こんにちは、MAKOOTOです。
コンプレッサー、Lv3の記事となります。
三回目なのにまだ基礎パラメータのスレッショルドしかやっていません。
コンプは後々、音作りに必ず活きてくると思っているので、
多少時間をかけてでもしっかり見ていきたいと思います。
一度そこをしっかり作ってしまえばね、あとが楽なんですよ。
もう理解したよーという方はすっ飛ばして頂いて構わないような内容でもあるので、
その時は、人造人間17号みたいに「徒歩で行くから面白いんじゃないか」の言葉を無視して、
最長老様に力を引き出してもらったクリリンの如く、ドーーーンと先に行きましょう。
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レシオ(Ratio)
レシオとは、圧縮比率のことをいいます。
スレッショルドを越えた音の信号分をどの程度圧縮するか、ということ。
例えば、レシオを「4:1」にすると、上の図でいえば、
スレッショルドレベル「-10dBFS」を越える音を1/4に圧縮する、
という意味です。
図は極端ですが、わかりやすくするためにスレッショルドをかなり深めにしています。
大きく潰したいか、わずかに潰したいかはこのようにレシオで設定します。
レシオの基本の見方は「原音に対する圧縮倍率:原音(1とする)」の比率でみるので、
「1:1」の場合、圧縮はされていないことになり、
「2:1」の場合、圧縮後は1/2に。
「10:1」の場合、圧縮後は原音の1/10です。
これは、スレッショルドを超えた音(信号)のみということ。
ちなみに、Cubase付属のCompressorのレシオの最大は「8:1」。
「8:1」ともなると、かなりの圧縮比率ということにもなりますが、
厳密には完全なリミッターとしての働きには及びません。
対して、リミッターは「∞:1」という圧縮倍率がデフォルトとなっているので、
この数値設定の違いで、コンプとリミッターの役割を分けているものと思われます。
アタックタイム(Attack Time)
レシオで設定した値まで、どのくらいの時間を掛けて到達させるか、ということ。
スレッショルドを越えた音は、このアタックタイムを過ぎてから段々と圧縮が始まり、
時間的にこの値を過ぎると、圧縮率はMAXになります。
CubaseのCompressorでは「0.1~100msec」まで。
コンプの種類によっては「μsec(マイクロセカンド)」単位で調節できるものもあります。
例えば、アタックタイム「100msec」にした場合、スレッショルドを越えた音は、
- スレッショルドを越えてから数えて「30msec」後は圧縮率30%。
- 「75msec」後は大体圧縮率75%。大分潰されてきます。
- そして「100msec」に到達すると圧縮率100%。やっとレシオで掛けた値通りに圧縮される。
- 「100msec」以降は、原音がスレッショルドを下回るか、リリースタイムを越えない限りは、ずっと圧縮されっぱなしになる。
ということになります。
私は当初ここを勘違いしていたのですが、
アタックタイムに到達してから始めてコンプが掛かるのではなく、
アタックタイムに到達して始めて「レシオ通りの比率」に圧縮される。
つまり、スレッショルドを越えた時点で圧縮は少しずつされている、ということ。
この間、音が完全に素通りしているわけではないのです。
ただ、アタックタイムの設定は基本msec単位で設定されるので、音で聞くと一瞬。
アタックを長くすると、それだけ圧縮MAXに到達するまで時間が掛かるため、
立ち上がり音はほぼ圧縮が掛かっておらず、あたかも音が素通りしているように聞こえる。
そう聞こえるのですが、実際は微細ながら圧縮は掛かってますよーということです。
アタックタイムの役割
音の立ち上がりを強調する部分です。コンプの音作りの主軸。
鳴り初めの聞き応えを調整するので、レシオとスレッショルドによって変わりますが、
第一印象、ファーストインプレッションの質感を整えられます。
レシオが高い状態でアタックタイムが短い場合、音の違いを聞き分けやすいです。
なぜなら、それだけすぐに高倍率の圧縮が掛かるから。
・「素の音」
これに、スレッショルド-30[dBFS]、レシオ8:1、リリースタイムは70[msec]
として、アタックタイムのみ変化させてみます。ゲインは上げません。
・「アタックタイム:0.1msec」
頭から思いっきり潰れているのがわかります。音が遠い。
0.1msec後に8倍の圧力が掛かっているので、最初からクライマックス状態。
努力マンの豆腐の下駄に比べたら遥かに及ばないものの、これぞまさに圧縮。
「アタックタイム:28msec」
頭の部分はアタック感が残っていますが、すぐに音が圧縮されています。
パンッ!という音の印象で、いかにもコンプの音だなーという感じ。
これ、音の抜けは悪そうに感じますが案外存在感を残します。
「アタックタイム:100msec」
圧縮100%までの時間が長いので、そんなに音が歪んだ印象はありません。
スネアの鳴りをしっかりと残し、すぐに余韻をぎゅっと締めている感じです。
リリースが70msecもあるので、そこまで締め付けは強くは無いですね。
リリースタイム(Release Time)
原音がスレッショルドを下回ってから、コンプの圧縮を解除するまでにかかる時間。
何気に、コンプの設定において最初は実感がわきにくいポイントなんじゃないかと思います。
Cubaseのコンプでは「10~1000msec」まで。アタックの10倍長めに設定できます。
「auto」というボタンがありますが、これは自動でリリースタイムを決めてくれるもの。
使い初めでよくわからない時は、これを有効化するのも手ではないかと思います。
リリースタイムは、
原音がスレッショルドを下回るポイントから、それが解除されるまでの長さ、
ということ。
- リリースタイムが短いと、すぐに圧縮が解除され、(画像では薄紫)
- リリースタイムが長いと、圧縮が緩やかに解除されていく。(画像では水色)
私の絵が下手なので、図のリリースタイムの長い水色の曲線が緩やかに見えていませんが、
リリースタイムが長いほうが、原音への戻りは自然となります。
リリースタイムの役割
主に音の余韻を強調する部分です。
リリースタイムを長めにとって余韻を抑えると、音は奥に引っ込んだようになり、
リリースタイムを短めにとると余韻がすぐに返ってくるので、音が前に出て来るようになります。
といっても、アタックタイム通過後の音の設定となるので、
余韻の作り方は、アタックタイム次第で結構変わってきます。
リリースタイムの違いを見てみます。
「素の音」
これに、スレッショルド-30[dBFS]、レシオ8:1、アタックタイムは28[msec]
として、リリースタイムのみ変化させてみます。ゲインは上げていません。
「リリース:10msec」
数字の通り正確に、とはいっていませんが、赤枠辺りでコンプが解除されています。
少し詰まったような音で、すぐに原音の余韻が回復しています。
そのため、スネアの余韻のシャリッとした感じが若干強調される形になっています。
「リリース:180msec」
赤枠辺りまで、音が潰されているのがわかります。
シャリッとした余韻が大分潰されているので、カラッとしたような印象があるかと思います。
「リリース:1000msec」
リリース180msec以上に乾いた印象です。
約1秒、圧縮がされ続ける形になるため、音が吸い込まれるような感じにも聞こえます。
リリースタイムが「180msec」のサンプル音では、
例えば300msec付近は確実にコンプは解除されていると思いますが、
このリリースタイムが「1000msec」の場合、300msec辺りではまだ圧縮が続いています。
多分レシオ「6:1」か「5:1」くらいだろうか、
リリース180msec以上に乾いた音に聞こえるのはその為です。
コンプを使って曲全体に抑揚を付ける方法
アタックタイムとリリースタイムを調整することで、
音にずっとコンプレッサーを掛けたままの状態にする事も出来ます。
初めにスレッショルドを越えてからコンプが効き始めるのですが、
リリースタイムを長くすることで、コンプの解除前に次のスレッショルドを迎えることで、
リリースとアタックが被り、結果的にコンプがずっと効いている状態になります。
これは、曲のフレーズの頭だけインパクトを強めて、
以降の音量を抑えることで、曲全体にメリハリを効かせるやり方になります。
圧縮比率はその経過タイミングごとに違うとは思いますが、2番目以降の頭の部分は、
少なくとも1番最初の頭よりは相対的に抑えられることになるので、
曲全体に抑揚を付けられることになります。
ただし、音の信号がゼロになるとコンプは自動的に解除されてしまうので、
音の途切れないようなギターのストロークや、
余韻が続く細かいフレーズのあるドラム全体などに、効果が期待できます。
まとめ
- レシオは音の圧縮比率のこと
- アタックタイムは、コンプが完全に掛かりきるまでの時間
- リリースタイムは、コンプが完全に解除されるまでの時間
そして、
- アタックタイムは、音の立ち上がりを調整する
- リリースタイムは、音の余韻を調整する
音の立ち上がり、余韻の調整は、
楽器や音のフレーズによってそのアプローチがかなり違ってきます。
そのため、単純に立ち上がりや余韻を調整するため!とは言えないのが
コンプの奥の深いところです。
概要が少し大雑把かもしれませんが、
まずはコンプの全体像を把握してもらえたらという形で記事にしています。
次回は、Kneeやゲインについて書いていきたいと思います。
それでは!