こんにちは、MAKOOTOです。
先日、箏を学ぶためにいぶくろ聖志さんの手掛ける箏入門の書「箏のいろは」を買って勉強していたのですが、これがDTMで和風楽曲を作る上でもかなりタメになったので、少しご紹介ということで記事にしてみたいと思います。
これですね、なんて素晴らしいデザインなんだ。箏の文字がまた達筆でかっこいい。
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箏のいろは
和風の楽曲をしっかり作ろうと和楽器に関する内容をじわじわ調べていた私ですが、先月箏について調べている時に、いぶくろ聖志さんの動画を見つけました。
いぶくろ聖志さんといえば、和楽器バンドのメンバーで箏を演奏されている方です。「蓮-REN-」「華風月」といった日本の和を基調としたユニットも組まれていたり、個人でも様々に活躍されていて、この音とまれ!の「龍星群」演奏動画にも、いぶくろさんが実はいたりします。
で、私は地歌や三曲などの昔からある箏の楽曲を聞いたりそこから使い方を学ぶことはもちろんなのですが、どちらかというと現代風に箏が使われている楽曲からも勉強したいという気持ちがありました。
まだ箏について詳しく知らないため、何が自然で何が不自然かの判断も付かない。ただ、そうならそうで自分で模索していけばいいだけの話なのですが、そんな折にこの「箏のいろは」を知りました。
いぶくろ聖志:箏のいろは (箏奏者・いぶくろ聖志が書き下ろしたオリジナル曲で学ぶ CD付箏入門)
この本は「これから箏を弾いて練習する方」向けではあるのですが、現代の音楽界ではまだまだ希少な楽器である箏で活動されている方の本ということで、実はかなり貴重なのではないかと思いました(私があまり調べてないだけかもしれませんが)。また、いぶくろさんのオリジナル箏曲を楽譜として練習できるということで、私にしては珍しくすぐ買ってしまった。
以下、いぶくろさんの「箏のいろは」についてDTMをしている私の観点から簡単に書いていきます。
箏の演奏方法は一通り学べる
「箏のいろは」には、6曲のいぶくろさんのオリジナル箏曲がCD付きで同封されており、その6曲を練習することで弾き方を少しずつ覚えていき、箏の演奏に慣れていくという流れが組まれています。
具体的には、
- 花紺青~夜の風~
・基礎的な楽譜の読み方
・親指と中指の動かし方
・親指と中指を使った「合わせ爪」の奏法練習 - 白群~川遊び~
・指を少しだけ素早く動かす練習
・人差し指を加えた動かし方
・「押し手」の奏法練習 - 緑青~鬼蜻蜓~
・「すくい爪」、「後押し」、「グリッサンド」(流し爪・引き爪のこと)の奏法練習
・曲のテンポは速め - 光悦茶~土~
・16分音符での練習
・「掻き手」、「割り爪」(シャシャテン)の奏法練習
・テンポはゆっくりだが16分音符が多く大変 - 淡紅色~蕾~
・「トレモロ」、「裏連」(サラリン)の奏法練習 - 月白~明日~
・付点のリズム
・左手で「ピチカート」の技法を練習
私は現在、箏を引っ張り出す場所がないので、曲を聴きながら机の上で指だけ動かして練習してました。いわゆるエア箏。しかしこれが難しい。
曲の基本構成は、
- 13絃箏の旋律(メロディ)部(楽譜が用意されている練習部分)
- 25絃箏の伴奏部(楽譜には書かれていない部分)
の二面の箏による楽曲となっていて、一曲につきそれぞれ
- 鑑賞用(旋律と伴奏の合わさった、いぶくろさんによるお手本の音源)
- 練習用(鑑賞用より伴奏が小さく、これから練習する旋律をよく聴ける音源)
- 伴奏用(旋律のない、伴奏のみの音源。伴奏と合わせて練習・披露できる用)
の3点が、箏を練習するために用意されていました。
楽譜が用意されている旋律部分は運指の番号が全部振られているので、初めて箏に触れる人でも大安心で練習ができる内容です。
これだけでも十分満足ではあるのですが、私の場合、折角なのでやはり伴奏部分も勉強したいということで、メロディのみならず伴奏部分も6曲全部耳コピしました。
最初の内は音の強弱や伸ばし(サステイン)部分、また指の弦に触れるタイミングなどもなるべく再現していましたが・・・うーん、なんかこの画像だとあんまりやってないですね(笑
でも、お陰で箏の指運びがかなり理解できるようになったので、予想以上の収穫がありました。
例えば、五の糸(G2)を親指で押しで普通に弾いた場合、直後は四の糸(D#2)に親指の爪を当てて一旦止めます(基本形)。つまり、事前の演奏で四の糸が鳴らしてあって響いていた場合、五の糸(G2)が鳴ると同時に四の糸(D#2)はミュートされる。(画像赤枠)
上画像緑枠も同じ。親指で流し爪的に低い音に向かって鳴らしている最中ですね。
こういった、奏法だけでは見落としがちな部分に結構気付くことができたので、この「箏のいろは」は私にとってほんとにありがたい教本となりました。
自分で作った楽曲
そんなわけで、この「箏のいろは」のお陰で箏に対する知識が増えたこともあり、最近作る和風曲には箏ばっかり使ってしまう自分がいます。それと、楽曲を作りながら思ったのですが、箏ってかなり凄い楽器だと思いました。
これは記念すべき箏のみの楽曲第一号。「箏のいろは」で学んでなかったら箏のみの楽曲を作るのは随分先になっていたかもしれない。
箏を使って激しい曲を作ってみたうちの一つ。毘沙門天の眷属の一人である羅刹のテーマという設定です。こういう設定を考えたりしながら作るのはとても楽しいですね。夜叉のテーマも近いうち作りたい。
こちらはゲームでいう「風来のシレン」をもう少し江戸っぽくイメージしたもの。やっとこういう曲作る事ができました。今まで作りたくても作れなかったこういう曲、なんかやってたら出来てしまった(笑
私が思う箏の良い所
私が今現在感じる箏の良さといいますか、特徴というものを述べると、
- 音が煌びやかで、雅さを感じる
- ベース・和音・メロディ全部担当出来る。汎用性が高い
- 絃楽器なので音程も融通が利く
- 平・雲井調子など、音階を把握してそれを鳴らすだけでも和っぽい雰囲気が出る
- 静かな曲・ド派手な曲、どっちでもいける
という感じです。
まさか箏がこんなに幅広く使える楽器だとは思っていなかったため、現代では最もポピュラーな和楽器であると思われる三味線よりも好きになってしまった。
ただ、全ての和風曲で使うことはちと難しいかなと思う点は、箏という楽器とその音が雅すぎるという点でしょうか。民衆のお祭り音頭みたいな曲には混ざりにくい感じがしますね。
楽器としての箏は平安時代の宮廷音楽(雅楽)もあり、江戸時代の箏の楽曲は技巧的なものが多かったらしいので、何かと敷居の高い位置にいたせいもあるんだろうと思います。そもそも平安以前は、弥生時代や日本神話にも「コト」という儀式的なモノとしては渡来前から存在していたみたいなので、そういった伝統から醸しだされるものもあるのかもしれない。
おわりに
「箏のいろは」を買おうと思ったきっかけは、上の方で述べた箏の学びということの他に、動画内の最初もしくは最後にほんの少し流れる、「箏のいろは」に練習用として収録されている6曲の内の一つ、
「光悦茶」が凄い好みだったから。
この曲が弾けてしかも丁寧に学べるとかもう買うしかない・・・!それが決定打でした。
また「箏のいろは」は、いぶくろさんの人柄もあってとても優しく温かい作りで箏の練習が出来る雰囲気を感じます。本書内のコラムもかなり面白いので、箏を始めてみようかなという方や、私みたいに箏はまだよく知らないけど音楽的に興味のある方にはオススメかと思いました。
いぶくろさんの「音伽噺」と「木花咲耶」も買おうかなぁ、あれは絶対良い。
・・・あれ?いつの間にかファンになってしまった(笑