が繁盛することで知られ、特にアメリカの小売業界では1年で最も売り上げを見込める日とされている。

日本語では黒字の金曜日とも訳される。

出典:Wikipedia「ブラックフライデー」より

Wikiでは、

「1975年にはかなり広まった比較的新しい言葉」

とあり、アメリカ産のイベントであるため、日本国内では最近まで「何それ?」って感じだったかもしれませんが、プラグインを作るメーカーのほとんどはこの海外。こういう特売は国内より海外の方が日常的ということも、この格安セールの一つの理由ではないかと思います。

 

普通は、突発的に「70%OFF!」とか聞いたら、賞味期限が近いか、季節や旬が過ぎたとか、何かしらマイナス方向にワケありと考えるのが普通なのですが、デジタルプラグインに関してはそういった古い新しいという概念は通用し難い。

なぜかというと、容易にアップデートが出来るから。むしろ新しくしすぎて逆に古いアレの方がよかった!とかが増えてきやすい傾向があります(笑

ハードは基本、完成後が一番強度が高く、あとは時間とともに劣化していくのが常(ヴィンテージという考えは今回除く)ですが、ソフトやデジタルにそういった劣化は存在しません。人間の利便性や感性が上がってくれば相対的に劣化したことになりますが、それは人間社会全体の成長によるものなので、そう簡単に上がるわけでもない。

 

・・・ちょっと脱線しましたが、少なくともDTM音楽業界では格安はマイナス方向にワケありということとは繋がりにくいと思っています。

 

デジタルデータの弱点を逆手にとっている

開発費さえ回収すれば在庫も無限だし、良いこと尽くめな気もしますが、もちろん弱点もあります。それは、

データのため、コピーが容易なこと

海賊版ってやつですね。値段が高すぎると一部の人にしか扱えず、それはずるい!ということで、穴を見つけられて水面下に広がっていく。この場合、表沙汰にするとアウトということになって、水面下でいくら知名度があっても、認知が表に出て来れない状態なため、売上が伸びない。

製品だけもってかれて、顧客になってもらえなければ、そのお店はまぁ、潰れますよね(笑

 

それをされるくらいなら、いっそ先に正当なルートから広く知ってもらう、使ってもらう。その方がメリットが大きいということで、最近は色んな高品質なプラグインが軒並み安く出来るならそうしている印象があります。市場の開発レベル全体が上がってきたというのもあるでしょうが。

 

まとめ

というわけで、無料で使うのは何かしら抵抗があったり、何かあるのではないか?と思って手を出し辛かったりするのは当然で、実際その分のデメリットというのは大抵存在します。

最近ではサブスクリプション方式といって、

ソフトウェアの利用形態のひとつ。ソフトウェアを買い取るのではなく、ソフトを借りて、利用した期間に応じて料金を支払う方式。サブスクリプション(subscription)には本来、「予約購読」や「予約金」といった意味がある。

出典:NTTPC用語解説辞典「サブスクリプション方式」より

という、携帯の月額制のような形をとっているから、一見本体製品が安くなっているというのもあります。

ですので、一概には言えませんが、少なくとも安くする理由として「まず知ってもらう」ということでセールを掛けているケースが多いと私は踏んでいます。

そのセール品が「買い切りか、サブスクリプションか」は、その製品がどういう方式で売り出されているかを自分でしっかり調べる必要はありますが、安く売り出す企業側にはそういったメリットがしっかりあってやっていることなので、あんまり不必要に心配することはない、ということですね。

 

私の独断と偏見でした。

それではー