オーディオストックやDOVA-SYNDROME等の楽曲投稿サイト用にループ楽曲を作るとき、楽曲を書き出した際、「プチッ」というノイズが乗ることが私の場合頻繁にあります。
今回は、ループ楽曲として体裁をギリギリ保ちつつ、色々対処してもノイズが乗ってしまう場合の現在の私が最後にとる手段を記事にしてみます。使用DAWは「Cubase」。
※ 以下、自分の環境の上での結果を元に書いているので、あくまで参考程度に目を通して頂ければと思います。
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ループ音楽素材とは
ループ楽曲素材というのは、音楽プレイヤーなどでその一曲を繰り返し再生させ続ければ延々繋がって聞こえるようなものの事をいいます。
例えばゲームなどで戦闘中に放置してたりすると、ずーっと同じバトル曲が流れ続けますよね。市販のゲームでは内部で再生箇所を指定しているものがほとんどだと思いますが、ああいう風にループされる使われ方が前提のBGMということです。
私が作るループ楽曲素材は上画像の通り。「曲の終わりからそのまま頭に戻ればループされてるように聞こえるよ」という、なるべく手軽に使ってもらえる形を取っています。
というか、ほとんどのループ楽曲素材屋さんはそういう形をとっているケースが多いかも。
そしてこのサンプルはそういったループ楽曲を作る際に毎度気を遣う部分です。
非常にわかりやすい「ブチッ」という音が曲末尾に出てしまいました。ナンテコッタイ
これはCubaseのオーディオミックスダウン時に発生したノイズ音で、もちろんこんな「ブツッ」なんて意図しているわけもなく、オーディオストックやDOVAの査定で落とされる理由の大半でもあるかと思われます。普段ループ素材を作らない知り合いの音屋はこの手のノイズに皆ひっかかっていたのだからバカにできない(笑
それにミキシングとは基本関係ないところでDAWが発生させてしまうノイズだから、除去ソフトであるiZotopeのRXでもどうにも出来んだろうしなぁ。
書き出し後に楽曲末尾に「プチッという」ノイズが鳴る原因
色々調べてみたのですが、今回の原因に考えられそうな内容を絞り込んでみると、
- 音がある程度鳴っている状態のまま録音が切り上げられている
- DAW内の設定・構造の問題
- DAWを動かしているマシンのスペック不足
の3点が結果的に考えられました。
意図しないノイズの種類には他にも、
- 音が重なり合ってピークを超えるクリップノイズ的なもの
- 録音時の電気的な干渉によるクリックノイズ的なもの
など色々ありますが、今回は最初に上げた3点に絞って見ていきます。
音がある程度鳴っている状態のまま録音が切り上げられている
これは若干クリップノイズ的な要素もあるのではないかと思われるのですが、インストール直後はともかくそれから数年経った私のCubaseでは、ほんのちょっとミックスダウン範囲外にオーディオイベントがはみだしている、つまり「限りなく無音に近い小さな音」が曲終わりに出力されているだけでノイズの原因になったりしているケースが幾つかありました。
上画像のレベルであれば普段は大丈夫なことが多いのですが、それでもたまにあります。
よくある書き出し時の発生プチノイズは、単純に音が鳴り続けている途中にミックスダウンの末尾範囲を指定してそのまま書き出すといったケース。
他のDAWやver違いのCubaseなど、別の環境ではどうなのかはわかりませんが、私の環境でこれをやるとプチノイズがほぼ確実に曲末尾に乗ってしまいます。DAWの設計上この使い方も想定内ではあろうと思われるのですが、意図しないノイズの類は音に関わる人にとって切っても切れない関係なのかもしれません。
DAW内の設定・構造の問題
気付かない間に何かしらの設定をONにしてしまっているケースも稀に起こります。その場合、気付かずにONにしてしまっているので、それをOFFにするためにあれこれ調べて普段は使わない機能を恐る恐る弄ることになったりします。案外デリケートなところありますからね。
また、CubaseではCPU負荷からくるのか、それとも長年使っていて何かしらのエラーが内部で積もっているのか(これが濃厚と予想)、0.001秒以下の決定にかなりの緩みを感じます。
こちらは画像の上トラックのオーディオを、範囲そのまま単純にコピーするようにミックスダウンしたものが下トラックなのですが、その尺の長さが書き出し元と後でなぜか違うという。プロジェクト内は32bitで編集していてミックスダウン書き出し時が16bitだから長さが違うのかとか、この差がなぜ生まれるのかも正直よくわかりません。あったりなかったりする。
ちなみにこの差は0.08[sec]。
これは別プロジェクトでの、いわゆるプラグインエフェクトなどの負荷は一切かかっていない状態で実験しても同じで、また更に実時間で書き出しをしても同様の結果という、私にとって完全に意味が不明の現象。くそ・・・困った時の頼りになるSleepfreaksさんの記事(楽曲を書き出すときの不具合 Cubase)を試しても上手くいかんとは・・・!!
Cubaseは現在ver8.5を使っていますが、プロジェクト内を最大限まで拡大した0.001sec以下ではスナップをONにしても機能しなかったりするので、若干DAW内の構造上の問題もあるような気もしました。あくまで予想です。
DAWを動かしているマシンのスペック不足
CPU負荷以前に、マシン自体がCubase8.5を動かすことがきついのだろうか。しかし現在の私のPCは、
- Core i5 3.2GHz
- メモリ 32GB
を積んでいるので、単純にDAWだけを立ち上げるだけで挙動がおかしくなるとは考えにくい。
ただ、このPCを作ってからもう4~5年くらいは経ち、色々なソフトウェアやDTM音源も色々インストールしていたり、CubaseがインストールされているドライブもSSDではなくHDDだったりするので、色んな要素が少しずつ積もり積もってDAWに影響を与えているような気がしなくもないという。
OSも100%健全かどうかというのも若干怪しいし、ウイルス常駐ソフトのこともあるので、結果的にスペックが発揮されていない、のかもしれない。
私の取る最終手段
ループ楽曲を作る上では、楽曲の終わりに下手に残響があったりすると曲の頭に戻った時に若干違和感が出てしまったりもするので、この頭と終わりを自然に繋げるような工夫が色々必要になってきます。静かな展開にしたり、余白を作ったりなどで、私も含め素材を作られている方は皆それぞれ工夫されています。
ですが、最後の最後まで音が出ていたほうがループするのに自然だとはやはり思います。なので、工夫をする前提として自分の環境でどこまで音を出せてどこから音を控えた方が良いのかの境界線を知ることはとても大事であろうと。
以上の流れから、私が最終手段としてとる方法は実に簡単。
「ノイズが乗らなくなるまで楽曲のケツを削る」
ループしてもギリギリ違和感ない状態まで、もう楽曲自体を削ってしまうしかない。事前に静かに終わって頭に戻る楽曲ならこの手段はほぼ取りませんし、そもそも作編曲の段階から自然なループを狙う作りにしておくことが一番望ましいので、私の最終手段はほんとに後ろがない状態といえます。
もしこれでループに違和感が出るようであれば、曲のケツは削るのではなく作り直したほうがいいと個人的には思っているのでそうしています。
私の最終手段の例を書いてみます。上画像で使用している楽曲の末尾は1:40:909。1分40秒と+0.909秒。
この曲では、以前の記事で書いた「曲終わりに0.001秒分のフェードアウトをかける」では全くノイズが消えず、結果的にノイズがギリギリ書き出し時に乗らない状態までもっていくのにかなり削る結果となりました。
削った時の尺は1:40:810。つまり0.1秒も削ることになってしまった。
以前の記事では「0.001秒のフェードアウトをかければミックスダウン後の末尾ノイズは消える」と書きましたが、実際その時の私の環境ではそうだったというだけなのかもしれません。
100倍も違うとかもうやばいなぁ・・・と最初は思ったのですが、
0.1秒開いた状態のループ終わりからループ頭の繋ぎの部分(00:03付近)がこちら。
確かに一瞬間があるなとはわかるのですが、実際動画などでループとして使われる使用感を考えると、このくらいだと案外わからない間でもあったりもします。ただこの曲だと最後に静か目にしようとしてはいますが残響が割とあるのでやはり目立つ方ではある。
ですが、現在の自分の中ではこれがギリギリの境界線ということで記事にしてみました。
・・・残響がなくなるまで尺を少しとってもイイといえばイイんですけどね。正直幾らでも可変はききますが、ノイズと楽曲の境界線としての記事なので、こういう手段も取りますという感じで見て頂ければ。
おわりに
今回の記事内容はあくまで自分の環境でのケースなため、例えば「0.1秒まで削ればいい!」といった絶対的なものは述べられません。
Cubaseの挙動に関しても人それぞれなので、動作云々も一概にはいえない。いえないけど、「こういうことはありました」という一例としての価値はなくはないかと思ったので、書いてみました。
ちなみに後で気づいて書くタイミングが見当たらなかった為ここに書きますが、記事で主にオーディオデータを扱っているのは、私のループ楽曲を作る手順が、
- 打ち込んだ内容を一個のオーディオデータにして書き出す
→ その際+1小節分加えてミックスダウン
→ プロジェクト内にミックスダウンしたオーディオデータを残す - そのオーディオデータを元に、改めてループ楽曲素材として書き出す
→ ここでループに違和感の出ないよう曲末尾を調整
という流れを踏んでいるからです。最初に+1小節加えた理由は、稀にミックスダウン指定範囲より短めにオーディオが出力されてしまうことがあるため、それを防ぐ為にこんな手順を組んでいます。
・・・あーでもこれは別の記事で簡単にまとめてもいいかもしれないですね。そうですね、そうします。
それでは、今回はこんなところで!