サウンドクリエイターであり、ボーカルもこなすやまもまやさんのウェブサイト、
同人・商業問わずその作風はとても人気で、ご存知の方も多いのではと思います。
その少女、イデアは森に恋をした―
今回ゲットしてきたのは、青色ではなくなんと緑色のCD。タイトルだけでなく、ジャケットデザインとフォント文字からもうすでに世界観を感じる。いいですよ・・・こういう世界観、聞き手側としてはインスピレーションに直結するので、ワクワクが止まりません。
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in the blue – イデアの森
1.畏怖と慈愛
「イデア」とは理念・観測。つまり、認識することで「それ」は存在するという意味だと私は思っています。つまり、この物語の少女は「それ」を「見」つけてしまった。いつからそこに存在していたのかはあまり重要ではなくて、「見た」時点でそれは「在る」ことになる。
・・・この曲はそんな「イデア」と少女の邂逅から始まり、0:40辺りでメロディが入るところから人の心地が生まれ、森の息吹を感じる演出を思わせます。
後半、世界がぶわっと広がったような、自然の愛に包み込まれるような、そんな臨場感を感じました。
2.森に抱かれて
イントロに始まるピアノの微妙な揺らぎがたまりませんね。ここで歌が入り、少女が森を感じ思いを寄せる情景が浮かぶのですが、私が感じたことは「初めて触れた言いようのない温かさに包まれる」というよりは、「かつて元々は一つのものだったんじゃないだろうか」というようなどこか懐かしささえ感じるということ。
ただ、そんなことは一抹で、最初に感じた畏怖とは裏腹に何ともいえない森の心地良さを肌で感じている・・・そんな印象。
3.緑の螺旋
森の神秘さを感じつつ、目の前の手に触れるものを味わっているかのような曲。
螺旋という言葉に、森の連綿とした歴史というか実際に時を経てそこに至った経緯と、森に住む生物、特に昆虫や花などといった小さなモノのイメージが沸きました。・・・あ、小動物もいますね。草はもちろんきのこも生えてますね。あー!こんな虫見たことない!!
これは自分の感覚ですが、自分が少女になったような気分にさせてくれる、そんな曲ですね。
4.絡まり合う枝
森の中核といいますか、核心を見たかのような静寂のある雰囲気の曲。こちらの方が森の歴史を「感じる」情景が浮かびました。打楽器の名前は浮かびませんが・・・森の鼓動を感じる。
優しげでありながらドラマを感じる後半の展開は、自然界の雄大さとやっぱり包み込むような何かを感じます。その画を輝く石か何かで見させられたような・・・なんだろう、王蟲の心に触れた時のあの木々みたいな。ナウシカ大好きです、はい。
5.深淵
緊張感が漂う、見えない渦の中にいるような雰囲気を感じます。ただ、恐怖というよりは「世界はこのようになっている」という目に見えるもの裏側が、まるで機械化した絵に写されたような、そういう茫漠としたものを感じる。
なんだろうな・・・一歩間違えると引きずり込まれそうな緊張感もある気がするんですよね。ただ、膨大な何かの波に流されているようでいて、どこか客観性があるんですよね。すごいな・・・この音の表現。
6.イデアと森 -reincarnation-
最初のコーラスに聞き入ってしまった。リンカネーション・・・転生とも、再生とも、輪廻とも言いますね。ここで今までの流れが一つに繋がったような、そんな印象を受けます。何度も繰り返し生まれ変わるような、そんな流れ。
イデアの森が転生を司る森なのか、それとも少女が元々は森と一つだったのか、色んな解釈が頭をよぎりますね!ああそして、終盤のコーラスは卑怯だ(笑
・・・今ここで気付いたのですが、タイトルは「イデアの森」なんですけど、この曲は「イデアと森」なんですよね。イデアと森が分けられているんですよ。”仮に”これを私流に置き換えるとすると「私の森」と、「私と森」。そしてリンカネーション。
いやー!!! ゾクゾクしてきた!!!(アホ
イデアの森を聴き終えて
いやー!これは!大好物!!(笑
神秘的な作風にここまでのストーリーが盛り込まれている。しかも非常に聴き易く、感情というよりは何かの記憶を優しく引っ張り出されるような、そんな作品でした。
ジャケットの裏側には、
”It is love, not reason, that is stronger than death.” -Tomas Mann-
「死より強いもの、それは理性ではなく、愛である」-トーマス・マン–
という、19世紀のドイツの小説家の言葉が書かれています。トーマス氏の愛についての捉え方は、その小説作品に触れることで垣間見れるのかもしれません。
イデアの森、凄く良かった。今度は青の世界も体験しよう。