【コンプ・Lv4】コンプのアウトプット・ゲインリダクション・ニーの意味

こんにちは、MAKOOTOです。

 

今回は、コンプレッサーのパラメータである、

  • アウトプット(OutPut Gain)
  • ゲインリダクション(Gain Reduction)
  • ニー(Knee)

について見ていきます。

 

いやー、コンプは奥が深い。あと何気にこんがらがる(笑

一つのエフェクトでこんなに音作りが多彩なものって、他にないんじゃないかな。

 

EQもやろうと思えばえらい細かく設定して音をかなり可変させられますが、

やりすぎると、何かこう、「大丈夫なのか!?」って感じになる時があります。

EQの奥深さはコンプとはまた別だからなぁ・・・。

 

 

 

さて、コンプの話でした。

前回に引き続き、まずはアウトプット項目から見ていきましょう。

 

 

アウトプットゲイン(Output Gain)とは

 

コンプで圧縮された後の全体音量を調整します。

メイクアップゲイン(Make-Up Gain)と表現されることもあります。

 

サンプルを用意してみます。

まずは、コンプを掛ける前のスネアの素の音。

 

次に、コンプを掛けたあとのスネアの音です。ゲインはまだ上げていません。

 

 

後者の方が音がずっと小さいことがわかります。

コンプの設定内容はこちら。

コンプのゲイン

スレッショルドはかなり深め、レシオも8:1、アタックタイム0.1msecということで、

インプット(原音)に比べて、アウトプットの音はがっつりと潰されているので、

結果的に、音量が凄く小さくなりました。

 

コンプレッサーを掛けるということは、音を潰すことになるので、

結果的に音量がその分下がります

音量自体は下がるんだけど、音のインパクトは潰れた分だけ強くなる。

潰した分、音量に余裕が出来るので、それを原音レベルまで持ち上げれば、

原音と音量は変わらないのに、以前よりインパクトの強い音が出来上がる

また、音の粒が揃うので、トータルの音圧を稼ぐことが出来る

メイクアップゲインで音圧を上げる

こういう仕組みになっています。

 

以下のサンプルは、先程の後者のゲインを原音と同じくらいまで引き上げた音。

 

ゲインを上げた後

がっつり潰していたので、その分がっつりゲインを上げることになりました

お陰で、スネアの余韻が思いっきり持ち上がって、シャーンという音が大きくなった。

これでスネア自体の迫力は段違いのものとなっています。

 

 

このように、コンプの使い方の一つとして、全体の音圧をかなり稼ぐことができます。

ただし、これには同時に失われるものがあります。

それは一体何でしょうか・・・。

 

 

音圧と引き換えの「ダイナミクスレンジの消失」

 

音の大小の抑揚の差の事を「ダイナミクスレンジ」と呼ぶのですが、

コンプを使うことで相対的にこの、音自体の抑揚が無くなってしまう

という弊害が生まれます。

全体がのっぺりした感じになり、リズム感が失われてしまうのです。

 

現在の人間の耳と感覚は、

「音量(音圧)が大きい音を良い音だと捉えてしまう」

傾向があることがわかっています。

 

どちらが良い、という話はここでは割愛しますが、

ひとまず、コンプを使うことで失われる要素もあるのだ、

ということだけは覚えておきましょう。

 

楽曲内でコンプの役割を理解し、それを効果的に使うことが本来の目的です

 

 

ゲインリダクション(Gain Reduction)とは

 

音が入力されて、効いていますよー、という目安のメーターのことを言います。

 

ゲインリダクション

赤枠の部分がそうです。

この図だとがっつりかかっているので、メーターが下に触れそうなくらい(笑)ですが、

これによってどのくらいエフェクトが掛かっているかが目視できます。

 

ゲインリダクションTR

こういうタイプのメーターの方がわかりやすいかもしれません。

 

注意してほしいのは、このメーターが触れていない場合、コンプが機能していない

という意味でもあるので、その場合は、入力信号つまりインプットの音を大きくして、

ゲインリダクションが触れるのを確認してください。

 

 

ニー(Knee)とは

 

圧縮される掛かり具合を柔らかくするかどうかというもの。

 

ニーを効かせる場合、圧縮の掛かり具合が緩やかになるので、

音が少し柔らかくなる、といった特徴があります。

ソフトニー

通常のコンプレッサーの基本概念は、

スレッショルドを越えた直後からレシオで設定した通りの圧縮比率となります。

例えば、「8:1」の場合は圧縮率が8倍になるので、

音によってはどうしても極端な音に聞こえてしまうケースが出てくる。

実際はアタックタイムがあるため、そこまできついというわけでもないのですが、

それでもやはり不自然さが出てしまう場合がある。

 

そんな不自然さを緩和させるための措置が、ソフトニーということです。

ただしこのソフトニー、圧縮がスレッショルドレベルの少し前から掛かるので、

緩やかには掛かるけど、反面歪みが大きくなってしまう場合もあるので、ここは注意点。

 

 

CubaseのKnee

CubaseのCompressorではレシオの下のボタンがそれにあたります。

効かせていれば「Soft Knee」。効かせていなければ「Hard Knee」。

 

私は最初、「違和感が出てくるなら、全部ソフトにしたほうがいいじゃん!」

と思っていましたが、逆に音を潰して尖った音や、

アタックが強調される音を作る意味合いを知るようになって、

状況によって使い分けることが必要なのだとわかりました。

 

ちなみに、ソフトニーをかけると、確かに音は少し柔らかい感じになるのですが、

スレッショルドの少し下から圧縮が掛かるためか、

設定よりも若干深めにコンプが掛かる形になります。

 

 

・・・さて、これでコンプの基本パラメータの解説は以上になりますが、

折角なので補足として、Cubase付属のCompressorにあと二つある、

「Hold」「Analysis」というパラメータについても見ていきたいと思います。

 

 

 

Hold(Cubaseのコンプ付属)とは

 

ホールド

音の入力信号が、スレッショルドを越えてアタックタイムに到達した後、

そこからレシオの比率をそのまま、どのくらい持続させるのか、といったパラメータです。

数値は「0~5000msec」まで。結構持続させられます。

 

通常は入力信号がスレッショルドを下回って、

初めてリリースタイムによって徐々に圧縮が解除されていくわけですが、

このホールドは、リリースタイムに到達するまでの間の「圧縮率100%の時間」

この長さを強制的に伸ばすパラメータの模様。

 

 

ちょっと音で聞いてみましょう。コンプの設定は上図の通り。

 

ホールド250

音が一旦小さくなり、そのあとで少し膨らむように大きくなって、また減衰しています。

 

 

ここで、「Hold=0」にしてみると、

 

ホールド0

通常のコンプの掛かり具合となり、原音通り、音が次第に小さくなっていっています。

上図では、コンプの設定もあって、赤枠の左の部分が圧縮されて少し小さく抑えられ、

そこからすぐ音が滑らかに原音に戻っています。

聞いた感じでは、一瞬音が小さくなったような印象はあまり受けないかと思います。

 

 

もう一度、今度はわかりやすく「Hold=250」のままにして、

「Release=10(最小)」にしてみます。

 

ホールド250、Release10

リリースを短くしたので、コンプ解除後に急に原音に戻った感があり、

音の膨らみがより顕著になりました。

上の赤丸ではレシオ8:1が持続されていることになります。

 

 

このHold、数値で把握しようとすると、ちょっとわかりづらい部分がありますね。

でも、Holdを足すことで音が再度膨らむような音作りが出来ることがわかりました。

これだけ顕著なら、ディレイとは違った意味合いの音が表現できそうです。

 

 

 

Analysisとは

 

入力信号の解析を、ピークで測るのか、RMSの平均値で測るのか、ということ。

ピークとは、一音一音入力された瞬間的な音ごとに解析していくのかという意味合いで、

RMSというのは、ざっくりいえば全体の音の平均値から解析するのか、ということです。

 

アナリシス

0であれば完全ピーク依存100であれば完全RMS依存

 

Cubaseのヘルプでは、RMSモードが向いているのは、

音の入力信号のダイナミクスレンジが小さい(抑揚のあまりない)場合。

対してピークモードは、打楽器系など音の大小差が激しい場合に向いているとのこと。

 

このRMS。細かい説明は省きますが、

聴感的な平均音量をある程度測定できるものとしての目安とされています。

ですが、この考え方は少し古く、今では、

ラウドネス数値というものが、人間の聴感をより正確に数値化するパラメータ

として使われてきています。

 

 

AnalysisをRMSモードにして解析した場合、

細かな一瞬のピークを見落とすことも想定の上で使用する必要があります。

 

うーん、ソフトの処理的にはRMSの方が楽なのかもしれないけど、

自分が細かな調整をしたい場合は、ピークモードの方が向いているんだろうなぁ。

 

 

一応簡単な実験結果を載せてみます。

ギター設定

設定は上記の通りで、Analysisの所だけ変えていきます。

HALionで適当に選んだギター音と適当な打ち込みなので、正直音は微妙ですすいません。

 

・単なるベタ打ちギターサンプル・素の音

 

・単なるベタ打ちギターサンプル・完全ピークモード(Analysis=0)

 

・単なるベタ打ちギターサンプル・完全RMSモード(Analysis=100)

 

 

わかりにくいので、上から順にGIFアニメにしてみました。

アナリシスギターさんぷる

 

 

 

もう一つ、同様にドラムサンプル。設定は以下の通り。

どらむ設定

ドラムパターン全体にかける仕様にしています。

 

・簡単なドラムサンプル・素の音

 

・簡単なドラムサンプル・ピークモード(Analysis=0)

 

・簡単なドラムサンプル・RMSモード(Analysis=100)

 

ドラムサンプルの比較GIFアニメ

アナリシスドラムサンプル

 

 

うーん。

この二つのサンプル、あまりわかりやすいとはいえませんが、

ピークモードに比べ、RMSモードの方がやはりコンプの掛かり具合が緩めですが、

ピークモードよりもトータルのダイナミクスレンジは取れてるようには見えます。

 

掛かりがきついのはピークモードの方ですね。

純粋に音を固めたり、トータルの音圧を上げたい場合はこっちかな。

 

実験材料が2点しかないので結論付けるとまではいきませんが、

一応、ご参考までに。

 

 

まとめ

  • 「アウトプットゲイン」=コンプで圧縮された後の全体音量を調整する
  • 「ゲインリダクション」=コンプが効いている目安となるメーター
  • 「ニー」=圧縮を掛け方を自然(柔らかめ)にするか
  • 「ホールド(Cubase/Comp)」=アタックとリリースの間で、圧縮を持続させる長さ
  • 「Analysis(Cubase/Comp)」=ピークモード/RMSモードでの音の信号解析の選択

 

そして、

コンプを使うことで音のばらつきを無くし、ピークを抑えた分だけ音圧を稼げる。

ただしその分、ダイナミクスレンジ(音の抑揚の差)は失われる。

 

 

というわけで、ひとまずコンプレッサーの基礎パラメータを見ていきました。

次回は、具体的なコンプの掛け方の例を取り上げて、その使い方をみていきたいと思います。

 

 

それでは!

 

【コンプ・Lv3】コンプの基礎パラメータ、レシオ・アタック・リリースとは

こんにちは、MAKOOTOです。

 

コンプレッサー、Lv3の記事となります。

三回目なのにまだ基礎パラメータのスレッショルドしかやっていません。

コンプは後々、音作りに必ず活きてくると思っているので、

多少時間をかけてでもしっかり見ていきたいと思います。

 

一度そこをしっかり作ってしまえばね、あとが楽なんですよ。

もう理解したよーという方はすっ飛ばして頂いて構わないような内容でもあるので、

その時は、人造人間17号みたいに「徒歩で行くから面白いんじゃないか」の言葉を無視して、

最長老様に力を引き出してもらったクリリンの如く、ドーーーンと先に行きましょう。

 

 

レシオ(Ratio)

 

レシオとは、圧縮比率のことをいいます。

スレッショルドを越えた音の信号分をどの程度圧縮するか、ということ。

コンプレシオ

例えば、レシオを「4:1」にすると、上の図でいえば、

スレッショルドレベル「-10dBFS」を越える音を1/4に圧縮する、

という意味です。

 

 

レシオ

図は極端ですが、わかりやすくするためにスレッショルドをかなり深めにしています。

大きく潰したいか、わずかに潰したいかはこのようにレシオで設定します。

 

レシオの基本の見方は「原音に対する圧縮倍率:原音(1とする)」の比率でみるので、

1:1」の場合、圧縮はされていないことになり、

2:1」の場合、圧縮後は1/2に。

10:1」の場合、圧縮後は原音の1/10です。

これは、スレッショルドを超えた音(信号)のみということ。

 

ちなみに、Cubase付属のCompressorのレシオの最大は「8:1」

「8:1」ともなると、かなりの圧縮比率ということにもなりますが、

厳密には完全なリミッターとしての働きには及びません。

 

対して、リミッターは「∞:1」という圧縮倍率がデフォルトとなっているので、

この数値設定の違いで、コンプとリミッターの役割を分けているものと思われます。

 

 

 

アタックタイム(Attack Time)

 

コンプアタック

レシオで設定した値まで、どのくらいの時間を掛けて到達させるか、ということ。

スレッショルドを越えた音は、このアタックタイムを過ぎてから段々と圧縮が始まり、

時間的にこの値を過ぎると、圧縮率はMAXになります。

 

CubaseのCompressorでは「0.1~100msec」まで。

コンプの種類によっては「μsec(マイクロセカンド)」単位で調節できるものもあります。

 

 

コンプアタックタイム

例えば、アタックタイム「100msec」にした場合、スレッショルドを越えた音は、

  • スレッショルドを越えてから数えて30msec」後は圧縮率30%。
  • 75msec」後は大体圧縮率75%。大分潰されてきます。
  • そして「100msec」に到達すると圧縮率100%やっとレシオで掛けた値通りに圧縮される。
  • 「100msec」以降は、原音がスレッショルドを下回るか、リリースタイムを越えない限りは、ずっと圧縮されっぱなしになる

ということになります。

 

私は当初ここを勘違いしていたのですが、

アタックタイムに到達してから始めてコンプが掛かるのではなく

アタックタイムに到達して始めて「レシオ通りの比率」に圧縮される

つまり、スレッショルドを越えた時点で圧縮は少しずつされている、ということ。

この間、音が完全に素通りしているわけではないのです。

 

ただ、アタックタイムの設定は基本msec単位で設定されるので、音で聞くと一瞬。

アタックを長くすると、それだけ圧縮MAXに到達するまで時間が掛かるため、

立ち上がり音はほぼ圧縮が掛かっておらず、あたかも音が素通りしているように聞こえる

 

そう聞こえるのですが、実際は微細ながら圧縮は掛かってますよーということです。

 

 

 

アタックタイムの役割

 

音の立ち上がりを強調する部分です。コンプの音作りの主軸

鳴り初めの聞き応えを調整するので、レシオとスレッショルドによって変わりますが、

第一印象、ファーストインプレッションの質感を整えられます。

 

レシオが高い状態でアタックタイムが短い場合、音の違いを聞き分けやすいです。

なぜなら、それだけすぐに高倍率の圧縮が掛かるから。

 

 

・「素の音」

 

素の音スネア

 

これに、スレッショルド-30[dBFS]、レシオ8:1、リリースタイムは70[msec]

として、アタックタイムのみ変化させてみます。ゲインは上げません。

 

 

・「アタックタイム:0.1msec」

 

アタック0.1msec

頭から思いっきり潰れているのがわかります。音が遠い。

0.1msec後に8倍の圧力が掛かっているので、最初からクライマックス状態。

努力マンの豆腐の下駄に比べたら遥かに及ばないものの、これぞまさに圧縮。

 

 

「アタックタイム:28msec」

 

アタック28msec

頭の部分はアタック感が残っていますが、すぐに音が圧縮されています。

パンッ!という音の印象で、いかにもコンプの音だなーという感じ。

これ、音の抜けは悪そうに感じますが案外存在感を残します。

 

 

「アタックタイム:100msec」

 

アタック10msec

圧縮100%までの時間が長いので、そんなに音が歪んだ印象はありません。

スネアの鳴りをしっかりと残し、すぐに余韻をぎゅっと締めている感じです。

リリースが70msecもあるので、そこまで締め付けは強くは無いですね。

 

 

リリースタイム(Release Time)

コンプリリース

原音がスレッショルドを下回ってから、コンプの圧縮を解除するまでにかかる時間

何気に、コンプの設定において最初は実感がわきにくいポイントなんじゃないかと思います。

 

Cubaseのコンプでは「10~1000msec」まで。アタックの10倍長めに設定できます。

「auto」というボタンがありますが、これは自動でリリースタイムを決めてくれるもの。

使い初めでよくわからない時は、これを有効化するのも手ではないかと思います。

 

コンプリリ-ス

 

リリースタイムは、

原音がスレッショルドを下回るポイントから、それが解除されるまでの長さ

ということ。

  • リリースタイムが短いと、すぐに圧縮が解除され、(画像では薄紫)
  • リリースタイムが長いと、圧縮が緩やかに解除されていく。(画像では水色)

 

私の絵が下手なので、図のリリースタイムの長い水色の曲線が緩やかに見えていませんが、

リリースタイムが長いほうが、原音への戻りは自然となります

 

 

リリースタイムの役割

 

主に音の余韻を強調する部分です。

リリースタイムを長めにとって余韻を抑えると、音は奥に引っ込んだようになり、

リリースタイムを短めにとると余韻がすぐに返ってくるので、音が前に出て来るようになります。

といっても、アタックタイム通過後の音の設定となるので、

余韻の作り方は、アタックタイム次第で結構変わってきます。

 

リリースタイムの違いを見てみます。

 

 

「素の音」

 

素の音スネア

 

これに、スレッショルド-30[dBFS]、レシオ8:1、アタックタイムは28[msec]

として、リリースタイムのみ変化させてみます。ゲインは上げていません。

 

 

「リリース:10msec」

 

 

リリース10msec

数字の通り正確に、とはいっていませんが、赤枠辺りでコンプが解除されています。

少し詰まったような音で、すぐに原音の余韻が回復しています。

そのため、スネアの余韻のシャリッとした感じが若干強調される形になっています。

 

 

「リリース:180msec」

 

リリース180msec

赤枠辺りまで、音が潰されているのがわかります。

シャリッとした余韻が大分潰されているので、カラッとしたような印象があるかと思います。

 

 

「リリース:1000msec」

 

リリース1000msec

リリース180msec以上に乾いた印象です。

約1秒、圧縮がされ続ける形になるため、音が吸い込まれるような感じにも聞こえます。

 

リリースタイムが「180msec」のサンプル音では、

例えば300msec付近は確実にコンプは解除されていると思いますが、

このリリースタイムが「1000msec」の場合、300msec辺りではまだ圧縮が続いています。

多分レシオ「6:1」か「5:1」くらいだろうか、

リリース180msec以上に乾いた音に聞こえるのはその為です。

 

 

 

 

コンプを使って曲全体に抑揚を付ける方法

 

アタックタイムとリリースタイムを調整することで、

音にずっとコンプレッサーを掛けたままの状態にする事も出来ます。

コンプかかりっぱなし

初めにスレッショルドを越えてからコンプが効き始めるのですが、

リリースタイムを長くすることで、コンプの解除前に次のスレッショルドを迎えることで、

リリースとアタックが被り、結果的にコンプがずっと効いている状態になります。

 

これは、曲のフレーズの頭だけインパクトを強めて、

以降の音量を抑えることで、曲全体にメリハリを効かせるやり方になります。

 

圧縮比率はその経過タイミングごとに違うとは思いますが、2番目以降の頭の部分は、

少なくとも1番最初の頭よりは相対的に抑えられることになるので、

曲全体に抑揚を付けられることになります。

 

ただし、音の信号がゼロになるとコンプは自動的に解除されてしまうので、

音の途切れないようなギターのストロークや、

余韻が続く細かいフレーズのあるドラム全体などに、効果が期待できます。

 

 

まとめ

  • レシオは音の圧縮比率のこと
  • アタックタイムは、コンプが完全に掛かりきるまでの時間
  • リリースタイムは、コンプが完全に解除されるまでの時間

そして、

  • アタックタイムは、音の立ち上がりを調整する
  • リリースタイムは、音の余韻を調整する

 

音の立ち上がり、余韻の調整は、

楽器や音のフレーズによってそのアプローチがかなり違ってきます。

そのため、単純に立ち上がりや余韻を調整するため!とは言えないのが

コンプの奥の深いところです。

 

概要が少し大雑把かもしれませんが、

まずはコンプの全体像を把握してもらえたらという形で記事にしています。

次回は、Kneeやゲインについて書いていきたいと思います。

 

 

それでは!

 

【コンプ・Lv2】コンプレッサーの基本、スレッショルドの浅めと深め

こんにちは、MAKOOTOです。

 

今回はコンプレッサーLv2ということで、まずは基本から。

代表的なパラメータは以下の通り。

 

コンプパラメータ

  1. スレッショルド(Threshold)
  2. レシオ(Ratio)
  3. アウトプットゲイン(Output Gain)
  4. アタックタイム(Attack Time)
  5. リリースタイム(Release Time)
  6. ゲインリダクション(Gain Reduction

 

コンプレッサーによって、当り前のパラメータがついていないものや、

Distortion等、上記にない機能が備わっているものもあります。

Cubaseのコンプにはレシオに組み込まれているKnee(ニー)も個別になかったり、

同じく上にはインプットゲイン(Input Gain)も無いですね。

 

ですが、そもそもはコンプを使う意味さえ知っていればよいわけですから、

仮に上記パラメータの無いコンプに出くわしても慌てる必要は全くありません。

 

それでは、早速見て行きましょう。

 

スレッショルド(Threshold)

圧縮を開始させるための音量ポイント、閾(しきい)値のことです。

この数値(音量)を原音が超えると圧縮が始まります。

Cubase-Comp

 

 

まず、スレッショルドが原音より高い場合。(例:0dB)

スレッショルド1

原音よりもスレッショルドは極浅めの設定なので全く圧縮されません。

 

 

次に、スレッショルドレベルを原音より少しだけ低めにしてみます。(例:-10dB)

スレッショルド2

紫色の部分はスレッショルドを越えてことになるので、ここの部分が圧縮されることになります。

ただ、その部分はちょっとしかないので、この場合「浅め」と表現します。

 

 

では、思いっきりスレッショルドレベルを下げてみます。(例:-40dB)

スレッショルド3

わかりやすいですねー、上の青紫色の部分がでかくなりました。

この部分が圧縮対象になるので、がっつり音が潰れることになります。

このスレッショルドの設定を低くすることを「深め」といいます。

 

 

では、他のパラメータはとりあえず置いておいて、

スレッショルドの効果を音で確認してみましょう。

わかりやすくすぐに圧縮されるよう、アタックタイムは0.1msecにしています。

 

 

「スレッショルド:0dB」(素の音と同じ)

 

スレ0

スレッショルドが0dBなので、素の音と全く同じです。

 

 

「スレッショルド:-10dB」(浅め)

 

スレ-10

慣れるまでは素の音との違いがわからないかもしれませんが、

波形を見ると確実に音の立ち上がりの部分が潰されています。

 

 

「スレッショルド:-30dB」(深め)

 

スレ-30

ここまでやるとすごくわかりやすい!(笑

頭の部分が思いっきり潰されているのがわかります。

立ち上がりが余韻とほぼ同じくらいまで圧縮されているので、

残響効果で、まるで遠くで叩いているような感じにも聞こえます。

 

 

スレッショルドの「浅め」と「深め」

 

スレッショルドでは、この数値だから浅い、深いという絶対的な数値はありません。

「原音に対して」浅く掛かっているか、深く掛かっているか

という相対的なものとなります。

 

以下に代表的な浅め・深めの使い方を書いてみます。

実際、各パラメータの設定によってその使い所はかなり違ってくるのですが、

最初は大雑把でもよいので、全体像が見えると理解しやすいのではないかと。

 

 

浅めの使い所

  • 原音のニュアンスはあまり変えたくない
  • 存在感を少しだけ強くしたい
  • 飛び出ているなと感じる音だけ抑えたい
  • 頭は潰したくないけど、余韻を少し消したい

 

・・・などが挙げられます。

原音の雰囲気がよいので、あまり弄りたくはないんだけど、

他の楽器などの音との兼ね合いでぶつかったり、埋もれたりなどした時に、

その兼ね合いをちょっとだけ整えてやる、というイメージです。

 

ちなみに、極薄掛けした場合、慣れていないと単音では効果がわかりにくいのですが、

これが複数の楽器が同時に鳴っている場合、相対的に質感が変わってきます。

それが2個、3個と弄っていくと、最初の時とは大分違うようになる。

 

なんか違う・・・何が違うかよくわからないけど、聞きやすい。かっこいい!

こういう風に聞こえるようになります。

 

 

深めの使い所

  • リズムに迫をつけたい
  • 輪郭をはっきり作りたい
  • バラつきすぎた音量差をある程度揃えたい
  • ぶつかりあっている同じ帯域の音をバランスよくしたい
  • 高圧縮による音の歪みを利用したい時
  • 音を前に持ってきたり、後ろに引っ込ませたい
  • タイトな音を作りたい

 

・・・などがあるのではないかと思います。

これはやはり、コンプをかける音の特性ごとに設定も違ってきて、

主にアタック・リリースを細かく設定していく必要があるので一概には言えませんが、

深く掛ける場合はどのみち音に激しい変化が出てきます。

 

この辺りは概要程度なので、サラッと流して下さい。

 

 

始めてコンプを使う時のコツ

 

これは私がオススメする、コンプに慣れる初めの方法なのですが、はじめは、

 

スレッショルドを少し深めに設定してから、

パラメータを弄ってみて下さい。

 

使い始めの初期の場合、コンプはその効果がわかりにくいと言われていますが、

事実、その通りだと思います。

 

長年現場でエンジニアとして音に携わっている人間は、

聴覚の次元が常人とはケタが違います。

ほんと凄いですよ。耳の精度がえらい高く、凄まじく鍛え抜かれている。

 

それくらい精度の高い耳での判断なので、

注意深く違いを聞き取る意識を普段から高めていない場合、

正直言って、よくわからないのは当り前です。

 

 

なので、コンプを使い始めの頃は、まずはスレッショルドをかなり下げ目にして、

それから各パラメータを弄ってみて下さい。

その方がコンプを掛けた時の音がはっきり聞き取れるので、

まずはどういう効果が出るのかを、耳で把握してみましょう。

 

そして、こういう音になるのか!と段々とわかるようになったら、

スレッショルドを浅めにしていって、その違いを聞き取れるようにしていきます。

 

 

ただし、注意点としては、深く掛けすぎないこと

スレッショルドが深すぎる場合、

コンプの種類によっては圧縮のしすぎで音が意図せず歪んでしまうことがあります。

 

また、スレッショルドによって、コンプの掛かり始め、掛かり終わりの位置が変わります。

スレッショルド違い

同じアタックタイムやリリースタイムでも、

立ち上がりと残響状態が音のレベル部分によって違うので、

単純に深めの設定をそのまま浅めにもっていけばいい、というわけでもなくなります。

 

流れとしては、

  1. ある程度、スレッショルドを深めに掛けて設定し、音を聞いてみる。
  2. 次にコンプをバイパスして(コンプが動作しない状態)、素の音を聞いてみる。
  3. またコンプを掛けた音を聞いてみる・・・

と比較してみるとよいかと思います。

 

この場合、コンプを掛けている時は、全体の音量が下がっている事が多いので、

なるべく原音と同じ音量で聞けるようにするため、

コンプ内でのアウトプットゲイン(MakeUp Gain)を上げておくと良いです。

 

 

下のサンプルを聞き比べてみてください。

 

「素の音」

 

「スレッショルド-30、原音と同じ音量くらいまでゲインを上げたもの」

 

2番目のサンプルを聞くと、余韻が物凄く大きくなっているのがわかります。

また、全体の音量を持ち上げている形になるので、

500Hz辺りのキィー…ンという音が目立って聞こえるようになっています。

 

これは、コンプを少し深めに掛けることで発生する倍音成分がプラスされたものかと思われます。

コンプではこうして意図的に歪みを作って、音を太くする、音を豊かにする使い方があります。

これが逆に嫌だなと思った場合、コンプの後にEQを掛けて、

余計な倍音成分をカットしたりなどすればよいかと思います。

 

 

まとめ

 

コンプの基本パラメータは、

  1. スレッショルド(Threshold)
  2. レシオ(Ratio)
  3. アタックタイム(AttackTime)
  4. リリースタイム(ReleaseTime)
  5. インプット/アウトプットゲイン(Input/Output Gain)
  6. ニー(Knee)

 

スレッショルドとは、どの音量値から圧縮をはじめるかを設定するもの

原則として、原音より数値を低くしないとコンプは作動しない。

 

コンプに慣れるには、初めはスレッショルドを深めに設定して、音の変化を把握しよう

 

 

ということで、今回はスレッショルドについての記事で終わってしまいました。

それだけコンプは気を遣うエフェクトでもあるので、

じっくり確実に見ていきましょう。

 

 

それでは!

 

【コンプ・Lv1】超重要エフェクト・コンプレッサーのド基本を押さえろ!【DTM】

こんにちは、MAKOOTOです。

 

音作りをする上でまず欠かせないであろう超重要エフェクト

 

「コンプレッサー」

 

それを今回から順序立てて解説していこうと思います。

初回のLv1では概要のみになりますが、

まずはこれがどういうものなのかをざっくりでも知っていこうということです。

これがあるとないとでは、やはり理解は変わってくると思ってます。

 

 

そしてこのコンプ、よく一般的にも言われている通り、

私も使い初めの頃は、その効果が全然わかりませんでした

 

実際効いているのかどうかもよくわからなかったし、

今度は効かせすぎて音がカッチカチになってしまって、

最終的に耳に痛い曲が出来上がってしまった等、

まー随分ワケがわからないまま使い続けていたのを覚えています。

 

 

 

このブログで書く記事というのは、

基本的には読者の方に、

私が散々してきた遠回りをサクッと乗り越えてもらって、

その分音楽を楽しむ時間を増やして頂きたい。

 

結構そういうところ、あります。

いや、あれこれ煮詰めていくのはとても重要だと思います。

思うんですけど、自分の場合かなりアホだったのと、

少し時間をかけすぎた感があるんですよ。

 

なので、是非、私の屍を乗り越えていって頂きたい。

割と本気でそう思ってます。

 

 

 

Compressor(コンプレッサー)とは

体積の圧縮や信号の圧縮を目的とした機械あるいは機器。圧縮機。

出典:Wikipediaより

 

日常的には、自転車屋さんにある、

「ドルルルル!!」という空気入れ装置などがそうですね。

あれ回しながらタイヤのチューブに空気入れてる間は、ほんと周りの音なんも聞こえません。

自動車コンプレッサー

画像は車のコンプレッサーですね。

 

 

それに比べて音楽業界でのコンプレッサーは、

もはや愛称みたいに「コンプ」って呼ばれることが多いです。

空気圧縮装置の実際の迫力に比べたら、確かに可愛いものかもしれない。(笑

 

 

 

音楽用途としてのコンプレッサー

ざっくり言いますと、音を圧縮する装置のことです。

 

バンドをやってた人なら、ハードのコンプの方が馴染みがあると思います。

エフェクトなど

一番左がそうですね。

 

 

次回以降のコンプの記事で使用していくものはソフトの方です。

エフェクトソフトコンプ

↑はVSTインストゥルメントの「T-RackS CS Crassic Compressor」です。

 

 

 

それではコンプの用途を見ていきます。

大きく分けて二つ。

 

 

1、音のレベルを調整できる

音楽的なコンプレッサーは、元々、音の歪みを抑えるために使われていました。

 

ここでいう音の歪みとは、例えば、スピーカーのボリュームを最大にすると、

音が綺麗に聞こえずにバリバリいってしまうことがある、という類の歪みのこと。

 

音が大きすぎる=入力信号が大きすぎると、出力装置に負担が掛かりすぎてしまい、

正常に音が出てくれないどころか、スピーカーなどの装置自体を壊してしまう恐れがある。

 

恐れがあるというか、実際それで壊れるケースが多かった。

それを防ぐため、音をある程度圧縮させるためにコンプレッサーが使われていた

という経緯があります。

 

 

 

2、音作りができる

コンプは、圧縮率や、効き始め、効き終わりなど、

入力信号に対する出力調整をかなり細かく行えるので、

結果的に音に大きな質感変化を作り出すことが出来ます。

 

音作りと聞くと、やはり「全く新しい音を生み出す」というイメージの方が強いかもしれません。

例えば、「スター・ウォーズ エピソードⅡ」のサイズミックチャージの音とか。


「ヴヴイィイィーー・・・ン!!!」

 

 

 

「なにこの音聞いたことねェ!!!」

みたいな。(笑

 

 

 

コンプでの音作りというのは、そういった類のわかりやすい音作りではなくて、

原音の輪郭を整えたり、発声タイミングをズラしたりなど、

サイズミックチャージのインパクトから見たら、かなり地味な部類の音作りということになります。(笑

 

 

効果がわかりにくいのも当然なんですよね。

すでにある音を如何に整えていくか、という作りこみになるから。

 

でも、このコンプでの調整を行うことで、はっきりとはわからなくても、

確かに音全体に違いというものが生まれます。

 

 

 

「コンプ」と「リミッター」

さて、コンプには大別して

  1. 音量レベルの調整
  2. 質感調整

と二つの顔を持っているということになりますが、

1の、音の出力を抑えるという点では、

リミッターやマキシマイザーなどと効果が重複します。

 

「同じ効果なら一緒にしたほうがわかりやすくない?」

 

と私は最初思っていたのですが、これにはきちんと別にされている理由がありました。

 

 

例えば「リミッター」。

その名の通り、マスタートラックなど絶対にピークを越えてはいけないところに必ず使われるもので、

ある一定以上の音量は完全に飛び出させないように抑えるための、

絶対的な守護神エフェクターとして存在しています。

 

 

これ、元々はコンプと一つのものだったんですよ。

一つだったというよりは、今で言うエフェクターの「リミッター」の働きは、

そもそもコンプレッサーの圧縮率を極限まで高めた状態のことを言っていて、

後に、切り離して名前と本来の役割だけを与えたもの。

それがリミッター。

 

 

 

コンプレッサーは、圧縮率を緩やかにした場合、

音に対してかなり繊細なアプローチができることから、

音の粒揃えや輪郭調整など、整える音作りに、次第に使われるようになりました。

 

 

その効果が大きかった為、現在では、

 

コンプは本来の用途の発展型として、音作りの役割を持ち、

リミッターは本来の用途に、より忠実な形として、音を抑える役割を持つ。

 

 

こういう理由から、今ではコンプとリミッターは別々に存在しています。

 

 

 

 

 

これが分かれた経緯を考えると、当時の人はほんと凄いなと思います。

 

当初コンプレッサーが導入された理由は、音の歪みを解消するためであって、

音作りをしようという理由ではなかったはず。(そういう人もいたとは思いますが。)

 

それを、調整しながら使っていくことで、次第に音の変化に気付きはじめ、

今ではコンプは、むしろ音作りがメインになっている。

 

人間って、凄いなホント。(笑

 

 

 

まとめ

コンプレッサーは音を圧縮するエフェクター。

用途は、音量レベルの調整原音の細かい音作りの二つ。

少し噛み砕くなら、

  • 全体の音のバランス、粒を揃える
  • 音にメリハリを付ける
  • 音に存在感を与える
  • 音割れを防ぐ
  • 音を太くする
  • 音圧を上げる

といった内容で使える。

また、リミッターとは兄弟の仲である。

 

 

ということでした。

 

次回のコンプLv2では、実際にパラメータや音を聞いて理解を深めてみたいと思います。

 

 

それでは!