【2017年秋M3】『Unknown-Dimention – A NEW SUNRISE』を聴き終えての感想

ヒーリングやニューエイジをメインに、ワールドミュージック・ジャズ・オケ等ジャンルに拘らず作曲をされている清水嶺さんのサークル、

Unknown – Dimentionさん

 

ケルト系民族音楽をまとめたミニアルバム。
個人アルバムに未収録の過去作品、書き下ろしを含む全7曲。

出典:Unknown -Dimention/Discographyより

今作の「A NEW SUNRISE」は、そんな幅広いジャンルを手掛ける嶺さんのケルト系音楽に特化したCD。今回私がM3に参加した際、これだけは手に入れておきたいと思った一枚で、色々と忘れてしまいかねないM3の中で真っ先に買ったCDです(笑

 

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Unknown-Dimention – A NEW SUNRISE

1.A new sunrise

こちらはWEBでも公開されている曲。打楽器とパーカッションの入りから、バグパイプの陽気なメロディが「ああ、これだよこれ」と納得してしまう非常にキャッチーなケルト音楽の曲。

ケルト音楽は、西洋の日常を描く文化が音に引き継がれた、いわゆる日本の民謡と同じ「そこに住む人々の世界を映す」音楽だと私は考えていて、この曲を聴くと、ヨーロッパに住む人々の想いが伝わってくるような、そんな温かい曲だと思いました。高山や田園の風景も目に浮かぶようです。

 

2.Hadrianus

西暦100年頃のローマ皇帝の名前がこのハドリアヌス。国王として国を率いる力強さと威厳さを感じる曲です。イントロの極わずかなピアノがまるで、この世に生れ落ちた王の静寂さを醸しているかのよう。

コーラスの演出がもう王国に誇りを持つ衛士の魂かのようで、そこに君臨する王の強さ、優雅さ、そして時として政治的な辛辣さによる哀しみなど、そういう人間模様の渦巻きを感じました。

 

3.Blackbard

ヨーロッパのクロウタドリをモチーフにされているのかな。春の訪れを告げる鳥ということですが、西洋の街に吹く強い風を受けながら飛び回っているかのような印象を受けます。

クロウタドリに関してあまり知識がないのですが、この曲からは自然の大きさというか、そこに根差す生命の力強さを感じる。笛の音が鳥の鳴き声を模しているところが情景とイメージを掻き立ててきますね。

 

4.White wall

タイトルから最初、西洋の街並みの壁のことかと思ったのですが、私のイメージではヨーロッパにそびえる山々のような雄大な印象があります。空に見える鳥と、無造作に剥き出しにされた崖の岩の壁・・・。

しかし楽器の演奏法をほんとに勉強されているなということがよくわかる。少なくとも私には。

実際山に登ってみるともっと無機質さを感じるものですが、この曲にはドラマがある。人の描くものなのか、自然の峰峰がもつ意思なのか。うはー、しびれる(笑

 

5.Climb the red mountain

こちらは実際に山に登っている人の温かみみたいなものを感じる曲。White wallが自然側であるなら、こちらは自然に対する人側であるかのよう。淡々とした人間臭さをすごい感じる。

左右のアコギが人の心の灯し火みたいに聞こえるんですよねぇ。わかりやすい緩急はなく、ただひたすら黙々と進んでいく、どこか挑戦的な心を感じる楽曲。

 

6.Vidohunir

北欧神話にある、世界樹ユグドラシルの最も高い枝におり、その黄金の身体により世界を照らしているという雄鶏の名前がヴィゾフニル。

この曲では、そういった伝説的な印象はなくて、やっと会えたヴィゾフニルは案外人間臭くて、会いに来た人間に対して「よー来たな。で、何か用か?オレの肉でも取りにきたってか?」みたいなニヤついてしまいそうなストーリーを感じる。

ドラムが力強く、地に足がついているような印象を受けるので、ユグドラシルの頂上でありながらどこか落ち着いた印象があって、こういうストーリーが浮かびました(笑

 

7.Ogma

でたー!!戦いの神、怪力自慢のオグマ!!(笑)またオグマは霊感・言語の神でもあるので、モノを伝えるという協調性にも長けていたと勝手に思いを馳せる、2面性をもつ神。

曲からは、怪力さよりも書斎で文字の発明を行っているかのような知性を感じます。曲から、「ああ、オグマってこういう神さまなんだな」と納得させられるというか、オシャレで結構思慮深いんだなぁと(笑

 

A NEW SUNRISEを聴き終えて

ケルト音楽は東洋から見ると独特の躍動感と文化をもっているのですが、民族音楽と言われるだけあって、そこに住む一族の歴史を感じさせます。全体的に流れるように踊る、そういう曲調なので緩急の付け方も懐かしいようなどこか新鮮なような。

しかし嶺さんのケルト音楽は、かつて昔そこに住んでいたんじゃないかと思わせるような自然な作風で、心にささるというよりは染み込んでくるような感覚があります。

ケルト音楽の笛の音って非常に細かい動きをするのですが、伸ばすところには下手に揺らぎを出さないんですよねぇ。そこが人々の真っ直ぐさを感じさせるのですが、正直そこまで詳しくないので、間違ってたら恥ずかしいな・・・(笑

 

クオリティもあいまって何度聴いても全然飽きない、スバラシイ一品です。

 

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