こんにちは、MAKOOTOです。
ディレイ講座Lv5です。
引き続き、ディレイでステレオ感を出そうという記事です。
前回の記事はこちら
【ディレイ・Lv4】ディレイで作り出す3つのステレオ感・その1【DTM】
ディレイの掛け方の3パターン、
- 横の流れを作り出すステレオ感
- 音の箱を作り出すステレオ感
- 音の壁を作り出すステレオ感
のうち、今回は3を取り上げます。
といっても、これも非常に簡単です。
3、音の壁を作り出すステレオ感
2ではMonoDelayを使ったので、3ではStereoDelayを使ってみます。
個人的にはセンドでディレイ成分だけ別トラックを作って、
そこで音量調整をしたほうがステレオ感の精度を上げやすいのですが、
気持ちちょっと端折りたい時や、そこまで細かい設定を気にしなくても良い場合は、
StereoDelayを使います。
まずは素の音。
EastWestのRAのマンドリンです。
なかなか激しくアルペジオさせてます。
サンプリング音源なので、アンビエンス感といいますか、最初から若干音の広がりを持ってます。
それではこの音を左右に置いて、音の壁を作り上げてみます。
ディレイ加工後。
このマンドリンの音には、ディレイを二つ使いました。
一つは、左右に音の壁を作るために直接インサートしたStereoDelay。
もう一つは、奥行きを出すために、センドでセンターに返したMonoDelay。
StereoDelayの設定は、右の出力は原音のみにするため、Mix=0。
つまりDRY=100%なので、右側の他のパラメータを弄っても一切反応しません。
これは、Mix以外のパラメータは全部ディレイ音のみに掛かる設定だからです。
右を原音のままにしたので、左の出力をMix=100にします。Panは左に振り切り。
WET=100%ですので、左はディレイ音100%しか鳴りません。
原音と同じ出力にするため、フィルターはオフにし、Feedbackも0。
左右の音の干渉具合からステレオ感を出すため、DelayTimeを20msecにします。
MAKOOTO的、ステレオ化ディレイタイムの黄金律は20msec
いや、ボーカルの189msecディレイの話ではないんですが、
私にもディレイの数値としてはもうずっとこの数値で固定、というのがあります。
一つの音を左右に複製した場合、まずはモノラルで聞こえてしまいます。
それをステレオ感を出してはっきり聞きたい場合、色々なずらしをしていくのですが、
ディレイを使ってのステレオ感演出となると、そのずらしの選択肢があまり多くありません。
ピッチシフトや位相反転は、MIDIやオーディオデータでしか有効でないなど、
条件によって使えないことが結構あったり、やってみたら別の部分に謎の違和感を覚えたり等、
まーとりあえずテンプレが出来てもめんどくさいもんはめんどくさいんです。(笑
なので、仮でもいいのですぐにステレオ化して聞きたい!という時に、
このStereoDelayをとりあえず差してディレイタイムを毎回弄っていたのですが、
いつの間にか、ここ、という数値に落ち着いていました。
それが「20msec」。
この数値はディレイで左右に壁(ステレオ化)を作る際、
左右の音ズレ感覚が一番小さく、ステレオ感を感じられる境界線のTimeとして、
私の中ではもはや黄金律的な数字になってしまっています。
これより短いDelayTimeにした場合、どれだけ左右に振ってももう真ん中から聞こえてしまうし、
逆に30msec以上にすると、私はどうも壁を作るという意味ではズレが気になってしょうがない。
せめて音量の調整が出来たらいいんですよ。
でもStereoDelayではそれが出来ない。
ただまぁ、CubaseでのStereoDelayを使用している私の固定数値というだけなので、
そんな絶対的なものでもないとも思います。
ご参考程度にお聞き下さい。
音の壁の間を走る、奥行きディレイ
マンドリンに掛けた、もう一つのディレイの設定です。
これの意図は、左右のステレオ化した音の壁の間を通って、奥行きを演出しようというものです。
DelayTime=1/8D(1/8+1/16)にすることで、ディレイタイミングに独特のリズム感を作ることと、
Feedback=30にして、そこそこ余韻を引っ張ろうとしています。
センドで送っているので、音の壁を反射しているような設定も出来ます。
その場合は、Cubaseではセンド先のFXトラックのPanをバランスパン→コンバインパンに変更し、
コンバインの間隔を狭めて、PingPongDelayでも掛けてあげれば良いかと思います。
今回の場合は、そんなに難しく考えずにストレートに作ろうということで設定してみました。
このMonoDelayのトラック音量は結構下げています。
音が派手なこともあるため、残像が見えれば良い程度にとどめておきます。
↑図では、サンプリングされた音とはいえ、
余計な低域が気になったのでローカット用のEQをインサートの「1」に差しています。
そして、インサートの「7」に音の壁を作るStereoDelayを差しています。
これはCubaseの構造上、1~6番目までのインサートはそのままセンド先に送られてしまうからです。
ただ、7、8番目のインサートは、センド先には行きません。
つまり、ここに何を差しても送り先にはなんら影響は出ないということです。
さて、改めて音の配置図を見てみます。
マンドリンの原音にローカットEQを差してはいるものの、
実際は3つの音色にそれぞれディレイを掛けただけです。
文章は長くなってしまいましたが、たったこれだけしかしていないのに、
サウンドの表情はこれでがらりと変わってしまう。
そして、ステレオ感はともかく、奥行きと聞くとすぐリバーブを連想してしまいがちになりますが、
実際リバーブよりも奥行きとなる道筋をはっきり示せるのがディレイの特徴の一つでもあります。
奥が深いですね。
私の使い方も先人あってのものですし、これの応用もいくらでも考えられそうです。
ドラムがはねるディレイサウンド
ちなみに、これはオマケですが、実はドラムにもディレイを薄掛けしていました。
これは素のドラム音。
これがディレイを掛けたドラムの音です。
音がすこしはねているように調節してみました。
スネアの音が帯域的にもわかりやすいのではないかなと思います。
設定は画像の通り。
あまりディレイで主張しすぎないよう、DelayTime=1/8のスタンダード。
Feedback、Mixそれぞれ10に設定。
フィルターはローとハイをカットして無駄な主張を無くしていきます。
ドラムにディレイを掛けると、
スネアやバスドラがリズムのよいゴーストノートっぽく聞こえるなど、
小刻みなリズムが新たに生まれて躍動感が加わります。
今回の記事では、ステレオ化のディレイをメインにしていたので、
オマケ扱いしてしまいましたが、リズム隊に掛けるディレイも上手く効かせると
これもまたかなりの演出ができたりします。
最後にもう一度サンプルを確認してみましょう。
ディレイ前。
ディレイ後。
ドラムにもディレイを掛けていたので、正確にはこうなります。
ドラムの頭に三角帽が被さりました。
いや、記事を書いていって思ったんですけど、改めてディレイって奥が深いなぁ・・・。
基本的な使い方だけでも、これだけ文章書かさるもんなー。
[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]・・・[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”shibu1.jpg” name=”シブ君”]今回ボクら、途中から完全に忘れられてたよね[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”ruii3.jpg” name=”ルイー”]ほんとな[/speech_bubble]
まとめ
3、音の壁を作り出すステレオ感
- 原音とディレイ音の位置間隔は、ほぼ左右のLR振り切り。
- DelayTimeは20~30msecくらいで調整(20msecは個人的に安定数値)
- Feedbackは0。
- 中央に薄いディレイを掛けて奥行きを作るとそれっぽくなる
おまけ
- リズム隊に1/8ディレイなど、基本ディレイを薄く掛けると躍動感が生まれる。
ディレイの基本設定ですが、
この設定の方がしっくりくる!というのは個々それぞれあると思います。
私の記事は、あくまで参考にして頂けたらと思います。
それでは!