ミキシングをしている時に、色んな音がぶつかり合って、
キーン・・・
という音が小さく出てくることがあると思います。単音で聞いてる分には問題ないのに、音が重なり合うとなぜか聞こえてくる…。
今回は、このキーンという音を、
EQを使って音のピークポイントを探ると同時に、キーンを防ぐ方法をご紹介します。
やり方は簡単です。
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音が重なり合って出る、キーンという音
これは音と音が重なり合うことで特定の周波数帯が共鳴してしまい、それが増幅された形で音になって出てきているものと思われます。
共鳴(きょうめい、英: resonance)とは、物理的な系がある特定の周期で働きかけを受けた場合に、その系がある特徴的な振る舞いを見せる現象をいう。
物理現象としての共鳴・共振は、主に resonance の訳語であり、物理学では「共鳴」、電気を始め工学的分野では「共振」ということが多い。
出典:Wikipedia「共鳴」より
DTMで説明すると、二つの別々の音があったとして、それがどこかの周波数帯のみ同じ響きを持っていた。その同じ響きの部分が重なり合って、キーンと聞こえてしまう。
簡単に説明するとこういうことになります。
音叉による共鳴
ちょっとでも周波数がずれていると、共鳴しない。
このことからもわかるように、共鳴でキーンという音が出てしまう場合、片方のその共鳴している音の周波数を変えてやれば、共鳴が起こらなくなる。つまり、
キーンという音がしなくなる。
というわけですね。
ちなみに今回のケースでは、スピーカーから出た音をマイクで拾って、その音をまたスピーカーで出してまたマイクで拾う・・・という、いわゆるハウリングでのキーンではないパターンでお話ししています。
EQを使って共鳴している部分を探す
「共鳴は周波数を変えてやれば起こらなくなる。」
色んなやり方で音の周波数を変えることは出来ると思いますが、ここでは
EQ(イコライザー)を使って、共鳴している周波数部分を削ってしまう
という一番簡単なやり方をお伝えします。
まず、マスタートラックにリミッターを入れておきます。これを入れておかないと、音をブーストした時に耳や機材を傷めてしまう恐れがあるためです。
そしてEQを共鳴してそうなトラックにインサートし、Qを最大まで狭めて思いっきりブーストさせます。
Qの周波数帯を左右に振って、キーンがあからさまに強くなっているポイントを探します。
・サンプル音源
こうやってうねうねさせて、耳障りな箇所を探るわけですね。
そして、一番キーンがうるさいポイントのゲインを、原音をあまり変化させないようキーンが無くなるまで下げてやる。こうすることで、共鳴を防ぐことができます。
ただし、一発で共鳴が見つからない場合や、下げてもキーンが収まらない。そういう場合は、
最初のポイント周辺を探して、原音に影響が出ない範囲で削ったり、もう片方の共鳴の原因であるトラックでも、同様にEQでキーンの原因になりそうなポイントを探って削ったりします。
こうすることで、倍音による音の重なりが軽減されてキーンの発生がなくなったりします。
まとめ
このEQを針のように尖らせてピークポイントを探る方法はDTMやミキシングにおいて定番のやり方なので、まだご存じない方はこれを機に覚えてしまいましょう。
ちなみに、記事上の方の動画でも分かる通り、異なる周波数であれば共鳴は起きないということなので、このEQで周波数を削って共鳴を防ぐ方法は、
あくまで共鳴の効果を小さくしているにすぎない
ということを踏まえておきましょう。
周波数を変えている訳ではなくて、削って小さくしているだけですから。
共鳴を防ぐ一番良い方法は、音を差し替えること。
差し替えたくない場合、EQで共鳴ポイントを削ると。そういうわけですね。
それでは今回はこの辺で!