【2017年秋M3】『あだP – Parsifal ~A Wondering Minstrel~』を聴き終えての感想

ベーシストでありながらタロットカードもしてしまう、

あだPさん

 

そのタロットカードを音楽で表現した作品が「Parsifal」。

DTMでの作曲はまだ三ヶ月足らずということなのですが、音の表現には年数はあまり関係がない気もします。音にどういった解釈が乗っているのか、私はタロットに無知なので楽しみです。

 

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あだP – Parsifal ~A Wondering Minstrel~

1.旅立ち ~Fool~

カード番号「0」愚者。大アルカナに属し、正位置は「自由」、逆位置は「軽率」。

タロットカードには旅人が描かれていて、型や枠というものを持たない奔放な様ということのようです。まさにこれからの船出を思わせるような始まりを曲から感じます。軽率にどこかに迷い込んだかのような、好奇心を醸しだす展開から、最後に何かを見つけたかのような出会いを感じます。

まるで小劇場にいるかのような雰囲気です。

 

2.悪だくみの魔術師 ~Magician~

カード番号「1」魔術師。大アルカナに属し、正位置は「起源」、逆位置は「混迷」。

才能あるがゆえに、怠惰になるような、そういう人間臭さを感じる展開。人が驚くようなことも割と出来るけど、打ちひしがれるのも早いといいますか。でも最後はまた忘れていつもの生活をしているような。それと、小さな楽しみや優雅さをどこかに含んでいる気もする。

この曲からはそんな根は明るい魔術師の印象を受けます。

 

3.苦しみの理解 ~High Priestess~

カード番号「2」女教皇。大アルカナに属し、正位置は「直感」、逆位置は「悲観」。

知性ある雰囲気をまとった曲。ただし頭が回るがゆえに、抱え込んで潰れてしまいそうな、そういった脆さをも感じます。この曲からは、理性と感性は一つであるかのような感覚があります。緊張感を持ちながら、静寂を保っているという鋭さがある。

 

4.誘惑の美女 ~Empress~

カード番号「3」女帝。大アルカナに属し、正位置は「繁栄」、逆位置は「挫折」。

豊かさを感じさせるところから曲が始まります。情熱さや包容さも含んでいますが、そのすぐ後に、物凄い線の細さを感じさせるサウンドに切り替わります。不安定さ、緊張感さが豊かさの裏に潜んでいるということでしょうか。

最後は、豊かさを取り戻す形で曲が終わります。

 

5.救世主 ~Emperor~

カード番号「4」皇帝。大アルカナに属し、正位置は「支配」、逆位置は「未熟」。

この曲は、豊かさというよりは強硬さ。どちらかというと恐怖を感じさせる感じから始まります。しかし中盤に入る頃には勇ましさや頼もしさ、逃げない強さを感じさせてとても頼りがいのある雰囲気になります。傲慢に見えた後ろには強い行動力があるということでしょう。

この曲は作中で一番長く、終盤は一つをまとめあげて治めていくかのようなドラマティックさを感じます。ラストの〆は大団円といったところだろうか。

個人的にはこの曲が一番ストーリーを感じて好きです。

 

Parsifal ~A Wondering Minstrel~を聴き終えて

オーケストラ調にタロットカードを表現しているのが、より一層雰囲気をわかりやすくしている気がします。なんかこう、マーラーを聞いていた時を思い出しました。情景を「曲」という型にはまったものというよりは、一つの世界の流れを音に翻訳しただけというような。そんなうねりを感じました。

この作品は、次回作の構想がすでにあるとのことで、5番目以降のタロットの意味をどう音に表現されるのか非常に楽しみです。

 

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